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「ジャクソン・ポロック展」

東京国立近代美術館で開催中の
「生誕100年 ジャクソン・ポロック展」に行って来ました。


公式サイト http://pollock100.com/

日本人ほどアメリカ文化に対し憧憬の念を抱いている国民も珍しいのではないでしょうか。1945年(昭和20年)に原子爆弾を2発も投下されたにも関わらず…

アメリカンポップス、ロックはたまたR&Bを聴き、ハリウッド映画や『ビバリーヒルズ高校白書』を欠かさず観て、マクドナルド、KFCをコーラで胃袋に流し込む。ブロードウェイミュージカルを観にNYまで出向き、スタバでのんびり。足を延ばしてフロリダのディズニーランドへ。。。

今日も今日とて「BEN&JERRYS(ベン&ジェリーズ)」が日本に初上陸(4月14日表参道)するというニュースがTwitterのTLに跋扈していました。

もう、どんだけアメリカ好きなんだか…

そう言う自分も小さい頃マクドナルドの一号店が銀座の三越に出来た時のトキメキ。今でもしっかり覚えています。

アメリカに文化の主導権が移行した20世紀。「20世紀文化」を代表するものの殆どは「made in America」その流れは世紀が変わりやや衰えた感はあるにせよ依然圧倒的な力を有しています。



美術の世界もまたご多分にもれず20世紀はアメリカが主導権を掌握していました。ヨーロッパからアメリカへ文化が(お金の力で)移り、アメリカ人画家が世界の注目を浴びる存在へ。

そんな流れの中で、最も注目され最も後世に影響を与えたアーティストこそ今回の主役、ジャクソン・ポロックに他なりません。ジャクソン・ポロック(Jackson Pollock, 1912年1月28日 - 1956年8月11日)

20世紀を代表するアーティストであるジャクソン・ポロックの生誕100年を記念し開催される大回顧展です。これまで幾度か試みながらも開催まで漕ぎつけられなかったポロック展が、ようやく日本で実現したのです。

アメリカンヒーローであり、20世紀美術界のヒーローでもあるポロック。彼をして20世紀美術を象徴させたとしても異存はないはずです。

展覧会の構成は以下の通りです。

第1章 1930-1941年:初期 −自己を探し求めて−
第2章 1942−1946年:形成期 −モダンアートへの参入−
第3章 1947−1950年:成熟期 −革新の時−
第4章 1951−56年:後期・晩期 −苦悩の中で−


ローマは一日にして成らず。ポロックもまた一日にして成らず。
はじめからキャンバスを床に置きその上から絵具を垂らしていく「ドリッピング」(ポーリング)技法を行っていたわけではありません。

逆にそれどころか、純粋に「ドリッピング」(ポーリング)技法のみで作品を描いていた時期は僅か4年間しかないのです。今回の展覧会の大きく新鮮な驚きのひとつがまずそれでした。


「第1章 1930-1941年:初期」展示風景

初期の作品はドロドロとして内面の懊悩が画面に現わされているかのような暗いトーンの作品が並びます。自信の欠片も見当たらない不安げな小さな肖像画からは後のアメリカンヒーローの徴は全く見つけ出せません。

母親に対する極端なまでのトラウマも影響し、1930年頃描かれた「女」と題された作品は明らかに女性に対する劣等感が滲み出ています。

また、昨年2011年の「シュルレアリスム展」でも観られたように初期のポロックは強くヨーロッパのシュールレアリストたちの影響を強く受け「なんちゃってシュルレアリスム」的な作品を描いてます。またアメリカ先住民からの影響を伺わせる作品も。(初期スケッチはミケランジェロまで)


「第2章 1942−1946年:形成期」展示風景

具象画から次第に形が消えていきます。筆で描いた作品の上にポーリングで上描きした作品などが現われて来ます。「ポロック」萌芽の時期と捉えてよいでしょう。

この転換期の作品の中に非常に重要な作品があります。「第3章 1947−1950年:成熟期」を観た後にいま一度この章に戻って来るとその意味も分かるかと。

嘗て小さな画面にドロドロとした個人的な鬱屈した感情を表現していた頃のポロックはもうここにはありません。同時に画面も大型化しいよいよスターダムにのし上がる時が目の前に迫って来たワクワク感もこの章で体感できるはずです。

ポロックは醜く見えることを恐れない。深い独創性を持った芸術はいつでも最初は醜く見えるものだ。」クレメント・グリーンバーグ 


「第3章 1947−1950年:成熟期」展示風景
ジャクソン・ポロック「インディアンレッドの地の壁画」1950年
テヘラン現代美術館

ポロック自身にとっても、美術史にとっても格別の他に類を見ない極上の4年間を紹介する第3章。目玉は勿論、大変な苦労をして日本にやってくることになった傑作中の傑作「インディアンレッドの地の壁画

それまでの具象的なモノが画面から消え純粋な線だけの絵画へ。円山応挙の線、鏑木清方の線ともは違う異種のうつくしさを持った線で巨大な画面が埋め尽くされています。

遠くから眺めるとまさに完全な抽象絵画ですが、間近にで観ると何かしらの形が見えてきます。そう近寄ると具象画なのです。

筆では絶対に表現出来ない繊細で長い線。ドリッピング(ポーリング)万歳!!と意味もなく叫びたくなる衝動にかられます。

他にも「ナンバー7」や「カットアウト」など国内外からポロック絶頂期の作品が集結。大げさでも何でもなくもうこれ以上の展覧会開催されること無いでしょう。

ポロック展観ずして西洋美術史語ること勿れ。


「第4章 1951−56年:後期・晩期」展示風景

ストップしていたお酒にまた手を出しはじめ(10代の頃からのアルコール依存症ですから3年我慢しただけでもスゴイことかと)画面から全盛期の迫力が消え去ります。

画面もモノトーンになり、顔か動物か判別のつけにくいモノまで画面に描かれるように。以前描いていた具象的なモノが再び画面に戻って来るのです。幼児がえりする年寄りの如く。

ドリッピング(ポーリング)を自ら否定するなど思考の錯綜もこの時期見て取れます。そして突然の死。享年44歳。あまりにも若すぎるスターの逝去。

しかし、語弊覚悟で言うなら「良い死に時」だったのかと思います。スター性を帯びたまま劇的な幕切れを自ら演出できたのですから。20世紀の嗜好は気まぐれです。一時華やかに持ち上げられたとしてもそれは長くは続きません。飽きてしまえば「チャンネルを変える」ように他の作家へ興味関心は移って行きます。

いつもポロックを語る際に同じアメリカ人のジャスパー・ジョーンズを引き合いに出します。彼は逆に「死に時を逸した」画家です。「消費者」が絵画のパトロンとなった20世紀。ヒーローとして羨望の眼差しを向けられる時期にも「賞味期限」が付き纏っているのです。


ポロック展会場出口付近には彼のアトリエが再現されています。
靴のままここ入ることが出来ます。

アクションペインティングなう!

これ観ずして美術語れません。アメリカ好きの人も大嫌いな人も(ほんとは好きでしょ)世紀の展覧会「ジャクソン・ポロック展」へ是非!!アメリカで自慢できますよ〜

担当学芸員の中林和雄氏(東京国立近代美術館企画課長)が示した、ポロックを読み解くキーワード。

「豪胆」で「繊細」
「具象」で「抽象」
「多様性」で「単一性」

(細部の多様性の上に成り立っている単一性)

「喧騒な画面に意外な静けさを含むポロック作品」日本におけるポロック元年にふさわしい記念碑的な展覧会。ステレオタイプではないポロックのイメージを発見出来るはずです。きっと。


生誕100年 ジャクソン・ポロック展
Jackson Pollock: A Centennial Retrospective


会場:東京国立近代美術館 企画展ギャラリー
http://www.momat.go.jp/
会期:2012年2月10日(金)〜5月6日(日)
開館時間:10:00-17:00 (金曜日は10:00-20:00)
※入館はそれぞれ閉館の30分前まで
休館日:月曜日(3月19日、3月26日、4月2日、4月30日は開館)
主催:東京国立近代美術館、読売新聞社、日本テレビ放送網
特別助成:アメリカ大使館
協賛:テラ・アメリカ美術基金、みずほ銀行、光村印刷
後援:イラン大使館
協力:日本航空、ルフトハンザ カーゴ AG、ルフトハンザ ドイツ航空会社

公式サイト http://pollock100.com/

《ポロック展関連シンポジウム》
今ポロックの何を見るのか
池上裕子(美術史)、沢山遼(美術批評)、林道郎(美術史)
モデレーター:中林和雄

日程:2012年3月24日(土)
時間:13:00-16:00
場所:東京国立近代美術館(本館)地下1階 講堂
※申込不要、参加無料(先着150名)、12:30開場

《ポロック展関連講演会》
ポロックとは何か
中林和雄 (東京国立近代美術館企画課長)

日程:2012年4月22日(日)
時間:14:00-15:30
場所:東京国立近代美術館(本館)地下1階 講堂
※申込不要、参加無料(先着150名)、13:30開場

同時開催
「原弘と東京国立近代美術館 デザインワークを通して見えてくるもの」(ギャラリー4、2F)、所蔵作品展「近代日本の美術」(所蔵品ギャラリー、4-2F)

注:会場内の画像は内覧会時に主催者の許可を得て撮影したものです。

Twitterやってます。
@taktwi

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ジャクソン・ポロック(1912−1956)の生涯はまさにアメリカン・ドリームの明暗そのものでした。1930年代ニューヨーク、不安定な精神状況とアルコール依存に苦しみながらも研鑽を積んだポロックは、著名なコレクター、ペギー・グッゲンハイムに見出され、一夜にしてヒーローとなったのです。床に広げた大きなキャンバスに絵具をふり注いで描く「アクション・ペインティング」で、彼は全米的な注目を集めます。その成功の陰には妻リー・クラズナーの多大な献身がありました。絶頂期の1950年、歴史に残る大作が何点も生まれます。しかしそのわずか数年後、彼は自動車事故で流星のように去っていきました。
日本初の大規模なポロック回顧展となるこの展覧会には、初期から晩年にいたるそれぞれの時期の代表的作品を含む約70点が、海外主要美術館と国内美術館から出品されます。語られることこそ多かったものの、これまで日本では本格的な展覧会を見ることができなかった画家、ポロックの真の実像に出会える絶好の機会となることでしょう。
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「ジャクソン・ポロック展」 東京国立近代美術館 | はろるど・わーど | 2012/02/21 1:14 AM
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