青い日記帳 

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『アイテムで読み解く西洋名画』

山川出版から刊行された『アイテムで読み解く西洋名画』を読んでみました。


アイテムで読み解く西洋名画佐藤晃子(著)

仏像を前にし、例えば手に小さな「壺」(薬壺)を持っていたなら、それは薬師如来像だと判断できるのと同じように、西洋絵画を観る際にも描かれた「物」(アイテム)によりどんな人物、どんな事柄を描いているのかが分かるようになっています。

目の前にある絵画に「何が描かれているのか」がまず第一に分からなければ、どのように描いたのか等、理解を先に進めることは出来ません。要は、主題が分からずしてその絵の本質は掴めません。

絵を観はじめた頃は、そうしたことに関係なく、単に「キレイだ〜」「素敵ね〜」で済むかもしれませんが、次第にそれだけでは物足りず「何が描かれているのか」を知りたくなる知識欲がむくむくと目覚めてくるものです。

アイテムで読み解く西洋名画は、そうした知的好奇心を満足させてくれる最高の一冊となっています。絵画を理解する上で必須となる50のアイテム、アトリビュートを数多くのカラー図版と共に紹介されています。



西洋絵画では、パンドラ、マグダラのマリア、泉の擬人像、子宮などを表わすそうです。薬師如来ではありません(笑)

これまでも、絵画・彫刻における主題や象徴を知るすべはありました。最も代表的である意味西洋絵画鑑賞のバイブルともいうべき存在のこちらなど。


新装版 西洋美術解読事典
ジェイムズ・ホール(著)高階秀爾(監修)

常に手に届く場所に置いてある一冊ですが、あくまでも事典ですのでその大半は文字で埋め尽くされています。また重い本ですので展覧会会場でこの本を片手に絵画鑑賞するのは、少し無理があります(それでも昔はやりましたけどね、頑張って)

『西洋美術読解事典』から、絵画鑑賞に必須で、しばしば美術館でも目にするアイテムだけを厳選し、美麗な図版と共に紹介しているのが、『アイテムで読み解く西洋名画』です。

4月24日から国立新美術館で開催される「貴婦人と一角獣展」で実物を観られるこちらの作品も、この本で紹介されているます。アイテムは「」です!


タピスリー《貴婦人と一角獣「視覚」》1500年頃
羊毛、絹
フランス国立クリュニー中世美術館蔵
©RMN-Grand Palais / Franck Raux / Michel Urtado / distributed by AMF-DNPartcom

「貴婦人と一角獣展」開催

それでなくても、謎の多い作品です。何も知らずに作品の前に立っても勿論感動はするでしょう。でも、もしそれだけでなく、アイテムに関する知識があったら…そう!より深く作品に浸れるはずです。感動も倍加します。

“誰かに教えたくなる”そんな情報がコンパクトに、分かり易く解説された今までにありそうでなかった美術ファン待望の一冊なのです。

目次

【植物】
百合、薔薇、林檎、いちじく、柘榴 、カーネーション、葡萄、さくらんぼ、オリーブ、シュロ、糸杉、庭
Column
 ・2人の男性の間を行き来したプロセルピナ
 ・柘榴を紋章とした権力者
 ・奇想の画家が描く季節
 ・生と死、向日葵と糸杉
 ・親和にあらわれた哀悼の気持ち
 ・聖母マリアの持ち物

【動物】
白鳥、孔雀、鳩、鷲、鴉、犬、羊、豚、ライオン、馬、鹿、猿、兎、牛、蝶、蠅、蛇、竜、一角獣
Column
 ・ヴィーナスの持ち物
 ・『ヨハネの黙示録』とは?
 ・サムソンの最期
 ・だらしない聖獣
 ・神様が複数の名前でよばれるのはなぜ?

【静物】
車輪、梯子、本、鏡、壺、真珠、天秤、鍵、矢、楽器、杖、パン、蝋燭
Column
 ・運命の女神フォルトゥーナ
 ・ウィリアム・ブレイクについて
 ・「最後の審判」を暗示する天秤をもつ女
 ・はだかを描く口実

【肉体】
眼、皮膚、乳房、髪、首、心臓 
Column
 ・皮を剥ぐことに込められた意味とは?



ラファエロ・サンツィオ「エゼキエルの幻視」1510年頃
フィレンツェ、パラティーナ美術館蔵

現在、国立西洋美術館で開催中の「ラファエロ展」に出品されているこちらの作品のアイテムは「」。福音書記者聖ヨハネを表わすアイテムとしてアイテムで読み解く西洋名画で紹介・解説されています。

コンパクトなこの本を片手に、西洋美術館の常設展を観ると、見慣れた馴染みの作品も違った側面が見えてくるはずです。同時に今まで見過ごしていた大事な「意味」も、アイテムから見て取れるはずです。

美術史家の宮下規久朗氏にかつてお話を伺った際に、大変示唆に富む発言があったことが思い出されます。

Tak「絵画を「観る」ことの他に「知識」は必要でしょうか?」

宮下規久朗「よく絵を観るのに余計な知識は不要だという方がいますが、大きな間違いだと思います。知識は視覚経験と同様に、あればあるほどよいものです。あって困ることは絶対にありません。」

Tak「時折、絵は思うまま感じるままに観るのが…なんておっしゃる方いますが…」

宮下「人間の感性ほど脆いものはなく、ほとんど頼りになりません。それは知識の助けがあってやっと正しく働くものだと思います。」

「先入観なしの無垢な目で見たほうが作品のよさがわかると思いがちですが、知識がいくらあっても絵を味わうことが阻害されることはまったくありません。逆に自分のちっぽけな感性だけに頼って観る方が危険です。美術館や古社寺でなるべく多くの作品を観て、そして同時に本などを通じて知識もどんどん蓄える。そうすれば、作品を見る目がもっと深くなり、楽しくなるはずです。」


美術史家に聞く第五回:宮下規久朗先生(後篇)


さて、これらのアイテムには、それぞれどんな意味があるのでしょう?!

西洋絵画鑑賞の手助けとなるだけでなく、知的好奇心も満たしてくれる良書です。丁寧な仕事で知られる佐藤晃子さんが著者であることや、歴史の教科書で有名な山川出版社から出ている点からもそれは推し量れます。

お値段的にも、これで果たして赤字にならないのかこちらが心配してしまうほどの充実した内容です。先日ご紹介した『日本美術図解事典(東京美術)同様に“一家に一冊”!

すぐ手の届くところに置いておきたい一冊です。


アイテムで読み解く西洋名画佐藤晃子(著)

西洋絵画を鑑賞する際に必要となる宗教画,神話画の50のアトリビュートを紹介。画面に描かれたアイテムで,どのキリスト教聖人,どの神様なのかがわかり,絵画への理解が深まる1冊。

薔薇、葡萄、うさぎが暗示することとは?きれい、すごい、だけじゃない名画のひみつ。西洋美術に欠かせない50のアイテム。

佐藤晃子
愛知県出身。学習院大学大学院人文科学研究科博士前期課程修了。美術史専攻。ライター。著書に「この絵、誰の絵?」「この絵、どこがすごいの?」など。


藤原えりみさんの西洋絵画のひみつと合わせて読めば、怖いものなしです!→レビューはこちら


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