青い日記帳 

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「珍獣?霊獣?ゾウが来た!」

長崎歴史文化博物館で開催中の
「珍獣?霊獣?ゾウが来た!〜ふしぎでめずらしい象の展覧会〜」に行って来ました。



長崎歴史文化博物館wikiより。
長崎県立美術博物館が閉鎖され、当博物館と長崎県美術館とに分離される際に、旧美術博物館の敷地と、同館に隣接していた旧長崎県知事公舎の敷地に建てられた。3階建。建設時には旧長崎奉行所の石段や庭園などの遺構が出土した。石段は補強され、奉行所門側のエントランスとして活用されている。設計は日本を代表する建築家黒川紀章。同館の西側には長崎原爆投下時に、第一報を政府や軍に打電した立山防空壕(旧長崎県防空本部)が残っている。同館のオープンにあわせ壕内を整備、周辺が公園化され、一般公開されている(無料)。


長崎歴史文化博物館外観。

長崎歴史文化博物館単独開催の象をテーマにした企画展。何故に象?それは日本で初めて象がやって来たのがここ長崎だったからです。

江戸時代、徳川吉宗が所望しはるばる海外から取り寄せた2頭の象。唐船にのせられはるばる長崎出島まで。長崎歴史文化博物館は嘗て長崎奉行所のあった場所。当然ここにも日本で初めての象がやって来ているのです!

こんだけ、歴史的な要素揃えば「象展」開催しない方が逆におかしい(ぞう)。よく構成の練られて良質な展覧会でした。旅目ということを差し引いてもこの展覧会は一見の価値ありです。

展覧会の構成は以下の通りです。

1:長崎に象が来た〜未知なる珍獣あらわる〜
2:白象〜霊獣としての象〜
3:装飾された異国のシンボル〜象を象る・象で象る〜
4:象イメージの拡散〜珍獣・霊獣を超えた象?〜




吉宗が「象が観たい!」とダダをこね初めて日本に象がやって来たのが、享保13年(1728)。日本中が熱狂したそうです。そりゃそうですよね、見たこともない大きな大きな珍獣が船で運ばれてきたのですから。

2頭のうちの1頭(メス)は程なく亡くなってしまったそうです。(日本で初めて象が死んだのも長崎ということになりますね)死因は甘いモノを与え過ぎてできものが出来たとか…何を与えたらよいのか殆どノウハウなんてなかったでしょうからね。

でも、残りの1頭は何としてでも江戸まで届けねばなりません。幕府への大事な献上品として。通常の工程の2倍もかけ江戸まで運んだそうです。勿論歩きです。

途中沿道でその姿を目にした人々の驚きがいかほどのものであったか想像に難くありません。テレビやインターネット等無かった時代です。我々では経験不可能な驚きの眼を象に対して向けたはずです。



本物の象がやって来るまでは、仏画に描かれた普賢菩薩の乗る白い象が日本人にとっての象のイメージでした。吉宗はじめ街道沿いで江戸に向かう象(一般的なグレーのインド象)を目にした人々はそのイメージとの乖離にも驚いたことでしょう。

実際、江戸にやっとのことで到着した象ですが、吉宗はどうもお気に召さなかったらしく(白象が来ると思っていたそうです)すぐさま、中野の見世物小屋に払い下げになってしまったそうです。しかも飼い方知らないので餓死と凍死で一年も経たずに亡くなってしまったそうです。

まさに江戸時代版「かわいそうなぞう



この展覧会ではそうした歴史的な視点だけでなく、絵画史的な視点からも象を捉えています。チラシポスターにある長沢芦雪「白象唐子図屏風」や伊藤若冲「象と鯨図屏風」(こちらは展示替えで拝見出来ませんでした)から浮世絵に描かれた象などが紹介されています。

すっごく怪しい芦雪作とされる金屏風もありました。
また思わず「おっ!」と声をあげてしまったのが長沢芦雪のこちらの作品。



MIHOで開催された「長沢芦雪展」に初めて出展された「方寸五百羅漢図」
どこに象が描かれているでしょう…って肉眼じゃ見つかりません。拡大しパネル展示されいるのを観て初めて象だと分かった次第。真ん中辺りにいました。

しかし、まさかこの作品に長崎で会えるとは思いもしませんでした。ラッキーです。無理して時間作ってタクシー飛ばし観に行った甲斐がありました。

さらに最後は三沢厚彦さんの大きな大きな象さんが!



芦雪の「白象唐子図屏風」と三沢さんの象さんを同じスペースに展示するとは長崎歴史文化博物館さんただ者じゃありません!やるな〜

「珍獣?霊獣?ゾウが来た!」展は6月10日までです。
長崎にお住まいの方、東京人が羨ましがる極上の展覧会ですよ〜是非!!


珍獣?霊獣?ゾウが来た!
2012年4月21日(土)〜6月10日(日)
前期/4月21日(土)〜5月14日(月)
後期/5月16日(水)〜6月10日(日)

開館時間:8:30〜19:00(最終入館18:30)
休館日:毎月第3火曜日(祝日の場合、翌日休館)
会場:長崎歴史文化博物館 3階企画展示室
主催:長崎歴史文化博物館・西日本新聞・日本経済新聞社・KTNテレビ長崎
後援:長崎県・長崎市・長崎県教育委員会・長崎市教育委員会・NHK長崎放送局・長崎ケーブルメディア・エフエム長崎
特別協力:長崎釈尊讃仰会
協賛:株式会社 エレナ

長崎歴史文化博物館外観。

http://www.nmhc.jp/

この記事のURL
http://bluediary2.jugem.jp/?eid=2891

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 大きい体に長い鼻をもつ象は、いつの時代も注目を集めてきました。

 象は室町時代に日本にはじめて舶来し、長崎には、江戸時代に2度やって来ました。1度目は、享保13年(1728)に将軍徳川吉宗の希望で唐船が運んだ象です。現在の長崎歴史文化博物館が建つ長崎奉行所立山役所から江戸までの道中を象が歩き、多くの人々を熱狂させ、日本中で象フィーバーが巻き起こりました。2度目の象は、文化10年(1813)にオランダ船により舶来し、来年でちょうど200年を迎えます。これに先立ち、当館では象をテーマとした展覧会を開催します。

 そもそも、日本人が象を知ったのは仏教の影響でした。象は普賢菩薩を乗せ、釈迦の入滅を描いた涅槃図では嘆き悲しむ姿が描かれ、尊く縁起の良い「霊獣」とされていました。そして、実物が舶来し、多くの人々にその姿を認識され「珍獣」として人気を集めた江戸時代には、仏教で受容されてきた姿に実在する動物として新たな情報が加わりました。象のイメージは広がりと変化を見せ、その造形や意味合いを興味深く解釈した美術作品が生まれました。

 長い歴史の中で私たちはどのように象と関わり、その魅力をいかに表現してきたのか。奇想の絵師・伊藤若冲をはじめとする近世の作品を中心に、現代彫刻家・三沢厚彦による圧倒的な存在感の象まで、約150点の作品をご紹介します。また、会期中展示替えがございます。
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この記事に対するコメント

初めてコメントします。都内近郊の展示へ出かける際にこちらのレビューを参考にさせていただいております。
地元・長崎に若冲の絵がやってくる!と嬉しい驚きを抱きながらも、都合上帰省できずにいたため、定期的に拝読している青い日記帳にレビューされたことが嬉しくまた、建物の画像を観ながら懐かしい気持ちになりました。

今後もレビューを楽しみにしています^^

追伸:神戸智行作品との出会いはこちらのレビューがきっかけでした。子供の頃の原風景を呼び覚ます素晴らしい作品紹介をありがとうございました。
ruru129 | 2012/06/04 12:31 AM
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