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「モダン・パリの装い」

練馬区立美術館で開催中の
「鹿島茂コレクション3 モダン・パリの装い 19世紀から20世紀初頭のファッション・プレート」展に行って来ました。


http://www.city.nerima.tokyo.jp/manabu/bunka/museum/

鹿島茂先生の膨大な古書コレクションの一部を紹介する展覧会。昨年、一昨年と2回に分け開催され、いずれも大きな話題となりました。(「バルビエ×ラブルール展」は館林美術館へも巡回)

鹿島茂コレクション1 グランヴィル−19世紀フランス幻想版画
2011年2月23日〜4月10日

グランヴィル―19世紀フランス幻想版画 (鹿島茂コレクション)

鹿島茂コレクション2 バルビエ×ラブルール アール・デコ、色彩と線描のイラストレーション
2012年4月8日〜6月3日

バルビエ×ラブルール―アール・デコ、色彩と線描のイラストレーション (鹿島茂コレクション)

第3回目となる展覧会では、鹿島コレクションの中から19世紀〜20世紀初頭のイラストを紹介。単なるイラストではなく「ファッション・プレート」(ファッションイラストの版画)に焦点を当てた展覧会です。

1900年に開催されたパリ万国博覧会。ルネ・ラリック、エミール・ガレ、ドーム兄弟らがアール・ヌーヴォーに花を添え、ヨーロッパ各国に一代ムーブメントを巻き起こします。

グラフィック、ポスター芸術の世界では、アルフォンス・ミュシャやジュール・シュレ、そしてピアズリーらが活躍したのもこの時代です。

ファインアートの世界でも印象派が呱々の声をあげるなど、今では考えられない大きな芸術のうねりが起こった時代です。さぞかし華やかで賑やかで活気に満ち溢れた時代だったことでしょう。


19世紀に活躍した、オラース・ベェルネ、ルイ=マリ・ランテ、バヴァルニらの「ファッション・プレート」と共に、京都服飾文化研究財団所蔵の同時代の衣装も展示されています。

現在店頭に場所を取りあいするかのように並べられているファッション雑誌とは、感覚は随分と違うようです。お洒落のお手本であることは変わりませんが、誰しもが気軽に手に入れられる代物ではなかったのです。

ファッション・プレートがどれくらいの枚数刷られたか、ものによってもまちまちですが、数百、多くて一千程度だったとのこと。価格もそれなりにしたそうです。

写真技術がまだ発達していない当時、こうした版画によって流行(モード)が一部の上流階級の人々に伝播したのです。(一般人が手にしていたわけではありません。)


マルタン「鳥籠女」「で、これが私のハートなの…」1920年

鹿島先生は「版画の原画を見ると時にがっかりする。」と意外なことを開会式で口にしました。

その真意はこうです。ファッション・プレートのような版画を仕上げたのは、彫り師や刷り師といった職人たちであり、イラストレーター(描き手)ではない。複数の職人の手を経て完成した版画は複製芸術ではなく「複人芸術」であるのだと。

何人かの共同作業で作る版画は、ひとりのイラストレーター才能以上の力が発揮されるるのだと。そうした複数の手を経て完成する版画にも良し悪しがあり、ひとえにそれはプロデューサーの手腕にかかっているのだと。


ラ・ヴィ・パリジェンヌ』1863-1930年
ヴォーグ』1892年-現在 他

当時のモードの牽引役を担った雑誌たちの存在も、今回の展覧会で注目すべき点のひとつとしてあげられます。

雑誌(モード・ジャーナリズム)を作る段階・過程で、色んな才能を集めて何かをする編集者が誕生しました。人を見抜く目、コラボレートする能力。雑誌の売行きを左右するのは編集長のチカラに依るところが大きなものとなった時代です。

雑誌が売れなくなった時代と言われている昨今、あらためてそのチカラに注目が集まっているように思えます。

ファインアートだけを見ているだけでは分からない。モードと雑誌編集との出会い(モード・ジャーナリズム)を肌で感じ取ることの出来る展覧会なのです。


バルビエ「パリの衣装」1912年(参考出品)

「鹿島茂コレクション2 バルビエ×ラブルール アール・デコ、色彩と線描のイラストレーション」を見逃してしまった方にとっては朗報です!

「鹿島茂コレクション2」で大変好評を博した、ジョルジュ・バルビエ(Georges Barbier,1882-1932)の作品も参考出品として数多く出されています。

展示構成はとても分かりやすく、1階展示室が19世紀、2階が20世紀となっています。数十年違うだけでモードもがらりと変わります(当たり前ですけどね)その違いが、ファッション・プレートや貴重な古書を通じてはっきりとした形で伝わってきます。


20世紀〜アール・デコ〜
ジョルジュ・ハパップ、シャルル・マルタン、アンドレ・エドゥアール・マルティ
京都服飾文化研究財団所蔵1920年代の「イヴニング・コート」イヴニング・ドレス」

展示作品が多彩で数も多く、観るのにかなり時間を要する展覧会です。ひとつひとつがとても興味深く、ファインアートにはない独特の輝きもあります。

商業版画と見下していると痛い目に遭います。この展覧会で出ているモノを観ておくことは、今度同時代の絵画を鑑賞する際に、今までとは違った見方を付与してくれるはずです。

「鹿島茂コレクション3 モダン・パリの装い 19世紀から20世紀初頭のファッション・プレート」展は、9月8日までです。是非是非!

最後に今日の鹿島茂先生のおコトバ
この世にあるものから、この世に無いものを作り出すのがコレクション。


鹿島茂コレクション3 モダン・パリの装い 19世紀から20世紀初頭のファッション・プレート

会期:2013年7月14日(日)〜9月8日(日)
休館日:月曜日(ただし7月15日は開館、翌日休館)
開館時間:午前10時〜午後6時※入館は午後5時30分まで
会場:練馬区立美術館
http://www.city.nerima.tokyo.jp/manabu/bunka/museum/
主催:練馬区立美術館/読売新聞社/美術館連絡協議会
後援:在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ日本
特別協賛:資生堂
協賛:ライオン、清水建設、大日本印刷、損保ジャパン、日本テレビ放送網


記念撮影用のパネルも設置されています!イイネ!!

【関連イベント】
鹿島茂氏(フランス文学者、明治大学国際日本学部教授)講演会
深井晃子氏(京都服飾文化研究財団チーフ・キュレーター)講演会
銀河万丈氏(声優)による読み語り
子供向けワークショップ

イベント参加方法についての詳細はこちらで。


《鹿島茂氏プロフィール》
1949年、神奈川県横浜市生まれ。東京大学文学部仏文科卒業。同大学院人文科学研究科博士課程修了。1991年『馬車が買いたい!』でサントリー学芸賞、1996年『子供より古書が大事と思いたい』で講談社エッセイ賞、1999年『愛書狂』でゲスナー賞、2000年『職業別パリ風俗』で読売文学賞を受賞、他著作多数。共立女子大学教授を経て、2008年4月より明治大学国際日本学部教授。専門は19世紀フランス文学。


【ギャラリートーク】(事前申込不要)
鹿島茂氏(フランス文学者、明治大学国際日本学部教授)
【日時】7月27日(土曜)午後3時から4時
【場所】展示室
参加には当日の展覧会チケットが必要です。

【シャンソン・コンサート】(事前申込不要)
【出演】広瀬敏郎氏(シャンソン歌手)
【日時】8月3日(土曜)午後3時から4時半
【場所】美術館ロビー

公式図録兼書籍、求龍堂より刊行。

モダン・パリの装い』 (鹿島茂コレクション 3)

注:会場内の画像は主催者の許可を得て撮影したものです。

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@taktwi

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この記事のURL
http://bluediary2.jugem.jp/?eid=3305

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鹿島茂氏は、執筆活動のみならず膨大な古書コレクションを所有するコレクターとしても知られています。練馬区立美術館では、その愛蔵コレクションを連続して紹介する展覧会を開催。第1回目は19世紀フランスを代表する挿絵画家J.J.グランヴィルを取り上げ、第2回目は、共にフランス、ナント出身のアール・デコを代表するアーティスト、ジョルジュ・バルビエとジャン=エミール・ラブルールを紹介しました。
第3回にあたる本展では、19世紀から20世紀初頭のアール・デコの時代までに描かれたファッション・プレート(ファッションイラストの版画)を紹介し、それぞれの時代の流行のファッションから、華やかな女性の装いを展覧します。また、フランス史に名を遺した高貴な身分の女性たちの装いや地方の伝統的衣裳、職業別の装いなどの風俗描写、文学作品の豊かな世界観を再現したエレガントな挿絵を通して、フランス近代の熟達したイラストレーションの世界を披露します。
併せて、京都服飾文化研究財団の貴重なコレクションより、同時代を代表する華麗な衣裳を展示、描かれた衣裳と実際の衣裳を見比べることで、より立体的に当時のパリの装いを楽しむと同時に、モダン・パリの雰囲気をお楽しみください。
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この記事に対するコメント

はじめまして。額装家の高野さんのお仕事を手伝わせていただいております、久慈法子と申します。
美術館の中の作品、様子などなかなか撮影できないので、こちらの記事のリンク貼らせていただいております。
また、展示会についての説明もわかりやすく勉強させていただいております。
どうそよろしくお願い致します。
久慈法子 | 2013/08/07 6:00 AM
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