青い日記帳 

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「ベルリン国立美術館展」

国立西洋美術館で開催中の
「ベルリン国立美術館展 学べるヨーロッパ美術の400年」に行って来ました。


ベルリン展公式サイト:http://www.berlin2012.jp/

日本に初めてやって来たヨハネス・フェルメール「真珠の首飾りの少女」がポスターや広告にも大々的に使われ目玉作品扱いされていますが、決してフェルメール1点豪華主義の展覧会ではありません。

それどこか、普段なかなか日本でお目にかかれないアルブレヒト・デューラーやルーカス・クラーナハ(父)といった北方絵画の巨匠たちの油彩画が出展されています。


ルーカス・クラーナハ(父)「ルクレティア」1533年頃 絵画館

いつぞや伺った話しによるとこうした15世紀の板絵作品は空輸の際に気圧の関係で傷んでしまうことが懸念されるため、所蔵先の美術館は貸し出すのをとても嫌がるそうです。「ベルリン美術館」今回はそう言った意味では大盤振る舞いしています。

しかも鑑賞出来る距離が非常に近いことにも感動しました。デューラーが病的なまでに緻密に描いた吐きそうになるほどリアルな「ヤーコプ・ムッフェルの肖像」などとにかく圧巻です。


アルブレヒト・デューラー「ヤーコプ・ムッフェルの肖像」1526年頃 絵画館

神は細部に宿るではないですが、彼自身が神にならんとしていたのではないかと、また少し正気を逸していたのではないかと思う程の描き込みようです。若冲も真っ青なほどに。

フェルメールに辿りつく前にお腹いっぱいに。そして眼もくたくたにへばってしまいそうな勢いで作品が次々と現れます。17世紀までの道のりは遠し……


「第1章 15世紀:宗教と日常生活」展示風景

菩提樹の木から作られたドイツ・ルネサンス期の彫刻家ティルマン・リーメンシュナイダーによる「龍を退治する馬上の聖ゲオルギウス」1490年頃を中央にヴェネツィア派の彫刻やエルコレ・デ・ロベルティ「洗礼者聖ヨハネ」1480年頃そしてフィリッポ・リッピの初期作品「キリスト磔刑、ふたりのマリアと福音書記ヨハネ」1440年頃等が周りを取り囲むように展示されています。

贅沢だ〜

展覧会の構成は以下の通りです。

I部 絵画/彫刻
第1章 15世紀:宗教と日常生活
第2章 15-16世紀:魅惑の肖像画
第3章 16世紀:マニエリスムの身体
第4章 17世紀:絵画の黄金時代
第5章 18世紀:啓蒙の近代へ

II部 素描
第6章 魅惑のイタリア・ルネサンス絵画



「第2章 15-16世紀:魅惑の肖像画」「第3章 16世紀:マニエリスムの身体」展示風景

一瞬東博か?と思わせるような展示ケースに彫刻が。その周りには絵画を配置。海外の美術館に迷い込んでしまったかのような錯覚さえ覚えます。

今回は「見せ方」もとても上手いです。

イタリア絵画と北方絵画との関連性に視点を据えると、これまた贅沢な作品を比較しながら鑑賞することが出来ます。(イタリア→フランス経由→フランドル、オランダ→ドイツ)

絵画同士だけではなく、彫刻と絵画との比較を通しても15世紀から16世紀にかけてのイタリアと北方との関係性が明らかに。当り前のことかもしれませんが、ベルリン美術館から作品を借りる際に相当考えてますね。第3章まででもういいかな〜という気にさえさせます。

なんて言いつつもやはりオランダ・フランドル絵画(特にフェルメール!)を観ずに帰るわけにはいきません。如何せん「真珠の首飾りの少女」に会うのは2003年にプラド美術館で開催された「Vermeer y el interior holandes」以来のことですからね。


レンブラント・ファン・レイン「ミネルヴァ」1631年頃
レンブラント派「黄金の兜の男」1650−1655年頃

10年ちょっと前なら間違いなく展覧会のポスターを飾っていたであろうレンブラント作品。レンブラント・リサーチ・プロジェクト(RRP)に駄目だしされるまではレンブラントの代表作として扱われてきた「黄金の兜の男」。

兜の輝きは以前にも増し怖ろしいほどです。

そして輝きといえば「ミネルヴァ」のドレス(ガウン)の裾の刺繍の表現。別に光源があるのではないかと周囲を見渡してしまうほどキラキラ輝いています。そして次第に眼が慣れると闇の中にも鈍く輝くものが数多描かれているのが見えてきます。

すぐ近くにフェルメールが展示されていますが、逸る気持ちをぐっと抑え「ミネルヴァ」に見入って下さい。良い作品です。

お待たせしました。フェルメールです。


ヨハネス・フェルメール「真珠の首飾りの少女」1662-65年 絵画館

「近っ!」ここ数年で日本で観たフェルメール作品の中でも最も近距離で観られる作品かもしれません。机の上に載っている中国製の濃いブルーの壺の文様まではっきりと見えます。

実物を観るまでは、地味な作品だなと思っていたのですが、実際は違います。女性を窓際に立たせ描いています。視線は窓の横に掛けられた小さな鏡を注視しています。

真珠も鏡も虚栄の象徴として扱われますが、ここではそんな邪推は全く必要ありません。「受胎告知」に見立てる学者がいるくらい厳粛で静かな緊張に包まれる空間を見事に描き出しています。

光に包まれ恍惚とした女性の表情。少し歯を見せていることも確認出来ます。柔らかそうな毛皮の付いた服とは対照的にカッチリと描かれている髪飾りもポイントです。(黄色と赤の対比も美しい)


ヨハネス・フェルメール「真珠の首飾りの少女」1662-65年 絵画館

現存する約36点のフェルメール作品の中でもひと際その「光」が見事に表現され、また画面上に必要最小限のものしか描かず見事な完成度を誇る一枚こそがこの「真珠の首飾りの少女」なのです。

この作品観ずしてフェルメールを語ること勿れ。大げさでも何でもなくこれは紛れもない真実です。驚きますよ実物と対面したら。そして虜になること間違いなしです。(フェルメール・ファンの中にはこの作品をベスト1にあげる方も少なくありません)

現代人(とりわけ日本人)が何故これほどまでフェルメール作品に魅了されるのか。理由は幾つもあると思われますが、その中のひとつにフェルメールの描く作品の中に現代人が希求する「光」が表現されているからではないでしょうか。

混雑する前に間近でじっくとフェルメールを堪能しましょう!
(次はいつ観に行こうかな〜)


「第6章 魅惑のイタリア・ルネサンス絵画」展示風景

「イタリア美術を学ぶ者はベルリンに行け」と言われた時代があったそうです。それほどまでにイタリアルネサンス期の名だたる画家の素描がベルリンには残されているのです。

ボッティチェッリが西洋文学を代表するダンテの『神曲』写本のために制作した挿絵素描やミケランジェロ・ブオナローティ「聖家族のための習作」(東京展のみ)等々素人目にもその画家の特徴を一目で見て取れます。

実はこのセクションが一番の見どころだったりするかも。かく言う自分も一番時間かけてみてしまいました。

「ベルリン国立美術館展 学べるヨーロッパ美術の400年」は9月17日までです。混雑する前に(NHKさんが紹介する前に、TBSさんが特番放送する前に)是非!

ベルリン国立美術館展 TBS特別番組「阿川佐和子と向井理の フェルメール光の傑作」(仮) フェルメールの傑作が初上陸! ベルリン国立美術館展を紹介する特別番組。放送日時 7月14日(土)午後2:00〜3:00


ベルリン国立美術館展 学べるヨーロッパ美術の400年

会期:2012年6月13日(水)〜9月17日(月・祝日)
開館時間:午前9時30分〜午後5時30分
毎週金曜日:午前9時30分〜午後8時
※入館は閉館の30分前まで
休館日:月曜日(ただし、7月16日、8月13日、9月17日は開館、7月17日は休館)
会場:国立西洋美術館 企画展示室
http://www.nmwa.go.jp/

主催:国立西洋美術館、TBS、読売新聞社
後援:外務省、ドイツ連邦共和国大使館、BS-TBS、TBSラジオ、J-WAVE
特別協賛:SMBC日興証券
協賛:セコム、損保ジャパン、日本写真印刷
協力:ルフトハンザ カーゴ AG、ルフトハンザドイツ航空、日本航空、ヤマトロジスティクス、JR東日本、西洋美術振興財団

ベルリン展美術館公式サイト:
http://www.berlin2012.jp/

グッズも見逃せません!
テディベアと言えばドイツのシュタイフ社。

「真珠の首飾りの少女」をモデルにした「シュタイフ」テディベア販売してます。

フェルメール「真珠の首飾りの少女」モデル ¥24,150(税込)の大きなぬいぐるみは限定数100体。既に数体売れてしまったそうです(そのうちの一匹は我が家へ)

また、こちらのコラボグッズも良かったですよ〜

アンペルマン×ベルリン国立美術館展

アンペルマン社コラボグッズに関してはこちらで。

Twitterやってます!
@taktwi

注:会場内の画像は主催者の許可を得て撮影されたものです。

この記事のURL
http://bluediary2.jugem.jp/?eid=2902

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芸術的想像力あるいは造形感覚というものは、ある程度は伝統や教育に負うものと解釈されがちです。しかしそれでもなお、ヒトのDNAに埋め込まれていたのかもしれない南北ヨーロッパの造形感覚の違いを目の当たりにする時、古代以来の複雑な西ヨーロッパ文化の奥深さや歴史の重みをひしひしと感じることがあります。
 今回ベルリン国立美術館と共同で開催する「ベルリン国立美術館展 学べるヨーロッパ美術の400年」は、イタリア絵画や彫刻と、北方絵画や彫刻を同時に見ることにより、歴史とともに成熟したヨーロッパ美術の流れを肌で感じ取ることができるような構成にしています。デッラ・ロッビアの優美な聖母とリーメンシュナイダーの素朴ながらも人を魅了して止まない木彫、フェルメールとレンブラント、白い羊皮紙の上に描かれたボッティチェッリの簡素にして妖艶な素描、情念ほとばしるミケランジェロの素描など、絵画、彫刻、素描など合わせて107点をご覧いただきます。どうぞお楽しみに。


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- | - | 2012/06/17 12:39 AM
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