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「ソフィ カル―最後のとき/最初のとき」

原美術館で開催中の
「ソフィ カル―最後のとき/最初のとき」展に行って来ました。



フランスを代表するアーティスト、ソフィ・カルの展覧会が、原美術館で開催されています。ソフィ・カルは、テートギャラリーをはじめとする海外主要美術館で個展を開催し、ヴェネツィアビエンナーレ(2007年)のフランス代表選出など世界の第一線で活躍しています。

原美術館では、1999年に開催した「限局性激痛」展以来、実に14年ぶりとなるソフィ・カルの個展となります。今回の作品はすべてイスタンブールに滞在し制作されたそうです。


水に囲まれたイスタンブールの街で、まだ一度も海を見たことがないという人々と出会った。私は彼らの最初の時を撮影した。」−ソフィ・カル「海を見る

会場である原美術館をよく知りつくした展示構成となっています。二つの主要な作品のうち、「海を見る」を1階に、「最後に見たもの」は2階と、きっぱり分けて展示しています。

これが大変エフェクティブで、展覧会の意図を明確にする大事な役割を担っています。また廊下やサンルーム、そしてエントランスの単品も、二つのテーマ作品を有機的に結び付けることに一役買っています。


私はイスタンブールへ行った。私は盲人の人々に出会った。多くは突然視力を失ってしまった人々だった。私は彼らに最後に見たものを説明してくれるように頼んだ。」−ソフィ・カル「最後に見たもの

「海を見る」は、生まれて初めて海を見た人々の驚きともつかぬ、得も言われる摩訶不思議な表情を捉えた映像作品です。

テレビ番組のレポーターが“初めて見る”ものに対し「わぁ〜きれい〜〜」等と予定調和的な声を発するシーンとはまるで違います。

しかし、これだけインターネットやテレビといった情報が発達した時代において、生まれてから一度も海を目にしたことの無い人など果たして存在するのでしょうか?素朴な疑問が湧いてきます。



水が潤沢にあるイスタンブールに暮らしていながら、海を見たことがないという人々は、実は「海を見にいくことすらできない」「海を見る情報手段も持っていない」貧困層の人々なのです。

ソフィ・カルが記者会見の席で言っていた言葉が印象的でした。曰く「決して、テレビのドキュメンタリーのようにならないように心がけた。」と。



そこには、生まれて初めて目にした、得体の知れぬ「海」を前にし、発する言葉を失った人々の姿が淡々と映し出されています。聞こえてくるのは波の音だけです。

そして驚きよりも、はるかに戸惑いの表情で人々は海を見ながら佇立しています。

戸惑いは、2階の展示室へ足を運ぶと今度は鑑賞者に痛覚と介して、やって来ます。事故や病で突然視力を失った人々の写真作品「最後に見たもの」が待っているのです。



視力を失った現在の姿と、まだ目が見えた頃に最後に見たものの記憶を説明してもらい、ソフィ・カルがそれに近いイメージを写した写真、そしてテキストがセットになって一つの作品として、合計13点展示されています。

ある人は帰宅途中の交通事故で、ある人は、視力回復手術を受け失敗、また、朝起きるとまるっきり目が見えなくなっていた人も。中には生まれつき目の見えない人も。

生まれながらにして目が見えなかった人には「最後に見たもの」がありませんので、代わりに夢で見たシーンを語ってもらったそうです。



美しくあつらえた作品ですが、観る者に痛痒を与えるには十分過ぎるほど、思いテーマです。「美術の根幹に関わる視覚・認識についての深い考察」から盲人を被写体としたとソフィ・カルは述べています。それにも増して普遍的なものを感じずにはいられませんでした。

他人の痛みを感じつつ、自分の生の有難味を再認識する。少々根気の要る展覧会かもしれません。「見ることとはどういうことか」ソフ・カルが追い求めた答えを原美術館で探してみて下さい。

「ソフィ・カル展」は6月30日までです。

そうそう、ギャラリー1の「盲目の人々」シリーズから出品される1点は、親しい友人である現代美術作家、杉本博司の「海景」を組み合わせた特別版です。

更に…

こちらでも、杉本博司氏とのコラボが!

窓の外に見えるのが杉本さんの作品「アートなほうき かえりな垣」です。ソフィ・カルと杉本さん本当に仲良いそうですよ〜(近いうちに「二人展」とかやってくれないかな)


ソフィ カル―最後のとき/最初のとき
(英題:Sophie Calle, For the Last and First Time)
会期:2013年3月20日(水・祝)− 6月30日(日)
開館時間:11:00 -17:00
(水曜は20:00まで/入館は閉館時刻の30分前まで)
休館日:月曜日(祝日にあたる4月29日、5月6日は開館)、4月30日、5月7日
主催:会場 原美術館(東京都品川区北品川4−7−25 Tel: 03-3445-0651)
後援:在日フランス大使館、アンスティチュ・フランセ日本
助成:アンスティチュ・フランセ日本
協力:サムスン電子ジャパン株式会社、ギャラリー小柳

注:展示会場の画像は主催者の許可を得て撮影したものです。



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東京・品川の原美術館にて、フランスの女性現代美術作家、ソフィ カルの個展を開催します。
ソフィ カルは主に写真と言葉を用いた物語性の高い作品で知られており、テートギャラリーやポンピドゥー センターをはじめとする各国の主要美術館での個展開催、第52回ヴェネツィアビエンナーレ(2007年)への参加など、フランスを代表する作家の一人です。

他人との親密な関わりを現実と虚構を織り交ぜて紡ぎ合わせるカルの手法は奇想天外であり、常に驚きに満ちています。しかしながらそこに提示されるのは、アイデンティティ、コミュニケーション、記憶、知覚といった誰もが向き合う普遍的なテーマです。原美術館で14年前に開催した「限局性激痛」(1999年)では、悲しみの体験を人と交換することで心の傷が癒やされていくプロセスを、美しい写真と刺繍のテキストで綴り、多くの鑑賞者が心を打たれました。

今回は、カルが長年にわたって探求してきた視覚や認識に関する最新作で、第12回イスタンブール ビエンナーレ(2011年)に関連して発表された「最後に見たもの」(2010年)、「海を見る」(2011年)の2作品を日本で初公開します。また、過去の代表作「盲目の人々」(1986年)より、現代美術作家、杉本博司「海景」と組み合わせた特別版1点(1999年)を紹介します。

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