「インカ帝国展」
国立科学博物館で開催中の
「インカ帝国展 マチュピチュ「発見」100年」に行って来ました。

http://www.tbs.co.jp/inkaten/
開幕から一ヶ月も経たぬうちに入場者10万人を突破した「インカ帝国展」土日ともなれば混雑必至の大人気展覧会ですが、一朝一夕に成し遂げることが出来たわけではありません。
主催者が中南米文化を長年に渡り定期的に開催して来た大きな成果でもあります。まさに継続は力なり。
《国立科学博物館における中南米文化を紹介する展覧会》
1994年「黄金の都 シカン発掘展」
2003年「神秘の王朝 マヤ文明展」
2006年「世界遺産 ナスカ展」
2007年「マヤ・インカアステカ展」
2009年「黄金の都 シカン展」
2012年「インカ帝国展」
今回の「インカ帝国展」は1911年7月24日に謎の空中都市マチュピチュが「発見」されて100年が経過した今、あらためてインカ帝国の全貌に迫ろうという大変意欲的な展覧会となっています。

「インカ帝国展」プロローグ展示風景。
巨大な「アリバロ」(祭礼用のトウモロコシ酒を入れた器。担いで運んだそうです。)がお出迎え。
考古学、人類学、歴史学の3つの視点から多角的にインカ帝国を捉えんとする点に加え、これまでこうした展覧会ではタブー視されてきた感のあるスペイン人による侵略、略奪、征服されたインカの姿も紹介しています。
展覧会の構成は以下の通りです。
第1部:インカ 帝国の始まりとその本質
第2部:インカ 帝国の統治
第3部:滅びるインカ、よみがえるインカ
第4部:マチュピチュへの旅
530インチ(幅13M×高さ3.43M)3Dスカイビューシアター

「第1部:インカ 帝国の始まりとその本質」展示風景
石を切り積み上げ多種多様な建造物を作り出したインカの建築技術に驚かぬ人はいないはずです。機会もなにも無い時代、全て手作業で作ったとは到底信じられません。個人的に最も興味があったのは「水の儀礼」(「二つのものがひとつになることで力が得られる」)に用いた儀礼用の器(パクチャ)
また自然に対する畏敬の念も様々な日用品にモチーフとして取り入れられています。トウモロコシやジャガイモをあしらった壺には思わず笑みがこぼれます。

「貫頭衣(チュニック)」
こちらは笑っていられません。形や模様とても可愛らしい市松模様に見えますが、「インカに逆らったらこうなるぞ!(腕切り落とすぞ!)」という脅しを表した模様です。そう切断された腕が模様となっているのです。
他にも前述の「アリバロ」も種類によってネコの鼻先等、様々な装飾が施されています。また神への供物として生贄(カパコチャ)の子供と共に捧げられた金製の人物像やリャマ像もスペイン人の金略奪からまぬがれ現存する貴重な金製品として展示されています。

「第2部:インカ 帝国の統治」展示風景
今回の目玉展示のひとつである「キープ」が展示されています。インカの人々は、ひもの結び目で数を記録し、税の管理や人口の管理といった様々な情報をこの「キープ」に残しました。
インカ帝国の都があったクスコへ地方からこの「キープ」を用い情報を伝達する役目を担っていたのがチャスキ(飛脚)たち。腰にぶら下げ情報を伝えていたわけです。
電子機器に頼りっぱなしの現代人にとってはとても新鮮に映る伝達手段であり、そして果たして「今」が正しいのかどうか考えさせられるものがあります。
歴史を学ぶとはまさにこしたところに意義があります。

チャチャポヤ族のミイラたち。
眼球の残っているミイラも展示されています。
こうしたミイラたちがどのように埋葬されていたかを今に伝える貴重な資料も展示されています。これ必見です!
↓

「木製の埋葬所の模型」
本物のミイラは正直観たくない!という人でもこれなら大丈夫でしょ。「アリバロ」も転がっていたりします。この模型欲しいな〜
さて、インカ帝国の栄光も突然終りを迎えることになります。同じ人間の手によって。今回の「インカ展」ではスペイン人による支配下に置かれたインカをも含め紹介しています。
暗澹たる思いに駆られながらも目を逸らしてはならぬ現実の歴史です。

「第3部:滅びるインカ、よみがえるインカ」展示風景
18世紀に描かれた「ドン・アロンソ・チワン・インガ(インカ)の肖像画」に注目して下さい。身に纏う衣装はインカ帝国時代のものですが、何と右手には十字架を握り高く掲げているのです。
「インカ帝国展」は6月24日までです。
金曜限定ペア得ナイト券
(会場、チケBOO!限定販売) 2名様で2,000円
※午後5時から午後8時まで。最終入場は午後7時半。2名様同時入場、男女問わず
水曜限定レディース券
(会場、チケBOO!限定販売) 1,000円
※水曜日の開館時間内有効、1名様、女性限定
オンラインチケット

「インカ帝国展」
開催期間:2012年3月10日(土)〜6月24日(日)
開館時間:午前9時〜午後5時(金曜日は午後8時まで)
4月28日(土)〜5月6日(日)の間は午後6時まで。ただし、5月4日(金)は午後8時まで
※入館は各閉館時刻の30分前まで
休館日:毎週月曜日
ただし、3月26日、4月2日、4月30日は開館。
主催:国立科学博物館、TBS、朝日新聞社
後援:文部科学省、外務省、ペルー大使館、PROMPERU、BS-TBS、TBSラジオ
協力:JR東日本、KLMオランダ航空、凸版印刷、ユナイテッド航空
企画協力:ペルー文化省
公式ホームページ http://www.tbs.co.jp/inkaten/
巡回予定会場
仙台市博物館 2012年7月6日(金)〜9月9日(日)
山梨県立考古博物館 2012年9月18日(火)〜11月14日 (水)
静岡県立美術館 2012年11月27日(火)〜2013年1月27日(日)

『インカ帝国展』×パンソンワークス
愛らしいキャラクターデザインで人気の「パンソンワークス」とインカ帝国展がコラボレーション!アルパカやミイラもこんなに可愛らしいグッズに。

また「天空の城ラピュタ」等、高畑勲や宮崎駿の作品の多くに美術監督として参加している山本二三氏がマチュピチュを描いたオリジナルグッズも。散財覚悟。
山本二三氏は2006年、アニメーション映画「時をかける少女」で第12回AMD Award'06大賞/総務大臣賞を美術監督として受賞しました。
Twitterやってます!
@taktwi
注:会場内の画像は主催者の許可を得て撮影したものです。
この記事のURL
http://bluediary2.jugem.jp/?eid=2839
「インカ帝国展 マチュピチュ「発見」100年」に行って来ました。

http://www.tbs.co.jp/inkaten/
開幕から一ヶ月も経たぬうちに入場者10万人を突破した「インカ帝国展」土日ともなれば混雑必至の大人気展覧会ですが、一朝一夕に成し遂げることが出来たわけではありません。
主催者が中南米文化を長年に渡り定期的に開催して来た大きな成果でもあります。まさに継続は力なり。
《国立科学博物館における中南米文化を紹介する展覧会》
1994年「黄金の都 シカン発掘展」
2003年「神秘の王朝 マヤ文明展」
2006年「世界遺産 ナスカ展」
2007年「マヤ・インカアステカ展」
2009年「黄金の都 シカン展」
2012年「インカ帝国展」
今回の「インカ帝国展」は1911年7月24日に謎の空中都市マチュピチュが「発見」されて100年が経過した今、あらためてインカ帝国の全貌に迫ろうという大変意欲的な展覧会となっています。

「インカ帝国展」プロローグ展示風景。
巨大な「アリバロ」(祭礼用のトウモロコシ酒を入れた器。担いで運んだそうです。)がお出迎え。
考古学、人類学、歴史学の3つの視点から多角的にインカ帝国を捉えんとする点に加え、これまでこうした展覧会ではタブー視されてきた感のあるスペイン人による侵略、略奪、征服されたインカの姿も紹介しています。
展覧会の構成は以下の通りです。
第1部:インカ 帝国の始まりとその本質
第2部:インカ 帝国の統治
第3部:滅びるインカ、よみがえるインカ
第4部:マチュピチュへの旅
530インチ(幅13M×高さ3.43M)3Dスカイビューシアター

「第1部:インカ 帝国の始まりとその本質」展示風景
石を切り積み上げ多種多様な建造物を作り出したインカの建築技術に驚かぬ人はいないはずです。機会もなにも無い時代、全て手作業で作ったとは到底信じられません。個人的に最も興味があったのは「水の儀礼」(「二つのものがひとつになることで力が得られる」)に用いた儀礼用の器(パクチャ)
また自然に対する畏敬の念も様々な日用品にモチーフとして取り入れられています。トウモロコシやジャガイモをあしらった壺には思わず笑みがこぼれます。

「貫頭衣(チュニック)」
こちらは笑っていられません。形や模様とても可愛らしい市松模様に見えますが、「インカに逆らったらこうなるぞ!(腕切り落とすぞ!)」という脅しを表した模様です。そう切断された腕が模様となっているのです。
他にも前述の「アリバロ」も種類によってネコの鼻先等、様々な装飾が施されています。また神への供物として生贄(カパコチャ)の子供と共に捧げられた金製の人物像やリャマ像もスペイン人の金略奪からまぬがれ現存する貴重な金製品として展示されています。

「第2部:インカ 帝国の統治」展示風景
今回の目玉展示のひとつである「キープ」が展示されています。インカの人々は、ひもの結び目で数を記録し、税の管理や人口の管理といった様々な情報をこの「キープ」に残しました。
インカ帝国の都があったクスコへ地方からこの「キープ」を用い情報を伝達する役目を担っていたのがチャスキ(飛脚)たち。腰にぶら下げ情報を伝えていたわけです。
電子機器に頼りっぱなしの現代人にとってはとても新鮮に映る伝達手段であり、そして果たして「今」が正しいのかどうか考えさせられるものがあります。
歴史を学ぶとはまさにこしたところに意義があります。

チャチャポヤ族のミイラたち。
眼球の残っているミイラも展示されています。
こうしたミイラたちがどのように埋葬されていたかを今に伝える貴重な資料も展示されています。これ必見です!
↓

「木製の埋葬所の模型」
本物のミイラは正直観たくない!という人でもこれなら大丈夫でしょ。「アリバロ」も転がっていたりします。この模型欲しいな〜
さて、インカ帝国の栄光も突然終りを迎えることになります。同じ人間の手によって。今回の「インカ展」ではスペイン人による支配下に置かれたインカをも含め紹介しています。
暗澹たる思いに駆られながらも目を逸らしてはならぬ現実の歴史です。

「第3部:滅びるインカ、よみがえるインカ」展示風景
18世紀に描かれた「ドン・アロンソ・チワン・インガ(インカ)の肖像画」に注目して下さい。身に纏う衣装はインカ帝国時代のものですが、何と右手には十字架を握り高く掲げているのです。
「インカ帝国展」は6月24日までです。
金曜限定ペア得ナイト券
(会場、チケBOO!限定販売) 2名様で2,000円
※午後5時から午後8時まで。最終入場は午後7時半。2名様同時入場、男女問わず
水曜限定レディース券
(会場、チケBOO!限定販売) 1,000円
※水曜日の開館時間内有効、1名様、女性限定
オンラインチケット

「インカ帝国展」
開催期間:2012年3月10日(土)〜6月24日(日)
開館時間:午前9時〜午後5時(金曜日は午後8時まで)
4月28日(土)〜5月6日(日)の間は午後6時まで。ただし、5月4日(金)は午後8時まで
※入館は各閉館時刻の30分前まで
休館日:毎週月曜日
ただし、3月26日、4月2日、4月30日は開館。
主催:国立科学博物館、TBS、朝日新聞社
後援:文部科学省、外務省、ペルー大使館、PROMPERU、BS-TBS、TBSラジオ
協力:JR東日本、KLMオランダ航空、凸版印刷、ユナイテッド航空
企画協力:ペルー文化省
公式ホームページ http://www.tbs.co.jp/inkaten/
巡回予定会場
仙台市博物館 2012年7月6日(金)〜9月9日(日)
山梨県立考古博物館 2012年9月18日(火)〜11月14日 (水)
静岡県立美術館 2012年11月27日(火)〜2013年1月27日(日)

『インカ帝国展』×パンソンワークス
愛らしいキャラクターデザインで人気の「パンソンワークス」とインカ帝国展がコラボレーション!アルパカやミイラもこんなに可愛らしいグッズに。

また「天空の城ラピュタ」等、高畑勲や宮崎駿の作品の多くに美術監督として参加している山本二三氏がマチュピチュを描いたオリジナルグッズも。散財覚悟。
山本二三氏は2006年、アニメーション映画「時をかける少女」で第12回AMD Award'06大賞/総務大臣賞を美術監督として受賞しました。
Twitterやってます!

注:会場内の画像は主催者の許可を得て撮影したものです。
この記事のURL
http://bluediary2.jugem.jp/?eid=2839
JUGEMテーマ:アート・デザイン
インカ帝国とはどのような文明だったのか。その全貌を紹介する大規模な展覧会は、日本では開催されたことがありませんでした。なぜ鉄器も車輪も持つことのなかった人々が、多数の巨大建築物を擁するのか。「太陽の王」とはどのような存在だったのか。考古学・人類学・歴史学など各分野の最新研究をもとに、その全貌にせまる展覧会です。
この記事に対するコメント