青い日記帳 

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『西洋美術史入門』

ちくまプリマー新書より刊行された『西洋美術史入門』を読んでみました。


西洋美術史入門』 池上英洋(著)

美術好きの方は総じて読書好きであります。

他のジャンル(映画や芸能、音楽など)に比べマイナーであるにも関わらず、美術愛好家向けの本や専門書の類は、山ほど出ています。

そんな美術関連本の中でこれまでありそうでなかった「教科書」的な一冊がを、丁寧で分かり易く読者の心にす〜と届く文章書かせたら右に出る人はいない池上英洋先生が書いて下さいました。

『西洋美術史入門』とタイトルにありますが、美術史を大学で学ぶ人だけでなく、どんなことを学ぶ学問なのか興味のある方や自称「アート通」の方にまで幅広く手に取ってもらえる内容となっています。

池上先生が大学の講義でさまざまな学部の学生を対象に開設している「西洋美術史1」の講義がベースになっているので「学生」気分で読み進めることが出来ます。(池上さんのこと良く知る自分には活字を見ているだけで先生の声が聞こえてきそうな錯覚に(笑))

普段何気なく分かった気になっている美術用語も実際、簡潔に教えるとなると意外や意外厄介なもの。例えば本書「ジャンルのはなし」で説明されている以下の用語、皆さん15文字〜20文字以内で説明出来ます?

・宗教画
・神話画
・歴史画
・肖像画
・風景画
・静物画
・風俗画
・裸体画
・寓意画


全く分からないということは無いと思いますが、いざ言葉で説明するとなると区別や表現難しいですよね。『西洋美術史入門』ではそうした基礎的なことでありながら、知っているつもりになっていそうなことを漏らさず学べます。

美術をこれまら学びたい人のstandardとなる一冊です。


フェルメール「画家のアトリエ(絵画芸術の称賛)」1666〜67年

嬉しいことに、池上英洋先生から青い日記帳をご覧のみなさまにメッセージが届いてます。

今回の本は、西洋美術史の初年次講義をもとにしています。

「美術史とは何か、何のために学ぶのか、どうやって学ぶのか」というごく根本的な事項についての説明を最初におこない、それから絵を「読む」ステップなどに具体的に入っていく構成にしてあります。
一年間の講義の最初の数回分と、残りの講義回の中からダイジェスト的にいくつかのトピックを抜き出してまとめています。

日本には美術史に関する良書が沢山あるのですが(本書でも紹介しています)、「各時代ごとの様式の特徴」と、その時代の「主要な画家名とその代表作例」の説明とで構成されているものがほとんどです。

これまで私もそのタイプの本を教科書的に使っていたのですが、講義しているうちに、「まずは美術史の概要やその意義を、平易な言葉でわかりやすく、かつダイレクトに書いてある教科書がほしい」と思うようになりました。
その間もいろいろと試してはみたのですが、自分で書いた方が自分自身の要求に応えやすいのは当然ですから、結局自分で書いてしまったというわけです。

美術史の入門的な教科書として使うことを前提としていますから、書名もキャッチーなものにはせず、オーソドックスなものになりました。もっと大先生がお書きになるのがふさわしい書名だと思うのですが、そのあたりはご海容ください。

2月8日に書店に並びはじめ、地味なタイトルにもかかわらず翌週には重版の運びとなりました。

それだけ、西洋美術史という学問そのものに関心をお持ちの方が大勢いらっしゃるのだと思います。
美術史を志す学生だけでなく、一般教養として履修する大学一、二年生、進路について考え始める高校二、三年生あたりを想定読者として書きましたが、美術館に行った時にもっと楽しめるようになれば、という一般の方々の好奇心にもお応えできる内容だと思います。

私の講義は「ちょっと変わっている」とよく言われます。

画家の名前がスライドに映っても「とりあえず名前を覚える必要はありません」などとコメントしながら進めることもその理由かと思われます。
本書をお読みいただけると、なぜ私がそのような物言いをするのかについても、ご理解とご賛同をいただけるのではないかと考えています。

池上英洋



ヴェロッキオ「トビアスと天使」1470〜80年頃

新書ですから1000円以下で購入出来るのも嬉しいですよね。セミナーや講座の参加費よりも安い値段で池上先生の一年間の授業を「聴ける」のですから!

しかし、授業で絵を読むための手続きとして「ディスクリプション・スキル」といった作業を導入しているのには驚きました。美術作品をまずは客観的に鑑る目を養うためだそうです。

これ、一元的な絵画の見方しか出来なくなってきている自分にとって、新たな視座を設ける突破口となるかも。今度どなたかご一緒にやってみません?!


西洋美術史入門』 池上英洋(著)

絵にこめられたメッセージを読みとってはじめて、私たちはその絵が描かれた当時の人々の考え方や社会のしくみを理解することが出来ます。つまり美術史とは、美術作品を介して「人間を知る」ことを最終的な目的としており、その作業はひいては「自分自身のことを知る」ことにいつかはつながるでしょう。
(「第一章 美術史へようこそ」より)


iPadアプリ『100点の西洋美術で読み解く「キリスト教とは何か。」』

【iPadアプリ『100点の西洋美術で読み解く「キリスト教とは何か。」』の概要】
App名:100点の西洋美術で読み解く「キリスト教とは何か。」-Pen×amanaimages presents-   
監修:池上英洋(國學院大學文学部准教授)
カテゴリ:ブック
発売日:2011/12/12
サイズ:66.4MB
言語:日本語
販売元:アマナイメージズ
価格:無料

Twitterやってます。
@taktwi

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JUGEMテーマ:アート・デザイン


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この記事に対するコメント

これは願ったりな一冊。
帰国時に購入予定本に数えます。
「みたことを感じればいい」と言う人も
います。それは大切だと思います。
でも、知識があるのとないのとでは
興味の持ち方も変ってくるのでは、と
常々思っているワタシです。
OZ | 2012/02/20 12:17 AM
管理者の承認待ちコメントです。
- | 2012/02/26 5:44 PM
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