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「KORIN展」

根津美術館で開催中の
特別展「KORIN展 国宝『燕子花図』とメトロポリタン美術館所蔵『八橋図』」に行って来ました。


http://www.nezu-muse.or.jp/

昨年、震災にともなう諸事情を考慮し、開催を予定していた開館70周年記念特別展機KORIN展 国宝『燕子花図』とメトロポリタン美術館所蔵『八橋図』」を潔く延期すると英断を下した根津美術館さん。


国宝「燕子花図屏風」と「八橋図屏風」展示風景

一年遅れの開催となりましたが、尾形光琳が描いた二枚のカキツバタの金屏風、およそ100年の時を経て再会を果たしました。


国宝「燕子花図屏風」六曲一双 尾形光琳筆
江戸時代18世紀 根津美術館蔵


八橋図屏風」六曲一双 尾形光琳筆
江戸時代18世紀 メトロポリタン美術館蔵
Image (c)The Metropolitan Museum of Art

因州(鳥取県)池田家に伝来した「八橋図屏風」その後持ち主を何度か変え、最終的にニューヨーク、メトロポリタン美術館所蔵となった尾形光琳を代表する屏風絵。

根津美術館所蔵の国宝「燕子花図屏風」を光琳が描いてから10年後に、同じモチーフに橋を加えた「八橋図屏風」を完成。橋が加わったことでより『伊勢物語』の第九段に登場する三河国の八橋と直截的にイメージが結びつきます。

唐衣きつつなれにしつましあれば
          はるばるきぬる旅をしぞ思ふ

また、国宝「燕子花図屏風」と「八橋図屏風」には10年の間に光琳が構図への意識をより一層深く追求するようになったことが見て取れます。



ただし、今回の展覧会で他の光琳作品をひととおり目にしても分かる通り、光琳自身の作風の変化は決して系統だったものではなく、どちらかといえばブレやズレがあり作風から一概に幾つくらいに描かれた作品とは言えないようです。

嘗ては描かれた順序も「八橋図屏風」→「燕子花図屏風」と、現在の解釈とは逆に考えられていたこともあったほどです。

いずれにしても、今回ほぼ初めて二作品を同時に目にすることで、これまで気が付かなかったこと、見過ごしていたことが明らかになることは確かです。



根津美術館の「燕子花図屏風」とMETの「八橋図屏風」には描かれた時期に隔たりがあるにも関わらず、数か所同じパターンで描かれている箇所を発見出来ます。

そしてその二か所を見比べてみると…驚くべきことに、花の色がまるで違います。前者は落ち着きのある渋めの青紫に対し後者は発色の良い明るい色となっています。

更に決定的に違うのが花の形状(描き込み具合)です。前者が文様的な花の表現であるのに対し、後者は博物学的な目も備わったリアルな杜若の花の表現となっています。



根津美術館の「燕子花図屏風」では金屏風から絵の部分を型抜きしてそこに直接描いているそうですが、METの「八橋図屏風」では金屏風の上から直に絵を描いているそうです。後者は花の部分の下塗りとして胡粉が塗られていることが剥落した箇所から見て取れるとのこと。

この辺も発色の違いに一助しているようです。しかしそれにしても学芸員さんでも、こうして比べて観るまではその色のはっきりとした違いが分からなかったと仰っているのです。図版では到底分かりません。

まずは本物を並べて観ないと、何も答え出せません。メトロポリタン美術館でも年に僅かの期間しか展示しないお宝作品です。「燕子花図屏風」を所蔵している根津美術館だからこそ実現出来た展覧会です。

展覧会の構成は以下の通りです。

初期の画業
燕子花図屏風と八橋図屏風
草花図の展開
『光琳百図』の中の光琳画



尾形光琳「伊勢物語八橋図」東京国立博物館蔵
尾形光琳「燕子花図」大阪市立美術館蔵
尾形光琳「中村内蔵助像」大和文華館像

「カキツバタ展」ではなく「コーリン展」ですので、他の美術館さんからもメジャー所借りてきて贅沢に展示してあります。光琳最晩年の作とされる「四季草花図屏風」個人蔵はとりわけ必見です。

そうそう、メトロポリタン美術館の「八橋図屏風」がズバリ『伊勢物語』のシーンを描いているのに対し、根津美術館の「燕子花図屏風」は決してそれだけに限定されない、芸術的な広がりを有しているように見えました。想像の自由度が高い作品です。お能の場面すら想起させます。

何て戯事はまずは本物を観てからにしましょう。とにかくこの2点の屏風絵が同じ場所で公開されるのは100年ぶり(前回の邂逅は大正4年)のこと!(実はこの時の展示でも本当にこの2つの作品が同時に展示されたかどうかは分かっていません)ということは誰も経験したことのない衝撃的な出逢いの場に今まさに立ち会えることになります。
本展は、光琳が時を隔てて描いた「燕子花図」と「八橋図」を、およそ100年ぶりに同時に展示する機会となります。それによって光琳画の魅力とその展開をうかがうとともに、あわせて「燕子花図」より以前の光琳の画業や、江戸時代末期に「八橋図」の図様を掲載した光琳顕彰の立役者・酒井抱一(1761-1829)編『光琳百図』(こうりんひゃくず)の意義、ひいては光琳画受容の歴史を、厳選した作品でご覧いただきます。
歴史の証人になれる展覧会そうそう滅多に訪れるものではありません。

何が何でも観に行きましょう。
勝負は僅か1ヶ月です!!

「KORIN展」は5月20日までです。
4月28日(土)〜5月20日(日)の期間は閉館時間を1時間通常よりも遅くし午後6時まで開館しています。


特別展「KORIN展」
国宝「燕子花図」とメトロポリタン美術館所蔵「八橋図」


開催期間:2012年4月21日(土)〜5月20日(日)
開催場所:根津美術館 展示室1・2
http://www.nezu-muse.or.jp/

休館日:月曜日 
ただし4月30日(月・祝)は開館
開館時間:午前10時‐午後5時
(入場は午後4時半まで)
【時間延長】
4月28日(土)〜5月20日(日)
午前10時‐午後6時
(入場は午後5時半まで)


KORIN展オリジナルグッズやポスター、ポストカードも充実してます!

Instagram

http://instagr.am/p/DzuLw/

庭園のカキツバタ開花状況は根津美術館のサイトからチェック!

【次回展】

コレクション展
中世人の花会と茶会
2012年6月2日(土)〜7月16日(月・祝)
花会や茶の湯の会は、中世の人々の社交の場でもありました。
13・14世紀頃に中国、朝鮮半島、東南アジア諸国などから運ばれてきた道具類は、まず寺院などに入り堂内の荘厳や喫茶に用いられるようになります。やがて寺院から、武家や公家のもとに流出して花会や連歌会、喫茶などに使用され、大切に保存されてきました。人々は、優れた道具を集め、収集品を見せ合って楽しむ場として、花会や茶会を開いたと思われます。
この展覧会に、中世の最後の大茶人といえる千利休の意によってつくられたと言う、長次郎作の「赤楽茶碗 銘無一物」を兵庫・頴川美術館から特別にご出品頂くことになりました。茶の湯の世界にあたらしい時代を開いた赤楽茶碗の代表作をお楽しみください。

ツイッターやってます。
@taktwi

注:会場内の画像はプレス内覧会時に主催者の許可を得て撮影したものです。(撮影:yukitwi他)

この記事のURL
http://bluediary2.jugem.jp/?eid=2844

JUGEMテーマ:アート・デザイン


根津美術館の国宝「燕子花図屏風」と、ニューヨークのメトロポリタン美術館に所蔵される「八橋図屏風」は、尾形光琳が同じテーマを、同じ六曲一双屏風に、10数年の時をおいて描いた作品です。本展では、いまは遠く海をへだてた2点の作品を、およそ100年ぶりに一堂に展観。光琳画の軌跡を目の当たりにできる待望の展覧会です。あわせて、最初期の作品から、酒井抱一編『光琳百図』所載作品まで、光琳画の諸相をご覧いただきます。
なお、本展は当初、昨年春を会期としていましたが、1年延期をして開催するものです。
展覧会 | permalink | comments(2) | trackbacks(4)

この記事に対するコメント

昨日 観てきました。光琳のロゴ? がかっこいい。
琳派でも燕子花でも屏風でもなく、光琳なのです。
宗達とは違う構図やデザインを目指した苦悩が
大胆な曲線と直線のマリアージュから 感じます。

コロンビア大学の先生による LOVE光琳は楽しい時間でした。
ゆか | 2012/04/22 8:12 PM
こんにちわ。
昨日見てきました。

八橋図のベストポジションが3つ目の写真とほぼ同じ位置でしたので、ブログで紹介させていただきました。
もし写真の使い方がまずい場合はお手数ですがコメントお願いします。

今回の貴重な展示ほんとなんと言っていいやら。
ただ八橋図のミニュチュア屏風のグッズが欲しかったです!
もっといろんな角度で自分なりに見たかったです。
ごーろ | 2012/05/10 6:57 PM
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