青い日記帳 

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「日本美術全集」法隆寺と奈良寺院

昼休みの何気ない会話の中でで「法隆寺」が話題として出てきました。男性4人それぞれ法隆寺に行ったことはあるものの、学生時代、修学旅行で行ったのが最後、大人になってからは一度も行っていないことが判明しました。

奈良・法隆寺とは言うものの、野生の鹿の合間を縫って訪ねる興福寺や東大寺、春日大社とはかなり距離を隔てた、謂わば「辺鄙」な場所にあるため、観光ついでに立ち寄れるお寺ではありません。(それは薬師寺も同様です)


日本美術全集2 法隆寺と奈良の寺院』 (日本美術全集(全20巻))

昨年12月末に刊行となった、こちらの本を帰宅しあらためたぱらぱらとながめて見ると、如何に法隆寺についての印象が曖昧であったことが露呈し、独り恥かしくなります。

一体嘗て見たはずの法隆寺は何だったのかと自問自答せずにはいられません。

教科書や日本史の資料集で散々目にしたはずの「釈迦三尊像」ですら、まるで別物に見えてくるのです。これは間違いなく自分にとっての「事件」でした。

小学館創業90周年記念企画 日本美術全集 全20巻


日本美術全集2 法隆寺と奈良の寺院』より

法隆寺金堂内陣にて新規撮影を敢行。釈迦三尊像、薬師如来像や両脇侍が加わった阿弥陀三尊像が座し、天蓋や台座も修復を終えた法隆寺金堂内陣の新たな美に見(まみ)えます。」とパンフレットに謳われていたのもまんざらでもないどころか、紛れもない真実でした。

正直、これまで2回しか日本の仏教の源である法隆寺に行ったことがなく、しかも見識もなく、ただ訪れ見ただけといった有り様でした。

そんな自分にとって、この本はまさに「天恵」のような一冊です。



自宅の炬燵に居ながらにして、超美麗な法隆寺の仏像たちの写真を観ることが出来るのですから。(しかも↑の画像のように背面からの写真や、部分のアップ等「そこが見たかった!」と思わず膝を叩いてしまう要所を抑えた写真満載)

法隆寺金堂内陣は、普段は大変暗い上に太い円柱に加え、金網が廻らされており、その詳細はなかなか見ることができません。今までに撮影された写真も鮮明さということでは満足のゆくものではありませんでした。今回は最新の撮影技術により、南面(正面)のみならず、北面(背面)からも撮影。その結果、全く見たことがない写真を目の当たりにすることになりました。仏像の質感と量感、豊かな色彩に感嘆し、感動をおぼえる一冊となっています。



図版だけでも、188点も収録されています。当然ですがそれぞれに解説も付されています。解説ではカラー図版とは別に、説明用のイラストもふんだんに盛り込まれており、専門家の解説もまさに手に取るように分かります。

ちょっと失礼ですが、まさかこれほどまで充実した内容、出来栄えとは思ってもいませんでした(小学館さんゴメンなさい)



それと、何と言ってもその大きさも魅力です。サントリー美術館の「歌舞伎展」の図録と並べてみてもその大きさ一目瞭然。この見開きまたは観音開きで撮り下ろしの美麗な仏像写真が展開されるわけです。

百済観音の怖ろしいこと…

和辻哲郎、亀井勝一郎、高村光太郎そしてフェノロサに見せてあげたい法隆寺、百済観音の見たこともない(あたりまえか…)カラー図版がページ全体を覆うようにし掲載されています。梅原猛に改めて意見伺いたいものです。

最後の紙媒体での全集本と言われている「日本美術全集」の最初の配本を何はともあれこの目で見ておきたかったので手に入れましたが、間違いなく正解でした。

そうそう、「全集」ですが、一冊から購入可能です。
全部揃えるのは無理でも、せめて自分の興味関心のある時代、分野の号は手に入れておいて間違いなしです。Amazonからでも買えますしね。

華やかな本を贈り物に
フランスに倣い、贈り物としても喜ばれそうです。


小学館創業90周年記念企画 日本美術全集 全20巻

配本ラインナップが一覧で示されています。
これから二ヶ月に一度、偶数月の25日に新刊が順次発売になるそうです。


日本美術全集2 法隆寺と奈良の寺院』 (日本美術全集(全20巻))
長岡龍作(責任編集)

おまけ:
こうした全集本には必ずおまけが挟まれてくるもの。「日本美術全集」にも「月報」と題した小冊子が付いてきました。それにはなんとあの宮下規久朗先生が文章を寄稿されていたりもします。

一部ですがご紹介しておきます。相変わらず読ませますよね〜

その時、西洋ではー
法隆寺とアヤ・ソフィア  宮下規久朗(神戸大学准教授)


斑嶋の地に立つ法隆寺は現存する世界最古の木造建築群であり、日本の仏教美術の原点である。金堂や五重塔の建築のほか、釈迦三尊像や百済観音といった仏像や壁画など、国宝・重文のみでも約一九〇点を蔵し、あらゆる点で飛鳥文化を代表する記念碑となっている。その魅力は本書で十分に堪能できるはずだ。
6世紀末から8世紀初頭に至る飛鳥時代は、北魏や六朝の影響によって日本の仏教文化が開花した時代であった。これに対し、このころの西洋は、いまだ西ローマ帝国崩壊後の混乱期にあり、一種の暗黒時代であった。文化の中心はイタリアやフランスではなく、東方のコンスタンティノープルを都とした東日-マ帝国(ビザンツ帝国)にあった。
古代のローマ帝国は、ヨーロッパから西アジア、北アフリカの大半を支配した空前の大帝国であったが、やがてその巨大な帝国を維持することが困難となり、4世紀末に東西に分裂。西ローマ帝国は、ゲルマン民族の流入によって弱体化し、ついに四七六年に滅亡する。東ローマ帝国はその後も一四五三年にオスマン・トルコに征服されるまで約一〇〇〇年間も続き、中世の西洋文化の中心でありつづけた。
ローマ帝国では、三二二年、コンスタンティヌス大帝がキリスト教を公認し、この世紀の末にテオドシウス帝がこれを国教とした。瓦解しつつある大帝国を一神教の厳しい精神性によって統一しようとしたのだが、キリスト教美術が誕生すると同時に、帝国末期から美術様式は徐々に古代の自然主義的な作風から離れていった。それがビザンティン美術となって存続したのである。その意味で、中世は古代と隔絶した時代ではなく、東方において古代文化がなだらかに続いていたと見ることもできよう。(続く)

『日本美術全集』編集部公式ブログも面白いですよ!要チェックです!!

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この記事に対するコメント

今晩は。この全集、なかなか丁寧な作りだと思いました。西の京、明日香、斑鳩町はそれぞれ個別にじっくり回るところ、じっくり浸るところであると思ったりいたします。京都の寺社めぐりとひかくすればその密度は明らかに濃いという気がします。
読みごと | 2013/02/21 1:07 AM
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