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「ロバート・キャパ/ゲルダ・タロー 二人の写真家」

横浜美術館で開催中の
「ロバート・キャパ/ゲルダ・タロー 二人の写真家」展に行って来ました。


展覧会公式サイト

ロバート・キャパ(本名、アンドレ・フリードマン 1913年〜1954年)と、ゲルダ・タロー(本名ゲルタ・ポホリレ 1910年〜1937年)の二人の写真展。しかし単なる二人展ではありません。

誰しもが知る「ロバート・キャパ」という写真家は、実はアンドレ・フリードマンとゲルダ・タロー(本名ゲルタ・ポホリレ)という男女二人が自分たちの写真を売り込む為に作り出した架空の名前なのです。

”女性初の報道写真家“と称されるタローが1937年にスペイン内戦のさなか26歳の若さでこの世を去った後、公私ともにパートナーであったアンドレ・フリードマンが、インドシナで地雷を踏み40歳で命を落とすまでの間「ロバート・キャパ」の名を継承しました。

Wikipediaにも「ロバート・キャパ」と「ロバート・キャパ (架空の人物)」の二つの項目があるのはそんな理由からです。


「ゲルダ・タロー Gerda Taro Retrospective」 展示風景

83点の写真全てが日本初公開となるゲルダ・タロー(女性ですが、タローという名前はモンパルナスに滞在していた岡本太郎の名を貰ったものといわれています)

【展示構成】
1 1936年
2 1937年


恋人であるキャパ(アンドレ・フリードマン)と二人で撮影したスペインを舞台とした戦争写真が並びます。中にはかなり凄惨なシーンを収めたものも。

キャパよりもカメラを手にするとかなり勝気な性格であったことが伺えます。所謂女性らしい視点からの写真は見られません。身の危険も顧みず夢中で目の前で起きている人と人の殺し合いをある種冷静に捉えています。


撮影者不詳「ゲルダ・タロー、グアダラハラ戦線」1937年7月 ©ICP

「家族旅行を楽しんでいる姿をゲルダ・タロー」と、キャプションに記されていても全く違和感ありませんが、この写真が撮られた数日後にタローが乗った車は戦車に衝突され帰らぬ人となります。

戦場の取材中に命を落とした最初の女性写真家となるのです。

感傷的な気分でタローの戦場写真を眺めていましたが、次のセクション「ロバート・キャパ」を観終えるとそれとは違った角度からタローの写真が観たくなります。あまりにも有名なこの一枚の写真にその理由があります。


ロバート・キャパ「共和国軍兵士、コルドバ戦線、スペイン」1936年9月初旬 ©ICP/Magnum Photos、『ライフ』1937年7月12日号

「ロバート・キャパ」の名を一躍世間に知らしめた出世作でもある決定的瞬間を捉えた写真ですが、様々な論議があるのはご承知の通りです。例えば本当に「撃たれた瞬間」であるのか等々。

それは今回の展覧会でも丁寧に解説がなされています。その一部を引用しておきますね。
共和国軍の民兵が、見晴らしのよい丘を下る途中で敵の銃弾に撃たれた瞬間をとらえたとされるこの一枚は、「崩れ落ちる兵士」の名でしられる。内線初期のコルドバ戦線でゲルダ・タローと一緒に取材していた際に撮影された。その翌年、この写真が『ライフ』で紹介されたのをきっかけに、報道写真家ロバート・キャパの名は一躍世界的なものとなる。

その後、この写真がとらえた兵士の「死」の真偽などをめぐって激しい論議が巻き起こった。現時点においても、確証が得られたのは、撮影場所がエスペホという村の近くであったことのみである。また最近では、この写真の撮影者がタローではないかとする沢木耕太郎氏による論説も発表されている。
ここで注目すべき点は、やはり沢木耕太郎氏の「撮影者はキャパではなくタローであった。」という新説です。

これは、2012年12月10日(月)発売の月刊『文藝春秋』2013年 01月号に「キャパの十字架」と題し100ページ以上の大ボリュームで掲載されています。

精読するには時間を要しますが、「ロバート・キャパ/ゲルダ・タロー 二人の写真家」展を観に行かれる前にどうしても読んでおきたい論文、ドキュメンタリーです。

そうなってくると、俄然ゲルダ・タローの日本初公開写真83点が重要になってきます。「共和国軍兵士、コルドバ戦線、スペイン」(「崩れ落ちる兵士」)の撮影者は果たしてキャパなのかタローなのか…そんな視点でこの展覧会を通して観るとまるで見え方が変わってくるはずです。


「 ロバート・キャパ Robert Capa Centennial」展示風景

【展示構成】
1 フリードマンからキャパへ
2 スペイン内戦
3 日中戦争〜第二次世界大戦 I
4 第二次世界大戦 II
5 インドシナまで


第二次世界大戦の「Dデイ」のルポルタージュ(1944年)や日本滞在期の風俗写真(1954年)から死の直前に撮影した写真までの横浜美術館が所蔵する193点の作品を一挙公開(横浜美術館としては初めてだそうです)

その中には日本で初公開となるキャパの写真も含まれています。あまりに有名過ぎて「既視感」あるかもしれませんが、タローの件も含め、この展覧会は一味も二味も違います。

「ロバート・キャパ/ゲルダ・タロー 二人の写真家」展は3月24日までです。


ロバート・キャパ/ゲルダ・タロー
二人の写真家
Two Photographers:
Robert Capa Centennial / Gerda Taro Retrospective


開催期間:2013年1月26日(土)〜3月24日(日)
休館日:木曜日
開館時間:10時00分〜18時00分(入館は17時30分まで)
会場:横浜美術館
(〒220−0012 横浜市西区みなとみらい3−4−1)
http://www.yaf.or.jp/yma/

主催:横浜美術館、朝日新聞社
企画監修(ゲルダ・タロー):ICP(国際写真センター、ニューヨーク)
後援:横浜市、NHK横浜放送局
特別協力:マグナム・フォト東京支社、CP+(シーピープラス)2013
協力:日本航空、みなとみらい線、横浜ケーブルビジョン、FMヨコハマ、首都高速道路株式会社
※この展覧会はフォト・ヨコハマ2013に参加しています。

注:会場内の画像は主催者の許可を得て撮影したものです。

こちらも併せて。


アメリカ写真の黎明
2013年2月2日〜2月24日
横浜市民ギャラリーあざみ野
http://artazamino.jp/

あざみ野 フォト・アニュアル 写真家 石川真生―沖縄を撮る +平成24年度横浜市所蔵カメラ・写真コレクション展 アメリカ写真の黎明


「ロバート・キャパ/ゲルダ・タロー 二人の写真家」に、「CAPA Cafe(キャパ・カフェ)」が登場。
横浜美術館のカフェ小倉山で、展覧会担当学芸員が横浜市内のコーヒー豆メーカーと開発した「キャパ・ブレンドコーヒー」と「タロー・ブレンドティー」や展覧会限定メニューが!

※詳しくはこちらから。

Twitterやってます!
@taktwi

この記事のURL
http://bluediary2.jugem.jp/?eid=3135

JUGEMテーマ:アート・デザイン


世界で最も著名な写真家のひとり、「ロバート・キャパ」ことアンドレ・フリードマン(1913年生/1954年没)が生まれて今年で一世紀が経ちます。しかしこの「ロバート・キャパ」という名が、当初フリードマンとドイツ人女性ゲルダ・タロー(本名ゲルタ・ポホリレ、1910年生/1937年没)の二人によって創り出された架空の写真家であったという事実は、あまり知られていません。

1934年にパリで出会い意気投合した二人は、1936年春に「ロバート・キャパ」という架空の名を使って報道写真の撮影と売り込みをはじめます。仕事が軌道に乗りはじめてほどなく、フリードマン自身が「キャパ」に取ってかわり、タローも写真家として自立していきますが、その矢先の1937年、タローはスペイン内戦の取材中に命を落とします。タローの存在とその死は、キャパのその後の活動にも大きな影響をおよぼしたといわれています。

本展覧会は、キャパとタローそれぞれの写真作品による二つの「個展」で構成されます。死後50余年を経てなお絶大な人気を誇るロバート・キャパと、その陰でほとんど紹介されることのなかったゲルダ・タロー。約300点にのぼる豊富な写真作品と関連資料によって二人の生涯と活動の軌跡を辿りながら、両者の深いつながりと個性の違いを浮かび上がらせていきます。

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『ロバート・キャパ/ゲルダ・タロー 二人の写真家』写真展を観に行きました。最後の三分の一くらいは、展示されている写真を見ずに、展示室の真ん中を足早に歩きました。報道写真が私に与えたインパクトが大きく、