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「ユベール・ロベール展」

国立西洋美術館で開催中の
「ユベール・ロベール−時間の庭」展に行って来ました。


「ユベール・ロベール展」公式サイト

「工場萌え」や「廃虚萌え」など、身近にあるちょっとだけ非現実的なスポットがここ数年人気を集めています。その先駆者のような画家が18世紀のフランスにいたことをご存じでしょうか。

画家の名前はユベール・ロベール(Hubert ROBERT l733-1808)

「廃墟のロベール」として名声を馳せたフランスの風景画家です。また「国王の庭園デザイナー」の称号をも有していたロベール。日本では印象派の風景画を紹介する展覧会が多く開催されますが、それ以前に活躍した画家はバルビゾン派を除き殆ど紹介されません。

丁度フランス革命の前後に活躍し、王立アカデミーの会員であったユベール・ロベールを初めて日本で紹介する展覧会です。


サルヴァトール・ローザ「川のある山岳風景」1650年代後半
ジャン=ニコラ・セルヴァンドーニ「コロッセウムとガイウス・ケスティウスのピラミッドのあるローマのカプリッチョ」1731年
ジョヴァンニ・パオロ・パニーニ「古代建築と彫刻のカプリッチョ」1745-50年頃

最初の章ではロベール以前にイタリアの風景を描きまたロベールに影響を与えた作家を中心に紹介。ところで、どうしてイタリアの風景画がそれほど画家を惹きつけ魅了するものがあったのでしょうか。

その謎を解くには岡田温司先生のグランドツアー――18世紀イタリアへの旅』 (岩波新書)を読まれることをお勧めします。
折しもポンペイ遺跡発見の世紀、ヨーロッパじゅうの知識人や芸術家たちが、こぞって馬車にゆられてアルプスを越え、イタリア半島を目指した。そこで彼らを魅了した、人、自然、遺跡、芸術とは?ゲーテやサドも書き残した当時の旅を追体験しつつ、人々の交錯のなかで芽吹き始めていた新しい感性を活写する。貴重な図版を多数収録。
ロベール自身も10年以上もローマに滞在しイタリアの風景を精力的に描きました。


ユベール・ロベール「ボルゲーゼの壺を素描する画家」1775年 サンギーヌ・紙
ヴァランス美術館 ©musée de Valence

展覧会の構成は以下の通りです。

1.イタリアと画家たち
2.古代ローマと教皇たちのローマ
3.モティーフを求めて
4.故郷の風景と18世紀のサロン文化
5.奇想の風景
6.庭園からアルカディアへ



ユベール・ロベール「サン・ピエトロ大聖堂の柱廊の開口部の人々

左は1763年にサンギーヌ(赤チョーク)で描いたもの。右は1764年に描かれた油彩画。まず素描をサンギーヌで描きそれをもとに油彩画を描いていたようです。同じように並べて展示されている作品が何点もありました。

サンギーヌで描いている時よりも油彩画の方が、作品中の人物が建物に対してやや小さく描かれているように思えます。必ず人物は登場しますが、あくまでも主役は風景だったということでしょうか。


「4.故郷の風景と18世紀のサロン文化」展示風景

フランスに帰国してからも精力的に風景画を描いていきます。作品のサイズも大型のものが多くなります。次の「5.奇想の風景」へ移ると章題の通り、目の前にある風景を写し取るのではなく想像上の風景を描くようになっていきます。

「5.奇想の風景」が最も見応えのあるセクションかもしれません。頭をフル回転さえロベールとの想像力競争しながら観るのも一興かと。


ユベール・ロベール「マルクス・アウレリウス騎馬像、トラヤヌス記念柱、神殿の空の見える空想のローマ風景」1786年
モンテ・カヴァッロの巨像とサン・ピエトロ大聖堂の見える空想のローマ景観」1786年
共に国立西洋美術館蔵

実際にはあり得ない「風景」を各所から寄せ集めたモニュメント等により空想で作りだした風景画。ローマで実際に目にしたモノを帰国後パッチワークのように頭の中で再構築し一枚の絵の中に。

今のように気軽に海外に行けたり、現地の映像が簡単に観られる時代とは違います。現実のローマの風景よりも当時のフランス人にとってはロベールの描き出す空想の風景画の方が「リアル」だったということになります。


ユベール・ロベール「サン・ラザール牢獄の囚人たちの散歩」1794年
油彩・陶製皿 国立西洋美術館

フランス王室所蔵の絵画作品の管理官にまでなったロベール。ルーブル宮で勤務しつつ絵画制作も続けます。しかしフランス革命が起こり一転して牢獄へ。獄中でお皿に描いた作品が「サン・ラザール牢獄の囚人たちの散歩」現在これを含め12点しか残っていない貴重な作品だそうです。

その後、自由の身となったロベールは現在のルーブル美術館設立に尽力したそうです。ただの廃虚好きのオジサンでどころか、フランス絵画史にとって欠くことの出来ない大きな存在の作家さんです。

ロベール作品を数多く所蔵するフランス、ヴァランス美術館が象改築工事にあたるため、まとめて作品を借りることができ、実現した今回の「ユベール・ロベール展」。

派手さはありませんが行けば誰しもが必ず何かしら満足出来るものがある展覧会です。「ユベール・ロベール展」は5月20日までです。混雑する前に是非!



会期2012年3月6日(火)−5月20日(日)
開催会場国立西洋美術館(東京・上野公園)
〒110-0007 東京都台東区上野公園7-7
開館時間午前9時30分〜午後5時30分
休館日:月曜日(*ゴールデンウィーク(4月28日〜5月6日)は休まず開館)
会場:国立西洋美術館 企画展示室
主催:国立西洋美術館、東京新聞
学術協力:ヴァランス美術館
後援:フランス大使館
協力:エールフランス航空、東京日仏学院、西洋美術振興財団

「ユベール・ロベール展」公式サイト

【講演会】
2012年3月31日(土)14:00〜15:30
「ルソーにおける自然と庭園―ロベール理解のために」
永見文雄(中央大学教授)

2012年4月28日(土)14:00〜15:30
「ユベール・ロベール―奇想の風景」
陳岡めぐみ(国立西洋美術館主任研究員)

【国際シンポジウム「時の作用と美学」】
日時・会場:
4月14日(土)国立西洋美術館講堂
4月15日(日)東京日仏学院(飯田橋駅下車)
発表者:
日本、フランスの研究者・建築家・アーティスト、15名(予定)
※一般の方の参加も可能。
※参加方法等の詳細は決定次第こちらに掲載。
※東京日仏学院では、ロベール作品に着想を得たフェランテ・フェランティによる写真展「生きる石」を開催(3月6日−4月15日)
*お問い合わせ:東京日仏学院 03-5206-2500、
http://institut.jp/


ミュージアムショップ

【巡回先】
福岡市美術館
2012年6月19日(火)〜7月29日(日)
静岡県立美術館
2012年8月9日(木)〜9月30日(日)

Twitterやってます!
@taktwi

この記事のURL
http://bluediary2.jugem.jp/?eid=2802

JUGEMテーマ:アート・デザイン


ポンペイやヘルクラネウムの遺跡発掘に沸いた18世紀、フランスの風景画家ユベール・ロベール(Hubert Robert 1733-1808)は「廃墟のロベール」として名声を築きます。イタリア留学で得た古代のモティーフと、画家の自由な想像力とを糧に描き出されたその風景では、はるかな時をこえて古代の建築や彫像が立ち現われる一方、あふれる木々の緑や流れる水、日々の生活を営む人々がコントラストを成しています。古代への新たな関心を時代と共有しつつ、独自の詩情をたたえたロベールの芸術は多くの人々をひきつけ、時の流れや自然、そして芸術の力をめぐる思索と夢想へ誘ってきました。
こうして描かれた奇想の風景は、「国王の庭園デザイナー」の称号を持つロベールが数々の名高い風景式庭園のデザインも手がけ、現実の風景のなかに古代風建築や人工の滝・洞窟などを配していたことを知れば、さらに生きた魅力を持ちはじめることでしょう。
本展では、世界有数のロベール・コレクションを誇るヴァランス美術館が所蔵する貴重なサンギーヌ(赤チョーク)素描を中心として、初期から晩年まで、ロベールの芸術を日本で初めてまとめて紹介します。ピラネージからフラゴナール、ブーシェまで師や仲間の作品もあわせ、ヴァランスの素描作品約80点を中心に約130点にのぼる油彩画・素描・版画・家具から構成されます。
自然と人工、空想と現実、あるいは想像上の未来と幸福な記憶を混淆させ、画家が絵画と庭園の中に作り上げたアルカディアの秘密に迫ります。


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昨日の3/24(土曜日)は、上野の博物館・美術館をハシゴ。 まず科博に行った後は、国立西洋美術館へ。 国立西洋美術館では、 『ユベール・ロベール −時間の庭−』を観覧です。 実は『ユベール・ロベール −時間の庭−』ですが、 先週行くつもりだったんですよねぇ。