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「ヴェネツィア展」

江戸東京博物館で開催中の
「魅惑の芸術‐千年の都 世界遺産 ヴェネツィア展」に行って来ました。


ヴェネツィア展公式サイト http://www.go-venezia.com/

世界遺産「ヴェネツィア」の黄金期から爛熟期まで、至極の芸術作品が前例のない規模で日本上陸。」なんて大々的に謳われちゃうと、えーでも目玉作品であるヴィットーレ・カルパッチョ「二人の貴婦人」(東京展のみ)だけで、後は工芸やら模型やらちょろちょろっとあるだけでしょうと訝ってしまう天邪鬼な性格の自分。

しかし、以前主催者である今回の展覧会の主催者である東映株式会社事業推進部 展博事業室室長のアイリーン近藤さんからお話を伺った際に「当初は4会場だったものを交渉し合計6会場、15ヶ月の開催としてもらいました。出展作品も当初予定していたよりも素晴らしい作品がやって来ます。沢山の方に是非ご覧になって頂きたいと思っています。」と太鼓判を押されていました。

(参照)
展覧会の仕掛け人に聞く
東映株式会社事業推進部 展博事業室室長のアイリーン近藤さん

そこで早速自分の目で確かめに。観終えた感想は…「スゴイ!」の一言に尽きます。ともすればすかすかな感じを与えてしまうあの江戸博の会場にこれでもか〜とヴェネツィア市立美術館群(コッレール美術館、ドゥカーレ宮殿、モチェニーゴ美術館、ガラス博物館、モチェニーゴ宮博物館、カ・レッツォーニコ、IREヴェネツィア養老院教会他)から約160点の作品が遠路はるばる来日しています。


アルヴィーゼ・ビアンコと協力者「聖マルコのライオン」1490年頃
ヴィットーレ・カルパッチョ「サン・マルコのライオン」1516年
ナザーロ・ナッザーリに帰属「総督マルコ・フォスカリーニ」1763年

会場入っていきなりこの大迫力。「世界遺産 ヴェネツィア展」に名前負けしているのでは?なんて杞憂も何処へやら。入れ替わりにワクワク感が心を満たします。

そして思っていた以上に絵画作品が多いのがアートファンには嬉しいところではないでしょうか。また少々マニアックなものとして、ヤーコボ・デ・バルバリの「1500年のヴェネツィア(ヴェネツィア景観図)」も公開されています。

横幅実に3m近くもある巨大な地図。印刷物にするとどうしても細かな部分潰れてしまい何が描かれているのか判別不能となりますが、実物では畑で何が作られているかまではっきりと裸眼で見て取れます。

ヴェネチアの町の最も美しく完成度の高いバルバリの「ヴェネチア景観図」今から約500年前のヴェネチアで暮らす人々の姿が手に取るように分かります。


ヴィンチェンツォ・コロネッリ「地球儀」1688年
ジェンティーレ・ベッリーニ「総督ジョヴァンニ・モチェニーゴの肖像」1478-79年

展覧会の構成は以下の通りです。

第一章 黄金期
ヴェネツィア共和国の成り立ち
海洋の帝国
マルコ・ポーロとジパング
総督(ドージェ)と共和制
唯一の都市ヴェネツィア

第二章 華麗なる貴族

ヴェネツィアの食卓
ヴェネチアングラスとマジョリカ焼

第三章 美の殿堂
ルネサンスに花開いたアート集団
−ヴェネツィア派−



各章のキャプションには何と本物のヴェネチアングラスを使用した装飾が丁寧になされています。こちらもお見逃しなきように。(各章ごとに色が違います)


勿論ムラーノ島で秘密裏に作られた本物のヴェネチアングラスも数多く出品されています。(第二章 華麗なる貴族)

東京都庭園美術館やサントリー美術館の展覧会でも貴重なヴェネチアングラスを拝見する機会に恵まれた今年。ベネチアングラスの当たり年と言っても過言ではないかもしれません。

・「皇帝の愛したガラス」東京都庭園美術館
・「あこがれのヴェネチアン・グラス」サントリー美術館

会場ではこの正面にマジョリカ焼きもずらりと展示されています。イタリア側監修者の方が熱くマジョリカ焼きについて語られていましたが、当然意味は分からず…でも類稀なる作品であることはその語り口から十分伝わってきました。


第一章 黄金期「唯一の都市ヴェネツィア」展示風景

最後の第三章はそのほとんどが絵画作品。圧巻です。体力温存しておく必要があろうかと。最後の最後の章にこれだけのボリュームある作品群が待っていようとは…


ヴィットーレ・カルパッチョに帰属「総督レオナルド・ロレダンの肖像」1505-10年
レオナルド・ボルドリーニ「生誕」1480年頃
セバスティアーノ・リッチ「ヴィーナスとサテュロスとクピド」1713-16年頃
バッタリョーリ・フランチェスコの追随者「凍結したラグーナ」1788年

他にもヴェネツィア派を代表するカナレットやティントレットの作品(工房作も含む)等々見応えは十分過ぎるほど。1章でヴェネツィアの生い立ちや人々の生活、2章でそこで栄えた華やかな文化を観た目で3章の作品群と対峙すると、今まで以上に作品の中にぐっと入り込んで拝見出来ます。

良く考えられた展示構成となっています。

そんな中に今回の展覧会の超目玉作品である「二人の貴婦人」(東京展のみ)が比較的おとなしめに展示されています。


ヴィットーレ・カルパッチョ「二人の貴婦人」1490-95年

この一枚ほど不思議でミステリアスな作品はありません。そして観る者に想像力をかき立てます。それもそのはず、元々はもっと大きな作品であったと考えられるからです。

そしてこの「二人の貴婦人」元々上半分にあった作品がイタリアから遠く離れたアメリカ、ロサンゼルスのポール・ゲッティ美術館に存在していることが判明。数百年に渡り離れ離れになってしまっていた作品の一部が海を越えアメリカ西海岸にあろうとは。

ヴィットーレ・カルパッチョが《二人の貴婦人》を描いたこの作品は、疑いなく、ヴェネツィア絵画史の中でもっとも著名な作品のひとつであります。19世紀イギリスの偉大な批評家・歴史家ジョン・ラスキンは、本作品を「世界でもっとも美しい板絵」とたたえました。
本作品は15世紀の終わり頃に描かれましたが、一連の誤解によりその主題に関しては長らく、邸館のテラスで憩い犬と戯れる「二人の高級娼婦」であると解釈されてきました。ところが、近年の発見が、この奇妙な場面に説明をつけることを可能にしたのです。
20世紀の中ごろ、1枚の板絵がローマの古物商の店先に出されました。現在ロサンゼルスのゲッティ美術館が所蔵するその板絵は、ヴェネツィアのラグーナ(潟)での船上からの狩りの様子が描かれています。
そして実はそれが《二人の貴婦人》の上部をなすものだったのです(いつ元の板絵が切断され二つの部分に分割されたかは、未だ明らかではありません)。両作品の合成によって復元される元の板絵は、おそらくもともとは戸棚の両開き扉のうちの片方であったものと思われます。よって、現在では失われてしまっているもう一方の扉が再発見された時にはじめて、場面全体が正しく理解されることになるでしょう。


上半分の絵の画像他はこちらの記事にまとめてあります。「ギャラリーフェイク」や福岡伸一氏の「世界は分けてもわからない」等にもヴィットーレ・カルパッチョ「二人の貴婦人」についてのお話が載ってます。

「ヴェネツィア展」は12月11日までです。
騙されたと思って行ってみて下さい。逆の違う意味で騙されますので。


展示室外には嬉しい記念撮影スポットもありました。

《巡回先》

・愛知展
2011年12月22日(木)〜2012年3月4日(日)
名古屋市博物館

・宮城展
2012年3月17日(土)〜5月13日(日)
宮城県美術館

・愛媛展
2012年5月26日(土)〜7月16日(月・祝)
愛媛県美術館

・京都展
2012年7月28日(土)〜9月23日(日)
京都文化博物館

・広島展
2012年10月6日(土)〜11月25日(日)
広島県立美術館


魅惑の芸術‐千年の都 世界遺産 ヴェネツィア展
会場:江戸東京博物館 1階展示室
http://www.edo-tokyo-museum.or.jp/

会期:2011年9月23日(金)〜12月11日(日)
開館時間:午前9時30分〜午後5時30分
(土曜日は午後7時30分まで) 
※入館は閉館の30分前まで
休館日:毎週月曜日休館(ただし10月10日は開館)
主催:公益財団法人東京都歴史文化財団 東京都江戸東京博物館、東映、TBS
後援:外務省、文化庁、イタリア大使館、BS−TBS、TBSラジオ、読売新聞社、J-WAVE
協賛:大日本印刷、損保ジャパン
協力:ヴェネツィア市立美術館群財団、アリタリアーイタリア航空、日本貨物航空、アルテリア、日本通運、JR東日本

Twitterやってます。
@taktwi

この記事のURL
http://bluediary2.jugem.jp/?eid=2634

注:展示室の画像はプレス内覧会時に撮影されたものです。

JUGEMテーマ:アート・デザイン


ヴェネツィア共和国はその誕生から約1000年で、建国・絶頂・終焉までの歴史を辿った数奇な運命の都市といえるでしょう。697年に共和国総督(ドージェ)が初選出されて以来、「自由と独立」を貫き、強大な海軍力と交易による富を背景とした水の都は、その美しさから「アドリア海の女王」とたたえられました。そして16世紀ルネサンス期には、今までの富の蓄積の上に文化が爛熟期を迎え、ヨーロッパ中の芸術家のみならず、富裕階級が訪れる観光と歓楽の街となりました。しかし、1797年にナポレオンの侵略により終焉に至ります。

現在でも、かつての栄光の軌跡はサン・マルコ広場やドゥカーレ宮殿など街の至る所に受け継がれています。歴史的な街並みが数多く現存していることは奇跡と言っても過言ではないでしょう。1987年に世界文化遺産に登録された ヴェネツィアは、ますます世界中の人々を魅了し続け、年間2000万人もの観光客が訪れます。

  本展では、輝くような色彩と光のニュアンス、そして雅やかな詩情を重視するヴェネツィア派のベッリーニ、カルパッチョ、ティントレット、ティエポロなどの絵画をはじめ、ゴンドラ、ガレー船にイメージされる、ヴェネツィア共和国に富をもたらした「海」、選挙で選出された総督や共和制について、また華麗なる貴族の暮らしなどを余すところなく紹介いたします。約140件に及ぶ作品を通して、ヴェネツィアという都市がいかに文化的な成熟度が高く、栄耀(えいよう)栄華を誇っていたのかを検証いたします。本展を通して、知られざるヴェネツィアの新たな魅力を再発見していただけることでしょう。


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