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「メタボリズムの未来都市展」

森美術館で開催中の
「メタボリズムの未来都市展 戦後日本・今甦る復興の夢とビジョン」に行って来ました。



震災の影響で予定よりも開催が二ヶ月遅れ(当初の予定では7月23日〜11月6日)でスタートした展覧会。それに伴いサブタイトルにも変化が「メタボリズム展:都市と建築」→「メタボリズムの未来都市展:戦後日本・今甦る復興の夢とビジョン

戦後の廃虚から立ち上がった日本の牽引力となったメタボリズム運動を振り返ることで、現在も多く残る震災の余波も含め考えんとする新たなテーマも加わわりまさに南条館長の仰るよう「時宜にかなった展覧会」になった感があります。

日本固有の建築様式である「メタボリズム」を、500超の作品、約80のプロジェクトをダイナミックなCG、映像、デザイン、アート、音楽といった多角的な方面から包括的に捉える大規模な展覧会となっています。

展覧会の構成は以下の通りです。

1:メタボリズムの誕生
2:メタボリズムの時代
3:空間から環境へ
4:グローバル・メタボリズム


かつてこの国の建築家たちが夢見た理想の都市像「メタボリズム」を振り返るには、自分のような素人には到底無理かと思いました。

しかし、展示されている数多の今からすれば荒唐無稽で失笑を買うのが関の山の建築プランも戦後の日本を何とか甦らせんとする熱い想いから生じた大真面目なものであったことが次第に見えてきます。

セクション1:メタボリズムの誕生

丹下健三他「広島ピースセンター」、磯崎新「電気的迷宮」、菊竹清訓「スカイハウス」他。

セクション2:メタボリズムの時代

丹下健三研究室「東京計画1960−その構造改革の提案


丸の内から東京湾上を横断し千葉県木更津へ至る海上都市計画。当時の図面や関連書類からはこの壮大な計画の全貌把握は困難ですが、最新のCG映像により丹下健三らが描いた「夢」をスクリーン上に具現化。

海上都市、空中都市計画がぞろぞろ。

「象徴の空間とメタボリズムの建築」の展示スペースは圧巻です。



大谷幸夫「国立京都国際会館」、菊竹清訓「出雲大社庁の舎

日本古来の建築様式に当時の最新技術であったプレストレスト・コンクリートを使用して作るあげた和洋折衷、ハイブリッドな建築。


丹下健三「東京カテドラル聖マリア大聖堂」、「東京オリンピック国立屋内総合競技場(現・国立代々木屋内総合競技場)、磯崎新「福岡相互銀行 本店(現・西日本シティ銀行)他。

その先には「カプセルとコミュニティ」の展示が続きます。

菊竹清訓「総合住宅の型」スパイラル住宅模型、樹状住居模型、弾状住居模型。「柔構造モジュール」他。

六本木ヒルズを語る上で忘れてはいけない槇文彦の「ヒルサイドテラス」も。

槇文彦「ヒルサイドテラス」(代官山)

また、デザイナーの栄久庵憲司が考案した『道具論研究』によるカプセル型住居《核住居「カボチャハウス」》や「組立式住居《カメノコ住居》」等の模型も。

勿論、中銀カプセルタワーもね。

引用:
メタボリズムの主張は、名のとおり新陳代謝で、建築といえども新旧が連続的に入れ替わらなければならない。具体的には、古くなった部分は新しいものに取り替えられ、必要とあらば次々に増築され、時間の経過に従って増改築を連続的に繰り返す必要がある。建築を岩のような記念碑としてではなく、無限に変化するアメーバのような存在として考えよう。難しい言い方をするなら、時間を内在した空間。
今から考えるとたいした思想でも理論でもないけれども、世界の建築家たちを震撼させたのだった。
なんせピラミッドやギリシャ神殿このかた、ヨーロッパの人は、建築は永遠に続き、だからこそつくるに値する、と考えてきたのに、アメーバみたいなものだと言うのである。この考え方の背後には、おそらく日本の木造建築の、地震で倒れやすく火事で燃えやすいという非永遠性があるに違いない。学生時代の私も、講演会で黒川記章からこの考えを聞き、“やっと思想らしい思想に出合うことができた”と、大喜びしたものである。

『銀座百点』(銀座建築短報 中銀カプセルタワービル)藤森照信

セクション3:空間から環境へ

山口勝弘「装置(作品)」、高松次郎「遠近法の椅子とテーブル」他。

1966年に開催された展覧会「空間から環境へ」を軸に建築以外のデザイン、アート、音楽を紹介するセクション。黒川記章の建築論をコンピューターに喋らせた一柳彗の「生活空間のための音楽」も聞けます。1969年当時の最新技術を用いてた電子音は必聴!

そして1970年の大阪万博を迎えることに。


焼け野原から甦るべくひたすら前を向き大きな夢に向かい邁進したメタボリズム運動もこの大阪万博がひとつのゴールとなります。

我々の生活が大阪万博開催前と開催後では大きく変化を遂げたように。建築の世界でも戦後の大きなムーブメントの終焉を迎えることに。その後こうした大々的なプロジェクト、ビジョンは消え時代はポスト・モダンへ大きく舵を切ることに。

セクション4:グローバル・メタボリズム

丹下健三チーム「スコピエ都市部再建計画」(旧ユーゴスラビア)、黒川記章、磯崎新「鄭州市鄭東新区如意型区域都市計画」(現在進行中)他。

大きな夢が語れず、大規模なプロジェクト、ビジョンが消えてしまった日本以外にメタボリズムは活躍の場を求めることに。ドバイや中国等の発展を目の当たりにしている現在、日本では不可能だったプランもまんざら夢物語ではないように思えてきます。

日本固有の建築様式であるメタボリズムが発足して50年。個々の建築家や建造物は有名ですが、このムーブメントが全体的に社会に果たした役割りを再考し再認識する上でも大事な展覧会なのではないでしょうか。

メタボリズムラウンジ

さらに展覧会の終りには「メタボリズム・ラウンジ」が用意され「メタボリズム建築の現在」「メタボリズムの進化形」「若手建築家による都市への提案」「日本再生のシナリオ」「近未来都市風景」等の映像や関連書籍が一堂に。

夢すら持てなくなった今の日本人にどうして彼らを笑うことができましょう。来年の1月15日までのロングラン展です。夢の欠片でも貰いに森美術館へ足を運ぶのも悪くありません。


メタボリズムの未来都市展 戦後日本・今甦る復興の夢とビジョン
会場:森美術館
http://www.mori.art.museum/

会期:2011年9月17日〜2012年1月15日
開館時間:10:00−22:00(火曜のみ17:00まで)会期中無休
※9月25日(日)は17:00まで
※1月3日(火)は22:00まで
※入館は閉館時間の30分前まで

主催:森美術館、UIA2011 東京大会 日本組織委員会、日本経済新聞社
企画:森美術館、メタボリズム研究会(代表:八束はじめ、浅田真理、今村創平、太田佳代子、金子祐介、菊池 誠、クワァン・セン、戸田 穣、豊川斎赫、南後由和、日埜直彦、松下希和、水谷晃啓、山名善之)
専門委員:磯崎 新、栄久庵憲司、大谷幸夫、川添 登、菊竹清訓、藤森照信、槇 文彦、八束はじめ
特別協力:黒川かこ、黒川未来夫、丹下孝子、丹下憲孝、有限会社粟津デザイン室、株式会社大盞築設計事務所、株式会社黒川紀章建築都市設計事務所、株式会社丹下都市建築設計、デジタルハリウッド大学院、独立行政法人日本万国博覧会記念機構
後援:文化庁、東京都、社団法人日本建築学会、社団法人日本建築家協会、社団法人日本都市計画学会、財団法人都市計画協会
協賛:株式会社大林組、三建設備工業株式会社、パナソニック電工株式会社、清水建設株式会社、新菱冷熱工業株式会社、東京ガス株式会社、株式会社日本設計、株式会社入江三宅設計事務所、鹿島建設株式会社、株式会社九電工、株式会社建築設備設計研究所、三機工業株式会社、株式会社竹中工務店、株式会社 日建設計、株式会社関電工、株式会社きんでん、株式会社駒井ハルテック、株式会社トーエネック、YKK AP株式会社
助成:モンドリアン財団
協力:シャンパーニュ ニコラ・フィアット、ボンベイ・サファイア



@heima 森美のメタボリズム展は見終わったあとにオペラシティへのハシゴがお勧め。社会に建築がどう作用するかを(誇大妄想とも言える大きさで)マクロに考え続けた世代の展示と、建築家としては二世代後の現役組が今考える建築の新陳代謝のあり様。 丸一日楽しめるか丸一日頭痛がするかは趣味次第。

みんなが同じ未来を信じ邁進していた時代の壮大で大真面目な「夢物語」を嘲笑すること勿れ。夢さえ描けぬ現代人にガツンと鉄槌喰らわす「メタボリズムの未来都市展」

Twitterやってます。
@taktwi

この記事のURL
http://bluediary2.jugem.jp/?eid=2628

注:展示室の画像はプレス内覧会時に撮影されたものです。

JUGEMテーマ:アート・デザイン


1960年代の日本に、未来の都市像を夢見て新しい思想を生み出した建築家たちがいました。丹下健三に強い影響を受けた、黒川紀章、菊竹清訓、槇文彦といった建築家たちを中心に展開されたその建築運動の名称は「メタボリズム」。生物学用語で「新陳代謝」を意味します。それは、環境にすばやく適応する生き物のように次々と姿を変えながら増殖していく建築や都市のイメージでした。東京湾を横断して伸びていく海上都市、高く延びるビル群を車が走る空中回廊でつないだ都市など、その発想の壮大さには驚かされます。

メタボリズムが提唱されたのは、戦争で荒廃した日本が復興し高度経済成長期へと移行した時代です。そこには理想の都市を通じて、よりよいコミュニティをつくろうという思いもありました。この展覧会は世界で初めて、メタボリズムを総括する展覧会になります。日本が大きな転換点に直面している今だからこそ知りたい、建築や都市のヒントが詰まっています。

本展は4つのセクションと、特設のメタボリズム・ラウンジで展開します。

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この記事に対するコメント

はじめまして
丹下健三の「東京計画1960」は高校生時代に講談社現代新書で紹介されていたのを読んだことがあります。放射と環状道路で作る都市は発展と道路の混雑がいたちごっこになる。そこで、人間の神経系をまね、背骨にあたる太い神経系とそれから枝のように出る神経とを真似た交通網にするというものでした。新幹線が開通し、高度経済成長の真っ只中でしたが、当時でもびっくりするほど壮大な計画の提案だったと記憶しています。
抹茶 | 2011/09/24 9:54 PM
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