青い日記帳 

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2012年 展覧会ベスト10

辰年も残すところあと僅か。
大掃除も年賀状書きも遅々として進まない年の瀬です。

何よりもまず、今年の展覧会総括として「2012年 展覧会ベスト10」書きまとめておかないと、新しい年を迎えられません。毎年のことながら素人の分際で恐縮では御座いますが、何卒お付き合い頂ければ幸いです。

また同様にブログにまとめられた方いらっしゃいましたら、是非TB(トラックバック)送って頂ければ幸いです。(コメントでも結構です)


歌川広重「どくろの冬景色」

尚、フェルメール「真珠の耳飾りの少女」が来日し話題となった「マウリッツハイス美術館展」ですが、拙ブログ「青い日記帳」のオリジナルコラボレーショングッズ制作企画(「Road to Mauritshuis−マウリッツハイスへの道」プロジェクト)に携わるなどかなり(とても)深入りしましたので、ランキングからは除外しました。


青い日記帳コラボグッズ

「マウリッツハイス美術館展」公式サイトでも紹介されました

「ベスト10」と称し、順位を付けてはいますが、拝見した展覧会に中々甲乙つけ難いものがあります。それでも毎年恒例の縁起もの。これやらないと年を越せないので僭越ながら発表させて頂きます。

王冠22012年 私が観た展覧会ベスト10王冠2


拍手 1位「お伽草子 -この国は物語にあふれている-

サントリー美術館:2012年9月19日(水)〜11月4日(日)
http://www.suntory.co.jp/sma/

絵画好きでありながら、文学好きでもある自分の心をまさに鷲掴みにした展覧会。平安文学や江戸文学は体系的な研究が進められ(研究し尽くされた感もありますが)ているのに対し、鎌倉、室町(江戸も含む)時代に成立した『御伽草子』(おとぎぞうし)はまだまだこれから。「源氏物語絵巻」や室町、江戸絵画に浮世絵そして大津絵などの「ハブ」と成り得るのが「お伽草子絵巻」です。日本の文学と絵画の両面から見ても非常に貴重な展覧会でした。何度も足を運んでその都度新鮮な発見と驚きがありました。文句なしの1位です!もし見逃しちゃった方いたら今のうちに図録だけでもゲットしておくのがよろしいかと。それほど貴重な展覧会でした。

担当学芸員に聞く「お伽草子展」の見どころ。

@taktwi 室町時代の「しぐれ物語」。ピンク色の清水寺に、少女漫画のようなハッキリ二重瞼の美男子。他に類例がない絵巻物。面白過ぎるぞ!「お伽草子展」@サントリー美術館


拍手 2位「シャルダン展― 静寂の巨匠

三菱一号館美術館:2012年9月8日(土)〜2013年1月6日(日)
http://mimt.jp/

ジャン・シメオン・シャルダン(1699年〜1779年)の日本での知名度は低く、ぱっと観ただけではその良さが中々理解できない画家です。表面的な美しさや派手さはありません。しかし、ラ・トゥールやフェルメールにも共通する「宗教的・歴史的主題よりも造形性が勝っている画面」、「観念性よりも詩的な感情に支えられている画面」など、宗教画が苦手な日本人が素直に受け入れられる数少ない画家です。貸出しの難しいシャルダン作品を世界中の美術館から集めてきただけでも凄いことです。本来ならば国公立の美術館が、額に汗して企画するべき展覧会を、企業美術館が収益度外視で開催することに首を傾げつつ、年明けにいま一度足を運んで来たいと思っています。


拍手 3位「美術にぶるっ!」(第2部「実験場1950s」)

東京国立近代美術館:2012年10月16日(火)〜2013年1月14日(月・祝)
http://www.momat.go.jp/

東京国立近代美術館が開館60周年を迎えるにあたり開催した展覧会。4階〜2階までの全フロアを使っての第1部は、所蔵の13点の重要文化財(寄託作品を含む)全点を含む選りすぐりのコレクションを紹介する「MOMATコレクション」のスペシャル・ヴァージョンを展開(西澤徹夫氏によるリニューアルが冴えます)。ここまででしたら「東近美名品展」で終ってしまい、ベスト10入りはしないのですが、1階の第2部「実験場1950s」がとにかく言葉を失うくらい、否、逆に寡黙な人を饒舌にさせる程、素晴らしい展示構成となっていました。美術作品を通して嫌味無くこれほどまでに現代社会に疑問を提示させる展覧会を今まで観たことがありません。3.11以降目に見えない原子力に戦々恐々としながら暮らす我々に対し、「今起こったことでない」ことを叩きつけます。全ては「地続き」であるのだと。“東山魁夷「道」1950年”をあれほどまで「効果的」に見せる展覧会は他にありません。60周年記念をお祝いする展覧会のメイン会場がこの展示とは…東京国立「近代」美術館のプライドを垣間見ること出来ました。


拍手 4位「会田誠展 天才でごめんなさい

森美術館:2012年11月17日(土)〜2013年3月31日(日)
http://www.mori.art.museum/

まだ描きかけだそうですが新作「電信柱、カラス、その他」の前に立つだけで、背筋が凍る思いがします。長谷川等伯が、息子の久蔵を26歳の若さで亡くした悲しみを六曲一双の屏風に表現した「松林図屏風」の本歌取りの作品です。現代アーティストの会田誠はそれではどんな悲しみをこの新作に託し描き続けているのでしょう?それは東日本大震災で津波で命を落とした人々そして残された人々全てです。当然その中には「自分」も含まれます。オブラートに包まずめちゃくちゃ上手い画力で目をそむけたくなる場面を表現しています。展覧会には、歴史問題から、政治、風刺画、写真、立体、ビデオ作品そしてエロティスムまで、これまでの会田誠の作品がほぼ時系列で紹介されています。こんな凄い作家と同じ時代に生きていることに幸せを感じる絶対に見逃せない展覧会です。


拍手 5位「セザンヌ−パリとプロヴァンス

国立新美術館:2012年3月28日(水)〜 6月11日(月)
http://www.nact.jp/

セザンヌ好きとしては、絶対に落とせない展覧会でした。と言うか、美術ファンであるなら必ず観ておかなくちゃいけない展覧会でした。ポール=セザンヌの与えた影響や今更語る必要もありません。絵画を好きになりしばらく観ていると必ずセザンヌに行きつきます。そして無性に観たくなります。今回の「セザンヌ展」は日本で観られる最後のチャンスでした。多分今後この規模の「セザンヌ展」は日本では観られません。(同じアジアであるなら中国や中東に貸出しするのが世の中の流れです)

林綾野さんと観る「セザンヌ展」


拍手 6位「三都画家くらべ 京、大坂をみて江戸を知る

府中市美術館:2012年3月17日(土)〜5月6日(日)
http://www.city.fuchu.tokyo.jp/art/

これほど情報化が進んだ現代でも東京と関西では、活躍する作家さんに違いがあります。況や交通手段が基本「徒歩」しかなかった江戸時代においては、ある意味で江戸、京都、大阪は「外国」のような感覚であったことでしょう。そんな当り前のことを絵画によって教えてくれる展覧会が「三都画家くらべ」でした。「伊藤若冲は、江戸では流行しなかった」えっと思うかもしれませんが、確かでしょう。三都の特徴を「大坂の文人画、江戸の西洋画、京の奇抜」と端的に表しそれに基づいた展示は、江戸絵画のこれまでとは違った見方を提示してくれました。


拍手 7位「中国 王朝の至宝

東京国立博物館:2012年10月10日(水)〜12月24日(月・休)
http://www.tnm.jp/

日中国交正常化40周年を記念して開催された展覧会。同じトーハクで開催された「北京故宮博物院200選」も「清明上河図」がやって来るなど大変な話題となりましたが、展覧会の内容的には圧倒的に「中国 王朝の至宝展」が面白く、見応えがありました。中国歴代王朝の中でもとりわけ「楚」の時代の作品は軽い混乱さえ覚えるほどトリッキーなものが多くあります。まだ仏教美術がメインに座る前はこれほどまでに豊かで自由な、アニミズム的な作品が作られたのかと感心し驚くばかりでした。強引に友人を連れて行ったりもしたな〜面白さ分かってもらいたくて。(あれだけ広大な中国から一点一点貸出し交渉に当たり展覧会を成立させたと想像するだけでもホント天晴れです)

来年(2013年)も神戸、名古屋、福岡と巡回するそうです。
http://china-ocho.jp/


拍手 8位「国立トレチャコフ美術館所蔵 レーピン展

Bunkamuraザ・ミュージアム:2012年8月4日(土)〜10月8日(月・祝)
http://www.bunkamura.co.jp/

展覧会で一生忘れることのない作品に出逢うことあります。今回の「レーピン展」では「思いがけなく」という作品がそれでした。大げさでも何でもなく、この作品を観て絵に対する考え方が根本から変わりました。人生観をも変えてしまう程の衝撃を受けました。そんな人の心を揺さぶってしまう秘めた力をレーピンは持っていたのかもしれません。Twitterで「レーピン展」を観て来た旨をツイートしたところ、海外在住の方から「日本はなんて恵まれているんだ。レーピンの展覧会が開催されるなんて!」と驚きと羨望のリプがありました。「シャルダン展」もそうですが、日本ではあまり名の知れていない海外の有名作家を紹介する展覧会を開催してくれるのは本当に有難いことです。

中野京子氏「怖い絵で読み解くレーピン展」


拍手 9位「生誕100年 船田玉樹展

練馬区立美術館:2012年7月15日(日)〜9月9日(日)
http://www.city.nerima.tokyo.jp/manabu/bunka/museum/ 

練馬区立美術館で開催された中村正義展や磯江毅展の時も「こんな画家が日本にいたのか!」と驚きを禁じ得ませんでしたが、またまた同じ否それを上回る衝撃を受けることになりました。

船田玉樹(ふなだぎょくじゅ)
速水御舟、小林古径に師事し日本画を学んだ後、シュルレアリスムや抽象主義などを取り入れ、日本画を基礎にした前衛表現を戦中まで追究。戦後は郷里の広島にひきこもって創作を続け、様々な画材と向き合う日々。その作品は、芸術の精髄を正統に受け継ぎ、精緻にして絢爛、端麗にして華美、そして豪胆そのもの。60歳を過ぎた時、クモ膜下出血に倒れ右半身が不自由となりながらも、玉樹は右手で筆を持つことにこだわり、修練を続けた。


真夏の殺人的な日差しが照りつける日に拝見した展覧会でしたが、日本画の素晴らしさあらためて認識すると共に、名前すら知らなかった孤高の日本画家の作品に魂揺さぶられました。

2013年1月21日(月)〜2013年2月20日(水)広島県立美術館へ巡回します。
(そう言えばこんな話題もありましたね。「広島県立美術館で学芸員が監視員に」)


拍手 10位「ジャン=ミシェル オトニエル:マイ ウェイ

原美術館:2012年1月7日(土) 〜 3月11日(日)
http://www.haramuseum.or.jp

ラストはシンプルに今年最も美しかった展覧会「マイ ウェイ」を。原美術館の展示室がオトニエル作品で埋め尽くされました→ジャン=ミシェル オトニエルの世界

村上隆さんもツイッターで反応。
takashi murakami @takashipom @taktwi http://t.co/VFX8r8FG - おお!ジャンミッシェッル!頑張っとるよぉ〜!彼はほんまえらす人です。

デートで行きたい美術館」でも常にトップの座に君臨する素敵空間「原美術館」をオトニエルの作品が更にグレードアップ!展示の妙も冴え渡った展覧会でした。


以上、独断と偏った嗜好により選んだベスト10です。ギャラリーでの個展やイベント系の展覧会はランキングから除外しました。

「ベスト10」に惜しくも入らなかったものの、選出の際に二重丸を付けた展覧会を列挙しておきます。いずれも甲乙付け難く最後の最後まで悩んだ展覧会です。(以下順位不同)

「珍獣?霊獣?ゾウが来た!」@長崎歴史文化博物館
「ボストン美術館 日本美術の至宝」@東京国立博物館
「大友克洋GENGA展」@3331Arts Chiyoda
「アラブ・エクスプレス展」@森美術館
「福田平八郎と日本画モダン」@山種美術館
「藤田嗣治と愛書都市パリ」@渋谷区立松濤美術館
「フラワースケープ」@川村記念美術館
「さかざきちはるの世界展」@市川市吉澤ガーデンギャラリー
「KORIN展」@根津美術館
「須田悦弘展」@千葉市美術館
「川村清雄展」@江戸東京博物館
「江戸の判じ絵」@たばこと塩の博物館
「月岡芳年展」@太田記念美術館
「雪と氷」@館林美術館
「リヒテンシュタイン展」@国立新美術館
「篠山紀信 写真力」@東京オペラシティ アートギャラリー
「ジャクソン・ポロック展」@東京国立近代美術館
「和のよそおい」@山種美術館
「杉本博司 ハダカから被服へ」@原美術館
「おもしろびじゅつワンダーランド」@サントリー美術館
「奥絵師・木挽町狩野派」@板橋区立美術館
「草間彌生展」@埼玉県立近代美術館
「KATAGAMI Style」@三菱一号館美術館
「古道具その行き先」@渋谷区立松濤美術館
「松本竣介展」@世田谷美術館

ご参考までに2004年〜2008年までのベスト10はこんな感じでした。
2004年 展覧会ベスト10
2005年 展覧会ベスト10
2006年 展覧会ベスト10
2007年 展覧会ベスト10
2008年 展覧会ベスト10

2009年 展覧会ベスト10
2010年 展覧会ベスト10
2011年 展覧会ベスト10

こちらもご参考までに。
かみさんが選ぶ「2012年 展覧会ベスト10」
プロが選ぶ「2012年 ベスト展覧会」

※皆さんもご自身のブログで同じように今年の展覧会を振り返るような記事書かれた方いらっしゃいましたら是非是非トラックバック送って下さい!

こちらは、図録放出会でもお世話になった@sorciere4 さんが選んだ2012年展覧会ベスト10です。

森美術館「会田誠展:天才でごめんなさい」
21_21 DESIGN SIGHT「田中一光とデザインの前後左右」
埼玉県立近代美術館「草間彌生 永遠の永遠の永遠」
国立国際美術館「宮永愛子:なかそらー空中空ー」
東京都写真美術館「川内倫子展 照度 あめつち 影を見る」
横浜美術館「奈良美智展 君や 僕に ちょっと似ている」
東京都現代美術館「館長 庵野秀明 特撮博物館」
国立新美術館「与えられた形象 辰野登恵子/柴田敏雄」
三菱一号館美術館「ルドンとその周辺ー夢見る世紀末展」
ブリヂストン美術館「あなたに見せたい絵があります。」


年明け1月13日にこんなイベント開催予定しています。ご参加して頂ける方是非是非!

[史上初!]参加型web展覧会座談会〜2013展覧会を語る〜

参加ご希望の方はこちらから申し込みサイトへ。


TBやリンクは各記事同様大歓迎です。
ブログをお持ちの方、ベスト10でなくとも今年ご覧になった展覧会で印象に残っているものでも何でも結構です。記事書かれたら是非TB送って下さい。

ブログ書かれていない方は「コメント」に書き込んで頂けると嬉しいです。宜しくお願い申しあげます。(コメントにはお返事いたしません。ご了承願います。)


Twitterやってます。
@taktwi


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- | - | 2013/07/29 8:02 PM
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2012年ベスト 展示編 | -scope | 2013/11/08 7:19 AM