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「巨匠たちの英国水彩画展」

Bunkamuraザ・ミュージアムで開催中の
マンチェスター大学ウィットワース美術館所蔵「巨匠たちの英国水彩画展」に行って来ました。


http://www.bunkamura.co.jp/museum/

「水彩画展」と聞いてどこかワンランク下に思っていたりしませんか。確かに16世紀頃ドイツやオランダの画家により専ら油絵の習作や素描の色づけとして描かれた水彩画ですが、英国ではそれとは違った独自の発達を遂げたのです。

しかもウィリアム・ブレイク、J.M.W.ターナーや、ラファエル前派の画家であるダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ、ジョン・エヴァレット・ミレイ、ウィリアム・ホルマン・ハントや、エドワード・バーン=ジョーンズ等々名立たる作家たちが積極的に水彩画の腕をふるいました。


J.M.W.ターナー《旧ウェルシュ橋、シュロップシャー州シュルーズベリー
1794年 鉛筆、水彩・紙
マンチェスター大学ウィットワース美術館所蔵

いかがですか、この水面の済み渡る透明感と呼応する清々しい青空。そして水彩画ならではの微細な描写で表現された建造物(旧ウェルシュ橋)。この一枚を目にしただけでも実物観たくなりますでしょ。

以前、テイト・ギャラリーでターナーの油彩画これでもか〜と拝見した時は、少々飽きてしまい途中から流し見したのですが、今回の英国水彩画展では、一枚一枚それぞれ表情が違い、見所多く最後の最後まで(閉館時間まで)会場内に。


展示風景

「巨匠たちの英国水彩画展」展示構成は以下の通りです。

第1章 ピクチャレスクな英国
第2章 旅行:イタリアへのグランド・ツアー
第3章 旅行:グランド・ツアーを超えて、そして東方へ
第4章 ターナー
第5章 幻想
第6章 ラファエル前派の画家とラファエル前派主義
第7章 ヴィクトリア朝時代の水彩画
第8章 自然



サミュエル・パーマー《カリュプソの島、オデュッセウスの船出》1848-49年
水彩、グワッシュ・紙
マンチェスター大学ウィットワース美術館所蔵

「英国水彩画の父」と呼ばれるポール・サンドビー、風景画のアレグザンダー・カズンズらの作品からターナー、ウィリアム・ブレイク、そしてラファエル前派、ヴィクトリア朝時代の水彩画へと、まるで透き通った清流のような穏やかで心地良い展開を魅せています。

前回の「レーピン展」の重厚で厳粛な雰囲気から一転し、軽妙でエレガントな雰囲気につつまれた展示会場作りも、英国水彩画の魅力に一役買っています。


ターナーの水彩画がずらりと並ぶ一角に、さり気なく置かれたウィリアム・モリスデザインの生地に包まれたソファが良い味出しています。

因みに、会場の壁紙やソファの布地はマナトレーディングさんhttp://www.manas.co.jp/にご協力頂いたそうです。

さて、第2章、3章が「旅行」がテーマとなっていますが、これは18世紀当時の地誌的風景画の需要の高まりや、イタリアへのグランド・ツアー(大陸巡遊旅行)の土産用としても多く水彩画が描かれたことが影響しています。

また未知の国であるエジプトやアジアの様子を描いた作品も何点か展示されていました。ポストカードや写真、ネットが無かった時代、水彩画がそれらの全てを担っていたわけですから、個々の作品のレベルが高いの当然かもしれません。


展示風景

また、水彩画は我々日本人にとって、西洋絵画の中でも最も受け入れやすいものなのです。基本的に風景を描いているので、知識や解釈を必要とする聖書の主題は登場しません。

また、↑の画像のアレグザンダー・カズンズの作品など「水墨画」に通ずるものがあります。まるで次の展覧会(白隠展)の予告をしているかのようにさえ見えます。日本人にとって馴染み易い主題と画風なのです。


アンドリュー・ニコル《北アイルランドの海岸に咲くヒナゲシとダンルース城
鉛筆、ペンとインク、水彩・紙
マンチェスター大学ウィットワース美術館所蔵

最終章に「自然」をテーマに描いた作品がまとめて展示されています。ガーデニングの国ならではの植物に対する優しい眼差しが感じられる作品たち。

こうした作品が多いのもこの展覧会の大きな魅力のひとつとなっています。世界的にも有名な4,500点以上の英国の水彩画と素描のコレクションを誇る英国マンチェスター大学ウィットワース美術館所蔵の水彩画たち。


チャールズ・ウェスト・コープ「黒板をもつ少女
水彩、グワッシュ・紙

ヴィクトリア朝に描かれたお世辞にも裕福な家庭の子どもには見えない少女を描いた一枚。しかし黒板を小脇にかかえた理知的な眼差しからは、彼女の強い「意志」が感じ取れます。

繊細かつ緻密な彩色がほどこされた気品と優しさあふれる英国水彩画を代表する作品です。

18世紀から19世紀の英国の巨匠たちの水彩画を中心とした約150点の作品により構成される非常に充実した内容の展覧会となっています。

また水彩画は誤魔化しが効かないので画家の技量がそのまま現れます。描き直しも基本できません。真剣勝負です。

「巨匠たちの英国水彩画展」行きたくなって来ましたでしょ!是非是非。12月9日までです。


マンチェスター大学ウィットワース美術館所蔵 巨匠たちの英国水彩画展

会期:2012年10月20日(土)−12月9日(日) 
開催期間中無休
開館時間:10:00−19:00(入館は18:30まで)
毎週金・土曜日は21:00まで(入館は20:30まで)
会場:Bunkamuraザ・ミュージアム(渋谷・東急本店横) 
http://www.bunkamura.co.jp/
主催:Bunkamura、マンチェスター大学ウィットワース美術館、朝日新聞社
後援:ブリティッシュ・カウンシル、ラスキン文庫
協賛:竹中工務店
協力:あいおいニッセイ同和損保、日本航空、丸紅、マナトレーディング株式会社、サンダーソン

巡回:新潟県立万代島美術館:2012.12/18(火)− 2013.3/10(日)

注:会場内の画像は主催者の許可を得て撮影したものです。

【Bunkamuraザ・ミュージアム 展覧会スジュール】


白隠展 HAKUIN
禅画に込めたメッセージ

2012/12/22(土)−2013/2/24(日)
※1/1(火)のみ休館


ルーベンス
栄光のアントワープ工房と原点のイタリア

2013/3/9(土)−4/21(日)
会期中無休

「アントニオ・ロペス展」
「レオ・レオニ展」
http://www.bunkamura.co.jp/museum/

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ターナーからミレイまで 儚く美しき英国水彩画の世界

英国マンチェスター大学ウィットワース美術館は、近代美術を中心とした作品を所蔵していますが、中でも4,500点以上の英国の水彩画と素描のコレクションは世界的に有名で、高い評価を得ています。
本展では、ターナーをはじめとする英国水彩画を代表する多くの画家たちの作品を展覧します。
さらにラファエル前派の画家であるロセッティ、ミレイ、ハントやバーン=ジョーンズら日本でもよく知られる人気の画家たちにも焦点をあてます。18世紀から19世紀の英国の巨匠たちの水彩画を中心とした約150点の作品により、繊細かつ緻密な彩色がほどこされた気品と優しさあふれる英国水彩画の全盛期をご紹介します。

展覧会 | permalink | comments(2) | trackbacks(2)

この記事に対するコメント

こんにちは。ルポありがとうございます。
水彩という画材が好きなので、これ、行ってみようと思っておりました。
楽しみです&#9836;
Tomoko | 2012/10/31 3:01 PM
知識溢れるコメント大変興味深く、また会場内のモリスの家具までご紹介なさる細やかさに楽しくなりながら読ませていただきました。実はこのコレクションを担当した学芸員はイギリス人夫の大学時代の親友デビッド・モリスで、今回の来日で、20年ぶりぐらいに会いました。英国水彩画をご専門とした方ですが、京都奈良を夫と周り、日本美術の古さと、多様性と、奥の深さに感動を受けたようです。書かれているとおり、英国水彩画、日本美術に通ずるとことあるような気が致します。ウィットワースは大学付属美術館なので、学生達がリサーチする機能も備えている美術館だそうです。
貴宮 | 2012/11/02 10:34 AM
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