青い日記帳 

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「マリオ・ジャコメッリ 写真展」

東京都写真美術館で開催中の
「マリオ・ジャコメッリ 写真展」に行って来ました。


http://www.syabi.com/contents/exhibition/index-1807.html

「ラファエロ展」「ルーベンス展」「レオナルド・ダ・ヴィンチ展」「ミケランジェロ展」と“日本におけるイタリア2013”の美術を紹介する派手な展覧会の陰に隠れ、あまり目立ちませんが「マリオ・ジャコメッリ 写真展」「アドルフォ・ファルサーリ写真展」といったイタリア人写真家の写真展も開催されています。

写真展とい聞くと、『決定的瞬間』のアンリ・カルティエ=ブレッソンや、つい先日まで横浜美術館で開催されていた「ロバート・キャパ/ゲルダ・タロー 二人の写真家」展で見られたような戦場カメラマン、報道写真家を想起してしまいます。

しかし、マリオ・ジャコメッリの写真は、それら(所謂マグナム・フォト系の写真)とは、明らかに一線を画しています。目指しているもの、求めているものがまるで違うのです。

一言で表してしまえばマリオ・ジャコメッリの写真はとても、抒情的です。


マリオ・ジャコメッリ「スカンノ」1957,59

一枚で、目の前の真実を雄弁に観る者に伝えるタイプの写真に慣れてしまった我々の目には、いささか戸惑うかもしれません。果たしてこれは「写真」なのかと。

またマリオ・ジャコメッリは、展示風景画像↑のように、複数の写真でひとつの作品を構成します。連作とは違います。明らかにワンセットで「作品」となっています。

だからこそ余計にリリカルな雰囲気を観る者に与えるのです。


マリオ・ジャコメッリ「私にはこの顔を撫でてくれる手がない」1961,63

ただでさえ詩情豊かな写真作品に加え、会場の要所要所にマリオ・ジャコメッリの言葉が引用され、 好むと好まざるとに関わらず彼の心象世界を覗くことを余儀なくされます。

例えば…

それぞれの道をゆく写真が存在し、そのどれもが人生の意味を探しにゆく。苦しみのあるところに希望を見つけ、歓びと思われるものは辛いあと味を残す。きっとそこにこそ人生がある。
一人ひとりに苦しみがことさら大きく、世界の生命では生ききれないところに。




更に、モノクロをあたかも逆手に取るかのように「白」と「黒」の世界を見事なまでにコントロールし、心を捉えて離さない強烈な印象を観る者に残します。

そのコントラストが「生」と「死」に、また時には「美」と「醜」といった対概念を心内に際立たせる、大きな役割を担っています。

雪の上を舞う神学生たちを捉えたチラシに用いられている写真など一度観たら決して忘れることが出来ません。


マリオ・ジャコメッリ「風景」1960s-2000

イメージは精神であり、
物質、時間、空間、視線のチャンスである。
我々自身の証となる痕跡であり、
絶え間なく記録や物語や知の法則を支え、
リズムを生きる文化のしるしだ。


展示作品は以下の通りです。

「初期作品」
「死がやって来ておまえの目を奪うだろう」
「スカンノ」
「ルルド」
「シルヴィアへ」
「私にはこの顔を撫でてくれる手がない」
「男、女、愛」
「風景」
「帰還」
「新しい移民たちの歌」
「私は誰でもない!」
「死がそうであるように」
「詩のために」
「善き大地」


「写真展を観に行く」というより、「詩の朗読会に参加する」と表現した方が適切かもしれません。日本では2008年に続き2回目となるマリオ・ジャコメッリの展覧会。

前回で虜になった方は勿論、マリオ・ジャコメッリ未体験の方も是非。「マリオ・ジャコメッリ 写真展」は5月12日までです。


「マリオ・ジャコメッリ 写真展」
THE BLACK IS WAITING FOR THE WHITE


会期:3013年3月23日(土)〜5月12日(日)
会場:東京都写真美術館 B1階展示室
開館時間:10:00−18:00
(木・金は20:00まで、入館は閉館の30分前)
主催:PARCO /青幻舎 /NADiff
共催:東京都写真美術館
後援:イタリア大使館、イタリア文化会館

【マリオ・ジャコメッリ展関連イベント】

鈴木芳雄氏(編集者)とゲストによる全3回の連続対談
1)3月31日(日)14:00〜15:30  ゲスト:町口覚(アートディレクター)
2)4月 7日(日)14:00〜15:30 ゲスト:大竹昭子(文筆家)
3)日程調整中。14:00〜15:30 ゲスト:原基晶(イタリア文学者)
会場:2階ラウンジ(定員50名)


マリオ・ジャコメッリ「シルヴァへ」1987年

注:展示会場の画像は主催者の許可を得て撮影したものです。

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1950年代から写真を撮り始め、2000年にその生涯を閉じたマリオ・ジャコメッリは世界を代表する写真家の一人である。本書では、セニガッリアの海辺で撮られた最初の写真から「死がやって来ておまえの目を奪うだろう」「ルルド」「スカンノ」「男、女、愛」「私にはこの顔を撫でてくれる手がない」「自然についての認識」などの名高いシリーズ、「新しい移民たちの歌」「雪の劇場」「シルヴィアへ」「私は誰でもない!」「夜は心を洗う」などの詩の数々に捧げられたシリーズ、そして最晩年の未発表作品まで、およそ100点余の作品を網羅。7名の識者による評論、子息による詳細な年譜、作家自身が望んだ配列に従った“写真シリーズ”、さらには制作にインスピレーションを与えた詩6篇を含む決定版。


アドリア海に面したイタリア・マルケ州に生まれ、その詩的で深奥な作風で何世代もの写真家たちに影響を与えたマリオ・ジャコメッリ(1925-2000)。日本では、2008年、東京都写真美術館において初めて本格的に紹介されました。「黒」と「白」とを見事に操り、強烈なハイ・コントラストで「死」と「生」に立ち向かい、孤高の写真表現で現実を抽象した作品群は、多くの人々の心をとらえました。

ジャコメッリは、1枚の写真で何かを語るのではなく、組み合わされた写真群で事物の本質へ迫ろうとしています。2回目となる本展では、老人たちの動作を記録した「ホスピス」、農夫たちの暮らしに自己の回帰を求めた「スカンノ」のほか、「神学生たち」、「善き大地」などの代表作を中心に220余点で構成します。作品相互の関係が響きあうことにより、ジャコメッリ理解の深化をはかり、いまも写真表現の未来を指し示しているジャコメッリの本質を明らかにする展覧会です。
展覧会 | permalink | comments(1) | trackbacks(0)

この記事に対するコメント

2つの言葉が、身に染みました。ありがとうございます。
noromajin | 2013/04/15 7:39 PM
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