青い日記帳 

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『江戸の献立』

新潮社とんぼの本より刊行された『江戸の献立』を読んでみました。
とんぼの本サイト→http://www.shinchosha.co.jp/tonbo/


江戸の献立』(とんぼの本)
福田浩/著 松下幸子/著 松井今朝子/著

江戸の町に居酒屋ができたのが、今からざっと300年前の宝暦年間(1751〜64年)のことだそうです。今流行りの立ち飲み屋形式の屋台で、その当時も上司の愚痴を酒の肴にしグイッと一杯ひっかけていたのでしょうか。

江戸時代の人々がどのような食事をしていたのかをどのような資料から今の私たちは知ることが出来るのでしょうか?『江戸の献立』(とんぼの本)によると、日記や年中行事を記した文献以外に、何と当時から調理方法を記した「料理本」が数多く刊行されていたそうです!

クックパッド」にアクセスしレシピ検索するように、江戸の人々も「料理本」を見ながら献立を考えていたとは驚きでもあり、逆に妙に納得出来てしまう点もあります。


鍬形澪悄近世職人尽絵巻」(部分)江戸時代(19世紀)
東京国立博物館蔵

おでんやイカ焼き、豆腐屋に蒲鉾屋。江戸時代の様々な食のお店が描かれています。画像は天麩羅屋。現在の「日本食」(和食)に括られる寿司や蕎麦、それに鰻のかば焼きもみな江戸時代に誕生したもの。

そういえば、池波正太郎の時代小説を読む楽しみのひとつに「江戸の食」がありますものね。料理好きの父親は読み終えるたびに実際に小説に登場した料理をこしらえてくれたものです。

江戸の献立』(とんぼの本)では、料理のプロが文献を元に江戸時代の食事を再現しています。美麗な写真が唾液腺の働きを活発にさせお腹がぐーーと。



【目次】
一月 大店のお正月―『家内年中行事』より/
二月 御畳奉行、朝まで痛飲す―『鸚鵡篭中記』より
三月 黄門様、精進で宴会―『日乗上人日記』より
四月 旅の楽しみ旅篭ごはん―『伊勢参宮献立道中記』より
五月 贅を尽くした食通の昼餐―『献立懐日記』より
六月 海の幸豊かな越後の宴―『柏崎日記』より
七月 大名家、七夕のお祝い―「慶応二年御献立帳」より
八月 流行作家、孫の誕生祝い―『馬琴日記』より
九月 御家人、引き継ぎの宴―『官府御沙汰略記』より
十月 下級武士、友人宅におよばれ―『酒井伴四郎日記』より
十一月 中級武士宅での豪華な酒宴―『石城日記』より
十二月 隠居大名、観劇の宵―『宴遊日記別録』より


再現された江戸時代の食事をながめつつ、お祝いの席や酒宴を彩った屏風絵や襖絵がどんなものであったのか、想像の翼が広げタイムトラベル……贅沢な時間です。

酒井抱一が口にしていた食事はどんなものだったのでしょう。。。また、この本には浮世絵に描かれた食事も登場し、絵画ファンの心も否応なしに惹きつけます。


歌川豊国「当世四季之詠冬之部
安政4年(1857年)

食事の場面はそうした文献からだけでなく、浮世絵にも頻繁に描かれています。『江戸の献立』では松下幸子氏が「芝居小屋の料理」と題した興味深いエッセイを書かれています。

芝居小屋の様子を描いた歌川豊国「当世四季之詠冬之部」も『遊宴日記別録』に残された食事の記録からどんなものを口にしていたのか類推出来ます。


『遊宴日記別録』より再現された料理。

これまで、西洋絵画に描かれた食事について記された本は宮下規久朗先生の『食べる西洋美術史』など優れた名著がありましたが、日本絵画では『描かれた食卓』に数点紹介されているだけでした。


食べる西洋美術史 「最後の晩餐」から読む』 (光文社新書)宮下規久朗
描かれた食卓―名画を食べるように読む』 (生活人新書)磯辺勝

まるごと一冊、しかも江戸時代に限定した史実に基づいた料理紹介本。何とレシピ付きです!!プロの料理人のように再現は出来ずとも、自分で作ってみることで、江戸の人々との距離が一歩でも近づければしめたものです。

次から美術館・博物館で江戸絵画と対峙する時も、きっと違った見方が出来るはずです。断片的ではなく横断的に文化に触れることが、その時代を知る近道でもあり王道でもあります。
江戸の人々はどんな献立を、どんな思いで食べていたのか? 名人が再現!
素材も調理法も食べかたも、いわゆる「日本料理」は江戸時代に始まった。水戸黄門の宴会料理や滝沢馬琴のある日の昼餐、お伊勢参りの旅籠の食事や、元禄御畳奉行の深酒の晩など、著名人から無名の武士まで古文献にもとづく献立を、名店「なべ家」主人が正確に再現。当時の食卓をかこむ人々の心に寄りそうエッセイ、レシピも充実。

江戸の献立』(とんぼの本)
福田浩/著 松下幸子/著 松井今朝子/著

本書は、古文献にもとづき、水戸黄門の宴会料理や作家馬琴のある日の昼餐、お伊勢まいりの旅篭の食事や元禄御畳奉行の深酒の晩など、著名人から無名の武士まで、史実に残る献立12組を名店「なべ家」主人が正確に再現。当時の食卓をかこむ人々の心に寄りそうエッセイ、いまでも作れるレシピも充実の「江戸のたべもの」案内記です。

【著者紹介】
福田浩 : 料理家。大塚「なべ家」主人。1935年東京都生れ。早稲田大学文学部卒業。家業のかたわら古い料理書の研究や江戸時代料理の再現に力を注ぐ

松下幸子 : 食文化研究家。千葉大学名誉教授。1925年埼玉県生れ。東京女子高等師範学校家政科卒業。調理学を経て、江戸時代の料理書研究を専門とする

松井今朝子 : 作家。1953年京都府生れ。生家は祇園の料理屋。早稲田大学大学院文学研究科演劇学修士課程修了。松竹株式会社に入社し、歌舞伎の企画制作に携わる。松竹を退職後はフリーとなり、1997年『東洲しゃらくさし』(PHP研究所)で作家デビュー。同年『仲蔵狂乱』(講談社)で時代小説大賞、2007年『吉原手引草』(幻冬舎)で直木賞を受賞

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