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「エミール・クラウスとベルギーの印象派」

東京ステーションギャラリーで開催中の
「エミール・クラウスとベルギーの印象派展」に行って来ました。


http://www.ejrcf.or.jp/gallery/

東京都美術館がリニューアルオープンして数ヶ月経ってから「マウリッツハイス美術館展」が開催されました。出来てすぐの展示空間は作品に悪影響を及ぼす(かもしれない)との理由からしばらくの間ねかされるのが常。

東京ステーションギャラリーもまた昨年(2012年)10月に場所を移動しリニューアルオープン。やっと西洋絵画を展示可能な空間になり、初めての展覧会がこの「エミール・クラウスとベルギーの印象派展」です。

エミール・クラウスの日本で初めての展覧会であり、あまり馴染みの薄いベルギーの印象派を紹介するのは、ここの館長である冨田章氏のご専門がベルギー美術であるからに他なりません。

こうした幾つかの理由から「エミール・クラウスとベルギーの印象派」は東京ステーションギャラリーの西洋絵画のオープングに相応しい、これしかない!と言える展覧会なのです。当然気合も入っており、見どころ満載です。

日本人好みのやわらなか光に包まれた作品が揃っています。


エミール・クラウス「昼休み」1887-1890年頃
個人蔵、ベルギー

エミール・クラウス(1849〜1924)は1889年から数年間パリに滞在(冬季のみ)し、そこでフランスの印象派の画家たちの作品、特にモネから強い影響を受け、それまでの作風にはない明るい光に包まれた作品を描くようになります。

彼の光に満ち溢れた作風は「ルミニスム」(光輝主義)と呼ばれようになります。年を重ねるごとに光への追求は強さを増し、光が乱反射しているかのよな印象を受ける作品まで描くようになります。「タチアオイ」がこんなにも美しい花だと初めて知りました。彼の絵から。

昼休み」他数点、どことなくアンドリュー・ワイエスに通じるものがあるようにも思えました。

会場構成は以下の通りです。

第1章:ベルギーの印象派・新印象派とルミニスム
第2章:フランス印象派:ベルギー印象派の起源
第3章:エミール・クラウスのルミニスム
第4章:ベルギーの印象派 日本での受容



クロード・モネ「霧の中の太陽(ウォータールー橋)」1904年 
油彩・カンヴァス
個人蔵

第2章には、カミーユ・ピサロ、ポール・シニャック、アンリ・マルタン、アンリ・ル・シダネルといったフランス印象派とそれ以降の画家たちの作品が展示されています。シダネルと交流があったとは新鮮な発見でした。

→「アンリ・ル・シダネル展

最も影響をクラウスに与えたモネの「霧の中の太陽(ウォータールー橋)」は必見です。画像だと色や靄の雰囲気がまるで伝わってきませんが、実際の作品の前に立つとしばし動けなくなります。

何度も何度も観ているはずのモネにまさかここまで心動かされるとは思いもしませんでした。気軽に立ち寄った(駅にある美術館の特権ですね、これ)展覧会でこんな良い作品に出会えるとは。


児島虎次郎「和服を着たベルギーの少女」1911年 
油彩・カンヴァス
大原美術館蔵

「第4章:ベルギーの印象派 日本での受容」では、ベルギーへ留学しクラウスから学んだ児島虎次郎と太田喜二郎の作品が展示されています。

フランスでラファエル・コランに師事した黒田清輝らは日本へ柔らかで滑らかな筆致の「外光派」を伝えました。黒田が東京美術学校教授に就いたことにより、日本における洋画は、コランの教えを受け継ぐことに。

一方、ベルギーへ渡った二人(児島、太田)がもたらしたものは…「ルミニスム」。そう、フランス印象派の流れを汲む絵画表現です。

印象派以降の新印象派、表現主義、フォーヴィスムの流れをも含んだ児島、太田の作品は今観てもとても新鮮です。

歴史に「もし」はありませんが、仮に二人が中央(東京美術学校教授)にいたなら、日本の洋画の潮流は明らかに違ったものになっていたはずです。


エミール・クラウス「野の少女たち」1892年頃 
油彩・カンヴァス
個人蔵

中心(パリ)の影響を受け、独自の発展を遂げた周縁(ベルギー)の印象派。

フランスの印象派に少し食傷気味のあなたも、ベルギーの印象派(輸入された印象派)ならきっときっと何かを得られるでしょう。そして心突き動かされるはずです。

Bunkamuraザ・ミュージアム(ここのチーフキュレーターの宮澤氏もご専門がベルギー美術)で2010年に開催された「フランダースの光」や世田谷美術館でかつて目にし記憶に残っていたエミール・クラウスの展覧会が観ることができるとは!何とも喜ばしいことです。

あたたかく、やさしい気持ちに包まれる展覧会です。「エミール・クラウスとベルギーの印象派」は7月15日までです。是非!

最後の展示室には光をテーマとしたステーションギャラリー所蔵の作品が展示されています。これもまた見応えがあります。良い作品お持ちです。


エミール・クラウスとベルギーの印象派
Emile Claus and Belgian Impressionism


会期:2013年6月8日(土)〜7月15日(月祝)
休館日:月曜日
開館時間:10:00〜18:00
※金曜日は20:00まで
※入館は閉館30分前まで
会場:東京ステーションギャラリー
http://www.ejrcf.or.jp/gallery/
主催:東京ステーションギャラリー[公益財団法人東日本鉄道文化財団]、東京新聞、毎日新聞社
後援:ベルギー大使館、公益財団法人フランダースセンター
協賛:KLMオランダ航空
企画協力:神戸新聞社


東京ステーションギャラリー2階から見下ろした、東京駅丸の内北口改札。

【次回展】

「大野麥風展」
Art Portfolio of Fishes by Bakufu Ohno
2013年7月27日(土)〜9月23日(月・祝)

日本画家 大野麥風(ばくふう)は、1937年に出版された代表作「大日本魚類画集」で、原画を担当し、「原色木版二百度手摺り」といわれる色鮮やかな木版画集を生み出しました。本展では、魚を細かに観察して作られた「大日本魚類画集」全72点といきいきとした魚類や国内外の風景、愛らしい小動物などを描いた大野麥風の作品を展覧いたします。

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ベルギー印象派の画家、エミール・クラウスについての日本初の展覧会を開催します。1849年に生まれたエミール・クラウスは、フランス印象派などから影響を受け、独自のルミニスム(光輝主義)といわれるスタイルで、19世紀末から20世紀初頭にかけて活躍しました。太田喜二郎、児島虎次郎という2人の日本人画家がクラウスに教えを受けたことでも知られています。

ベルギー近代美術史の展開を考えるうえで、また印象主義の国際的な伝播という観点から見たときに、そして日本への影響という意味でも、非常に重要な画家であるにもかかわらず、これまで日本ではクラウスをテーマにした展覧会は開かれてきませんでした。

本展は、フランス、ベルギー、日本の印象派の作品とともにクラウスの代表作、あわせて計65点を展示し、国際的な印象主義の展開の中にこの画家を位置づけ、陽光あふれる田園の情景や、自然の中で暮らす人々の姿をいきいきと描き出したクラウスの魅力に迫ります。

展覧会 | permalink | comments(2) | trackbacks(3)

この記事に対するコメント

こんにちは。ワイエスとの共通性に気づかせていただきました。後ろ姿に語らせるところも似ているかもしれませんね。姫路での同展の感想をトラックバックさせていただきます。
mura | 2013/07/08 12:13 AM
目黒美術館の日本の光を追い求めた画家と建築家の二人展で大田喜二郎は留学先でベルギー印象派のエミール・クラウスに師事し日本の風土に適用させた光の画家,見事な作品を残しているのを知りました!
pinewood | 2019/09/05 7:14 AM
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