青い日記帳 

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「春日の風景」

根津美術館で開催中の
開館70周年記念特別展「春日の風景 麗しき聖地のイメージ」に行って来ました。


http://www.nezu-muse.or.jp/

2011年度根津美術館開催の展覧会で最も力の入った、そして二度と観られないであろう展覧会がこの特別展「春日の風景」

始まる前に担当学芸員である白原氏にこの展覧会の見どころや凄さを伺っておいたので、何をどう観たら良いのかとても手助けとなりました。

担当学芸員に聞く「春日の風景」展の見どころ。

まず最初の見どころは「春日宮曼荼羅」がズラリと勢揃いしている点。初めからエンジンフルスロットル!飛ばしまくります。この奇蹟の邂逅とも言える「春日宮曼荼羅」の並ぶ姿。


重要文化財「春日宮曼荼羅
鎌倉時代 13世紀 奈良・南市町自治会蔵

古代より神奈備山(かむなびやま)として尊崇され、麓に広がる春日野は風光明媚な景勝地として知られる、奈良・春日山。

藤原永手により春日山の西峰・御蓋山の麓に春日社(現 春日大社)が創建されたのは8世紀半ばのことだそうです。

12世紀後半となると、春日社の景観を描いた礼拝画が制作される。京の藤原氏はこの絵を自邸に懸けて儀礼を行うことで、春日社での参詣の代わりにしたそうです。

つまり、「春日宮曼荼羅」は、春日神を迎えるための絵画であったわけです。

参考:
春日大社公式サイト
春日大社wiki


重要文化財「春日宮曼荼羅」鎌倉時代 13世紀 
根津美術館蔵

一見同じように見える「春日宮曼荼羅」ですが、よく見ると描かれた年代により明らかな違いが見て取れます。↑の作品は本社四殿の正面観を描き、その上の月輪に本地仏を現わす梵字が4つ書かれている初期の形態です。

これがすこし経つと春日五所明神つまり本社四神に若宮が加わる形となります。五神が「春日宮曼荼羅」では所謂デフォルト。

更に時代が下ると…


お隣り、興福寺の仏さままで一枚の「春日宮曼荼羅」に描かれることになります。

他にも「参道」の描かれ方が時代によって全然違うことも「春日宮曼荼羅」ひいては春日社に対する信仰を読み解く大きなヒントになろうかと。

注:会場内の画像は主催者の許可を得て撮影したものです。

またこんなレアなものも会場内にさり気なく展示されています。


琉璃燈籠」木製漆塗・ガラス
鎌倉時代13-14世紀 奈良 春日大社

「春日権現験記絵」にも描かれている燈籠。かつて本殿の軒下にこのブルーの光を放つ燈籠が吊り下がっていたこと想像しただけでもワクワクします。朱色のの本殿に妖しい青色の光が。

そして中世以降、春日は庶民の間でも信仰の場所として崇められるようになり、「奈良吉野名所図屏風」等にも登場することに。しかし藤原氏が信仰していた当時の春日とは描かれ方がまるで違っているのが非常に興味深いところです。


奈良吉野名所図屏風
江戸時代 18世紀 個人蔵

かつて縦に長く(永く)描かれていた参道は見る影もなく本殿と若宮を行き交いお百度参りをする庶民の姿が描かれているなど、同じ地でありながら対象、捉え方がまるで違ってしまっています。

それにしても「洛中洛外図屏風」や「江戸図屏風」なら幾らでも拝見したことありますが、奈良を描いた屏風は目にした記憶ありません。その点からも貴重な一枚です。良く知るところの興福寺や東大寺がどのように描かれているかも要チェックです。

文学作品に登場する春日や工芸品にも室町から江戸時代になると多様な展開を見せて行く様子も丁寧に追っています。


伊勢物語絵 上巻
室町時代 16世紀 個人蔵
むかし、男、初冠して、奈良の京、春日の里にしるよしして、狩りにいにけり。
その里に、いとなまめいたる女はらから住みけり。
この男、垣間見てけり。
おもほえず、ふる里にいとはしたなくてありければ、心地まどひにけり。
男の着たりける狩衣の裾を切りて歌を書きてやる。その男、しのぶずりの狩衣をなむ着たりける。

  春日野の若紫のすりごろもしのぶの乱れ限り知られず

となむ、おいづきて言ひやりける。ついで面白きことともや思ひけむ、

  陸奥のしのぶもぢずり誰ゆゑに乱れそめにしわれならなくに

といふ歌のこころばへなり。昔人はかくいちはやきみやびをなむしける。

開館70周年記念特別展に相応しく宮内庁から「春日権現験記絵」も貸し出されどーーんと展示室の壁一面使い極上絵巻が展開されています。


特別出品「春日権現験記絵」絵・高階隆兼/詞・鷹司基忠【巻第1)、鷹司冬基(巻第19)
巻第1・19(全20巻のうち) 日本・鎌倉時代 延慶2年(1309)頃 宮内庁三の丸尚蔵

何はさておき、この展覧会は必見!
「春日の風景」は心の風景でもあります。
会期が短いのでお気をつけあれ。11月6日までです!!


開館70周年記念特別展
春日の風景 麗しき聖地のイメージ

開催期間:2011年10月8日(土)〜11月6日(日)
休館日:月曜日 ただし10月10日(月・祝)は開館、翌11日(火)閉館
開館時間:午前10時‐午後5時
(入場は午後4時半まで)
会場:根津美術館 展示室1・2
http://www.nezu-muse.or.jp/

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@taktwi

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奈良・春日山の西峰御蓋山(みかさやま)は古代より神の山として拝され、山裾の春日野は和歌に詠まれる名所でもありました。そしてこの地に創建された春日社の信仰は、神が鎮まる聖地のすがたを表す独自の絵画を生み出しました。本展覧会では、名品「春日権現験記絵」をはじめ、春日曼荼羅、伊勢物語絵そして名所図屏風に至る、春日の景観を描いた中世〜近世の絵画・工芸作品約35件を展示し、聖地、名所そして文雅の地である「春日」のイメージの展開と諸相をご覧いただきます。
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