青い日記帳 

  
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『ローズ・ベルタン ─ マリー・アントワネットのモード大臣』
白水社より刊行された『ローズ・ベルタン ─ マリー・アントワネットのモード大臣』を読んでみました。


ローズ・ベルタン ─ マリー・アントワネットのモード大臣
ミシェル サポリ (著), 北浦 春香 (翻訳)

ファッション業界では名の知れぬ日本の若手デザイナーの服を積極的に自らのステージ衣装やフォーマルウェアとして着こなすレディー・ガガをNHKの番組「東京カワイイ★TV」で紹介していました。

世界的スーパースターであるレディー・ガガ。既存のブランドや名のある有名デザイナーだけでなく、自らの感性に合った衣装を洋の東西、有名無名を問わず取り入れることで、自らモードの最先端を突き進んでいる姿に、丁度この本の主役の一人であるマリー=アントワネットを重ね合わせてしまいました。



世界史上最も有名なフランス革命の「敵役」として扱われることの多いマリー=アントワネットですが、彼女がモード界にもたらした影響は大変大きなものがあります。

その影の立役者となったのがローズ・ベルタン(1747年〜1813年)です。

マリー=アントワネットからの絶大な信用と寵愛を得て、一介の帽子商に過ぎなかったベルタンは顔パスでベルサイユ宮殿に出入りできるほどの地位を勝ち取ります。

「フランスのモード大臣」と呼ばれ「ファッションデザイナーの祖」とされるローズ・ベルタンの生涯を綴った202ページから成る『ローズ・ベルタン ─ マリー・アントワネットのモード大臣

ファッション、歴史、絵画、そして何よりも成功を勝ち取った女性の物語としてとても興味深く読める一冊です。



【目次】
プロローグ
1 ピカルディのマリー=ジャンヌがローズ・ベルタンになるまで
2 野暮ったい王太子妃アントワネット
3 王妃アントワネットの御用達モード商に
4 ファッションの虜になった王妃
5 パリの街中も、舞台の上も
6 国境を越えて
7 敏腕な経営者として
8 簡素な田舎風ファッションの流行
9 そびえ立つ髪型
10 ライバルは一人だけ
11 絶大な権力、尊大な態度
12 常軌を逸したファッション熱
13 モード商の「プティ・トリアノン」
14 天井知らずの王室衣装費
15 フランス革命の混乱の中で
16 王妃アントワネットの最期の衣装
17 イギリス亡命
18 新時代のファッション
19 悲しき最期
エピローグ
訳者あとがき
参考文献
人名索引


洋服だけでなく、こうした帽子や髪型も紹介されています。

顔立ちに関しては意見の分かれるアントワネットも背が高く、痩せ過ぎぬほどにほっそりとした均整のとれた身体つきにブロンズの豊かな髪を有していたことも、ベルタンにとってプラスに作用したそうです。要は衣装を用意する者にとってはこれ以上ない理想的なプロポーションでどんな服も上手く着こなせたのがアントワネットだったのです。
オーストリアからフランス宮廷に輿入れしてきたばかりの質素で野暮ったかったマリー=アントワネットは、ベルタンと出会い、彼女が創り出す美しい衣装、斬新なアイデアに心を奪われていく。第三身分であるにもかかわらず、毎日、自分の居室に出入りさせ、ことあるごとに意見を求めた。
当時、宮廷の催しに臨席できるかどうかは、身分だけによって決まっていたそうです。王妃のお気に入りだったベルタンは第三身分にも関わらず特等席が用意され伯爵夫人たちの恨みや妬みを買ったそうです。

しかし、王妃が寵愛している人物=重要人物(無視出来ない人物)である為、何か請願があれば取り次いでもらおうと皆がベルタンの歓心を買おうとしたそうです。

街の帽子屋にペコペコ頭を下げているそんな様子、思い浮かべただけでも滑稽です。



こうしてベルタンはフランス王国随一のモード商へとのし上がり、他の貴族たちもこぞってベルタンに注文をするようになって行きます。

唯一のライバルであったファッション界の申し子ジャン=ジョセフ=ボラールという存在はあったもののその力の差は誰の目にも明らかでした。

しかし、フランス革命でその地位も瓦解。イギリスへ亡命し何とか生き延び再びパリへ戻って来ますが「時代」が大きく変わってしまったフランスには彼女を輝かせる人も場所も無く1813年寂しくこの世を去ります。



市民革命を成し遂げた立場からの歴史上では、アントワネットの途方もない浪費の元凶がベルタンにあったと矢面に立たされ悪役として扱われます。

しかし、21世紀に入った今、「進取の気質にあふれ、モード産業を組織化し、国際的ビジネスウーマンとして活躍した」女性という新たな視点で捉え直し、ベルタンがファション史に与えた計り知れない影響を読み解くことは、困難な時代を生きる何らかのヒントを得られるかもしれません。

翻訳文ですが、会話文も多くとても読みやすい一冊となっています。史実は得てしてフィクションよりも遥かに面白く興味関心をそそるものです。


ローズ・ベルタン ─ マリー・アントワネットのモード大臣
ミシェル サポリ (著), 北浦 春香 (翻訳)

フランス王妃を虜にした美しい衣装、斬新なアイデア──第三身分でありながら18世紀ヨーロッパのファッションを牽引し、オートクチュールの礎を築いたモード商ベルタンの波乱の生涯。
ベルタンが赤い作品箱に入れて持ち込む布地のサンプルを早く見たくてたまらないマリー=アントワネットは、宮廷のそうそうたる貴婦人たちをなおざりにした。朝早くからうんざりするような宮廷衣装に着替え、王妃にお言葉を頂戴しようとうやうやしく待っている婦人たちにはろくに言葉もかけず、モード商の待つ小部屋へと姿を消してしまう。──本文より

昨年、オペラシティーで開催された展覧会「感じる服 考える服: 東京ファッションの現在形」が現在神戸ファッション美術館で開催中です。


神戸ファッション美術館
「感じる服 考える服」
2012年1月14日(土)〜4月1日(日)


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