青い日記帳 

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『この絵、どこがすごいの?』

新人物往来社から刊行された佐藤晃子著『この絵、どこがすごいの? 名画のひみつと鑑賞のルール』を読んでみました。


この絵、どこがすごいの?
佐藤晃子(著)新人物往来社

「名画」として21世紀の現在でも名を馳せる作品にはそれなりの理由があります。西洋美術史という長い歴史の中でターニングポイントとなった作品であったり、当時の儀礼、はたまた有職故実を研究する上で大事な資料となったります。

ヨーロッパと日本の数多の作品の中から選りすぐり「名画」23点を丁寧に紹介しながら、名画の名画たる所以や、鑑賞する際のポイント、またその絵が描かれた時代背景など一点一点深く掘り下げながら紹介しています。(西洋絵画15点、日本絵画8点)


見開きで大きな図版と見逃してはいけない5つのポイントを示しています。

ヤン・ファン・エイク「アルノルフィーニ夫妻の肖像」一見しただけでは大変奇妙な作品ですが、ロンドン、ナショナル・ギャラリーの至宝であり、西洋美術史の中で外すことの出来ない「名画」たる理由を解き明かしてゆきます。


こちらは謎の多い「彦根屏風」

大きな図版の次のページには知っておきたい5つのポイントがひとつひとつ解説されています。まるで手品の種明かしを聞いているような感覚で読み進めることが出来ます。

「絵画鑑賞は好きだけど、一体どんな視点でどこをどう観たらよいのか、いまひとつ分からない。」なんて方に断然お勧めです。

そこに何が描かれているのか、そしてそれが意味するものは何なのか。また描かれた当時はどのように扱われ、「観られた」のか等々、筆者の佐藤さんが優しく語りかけるような婉然たる文章で綴られています。


セザンヌ「大水浴図」

初心者だけでなく、絵画をよくご覧になりある程度の知識をお持ちの方向けのページも用意されています。セザンヌの「大水浴図」の解説ページにはルノワールの「浴女たち」やピカソの「アヴィニョンの娘たち」が引用されているのです。

大学の授業やカルチャースクールで催される“西洋美術史講座”をこの『この絵、どこがすごいの?』が紙上で再現しているかのようです。遠くない将来この本を教科書にした佐藤晃子氏の美術史講座が何処で開講するかもしれません。

更に、西洋美術だけでなく、日本美術の名画もしっかり収録しているのですから、まさに一粒で二度美味しい一冊となっています。贅沢だ〜〜

【目次】
西洋絵画篇
・ルネサンスの時代ー15〜16世紀
ヤン・ファン・エイク「アルノルフィーニ夫妻の肖像」 
ボッティチェリ「ヴィーナスの誕生」 
レオナルド・ダ・ヴィンチ「モナ・リザ」 
ミケランジェロ「最後の審判」 
ラファエロ「小椅子の聖母」

・バロックの時代ー17〜18世紀
カラヴァッジョ「聖マタイの召命」
レンブラント「夜警」
ベラスケス「ラス・メニーナス」
ゴヤ「裸のマハ」

・西洋絵画篇変革の時代ー19〜20世紀
マネ「オランピア」
モネ「印象・日の出」
ゴーギャン「説教のあとの幻影(天使と闘う聖ヤコブ)」
セザンヌ「大水浴図」
マティス「赤い食卓」
ピカソ「アヴィニョンの娘たち」


円山応挙「松に孔雀図襖」大乗寺

日本絵画篇
・平安〜桃山時代ー12〜16世紀
源氏物語絵巻「柏木(二)」
雪舟「慧可断臂図」
長谷川等伯「楓図」

・江戸時代ー17〜19世紀)
「彦根屏風」
俵屋宗達「風神雷神図屏風」
伊藤若冲「南天雄鶏図(動植綵絵)」
円山応挙「松に孔雀図襖」
葛飾北斎「富嶽三十六景 凱風快晴」


作品解説の他にも「もっと知りたい!ウラ話」やその画家自身についても詳しい解説が施されています。

西洋美術編は流れを重視して読み進めましたが、日本美術編は好きな作品(作家)順にランダムに読みました。絵はこう観なくてはいけない!といった恩着せがましい解説は一切書かれていません。あくまでも鑑賞者の目線で綴られています。

女性の筆者ならではの、こまやかな心遣いが全編を通じ現われている、あたたかでたおやかな美術書です。

こういう本を感受性の豊かで好奇心旺盛な高校生が手にしたら、きっと間違いなく美術史の道へ進みたくなるでしょうね。親の反対を押し切ってでも。


この絵、どこがすごいの?
佐藤晃子(著)新人物往来社

佐藤晃子(サトウアキコ)Twitterアカウント @akisato_  
ライター。愛知県出身。日本、西洋の芸術、絵画をわかりやすく紹介する美術史の著書を多数執筆する。明治学院大学文学部芸術学科卒業、学習院大学大学院人文科学研究科博士前期課程修了。美術史専攻。

天才画家が残したメッセージ、美術史の流れを変えたあの技法、繰り返されるポーズ―。
知っているようで知らない、名画の条件。


【その他の読書レビュー】(一部)
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フェルメールへの招待
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「モナ・リザ」「ヴィーナス誕生」「源氏物語絵巻」「冨嶽三十六景」といった西洋・日本の有名な名画を、最新研究をもとに謎解き。画家が残した絵と、それに影響を受けた絵を見比べることで、どのようにして「名画」が生まれたのかを解説します。

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