青い日記帳 

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「ゴヤ展」

国立西洋美術館で開催中の
「プラド美術館所蔵 ゴヤ 光と影」展に行って来ました。


ゴヤ展公式サイト http://www.goya2011.com/

1971(昭和46)年に同じ国立西洋美術館(巡回先・京都市美術館)で開催された「ゴヤ展」(絵画39点、素描55点、版画56点、工芸5点、参考作品1点、計156点)以来、実に40年ぶりとなる本格的なフランシスコ・デ・ゴヤ(1746年〜1828年)の展覧会。

出品作品123点全てがゴヤ作品で構成された正真正銘の「ゴヤ展」です。

「40年前は「着衣のマハ」と「裸のマハ」双方が来日したのに、今回は「着衣のマハ」のみなのか〜」と罰あたりなこと言ってはいけません。現在の日本の置かれた状況を鑑みれば「着衣のマハ」一枚だけでもプラド美術館からやって来たこと自体が奇蹟的なことです。


フランシスコ・デ・ゴヤ「着衣のマハ」1800-07年

注:画像は開会式後の内覧会にて主催者の許可を得て撮影したものです。
(撮影@yukitwi)

展覧会の構成は以下の通りです。

1:かくある私―ゴヤの自画像
2:創意と実践―タピスリー用原画における社会批判
3:嘘と無節操―女性のイメージ:〈サンルーカル素描帖〉から私室の絵画へ
4:戯画、夢、気まぐれ―〈ロス・カプリーチョス〉の構想段階における自由と自己検閲
5:ロバの衆:愚鈍な者たち―〈ロス・カプリーチョス〉における人間の愚行の諷刺
6:魔物の群れ―〈ロス・カプリーチョス〉における魔術と非合理
7:「国王夫妻以下、僕を知らない人はいない」―心理研究としての肖像画
8:悲惨な成り行き―悲劇への眼差し
9:不運なる祭典―〈闘牛技〉の批判的ヴィジョン
10:悪夢―〈素描帖C〉における狂気と無分別
11:信心と断罪―宗教画と教会批判
12:闇の中の正気―ナンセンスな世界の幻影
13:奇怪な寓話―〈ボルドー素描帖G〉における人間の迷妄と動物の夢
14:逸楽と暴力―〈ボルドー素描帖H〉における人間たるものの諸相



7:「国王夫妻以下、僕を知らない人はいない」―心理研究としての肖像画
展示風景

ところで、「ゴヤという画家に対しどのようなイメージを持っていますか?またゴヤについてどれだけ知っているのですか?」展覧会を見始めてすぐにこの問いが脳裏に。自問自答しながらの鑑賞となりました。

“ゴヤ”という片仮名を覚えるのが苦手な自分でも忘れることのない名前と反比例するかの如く、実はゴヤという画家について余りにも断片的な知識しか持ち合わせていないことが露呈。

でもちょっと考えてみれば、40年前の「ゴヤ展」に当然のことながら行けていない自分にとって今回の展覧会は、ゴヤの全貌を知り得るまさに初体験の場でもあるわけです。

キャッチーで蠱惑的的な視線で「早く観に来なさ〜い」と 籠絡せんとする「着衣のマハ」のポスターに見事乗せられて無防備なまま観に来てしまったこと反省。まぁゴヤをも虜にしたのですから自分なんて楽勝か。マハにしてみれば。


もっと知りたいゴヤ―生涯と作品
大高 保二郎 (著), 松原 典子 (著)

うなだれて帰る途中の本屋で↑の本を迷わず買ってしまったのは「ゴヤ展」へのリベンジのため。何でもこの本によると40年前の「ゴヤ展」でゴヤの真作とされ出品されていた作品のうち数点は現在、ゴヤ以外の作家が描いたものとなっているそうです。最新のゴヤ研究の成果てんこ盛りの一冊。

「ロココの時代」から近代的な「市民社会主義の誕生」という時代の転換期を生き、幾つもの分水嶺が設定可能なゴヤの生涯。「美の革命家にして現代の預言者」ゴヤの姿が分かると今回の展覧会の陰の目玉である素描やデッサンの類もぐんと面白く観えてくるはずです。


フランシスコ・デ・ゴヤ《普遍的言語》〔〈ロス・カプリーチョス〉43番のための準備素描〕 1797年 マドリード、国立プラド美術館蔵 
Archivo Fotográfico, Museo Nacional del Prado. Madrid.

簀目紙にペン・没食子インクで描かれたプラド美術館秘蔵の素描。大きく派手な色遣いの油彩画も魅力的ですが、今回は特に直筆のこうした素描に強く惹かれました。展覧会サブタイトル「光と影」の意味がこうした素描の表現からはっきりと伝わってきます。

ゴヤの描き出す陰影はまさに近代絵画への扉を大きく開いたと言っても過言ではないかと。あのマネが強い影響を受けたというのも納得がいきます。(「菫の花束をつけたベルト・モリゾ」等)


フランシスコ・デ・ゴヤ「木登りをする少年たち」1791-92年 
マドリード、国立プラド美術館蔵

初期の作品からは、ゴヤの生きた時代から遡ること100年前、同じスペインで絶大な人気を博したムリーリョからの影響を読み取ることが出来ます。

「木登りをする少年たち」の無邪気な姿や「日傘」に描かれた男女のキラキラした愛らしい目などムリーリョっぽさ満載です。また少ないながらもゴヤが手掛けた宗教画にも(11:信心と断罪―宗教画と教会批判)


フランシスコ・デ・ゴヤ「無原罪のお宿り」1783-84年
マドリード、国立プラド美術館蔵

ショップにムリーリョの「無原罪のお宿り」のポストカードがご丁寧にも販売されていたのは御愛嬌。しかしこの作品をキャプション無しで観てゴヤのものだと分かる人いないんじゃないかな〜

ムリーリョの作品の方が完成度高いような気がしましたが、マリア様のお顔はゴヤに軍配が。100年の差は美の基準をも変えるものかしら。


フランシスコ・デ・ゴヤ《魔女たちの飛翔》1798年 
マドリード、国立プラド美術館蔵 
Archivo Fotográfico, Museo Nacional del Prado. Madrid.

個人的に一番のお気に入りはこちらの作品。以前もプラド美術館展で拝見してぐっと心を捉えた作品です。ゴヤの作品に潜む狂気な部分を曝け出している一枚。小さい作品ながらもいつまでも前から立ち去ることを許してくれぬ一枚です。

「ゴヤ展」についてはまだまだ書きたいこと山ほどあります。一度では語り尽くせない濃密な展覧会です。ヨーロッパ絵画の展覧会では断トツでこの秋おススメ。

混雑必至(実際自分が行った開幕して3日後の日曜日もかなり人がいました)並ぶことも覚悟して出かけねばなりません。それでも十分価値のある展覧会です。くどいようだけど、プラド美術館所蔵のゴヤの素描はほんと必見です。

「ゴヤ展」は来年1月29日までです。


「プラド美術館所蔵 ゴヤ 光と影」展

会期:2011年10月22日(土)〜2012年1月29日(日)
会場:国立西洋美術館
http://www.nmwa.go.jp/
開館時間:午前9時30分〜午後5時30分
毎週金曜日:午前9時30分〜午後8時
※入館は閉館の30分前まで
休館日:月曜日(*ただし、1月2日、9日は開館)、12月28日(水)−1月1日(日)、1月10日(火)
主催:国立西洋美術館、国立プラド美術館、読売新聞社
後援:外務省、スペイン大使館
特別協賛:キヤノン
協賛:清水建設、花王、損保ジャパン、大日本印刷、東レ、トヨタ自動車、KDDI、みずほ銀行
協力:エールフランス航空、セルバンテス文化センター、西洋美術振興財団

プラド・バースデー
プラド美術館の前身である王立美術館が1819年11月19日に開館したことにちなみ、11月19日(土)、20日(日)は来場者に特別プレゼントを行うそうです(先着順)。


ゴヤ展公式サイト http://www.goya2011.com/

集英社ミュージアムでは「プラド美術館所蔵 ゴヤ 光と影」展を記念し、堀田善衞の名作『ゴヤ』執筆時の原稿や写真など、貴重な資料をパネルで公開する「堀田善衞とゴヤ」展を11月1日より開催。こちらも併せて是非。


↑クリックで拡大

会場:集英社ミュージアム ※入場無料
http://www.shueisha.co.jp/museum/
期間:11月1日(火)〜12月15日(木)
公開時間 9:30〜17:30(平日のみ)

堀田善衞『ゴヤ』(全4巻)集英社文庫より好評発売中
「ゴヤ1 スペイン・光と影」(解説:高橋源一郎)
「ゴヤ2 マドリード・砂漠と緑」(解説:鹿島茂)
「ゴヤ3 巨人の影に」(解説:城戸真亜子)
「ゴヤ4 運命・黒い絵」(解説:紅野謙介)

Twitterやってます。
@taktwi

この記事のURL
http://bluediary2.jugem.jp/?eid=2665

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天才画家の人生を通じ、18世紀スペインに誘う
1743年ゴヤ誕生より、スペイン宮廷画家として頂点を極める40歳まで、彼の描いた作品と共に生涯をたどる。堀田善衞の並々ならぬ情熱と、徹底した踏査による長編評伝・第1巻。(解説/高橋源一郎)


鋭い批判精神によって社会と人間の諸相を捉え、近代絵画への道を開いたスペインの巨匠、フランシスコ・デ・ゴヤ(1746−1828)。その作品はヨーロッパ社会の一大変革期の証言であるとともに、時代を超えて私たちの心に響きます。
ゴヤは地方の職人の息子から国王カルロス4世の首席宮廷画家へと登りつめ、王侯貴族や廷臣たちの優雅な肖像画によって名声を得ました。しかし、ナポレオンの侵略によりスペインの平和が覆されると、老年期のゴヤは、戦争と混乱に見舞われた民衆の悲惨な現実を見つめます。さらに、彼のまなざしは現実を超えた夢や幻想の世界へも向けられ、近代絵画の先駆とも言われるユニークな作品群を生み出しました。人間への飽くなき好奇心に支えられたゴヤの創造活動は、82年の生涯の最後まで衰えることを知りませんでした。
この展覧会は、ヨーロッパ絵画の宝庫として名高いプラド美術館(マドリード)のコレクションから選ばれたゴヤの油彩画、素描など72点に、国立西洋美術館などが所蔵する版画51点を加えて構成されます。「光と影」というキーワードのもとで、さまざまな切り口からゴヤの画業の断面を示し、その核心に近づいてゆくことが本展の狙いです。


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プラド美術館所蔵『ゴヤ』展 国立西洋美術館へ行ってきました。         2011年10月22日(土)〜2012年1月29日〈日) あの有名な《着衣のマハ》が見られるというので、まず初日に、混むだろうという展覧会でも初日はそれほど混まないし、最近
ゴヤ 国立西洋美術館 | すぴか逍遥 | 2011/10/28 12:09 AM
上野 chariot 上野の国立西洋美術館では、「プラド美術館所蔵 ゴヤ 光と影」展が開かれています。 会期は2012年1月29日(日)までです。 国立プラド美術館の所蔵するゴヤの油彩25点、素描40点など、...
「プラド美術館所蔵 ゴヤ −光と影」に行ってきました。 今日からスタートです。 ゴヤの作品て実はあまり見た記憶がないのです。ただ、このチラシの「着衣のマハ」は画像からしても実物が相当によさそうだなあと。 あれ? 今回は入口を入ってすぐ右の階段を下に降
 国立西洋美術館で行われているプラド美術館所蔵 ゴヤ −光と影に招待されたので見に行ってきました。が、ゴヤって有名?僕は初めて聞いたんですけど…。目玉はやっぱり右のチラシにもなっている「着衣のマハ」。40年ぶりの来日なんですって。ちなみに“マハ”と
美術館:プラド美術館所蔵 ゴヤ −光と影 | よしなしごと | 2011/11/25 1:11 AM
 この展覧会のチラシをみると、プラド美術館から出品されている油彩画は25点で、それも既に見た画が多い気がして、この展覧会はパスしようと思っていた。国立西洋美術館など国内の美術館が所蔵する版画51点が含まれているということも、腰が引けていた理由だったかもし