青い日記帳 

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「円山応挙展」

愛知県美術館で開催中の
開館20周年記念「円山応挙展 ―江戸時代絵画 真の実力者―」に行って来ました。


「円山応挙展」公式サイト
http://event.chunichi.co.jp/okyo/

2004年に江戸東京博物館で開催された特別展「円山応挙<写生画>創造への挑戦」以来となる久々の大規模な応挙展。

伊藤若冲、曽我蕭白、それに応挙の弟子である長沢芦雪たちが「奇想の画家」として注目をぐんぐん浴び、数多くの展覧会で取り上げられるのに対し、当時京都で名実共に人気を博していた応挙の本当の凄さを知ることが出来る展覧会です。

展覧会の目玉作品は何と言っても兵庫県・大乗寺の応挙とその弟子たちが描いた襖絵の再現展示!しかし派手な空間再現展示だけではなく、今回の「円山応挙展」のもうひとつの見どころは、中国絵画との関連性です。


第1章:「リアルに見えること」の追求 展示風景

それと同時に、応挙は、当時ヨーロッパからもたらされた透視遠近法(近くのものを大きく、遠くのものを小さく一点に収束するように描く)を積極的に取り入れ、それまでフラットだった日本画に立体感を初めてもたらしたパイオニア的存在でした。

これが応挙が「写生画の租」と言われる所以です。

しかし、目の前に存在する事物や風景をありのままに写した作品を現代の我々は、「普通のモノ」と見なしてしまいます。口の悪人は「面白味の無いつまらないモノ」と応挙の作品を蔑んだりさえします。


第2章:伝統としての写実 展示風景

そうした応挙へ誤った評価は少なからず、自分の中にもありました。9年前に江戸博で「円山応挙展」を観た時の感想がまさにそうでした。

ここで、周辺の京都の画家たちを整理・確認しておきます。

伊藤若冲(1716年〜1800年)
池 大雅 (1723年〜1776年)
曾我蕭白(1730年〜1781年)
円山応挙(1733年〜1795年)
長沢芦雪(1754年〜1799年)


「写生派の祖」と呼ばれ、大御所的なイメージの応挙ですが、こうして見ると決してそうではないことよく分かります。若冲と応挙では実に17も歳の差があるのです。

つまり、若冲に比べ、応挙の方が「後発組」となるのです。ここにポイントがあります。中国絵画を当時の江戸時代の絵師たちは当然学びます。それにプラスαの自分らしさを加味します。リアルに描くことでは既に上に若冲がいます。そこで応挙が目を付けたのが西洋からやってきた透視遠近法なのです。

透視遠近法で描かれた作品は当時の人々にとっては、まるで手品のように見えたことでしょう。それは我々が初めて3Dの映像を目にした時よりも、遥かに驚きを持って向かい入れられたはずです。

その証拠に、応挙が描いた「眼鏡絵」(透視遠近法を駆使し三十三間堂等を描いた小品)は「見世物」として大変評判を博したそうです。


円山応挙「眼鏡絵(日本名所) 三十三間堂通し矢図」

これを初めて目にした江戸時代の人々の驚きぶりは容易に想像が出来ます。それまで平面(2次元)の作品しか無かったのですから。

そしてここで習得した3次元表現を自らの作品にどんどん用いて行くのです。応挙が描いた孔雀の絵等を観るとわざと首をこちら側(鑑賞者)にひねった姿で表現されています。飛び出す絵画そのものです。

東大の佐藤康宏先生が「応挙はヘンタイだ」と仰るのも良く分かります。こんなミラクルなことを本当にやってしまうのですから…しかも絶対的な他を寄せ付けぬ技量を備えて。

そうまさに、トリックアートの世界です。


第3章:現実空間との連続性=トリックアート 展示風景

展覧会の構成は以下の通りです。

第1章:「リアルに見えること」の追求
第2章:伝統としての写実
第3章:現実空間との連続性=トリックアート
第4章:技法への確信
終章:応挙画はなぜ好まれ/嫌われたのか?


もっと知りたい円山応挙』で樋口一貫氏(三井記念美術館学芸員)がこう書かれています。
応挙の絵画は実物そのままのように見える。応挙は美しい絵を描く絵師である。それはちゃんとした“正しいもの”のように思われがちだ。酷いことに、だから個性的でない、と言わんばかりに。しかし、奇想の強烈な個性たちと比較して、応挙の写生は本当に没個性的だなどということができるだろうか。
西洋画に慣れ親しみ三次元的な表現の絵画をごく当たり前のもとの捉えてしまう我々の目には、応挙よりも若冲たちの二次元的な絵画に「新しさ」を感じてしまいます。

ただし、前述した通り、順序が逆なのです。

スタンダードとされる応挙が居てこそ、エキセントリックな若冲が存在するのです。

名古屋へ今こそ行かねばなりません!(「円山応挙展」巡回無しです)応挙を知ることで、更に若冲や蕭白、芦雪らの見方も深みを増します。行くだけの価値は十分あります。だってこれですから。



兵庫県大乗寺の客殿二間、襖24面分のガラスケースなしの障壁画空間を再現

単にお寺にある通りに並べただけでなく、大乗寺の柱の色味に合わせて作られた柱を立て、金具も実物から型取りをして作り(緑青の吹きい具合等までも再現)、畳の縁の部分の文様も忠実に再現する等々徹底したこだわりの空間美術館展示室内に再現するこだわりよう。

大乗寺の事や展示に関することはこちらにも

「円山応挙展」記念講演会「円山応挙 正統派の逆襲」
講師:山下裕二(明治学院大学教授)
会場:アートスペースA(愛知芸術文化センター12階)


大乗寺客殿「孔雀の間

ガラスケース無し!目の前に大乗寺の襖絵が!!因みに、大乗寺はレプリカに取り替えてしまい本物は収蔵庫にしまわれている為、現地へわざわざ出向いてもこれらを観ることは出来ません。

奇想の画家たちにより、江戸絵画の魅力を知った我々は、そろそろ「江戸時代絵画 真の実力者」である円山応挙の圧倒的な凄さを有する作品と、眼鏡を取り替え対峙せねばなりません。

「応挙いつ観るの? 今でしょう!」

「円山応挙展」は愛知県美術館で4月14日までです。是非!!


「円山応挙展−江戸時代絵画 真の実力者−」
会期:2013年3月1日〜4月14日
会場:愛知県美術館
http://www-art.aac.pref.aichi.jp/
「円山応挙展」公式サイト
http://event.chunichi.co.jp/okyo/

開館時間:10:00−18:00 
金曜日は20時まで(入館は閉館30分前まで)
休館日:毎週月曜日
主催:愛知県美術館、中日新聞社
後援:愛知県・岐阜県・三重県・名古屋市各教育委員会
特別協力:レクサス販売店(L星が丘、L守山、L高岳、L植田、L岡、L豊田土橋、L一宮)
照明協力:パナソニック

注:会場内の画像は主催者の許可を得て撮影したものです。


小学館創業90周年記念企画 日本美術全集

第2回配本「若冲・応挙、みやこの奇想

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 江戸時代中期の18世紀、伊藤若冲や曾我蕭白、池大雅などが個性をふるった京都画壇で圧倒的な人気を博していたのが円山応挙です。応挙の作品は「写生」を基本としていますが、平明な写生にとどまるものではなく、障壁画や屏風絵において部屋や画面の形を絵の空間表現に利用したトリックアート的着想や、大胆・軽妙に筆を操りながらリアルさを感じさせる驚異的な技量など、多くの革新と魅力に満ちています。

  本展では、国宝・重要文化財や展覧会初公開作品を含む代表作をご紹介するとともに、様々な角度から応挙の実像を再考します。障壁画では大乗寺客殿の空間を再現し、自然光のように変化する照明で応挙の意図をご体感いただきます。日本・中国・西洋の絵画を吸収して完璧な様式美をつくりあげ、近代日本画を準備した真の実力者、応挙の芸術をご堪能ください。
展覧会 | permalink | comments(2) | trackbacks(1)

この記事に対するコメント

こんばんは。昨日行ってきました。
ドーンとせまってくるんじゃなく、スーっと広がっていくような感動。派手じゃないけど見ればみるほど飽きない。心が広がった気がしました。良かったです!!
予想してたより人出が少なく、土曜日なのに閉館間際には「孔雀の間」独り占めできる瞬間があったほどですよー。名古屋在住ですが、今までの愛知県美術館の展覧会と比べて「応挙展」が特別混んでいるという印象はありませんでした。もっと全国から来てくれるといいな。
せっかく近いので、あと1回は行きたいです。
焼いた玉ねぎ | 2013/03/17 10:51 PM
管理者の承認待ちコメントです。
- | 2013/04/13 3:19 PM
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&nbsp;母と円山応挙展に行ってきました。あまり混んでおらず、じっくり見ることができました。大乗寺障壁画空間の再現や中国画との対比大石吉雄図、眼鏡絵 三十三間堂通し矢、浜海高楼之図ほか、昆虫乃図、三美人図、王義之竜虎図、陶淵明図屏風、雨竹風竹図屏風、
円山応挙展 | Star Prince JUGEM | 2013/03/26 9:05 PM