青い日記帳 

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「ラファエロ展」

国立西洋美術館で開催中の
「ラファエロ展」に行って来ました。


展覧会公式サイト

3月2日にスタートした「ラファエロ展」3月22日には早くも、入場者数が10万人を突破したそうです。都内では現在多くの美術展が開催されていますが、ラファエロの知名度は群を抜いています。一ヶ月も要せず10万人の来場者があったのも深く頷けます。

かく言う自分も既に2度、「ラファエロ展」に足を運びました。幾らお金を払ってでも観ておかねばならぬ展覧会はあるものです。今回出展されている23点のラファエロ作品、全て現地で観る(観られないものもある)労苦考えたら、遥かに楽です。


ラファエロ・サンツィオ「大公の聖母」1505-06年
油彩/板 フィレンツェ、パラティーナ美術館蔵

世界史の資料集にも載っていたラファエロの聖母子像。トスカーナ大公フェルナンド3世の手元にあったことから「大公の聖母」と呼ばれています。(それ以前は、カルロ・ドルチが所蔵していたこともあったとか)

暗闇に浮かび上がる聖母子像が何とも幻想的であり、観る者を畏怖させる一種近づき難い雰囲気を漂わせています。しかし、背景の黒の部分は科学分析の結果、後世の手による加筆だと明らかにされています。


「大公の聖母」展示風景

確かに、「大公の聖母」の下描き(素描)を観ると、背景が描かれているのが分かります。今回はパラティーナ美術館の「大公の聖母」とウフィツィ美術館の「聖母子」(「大公の聖母」の素描)が同時に展示されている点も見逃せない大きなポイントです。

背景だけの違いではありません。ウフィツィ美術館の素描は、形も長方形ではなく、トンド(円形)のように描かれています。聖母の視線も俯いておらず、こちらをしっかりと見つめているように見えます。眼差しの違いでこうも印象が変わるものかと少々戸惑ったほどです。

もう一点、個人的にお勧めをあげるとしたらこちらでしょうか。


左:ラファエロ・サンツィオ「ベルナルド・ドヴィーツィ(ビッビエーナ)枢機卿の肖像」1516-1517年
油彩/カンヴァス フィレンツェ、パラティーナ美術館蔵
左:フェデリコ・ズッカリ(ラファエロの作品に基づく)「牢獄から解放されるペテロ」1563-1566年
フィレンツェ、パラティーナ美術館寄託

聖母子像を描かせたらラファエロの右に出る画家いませんが、実は肖像画も同様に滅茶苦茶上手いです。(今更言うのもなんですが)

活躍していた当時は、これまでにない斬新な技法を取り入れた作品で嘱目されるも、あまりにもメジャーに成り過ぎた故に「大画家」として崇められ、近代に入ると真の姿を正しく解釈されることが少なかったラファエロ。その真の実力をまざまざと見せつけられるのが他ならぬ肖像画なのです。

因みに、ラファエロと同じ境遇の日本の絵師がいます。そう、円山応挙です。折良く二人の展覧会が西洋美術館と愛知県美術館で開催されているのは、果たして偶然でしょうか、それとも時代の必然でしょうか。


「ラファエロ展」展示風景

ベルナルド・ドヴィーツィ(ビッビエーナ)枢機卿の肖像」、「無口な女(ラ・ムータ)」、「リンゴを持つ青年」、「エリザベッタ・ゴンザーガの肖像」、または20歳前後に描かれたとされる「聖セバスティアヌス」等々、いずれも精緻な筆で身に付けているものの意匠に至るまで入念に描かれています。

そして何と言ってもラファエロの描く肖像画の真骨頂はその「指」の表現にあります。“目は口ほどに物を言う”と一般には表現されますが、ラファエロの場合は目よりもとにかく指です。

指フェチでは無かったのかと思わせる程に執着し表現しています。そして雄弁にその指が「物語」を語っているかのいように思えます。

様式や技法は、レオナルド・ダ・ヴィンチからの影響も勿論あったはずですが、その中からオリジナリティとして、徹底した細部への精緻な表現と「指」への偏愛によってラファエロ・サンツィオとして成って行った足跡を今回の肖像画から辿ることも可能です。


ラファエロ・サンツィオ「聖ゲオルギウスと竜
1504-05年 油彩/板 30.7x26.8cm パリ、ルーヴル美術館
©RMN-Grand Palais (Musée du Louvre) / Jean-Gilles Berizzi / distributed by AMF - DNPartcom

ラファエロが37歳という短い生涯の中で、繰り返し描いたモチーフ「龍退治」。聖母子像と並びラファエロ語る上で欠かせない作品です。

それにしても「聖ゲオルギウスと竜」でも、ついつい退治されるドラゴンや後方で逃げるプリンセスの「指」に目が行ってしまいます。

最後に展覧会の構成です。

第1章:画家への一歩
第2章:フィレンツェのラファエロ−レオナルド・ダ・ヴィンチ、ミケランジェロとの出会い
第3章:ローマのラファエロ−教皇をとりこにした美
第4章:ラファエロの後継者たち



ラファエロ・サンツィオ原画 「聖ステパノの殉教」1517-19年
タペストリー 450x370cm ヴァチカン美術館

日本で初めて開催される「ラファエロ展」(そして日本で最後の「ラファエロ展」となるでしょう)。これだけの展覧会後にも先にも存在しません。

と言う事で、明日金曜日の夜間開館へも再び観に行く予定です。奇跡の「ラファエロ展」は6月2日までです。


ラファエロ展」Raffaello

会期:2013年3月2日(土)〜6月2日(日)
会場:国立西洋美術館
http://www.nmwa.go.jp/
開館時間:午前9時30分〜午後5時30分
毎週金曜日:午前9時30分〜午後8時
※入館は閉館の30分前まで
休館日:月曜日(ただし、4月29日、5月6日は開館。5月7日は休館)
主催:国立西洋美術館、フィレンツェ文化財・美術館特別監督局、読売新聞社、日本テレビ放送網


いつもの大きさの「公式図録」(2800円)の他に今回は「ミニ図録」(1200円)も用意されています。会場限定のラファエロ展特製バックが付いています。

難しい解説や、偉い先生の論文は読まないから図版だけでいいや!という方にはおススメ(全作品掲載されています)です。コンパクトで軽量なので女性の鞄にも入るのが嬉しいですよね。

注:会場内の画像は主催者の許可を得て撮影したものです。

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ルネサンスを代表する画家ラファエロ・サンツィオ(1483−1520年)。ルネサンス絵画を完成させ、後の画家たちの手本となったラファエロですが、作品の貴重さゆえに展覧会の開催はヨーロッパにおいてもきわめて難しいとされています。本展はヨーロッパ以外では初となる大規模なラファエロ展です。
本展にはペルジーノらの影響が色濃く残る修業時代の作品から、レオナルド・ダ・ヴィンチやミケランジェロに触発されたフィレンツェにおける作品、そして1508年にローマへ上京し、教皇のもとで数々の大規模プロジェクトに携わった晩年の作品まで、20点以上のラファエロ作品が集結します。特に《大公の聖母》はラファエロの描いた数ある聖母子像の中でも、最も有名なもののひとつです。さらにラファエロの周辺で活動した画家たちや、彼の原画による版画、それを図案化した工芸品等に至るまでを合わせ、計約60点が会場に並びます。以後の美術表現に絶大な影響を与えた画家ラファエロの全貌を知る、絶好の機会となるでしょう。


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この記事に対するコメント

昨日はリンクを貼らずにTBしてしまい、大変失礼いたしました。
「大公の聖母」絵から後光が差しているようですね・・ ルーヴル所蔵の肖像画の傑作「バルダッサーレ・カスティリオーネ」は、現在ルーヴル別館のランスに行ってしまっているため、パリに戻るのが待ち遠しいです。
Keiko.K | 2013/03/29 3:54 AM
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