青い日記帳 

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山口晃 平等院養林庵書院奉納襖絵

平等院内にある養林庵書院(重要文化財)に山口晃さんの襖絵が奉納されました。


平等院:http://www.byodoin.or.jp/

今回、山口さんが襖14枚を奉納した重要文化財「養林庵書院」は桃山城の遺構と伝えられ、狩野派一門(狩野山雪工房)が手掛けた障壁画がある由緒正しき場所。

そんな歴史的空間の隣室(脇の間)に平成の絵師・山口晃さんが果たしてどんな絵を描くのか事前情報全く伝わって来ませんでした。

一体どんな素敵空間に仕上がったのでしょう。早速拝見しましょう。


平等院 養林庵書院(重要文化財)

平成26年3月まで屋根葺き替え及び塗装事業を行っている国宝平等院鳳凰堂の斜め後ろにひっそりと建つ養林庵書院。約450年前の建造物。普段は非公開です。

靴を脱ぎ、木造建築の独特の香りを感じながら先へ進むと廊下が細くなり、少し上り勾配となっています。



かつての宇治橋の橋梁を使用している廊下。この狭い廊下の幅がそのまま宇治橋の幅だったそうです。そしてこの橋を渡り現世から来世(極楽浄土)へ人々が渡ったわけです。

この先に今回山口さんが襖絵を奉納した脇の間があります。もう目の前です。


大きな仕事を(久々に期日までに)やり遂げた達成感に満ちているお顔。
いつも、こうして山口さんがお出迎えしてくれるとよいのですけどね〜

今回奉納した襖絵のタイトルはズバリ「当世来迎図」(当卋来迎図)。

「宇治橋」の廊下から書院へ繋がる継ぎの間という位置を生かし、現世で功徳を積んだ人は三両編成の汽車で悠々と、徳のなかった人は徒歩で極楽浄土(書院)へ向かうというユニークな構図となっています。


山口晃「当世来迎図」(部分)2012年

どうです、このメカメカしい機関車。物心ついた時からメカ的なものをあちこちに描いていたという山口さんの原点とでもいうべきモチーフを如何なく表現しています。

石炭の代わりに「何か」を燃料にして極楽浄土を目指し快走。もくもくと白い雲のような「蒸気」の正体は果たして…実際に作品をご覧になるとその答えが。


山口晃「当世来迎図」(部分)2012年

極楽浄土へgo!

「仏さまの世界へ汽車で向かうなんてけしからん!」と目くじら立てること勿れ、この着想は河鍋暁斎が明治の初めに「地獄極楽めぐり図」の中で用いているのです。

参考:河鍋暁斎が描いた極楽浄土行きの汽車(14歳でこの世を去った小間物問屋・勝田五兵衛の娘の為に河鍋暁斎が描いた作品)

日本のやまと絵の要素や古典絵画を踏まえつつ、現代風にそして自分流に仕立てる山口晃さんのまさに真骨頂。身震いするほど上手いこと描いています。


山口晃「当世来迎図」(部分)2012年

京都駅や京都タワーそして洛中の様々な寺社仏閣の上を飛び越え、一路極楽浄土へ向けて汽車はひた走ります。墨で描かれたモノクロ洛中洛外図。東京圖は未だ完成していませんが、こちらは完璧です。やれば出来る子です。

そうそう京都駅の中に「ミヅマアートギャラリー」もありました。宝探しのように市中、そして京都駅内を目の皿のようにして隈なくじっくり堪能して下さい。正座して。


山口晃「当世来迎図」(部分)2012年

最後の一面に梅小路機関区の扇形庫やターンテーブルを描いちゃうあたりがニクイ!梅小路機関区上空から東寺の塔横に一筋の縦のラインが入っています。その先には「メリーポピンズ」が描かれています。(これにも深いわけが)

さて、極楽浄土は目の前です。

目を横に転じると今までとはまるで雰囲気の違う襖絵が。「南無阿弥陀仏」の文字がまるで藤の花のように描かれています。(実際に平等院にある大きな藤棚をもイメージしているとのことです)


山口晃「当世来迎図」(部分)2012年

そして、襖を少し開けると…

極楽浄土の光が差し込んで来ます!
これこそまさに「二河白道」(にがびゃくどう)に他なりません!!

実はこの襖絵、「藤の花」のように垂れ下がる南無阿弥陀仏の上に薄っすらと二河白道を境に右側には水の河が、左側には火の河をモチーフにした絵が描かれているのです。

狩野派一門(狩野山雪工房)が手掛けた障壁画がある由緒正しき書院へ通ずる「光の道」でもあるのです。時代と時間が積み重なって完成する奇蹟の空間。

いや〜参りました。構想実に3年以上。考えに考え抜いて与えられた空間を見事に生かし(粋で洒脱な要素も忘れずに)ここまで作り上げるとは天晴れです!


養林庵書院 ©平等院
落ち着いた書院と仏間、茶室という三つの要素を持ち、随所に桃山様式を残す。細川山斎(忠興)の作といわれる洗練された平庭枯山水と見事に調和する。

養林庵書院 ©平等院

春と秋に京都市が行っている特別拝観でも滅多に公開することのない養林庵書院が、山口晃さんが襖絵を奉納したことを記念して特別公開しています。この機会を逃すと次はいつ見られるか分からないそうです。

山口晃 襖絵奉納記念『重要文化財養林庵書院』特別公開

公開日:平成24年11月3日(土・祝)、4日(日)、10日(土)、11日(日)、17日(土)、18日(日)、23日(金・祝)、24日(土)、25日(日)、12月1日(土)、2日(日)
時間:10:00〜15:00(退室時間)
拝観料:1300円(平等院拝観料込み)


鳳凰堂修理特別展『初公開!国宝日想観扉絵』
場所:平等院ミュージアム鳳翔館
期間:平成24年10月6日(土)〜平成24年12月14日(金)
※会期中無休

平等院http://www.byodoin.or.jp/

※画像は平等院の許可を得て撮影したものです。

11月26日発売の8年ぶり、待望の最新作品集。予約しました?!

山口晃 大画面作品集(青幻舎)

おまけ:

美術館「えき」KYOTOで開催中の「山口晃展〜山口晃と申します 老若男女ご覧あれ〜」トークショー

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@taktwi

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以前お伝えした山口晃さんの平等院養林庵への襖絵奉納式が11/3に行われました。この日にご招待を受けたので、宇治まで出かけて参りました。鳳凰堂は改修中なのでこんな姿ですが、山口さん的にはツボだったらしいです。          横から覗くとこんな感じ。ます
山口晃 平等院養林庵 襖絵奉納 | What's up, Luke ? | 2012/11/06 10:50 PM