青い日記帳 

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『ゴッホの手紙 絵と魂の日記』

西村書店より刊行された『ゴッホの手紙 絵と魂の日記』を読んでみました。


ゴッホの手紙―絵と魂の日記
H・アンナ・スー 編 千足 伸行 監訳 冨田 章/藤島美菜 訳
B4変型 320ページ (西村書店)

ゴッホが37歳で亡くなるまで、弟のテオ宛に650通もの手紙を書いたことは良く知られています。その他の人物に宛てた手紙をまとめるとプルーストの『失われた時を求めて』クラスの分量、内容になるそうです。

その厖大な手紙の中には絵画作品に言及しているものが多くあります。時には書面に作品や風景のスケッチまで描かれているものも。

監修者の千足先生曰く「ゴッホの手紙は見事な『書画一致』をみせているのである。


1888年4月21日頃

これは5月1日を記念して、きみのために特別に構想している果樹園のスケッチだ。完全に単純で、一気呵成になされたものだ。(中略)その時きみはおそらくオランダにいると思うが、たぶんそこで同じ花咲く木々を見ることだろう。※5月1日はテオの誕生日

「狂気の画家」と簡便に括られ理解されている傾向にあるゴッホですが、この本を読むと逆に大変思慮深く、人物のモデリングや遠近法の習得に修練を重ね、自らの作品に粘り強く表現の可能性を見出す努力をしていたことが手に取るように分かります。


1881年12月18日頃の手紙と「編み物をするスヘーフェンニンゲンの女

【目次】
第1章 1875‐1881年
第2章 1882年
第3章 1883年
第4章 1884‐1887年
第5章 1888年
第6章 1889年
第7章 1890年


フィンセント・ファン・ゴッホ(Vincent van Gogh、1853年3月30日 - 1890年7月29日)の短い生涯のこれまた短いスパンの転換期を軸に7章だての構成となっています。

書簡を通しさながらゴッホの回顧展を拝見しているような気分になります。手元にある何冊かのゴッホ関連書籍や展覧会図録を時折開き、ゴッホの手紙―絵と魂の日記とリンクさせながら読むと、これまでとは違ったゴッホ像が浮かんできます。


1890年6月(ゴーギャン宛て)

星と糸杉の絵を今でも持っている。向こうでの最後の試みだ。(中略)この後、とても明るく、しかし穏やかな背景を持つ人物画を何点か描きたいと思っている。異なる色調だが同じヴァルールの緑、したがってそれらの多様な緑が全体としてひとつの緑を形成し、その振動は、麦の穂が風にそよいでたてる優しいざわめきを思い起こさせる。色彩の構成としては、きわめて難しいものだ。

この手紙を書いた約ひと月後に「自殺」したゴッホ。近年ではその死因についての新説も出てきており真相は未だ明らかにされていません。

しかし、決してステレオタイプ的な「狂気の画家」でなかったことは、この本を読めば明らかになります。ゴッホファンの方はもとより、ゴッホの入門書としても最適な一冊です。

手紙と共に絵画作品のカラー図版も画集と呼んでもよいほど多数収録されいます。展覧会図録よりもひと回り大きなサイズでたっぷり320ページ。

今年の読書の秋はこの本で決まり!


ゴッホの手紙―絵と魂の日記
H・アンナ・スー 編 千足 伸行 監訳 冨田 章/藤島美菜 訳
B4変型 320ページ (西村書店)

天才画家の魂にせまる 37歳で自ら突然生涯を閉じるまで、弟のテオを中心に幾通もの手紙をしたためたファン・ゴッホ。彼の残した700以上の手紙から約250を選び、その抜粋を、200以上の素描や手紙そのものの図版、関連する作品と並べた本。ゴッホが何に興味をもち、どのように感じ、考えていたかを知ることにより、作品の製作背景のみならず、狂気ではなく、思慮深く知的な人ファン・ゴッホが見えてくる。
http://www.nishimurashoten.co.jp/

※編者: H・アンナ・スー(H. Anna Suh)米プリンストン大学にて美術考古学の修士号を取得。メトロポリタン美術館の学芸員を経て、同館、ニューヨーク大学のインスティテュート・オブ・ファイン・アーツ、プリンストン大学美術館、ハーバード大学などの学術出版物の企画に携わる。ニューヨーク在住。
※監訳者:千足伸行(成城大学名誉教授)
※訳者:
冨田 章(東京ステーションギャラリー館長)
藤島美菜(愛知県美術館主任学芸員)

H・アンナ・スー氏編で、もう一冊こちらの本も同時に発売になりました。


レオナルド・ダ・ヴィンチ 天才の素描と手稿
H・アンナ・スー 編 森田義之 監訳 
B4変型 336ページ
発行年:2012年7月

イタリア・ルネサンス期を代表する人物の一人、レオナルド・ダ・ヴィンチ(1452-1519)。彼が遺した膨大な手稿・スケッチ・素描をもとに、多彩な分野にわたって発揮された彼の業績をたどる。本書は、ダ・ヴィンチがとりわけ深い関心をいだいていた3つの大きなテーマ、「画家をめざす人たちへのアドバイス(絵画とは、人体とは、光と影とは、遠近法とは)」、「自然をめぐる観察と考察(解剖学、植物学、地誌、天文学)」、「実用的な知識(建築、彫刻と彫金、発明と実験、哲学と格言など)」に沿って構成されており、編者のスーが、自由な感覚で、膨大な量の多分野にわたるダ・ヴィンチの手稿(絵とテキスト)の中から、真髄を伝えていると思った部分を断片的に選り出し、つなぎあわせるようにして編み上げているのもユニークな点。鏡文字(反転文字)を得意としたダ・ヴィンチの筆跡や、手慣れた線描などを実際に目にすることができるのも嬉しい。
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