青い日記帳 

  
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「マウリッツハイスへの道」Vol.3
ヨハネス・フェルメール「真珠の耳飾りの少女」がやって来る大注目の展覧会「マウリッツハイス美術館展」と拙ブログ「青い日記帳」のオリジナルコラボレーショングッズ制作。
http://bluediary2.jugem.jp/?eid=2788


女優の武井咲さん扮する現代版「真珠の耳飾りの少女」のCM、そして街中にはポスターも。

開幕まであと二ヶ月半となりました。コラボグッズの制作もそろそろエンジン全開で行かねばなりません。のんびり構えていましたが、そろそろ本気で参ります!

前々回にちょこっと登場して頂いた、友人の弥田俊男さん(隈研吾建築事務所時代、サントリー美術館や根津美術館を手掛けた建築家さんです)。お願いしてあった、フェルメールの画中に描かれているステンドグラスの縦横比が算出できたとのご連絡を受け、弥田さんにお会いし詳しいお話を伺って来ました。

【弥田俊男(やだ・としお)氏プロフィール】
岡山理科大学建築学科 准教授/弥田俊男設計建築事務所/慶應義塾大学環境情報学部非常勤講師/NPO法人ENNOVA OKAYAMA理事

1974年3月生まれ。1998年京都大学大学院修了後、1998年〜2011年隈研吾建築都市設計事務所、同事務所設計室長。サントリー美術館(2007年)、根津美術館(2009年)といった美術館建築をはじめ数多くの物件を手掛ける。2010年より慶應義塾大学環境情報学部非常勤講師。2011年より、岡山理科大学建築学科准教授、NPO法人ENNOVA OKAYAMA理事として岡山に関わり始めるとともに、弥田俊男設計建築事務所を設立し東京を拠点に自らの設計活動を開始。現在、東京と岡山の2地域を拠点に活動。



ヨハネス・フェルメール「音楽のレッスン

弥田さん「フェルメールのステンドグラスの件、いやはや、大変な事を安請け合いしてしまいました。。。予想をかなり超えて手強かったです。第一歩として、もっとも手がかりがあり作業しやすそうな「音楽のレッスン」をやってみました。」

(CAD画面と、CAD出力にメモ書きした紙を見ながら説明を聞く)



弥田さん「ひとまず概要をお伝えすると、1点透視図の作図法で引いた補助線から、ステンドグラスの縦横、天井高、男性の身長の仮の数値を出し、(それぞれ、SG縦4328、SG横4150、天井高19582、男性身長11093)男性身長を17世紀ヨーロッパ男性の平均身長から1600ミリだとすると、11093÷1600≒6.93、なので、それぞれの仮数値を6.93で割ると、SG縦=624.5ミリ、SG横=598.8ミリ、天井高=2825ミリ、となります。天井高の数字も特におかしくなさそうだとすると、結論として、SG縦=624.5ミリ、SG横=598.8ミリとなります。」

男性の身長を1600ミリと仮定し算出された結果。
「音楽のレッスン」
ステンドグラス縦:624.5ミリ
ステンドグラス横:598.8ミリ

縦横比=1.04


弥田さん「しかし、不確定要素というか、仮設定で出している数字なので、これが正しいとは言い切れないものです。画像の解像度や当時のオランダ人の正確な平均身長等が分かればよりリアルな数字になるかと思います。」

床の市松模様のパターンが同じ部屋で描かれた「手紙を読む女と召使い」にも同じくステンドグラスが登場します。果たしてこれも同じ縦横比になるのか、そちらも計算してもらいました。


ヨハネス・フェルメール「手紙を読む女と召使い

弥田さん「「手紙を書く女と召使」は「音楽のレッスン」同様、SG(ステンドグラス)が壁と並行に描かれているので、同様に人物の身長から寸法を仮定して数値を出しました。ただし「手紙を読む女と召使い」は、ステンドグラスが半分カーテンで隠れていると想定し、幅を倍にしています。」

弥田さん「手順として一点透視の消失点を手紙を書く女の顔に設定、床の市松模様の45℃から視点距離を割り出し、部屋の奥行きを算出。SG高のノンスケール原寸数値及び、SG幅をSGの模様から中心線を設定し、ノンスケール原寸数値をそれぞれ割り出す。それに女性、召使いを当時の平均身長から仮に1500ミリとした場合のSG高、幅を実寸法を計算してみました。結論として、SG縦=646.0ミリ、SG横=627.5ミリとなります。」

女性の身長を1500ミリと仮定し算出された結果。
「手紙を読む女と召使い」
ステンドグラス縦:646.0ミリ
ステンドグラス横:627.5ミリ

縦横比=1.03


何と驚くべきことに弥田さんが算出して下さった「音楽のレッスン」と「手紙を書く女と召使い」に描かれたステンドグラスの縦横比僅か0.01の違いしかありません。不確定要素が多い中、建築のプロ中のプロがはじき出した結論です。

数値がバラバラであったらその平均値で商品化しようと考えていましたが、これだけドンピシャに一致するなら、もうそんな必要もありません。この縦横比で作って行きましょう!

ところで、他の絵にもステンドグラス登場しますが、この2作品のように「SGが壁と並行、人物の身長から寸法を仮定して数値を割り出す」ことが出来ません。

例えば、メトロポリタン美術館の「水差しを持つ女」は、人物の足元が入っておらず、寸法の元にする情報が乏しいため、数値を出して頂きませんでした。フリックコレクションの「稽古の中断」も同様に。


ヨハネス・フェルメール「水差しを持つ女

たまたまでしょうが、数値を出すことが出来た作品は現在イギリス(アイルランド)に、数値を出せなかった作品はアメリカに。。。そうそうドイツにある2点の作品にもステンドグラスが描かれているものありました。

このドイツの2枚が実は曲者でした。フェルメールの比較的初期の作品ということもあり、透視図法的に画面にゆがみが生じて来てしまい正確な数値を出すことが難しくなっています。

フェルメール研究の第一人者である小林頼子先生も『フェルメール論』の中で、「消失点を高く設定し、おまけに遠隔点を消失点の近くに設定すると、画面に視点が近づき画面に収まる視野角度が大きくなる。その結果、画面の周辺部分で歪みが目立ってくる。」と書かれています。


ヨハネス・フェルメール「紳士をワインを飲む女

更にこちらの絵でも分かる通り、ステンドグラスが内側に開いている状態で描かれています。それでも弥田さんは「開いているSGの角度の消失点から割り出」すことを試みて下さいました。

その結果は…
紳士とワインを飲む女」 
SG h858.5、w792.4、h/w=1.08

二人の紳士と女」(ワイングラスを持つ若い女)     
SG h784.4、w600.7、h/w=1.306

「紳士とワインを飲む女」は縦横比1.08とこれまで出して頂いた2作品とほぼ同じ数値となりましたが、窓自体の大きさはひとまわりサイズが大きくなっています。



そしてやはり最も目線の高さが違い、画面全体の角度が他とは異なる「二人の紳士と女」はサイズ、及び縦横比共今までのどれとも違う数値となっています。

画面自体に歪みが生じている為、開いたステンドグラスから消失点を求め、補助線を下ろし視点と角度を求めることから始めた算出方法には自ずと数値の開きが出てしまいます。(画中に描かれているワインの所為じゃない?なんて超文系的な発想しか出来ない自分が恥ずかしい…)

今回、弥田さんにご協力頂き算出して頂いた数値をあらためてながめてみると、一般に言われている通り、初期作品では曖昧で未完成であった空間表現に修正を加えパーフェクトなものとしていったフェルメールの足跡を計らずも辿ることが出来たことになります。

超多忙にも関わらず、お付き合い下さった弥田俊男さんにあらためてこの場を借りて感謝致します。グッズ完成した暁には、またあらためて一杯やりましょう〜

今回、弥田さんがはじき出して下さった数値を元に、次はデザイナーさんの処へ赴きグッズのデザインを考えて行きたいと思います。またあの有名美術史家もこのプロジェクトにひと肌ぬいで下さることに!盛り上げて参りますよ〜これからも応援宜しくお願い致します!

「マウリッツハイス美術館展」×「青い日記帳」連動コラボグッズ:
Road to Mauritshuis−マウリッツハイスへの道」プロジェクト
乞うご期待!

ブログカテゴリーも新たに設置しました。過去記事はこちらから。
Road to Mauritshuis

6月30日,東京都美術館「マウリッツハイス美術館」でお会いしましょう!


展覧会公式サイト:
http://www.asahi.com/mauritshuis2012/

「マウリッツハイス美術館展」
オランダ・フランドル絵画の至宝


会期: 2012年6月30日(土)〜9月17日(月・祝)
会場 : 東京都美術館 企画展示室(東京・上野公園)
開室時間 : 9:30 〜 17:30(金曜日は20:00)、入室は閉室30分前まで
休室日 : 月曜日(7月2日は開室。休日の場合は翌日休室)
お問い合わせ : ハローダイヤル 03-5777-8600
主催 : 公益財団法人 東京都歴史文化財団 東京都美術館、朝日新聞社、フジテレビジョン
後援 : オランダ王国大使館
特別協賛 : 第一生命保険
協賛 : ジェイティービー、ミキモト

※前売券やグッズ付き鑑賞券を販売中。
※2012年9月29日(土)〜2013年1月6日(日)神戸市立博物館にも巡回します


【「マウリッツハイス美術館展」関連エントリ】
「マウリッツハイス美術館展」記者発表会
吉岡徳仁氏が手掛けた東京都美術館「シンボルマーク」&「ロゴ」
今年最も観たいフェルメール作品は?
業界初:「マウリッツハイス美術館展」×「青い日記帳」連動コラボグッズ
武井咲さん「マウリッツハイス美術館展」オフィシャルサポーターに就任!
「マウリッツハイスへの道」Vol.1
東京都美術館リニューアルオープン
「マウリッツハイスへの道」Vol.2



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| Road to Mauritshuis | 23:41 | comments(1) | trackbacks(0) |
「音楽のレッスン」
ステンドグラス縦:624.5ミリ
ステンドグラス横:798.8ミリ

縦横比=1.04

となっていますが、ステンドグラス横598.8の誤りではないでしょうか?

624.5/798.8=0.781です。

もし798.8が正しいなら縦は830くらいになります。
| ともみすと | 2012/04/21 12:29 AM |










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【お知らせ】

↑単眼鏡紹介記事書きました。

おかげさまで重版となりました!


いちばんやさしい美術鑑賞』 (ちくま新書)


編集・執筆を務めた『カフェのある美術館 感動の余韻を味わう』(世界文化社)12月に発売となりました。


編集・執筆を務めた『フェルメール会議』10月2日発売です!

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青い日記帳(編集)『美術展の手帖』小学館より発売中です。


青い日記帳「出前ブログ」


gooいまトピ連載中

朝日マリオン・コム「ぶらり、ミュージアム」

びゅうたび連載中


山下裕二&井浦新トークショー


青い日記帳コラボグッズ

「展覧会に出かける前に準備しておきたい5つのこと。」

「展覧会を何十倍も楽しむために心がけたい5つの秘訣。」

フェルメールへの招待
國學院大學文学部教授の小池寿子先生監修。不肖私(Tak)が編集と一部執筆しました。詳細はこちら

【展覧会レビュー】
「2018年 展覧会ベスト10」
かみさんが選ぶ「2018年 展覧会ベスト10」
プロが選ぶ「2018年 ベスト展覧会」
読んでおきたい10冊のアート関連本

パリ行って来ました
オランダ行って来ました
 

BLUE HEAVEN(本館)

『文藝春秋』に寄稿しました。

『AERA』に載りました。

「マウリッツハイス美術館展公式ガイドブック」編集・一部執筆しました

「ザ・シネマ」に寄稿しました。

トークショーに出演しました

日経に掲載されました

朝日新聞に掲載されました

再び日経に掲載されました

「美連協ニュース」寄稿

『アートコレクター』で紹介されました

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