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「応挙の藤花図と近世の屏風」

根津美術館で開催中の
「応挙の藤花図と近世の屏風」展に行って来ました。


http://www.nezu-muse.or.jp/

根津美術館のお宝と言えばまっ先に尾形光琳の「燕子花図屏風」(国宝)が頭に浮かびますが、円山応挙「藤花図屏風」(重要文化財)も忘れてはならない極上の逸品です。


円山応挙「藤花図屏風」(重要文化財)
江戸時代 安永7年(1776)
根津美術館蔵

光琳の「燕子花図屏風」がデザイン性を重視しているのとするなら、「藤花図屏風」は写生画派の祖・円山応挙の真髄を堪能できる見事な作品です。

応挙の「写生」は単に実際の景色や物をありのままに写しとるスケッチとは違います。徹底的に対象を見つめそれが持つ本質を画面に表現します。

そのために驚くべき超絶テクニックを駆使しているのです。


円山応挙「藤花図屏風」(部分)

離れて観ると軽やかにダンスをしているかのように見える藤の枝や幹も近くに寄って観ると墨の濃淡で立体感を出していることが見て取れます。

これは「付立て」と呼ばれる高度なテクニックだそうです。ふくませる墨の濃度を筆の左右で調整することにより、一筆描きの中に立体感を現わしています。

また、枝の重なり(交差)する部分に注視すると、応挙が全体の構図まで全て完璧に念頭に抱きこの作品を描いたことが分かるはずです。

見落としがちですが、葉の表現にも注目です。下書きを墨で行いその上から緑色を重ねています。薄らと出来た影がその証拠です。

日本画は平面的(フラット)であるとよく指摘されます。確かにそうかもしれません。極端な陰影を付けたりしません。ただこの応挙の「藤花図屏風」に観られるように立体感もかなり考慮し描かれているのです。但し日本人らしく控え目なだけで目立たないだけなのです。


円山応挙「藤花図屏風」(部分)

花の部分の表現についてはもっと複雑で手が込んでいます。そして配色やそれに伴う発色、見た目の効果を十分考え抜いて描かれています。

藤の花は、「旗弁」と呼ばれる花びらの付け根に、雄蕊や雌蕊を包む「舟弁(竜骨弁)」という花びらが2枚あり、それをさらに2枚の「翼弁」が挟む構造をしています。「藤花図屏風」では。おおむね、まず楕円の下に円が連なるかたちに白い絵具を塗り、楕円は中央部分をのこした左右に青と紫が入り交じった薄い絵具を重ねて旗弁を、下方の円は淡色を重ねてからさらに中央に筋をのこして濃色を点じることで舟弁を包み込む翼弁をあらわします。
白に併置されることで鮮やかさを増す青や紫、それらがいくつも集積して作りだす質感は油絵を思わせます。キラキラと光り輝く宝石が降ってくるかのような表現は、きわめて斬新です。

(根津美術館解説より)

楚々とした美しさを湛えている「藤花図屏風」必見です。

この他にも今回の展覧会では伊年印の「草花図屏風」が初公開されています。自立不可能な程状態の悪かった屏風絵を根気の要る修復により甦らせました。


伊年印「草花図屏風
江戸時代 17世紀
根津美術館蔵

水墨の技法がとても繊細な作品です。同じ展示室にて公開されている「夏秋草図屏風」と比較してみると同じ俵屋宗達工房の作品でも趣きが違うものがあること分かります。

草花の描写は非常にリアルです。修復を終え今後研究が進むにつれどのような評価が下されるか楽しみな作品でもあります。(既に重要視されているとの声も…)


長沢芦雪「赤壁図屏風
江戸時代 18世紀
根津美術館

根津美術館は屏風絵の宝庫でもあります。円山応挙の弟子、長沢芦雪の大きくユニークな「赤壁図屏風」も展示中です。どうも芦雪の対象は中国の歴史的名所赤壁よりもそこで遊ぶ蘇軾に関心があったようです。谷文晁の同タイトルの作品と比べてみると明らかです。

会期の短い展覧会です。お見逃しなく!
「応挙の藤花図と近世の屏風」展は8月26日までです。


コレクション展
応挙の藤花図と近世の屏風

開催期間:2012年7月28日(土)〜8月26日(日)
休館日:月曜日
開館時間:午前10時‐午後5時
(入場は午後4時半まで)
会場:根津美術館 展示室1・2
http://www.nezu-muse.or.jp/

注:会場内の画像は主催者の許可を得て撮影したものです。

【次回展】

コレクション展
平家物語画帖
諸行無常のミニアチュール
2012年9月8日(土)〜10月21日(日)

『平家物語』は、平家一門の盛衰を語る軍記物語の最高傑作です。13世紀半ばごろまでには成立していたと推定され、その後、長く読み継がれ、語り継がれてきました。『平家物語』の合戦場面を描いた屏風や、物語を典拠とした謡曲や浄瑠璃が少なくないなど、その後の文芸に与えた影響ははかりしれません。
この展覧会では、『平家物語』を120図の扇形の紙に絵画化した「平家物語画帖」(上中下・3帖)を前後期(前期9/8〜9/30、後期10/2〜10/21)で全画面紹介するほか、「源平合戦図屏風」や『平家物語』に取材した刀装具など関連作品10件余を展示いたします。



新しい「根津倶楽部」誕生!

待ちに待った根津美術館年間パスポートが誕生。会期中何度でも入場可能。年会費8000円。美術館受付で即日加入出来ます!

Twitterやってます。

@taktwi


この記事のURL
http://bluediary2.jugem.jp/?eid=2950

JUGEMテーマ:アート・デザイン


根津美術館の近世絵画コレクションは、屏風絵の宝庫です。そのひとつ、円山応挙(1733〜95)の筆になる重要文化財「藤花図屏風」は、一筆で対象のもつ立体感をあらわす「付立て」による幹や、赤紫や群青、白の顔料を印象派さながらに重ね合わせ、複雑な色合いとボリュームを表現する花房など、応挙の写生画風の真骨頂を示す作品です。本展では、この「藤花図屏風」を中心に、修理後初公開となる俵屋宗達工房の優品「草花図屏風」をふくめ、魅力あふれる屏風絵の数々をご覧いただきます。
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