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「バーン=ジョーンズ展」

三菱一号館美術館で開催中の
「バーン=ジョーンズ展 装飾と象徴」に行って来ました。


http://mimt.jp/bj/

エドワード・バーン=ジョーンズ(1833-98)好き過ぎて上手く彼の作品の魅力を伝えられないのが歯がゆいところ。ラファエル前派のウォーターハウスやミレイも大好きですが、このグループ似ているようで、実は全然違う魅力を湛えているのが魅力のそして人気のひとつなのかもしれません。

これまで、何度も「バーン=ジョンズ展」を観て来たように思っていましたが、彼単体を取りあげる展覧会は何と今回が初めてだそうです。ちょっと(かなり)びっくり。

我が家の本棚のかなりのスペースをラファエル前派の本や展覧会カタログが陣取っています。あらためて見ると確かにバーン=ジョンズだけの展覧会って今までなかったようです(「バーン=ジョンズと後期ラファエル前派展」といった類の展覧会はあったけど)


エドワード・バーン=ジョーンズ《眠り姫》―連作「いばら姫」
1872-74年頃、油彩/カンヴァス、126.0×237.0cm、
ダブリン市立ヒュー・レイン美術館、ダブリン(アイルランド)© Dublin City Gallery The Hugh Lane, Dublin

バーン=ジョンズをバーン=ジョンズたらしめているメジャーな作品。これが日本で観られるなんて幸せ過ぎます。横幅2mをゆうに超す大作です。

眠る女たちをひとりひとり描いた習作6点もそれぞれ完成度が高く、それだけでも立派な「作品」として十分通用します。瞳を閉じる「眠れる森の美女」とその侍女たち。

モデルに画家の愛娘を起用したとのこと。他のどの作品よりも対象にたいする深い愛を感じるのはそのせいかもしれません。いくらでも時間をかけ観ていられる作品です。また三菱一号館の展示室と合っているんだな〜これが。ホワイトキューブで観るのとは全然印象違うはずです。


エドワード・バーン=ジョンズ「ピグマリオンと彫像
(《女神のはからい》《成就》)1878年
バーミンガム美術館

彫刻家ピグマリオンは自分で作り上げた彫像に恋してしまいます。女神ウェヌスに祈るとなんと彫像に命を吹き込んで本物の女性にしてくれます。ピグマリオンは彼女を「マイ・フェア・レディ」とし結婚。この一連のお話を4枚の作品で展開しています。

4作品セットで展示されています。ちょっとした所に花々や差し込む光が描かれている点にも注目です。女神が鳩を踏みつけていたりもします。

この作品のみならず、バーン=ジョンズ作品には彫刻のような肉体美を誇る人物が描かれることが多くあります。時にそれらは「硬い」表現のように映ってしまいがちですが、実はミケランジェロの影響が色濃く現れている証なのです。


エドワード・バーン=ジョンズ「運命の車輪」 1871-85年、油彩/カンヴァス、151.4×72.5cm、
ナショナル・ギャラリー・オヴ・ヴィクトリア、メルボルン(オーストラリア) Photo: NGV Photo Services

驚くべきことにバーン=ジョンズは生涯のに4回もイタリアを訪れ、イタリアルネサンスの画家が残した作品を実際にその目で観たり、模写したりしました。とりわけミケランジェロに対する称賛は並々ならぬものがあったそうです。

「運命の車輪」もまた完成度の高い作品として知られています。縦長の構図はバーン=ジョンズの得意としたもの。(横長も多いですけどね)青木繁などもろ影響を受けています。

奴隷、王様、詩人が運命の車輪に身をゆだねています。女神の閉じた瞳は何を語っているのでしょう。誰一人としてこの時の運命から逃れることは出来ません。


エドワード・バーン=ジョンズ原画/モリス商会制作「東方の三博士の礼拝」1894年(1890年)タペストリー
マンチェスター・メトロポリタン大学

今回初めてこれだけ多くのバーン=ジョンズ作品を観る機会に恵まれ幸せ一杯胸一杯に。新たな発見としては縦のラインを上手く作品にはめ込んでいるな〜と。

それはまるで、鳥居清長の描いた8等身美人を観ているようにも思えました。

日本国内で初めて開催されている「バーン=ジョーンズ展」。これを機にバーン=ジョンズ含むラファエル前派の魅力をもっともっと大勢の方に知ってもらえれば嬉しいです!好き過ぎて幾らあっても言い足りないのでひとまずこの辺で。

とにかく観に行って下さい。うちのかみさん曰く「今年の展覧会ベスト3入り間違いなし!」と豪語しています。因みに彼女、バーミンガムの教会までバーン=ジョンズのステンドグラスを観に行ったほどのツワモノです。

「バーン=ジョンズ展」は8月19日までです。混雑する前に是非是非!(そしていつの日か、ウォーターハウスの展覧会を日本で開催して欲しいな〜)


バーン=ジョーンズ展 ―装飾と象徴―
会期:2012年6月23日(土)〜8月19日(日)
会場:三菱一号館美術館
http://mimt.jp/

主催:三菱一号館美術館、東京新聞
後援:ブリティッシュ・カウンシル
協力:日本航空

注:会場内の画像は主催者の許可を得て撮影されたものです。
(撮影:@yukitwi)

今回の展覧会の担当学芸員である三菱一号館美術館の加藤明子さんがお書きになったバーン=ジョンズの好著。ウィリアムモリスやラスキンとの関係や、画家が好んで描いたユーモラスな戯画なども紹介されています!


もっと知りたいバーン=ジョーンズ―生涯と作品』 (アート・ビギナーズ・コレクション)
川端 康雄 (著), 加藤 明子 (著)

【次回展】

シャルダン展 ― 静寂の巨匠
会期:2012年9月8日(土)〜2013年1月6日(日)

クラーク・コレクション展」(仮)
会期:2013年2月9日(土)〜5月26日(日)

Twitterやってます。
@taktwi

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「『夢の国』に住む一番素敵な若者の一人」 時代の寵児ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティにそう云わしめた気鋭の画家エドワード・バーン=ジョーンズ(1833-98)は、イギリスの工業都市バーミンガムで額縁職人の子として生まれました。オックスフォード大学において生涯の友ウィリアム・モリスと出会い、1861年にはアーツ・アンド・クラフツ運動の起点となる共同事業を創始します。そして、19世紀末には、その詩情にみちた静謐な画風によってヴィクトリア朝絵画の頂点をきわめました。しかし、バーン=ジョーンズの活動については、これまでラファエロ前派やモリス商会とのかかわりから注目されることが多く、その全体像が十分に把握されてきたとはいえません。

聖職をめざしていたバーン=ジョーンズが芸術の道を志そうと決めたのは、モリスと北フランスの大聖堂を巡った1855年のことです。翌年、大学を去ったバーン=ジョーンズは、前衛芸術家として知られるロセッティに弟子入りし、美術批評家ジョン・ラスキンの導きでイタリア美術を学びます。

生来の才能を開花させて、唯一無二の装飾デザイナーとしてモリスの活動を支える一方で、自身の絵画制作においては、装飾性と象徴性をあわせもつ独自の様式を確立しました。唯美主義運動を推し進め、象徴主義絵画の先駆けとなったその精緻な画風は、制作から一世紀あまりを経た今もなお、みずみずしい光を放ち、バーン=ジョーンズの作品の魅力をきわだたせています。

本展は、バーン=ジョーンズの全貌に迫る日本初の個展です。ランカスター大学ラスキン図書館・研究所長スティーヴン・ワイルドマン氏を監修者に迎え、世界屈指のコレクションを収蔵するバーミンガム美術館の協力を得て、油彩画、水彩画、素描、貴重書、タペストリなど、国内外から厳選した約80点を、聖書・神話・物語のテーマごとに展覧します。「聖ゲオルギウス」「クピドとプシュケ」「ピグマリオン」「ペルセウス」「いばら姫」など、バーン=ジョーンズ芸術の真髄を伝える代表的連作を紹介します。
展覧会 | permalink | comments(1) | trackbacks(7)

この記事に対するコメント

そうですか。バーン=ジョーンズ展単体は初めてでしたか。 本棚を見たら、1889のモリス展(伊勢丹美術館)と、1990のぶんかむらのロセッティ展の図録がありました。 たぶん「・・・と後期ラファエル前派展」も行ったような気がします。

こちらの展覧会も見に行きたくなりました。

かりふらわ | 2012/06/28 10:17 PM
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東京丸の内の三菱一号館美術館で8月19日まで、「バーン=ジョーンズ展 ― 装飾と象徴 ―」展が開催中です。 バーン=ジョーンズ展  ― 装飾と象徴 ―会期: 2012年6月23日(土)〜8月19日(日)会場: 三菱一号館美術館 主催: 三菱一号館美術館、東京新聞後援: ブリテ
バーン=ジョーンズ展 三菱一号館美術館に行ってきました。期待通りの素晴しい展覧会でしたが、まずは眠り姫のことから書いてみたいと思っています。 バーン=ジョーンズについては、ラスキンやモリス、ロセッティなどとの話等、いろいろあり、よくのみこめないので
バーン=ジョーンズ展より 《いばら姫》 | すぴか逍遥 | 2012/07/08 12:45 AM
 これは、第1報、第2報からの続き。 9.いばら姫−「眠れる森の美女」の話  100年の眠りの呪いにかけられた王女が王子様の出現によって目覚めるという物語。古い民話である。  バーン=ジョーンズは、モリス商会の装飾タイルのデザインで成功を収めて、こ
東京 chariot 丸の内の三菱一号館美術館では「バーン=ジョーンズ展―装飾と象徴」が開かれています。 会期は8月19日(日)までです。 チラシもタブロイドの新聞風です。 イギリスのラファエル前派...
三菱一号館美術館 「バーン=ジョーンズ展 装飾と象徴」 6/23-8/19 三菱一号館美術館で開催中の「バーン=ジョーンズ展」へ行って来ました。 英雄ペルセウスに聖ゲオルギウス、ピグマリオンにいばら姫と、古代ギリシャ物語や中世文学などのモチーフを取り入れ、19世
バーン=ジョーンズ展も最終週です。もう一度と思っていましたのが、急に友人と今日行くことに。          8月19日まで やっぱり無理して行ってよかったと、ちょっと涼しかったし、2度観てもっと感動の連続です。絵の話は少しわかってきたので、絵そのも
バーン=ジョーンズ展 最終週 | すぴか逍遥 | 2012/08/19 5:38 PM
9/9に兵庫県立美術館にて「バーン=ジョーンズ展−英国19世紀末に咲いた華−」を鑑賞しました。この展覧会は2012/10/14まで兵庫県立美術館にて開催されたあと、2012/10/23から12/9まで郡山市立美術館に巡回します。いま内容や批評を読みたくないという人はここから下は