青い日記帳 

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「オディロン・ルドン展」

損保ジャパン東郷青児美術館で開催中の
「オディロン・ルドン―夢の起源―」展に行って来ました。


http://www.sompo-japan.co.jp/museum/

オディロン・ルドン(1840〜1916)とクロード・モネ(1840〜1926)は、意外なことかと思わるかもしれませんが、同い年(1840年)生まれです。

闇に潜む怪物や夢の世界を描いたルドンと、「光の画家」モネとが時を同じくしてフランスで活躍したとは作品の雰囲気からは結びつけるのが困難です。


オディロン・ルドン《石版画集『エドガー・ポーに』1.眼は奇妙な気球のように無限に向かう》1882年 リトグラフ、紙
岐阜県美術館

クロード・モネが「印象派」のグループ名の由来ともなったあの有名な「印象、日の出」(パリ、マルモッタン美術館所蔵)を世に送り出したのが、1874年。

同じころルドンは光に魅せられた印象派の画家たちに与することをせず、自らが善しとする象徴主義的な作品を木炭だけを用いた闇の絵画を描き続けていました。

それでは、なぜこれほどまでに違う道を歩むことになったのでしょう?この展覧会では「ルドンが出来るまで」を彼が影響を受けた画家の作品を紹介し丁寧に解き明かしていきます。

ルイ=アントワーヌ・ガルヌレー「ボルドー風景」、ロドルフ・ブレスダン「死神に驚く猟師」「死の喜劇」、アルマン・クラヴォー「植物学素描」 

ルドンの作品を観る機会は少なくはありませんが、彼が影響を直接受けた画家の作品と対面できるチャンスはそうそうあるものではありません。


オディロン・ルドン《石版画集『起源』2.おそらく花の中に最初の視覚が試みられた》1883年 リトグラフ、紙
岐阜県美術館

展覧会の構成は以下の通りです。

第1部:幻想のふるさとボルドー─夢と自然の発見
第2部:「黒」の画家 ─ 怪物たちの誕生
第3部:色彩のファンタジー


ブレスダンと植物学者のクラヴォーとの出会いが無ければ画家ルドンは存在していなかったでしょう。彼の「夢の起源」を探求する旅が展覧会「第1部:幻想のふるさとボルドー─夢と自然の発見」です。

ルドンの生まれ育った町、ボルドーにあるボルドー国立科学・文芸・芸術アカデミーやボルドー美術館からやってきている作品に画家ルドン誕生の秘密が隠されています。この章必見です!

「黒を尊重せねばならない。
なにものも黒を汚すことはできない。
黒は目をよろこばせないし、
いかなる官能も呼びおこさない。
しかし、それはパレットやプリズムのうつくしい色彩よりもはるかにすぐれた、精神の代理人なのである。」
オディロン・ルドン『私自身に』


一つ目の怪物や植物を次々と誕生させた所謂「黒の時代」に、印象派の画家たちとは対極ともとれる作品を数多く残しています。かつてBunkamuraザ・ミュージアムで「ルドンの黒」と題した展覧会も開かれました。

「ルドンは、物理的な『光』の効果を分析的に表そうとした同世代の印象派の日人々とは異なり、発行する『光』の根源をとらえようとしたのです。まるで、深海で輝く発光バクテリアのような―」
高橋明也(三菱一号館美術館館長)

しかし、ルドンは「黒の画家」だけでは終わりませんでした。50歳を迎えた1890年頃から次第に木炭を捨てパステルを用いるように。


オディロン・ルドン《アポロンの戦車》1909年 油彩、パステル、厚紙
ボルドー美術館


オディロン・ルドン《眼をとじて》1900年以降 油彩、キャンヴァス
岐阜県美術館

闇から光の降り注ぐ世界への開眼。物忌みをしていた喪服姿の女性が、くるりと和服の裾を翻す刹那。一気に華やかな色を散りばめた艶やかな服へ衣装替えをしたようなカタルシスに会場が包まれます。

「アポロンの戦車」や「眼をとじて」はルドンが繰り返し描いたモチーフです。そこにはかつて画面を闊歩していたような不気味な怪物の姿はありません。

逆に、雄々しくそして官能的な雰囲気を醸し出す作品となっています。「色彩との結婚」に見事成功したのです。


オディロン・ルドン《オフィーリア》1901〜02年頃 油彩、紙(板に貼付)
岐阜県美術館

「眼をとじて」はこの作品や「オルフェウスの死」に引き継がれこうして描かれて行きます。ひとみを閉じた人物をやわらかな色彩のパステル画で描いたルドン。

彼の手にかかると「死」が「永遠性」に描き換えられ、決して恐れるものではないものだと思わされるます。「眼をとじて」普遍性、永遠性を獲得したルドンにかつての死への恐怖は些かも残されていません。

「オディロン・ルドン展」は6月23日までです。

「オディロン・ルドン―夢の起源―」展

会期:2013年4月20日(土)−6月23日(日)
休刊日:月曜
会場:損保ジャパン東郷青児美術館
http://www.sompo-japan.co.jp/museum/
開館時間:午前10時−午後6時
金曜日は午後8時まで(入館は閉館30分前まで)
主催:損保ジャパン東郷青児美術館、朝日新聞社
協賛:損保ジャパン
後援:フランス大使館/アンスティチュ・フランセ日本
協力:エールフランス航空
企画協力:ホワイトインターナショナル


オディロン・ルドン《花》1905〜10年頃 油彩、キャンヴァス
岐阜県美術館

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1886年、現代生活を描いた色鮮やかな作品がならぶ第8回印象派展の会場に、幻想的な白黒の木炭画を出品した画家がいました。フランス象徴主義を代表する画家オディロン・ルドン(1840〜1916)です。外界と現実を重視した写実主義が台頭する中、内面を重視し夢の世界を描いたルドンは、やがて写実性への反動の高まりとともに注目を集め、次世代の画家や文学者、批評家たちの支持を集めていきました。しかしその一方で、ルドンは実証的な自然科学に対しても決して無関心ではなく、その影響はルドンの幻想的な作品でも見ることができます。本展覧会では、まずルドンの幻想と自然科学への関心が、生まれ故郷であるフランス南西部の都市ボルドーでつちかわれたことに注目し、青年ルドンがボルドーで何を学んだかに焦点をあてます。さらにこのボルドーでの発見が、その後の「黒」と「色彩」の作品でどのように展開し昇華したのかを探ります。本展覧会はフランスのボルドー美術館、ならびに日本における最大のルドン・コレクションを所蔵する岐阜県美術館の全面的な協力のもと、油彩、パステル画を含む約150点の作品を一堂に展示し、画家オディロン・ルドンの「夢の起源」をたどります。
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ルドン(1840-1916)については、1993年5月に「岐阜県美術館」を訪れた時の記憶が今もはっきりと残っている。HP「美術散歩」から「岐阜県美術館」と題したその時の記事を引用する↓。大垣で開かれた研究会の夜は長良川ホテルに泊った。あいにくの雨ではあったが、鵜飼