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「坂田栄一郎―江ノ島」

原美術館で開催中の
「坂田栄一郎―江ノ島」展に行って来ました。


公式サイト: http://www.haramuseum.or.jp
携帯サイト: http://mobile.haramuseum.or.jp
ブログ: http://www.art-it.asia/u/HaraMuseum
ツイッター: http://twitter.com/haramuseum

「写真家・坂田栄一郎さんの目と技術がすごい!」

この一言に尽きる写真展が原美術館で開催中です。バブル崩壊後の日本を生きてきた人全てが、観ておく価値のある写真展です。

江ノ島海岸を18年間撮り続けた「時代のポートレート」。海水浴場と謂えども、社会情勢によって浜辺の風景も変化することを、坂田氏の写真が如実に物語ります。


「坂田栄一郎―江ノ島」展示風景

16年間の歳月をかけ、8月のお盆前後の江ノ島を撮影した膨大な写真の中から約40枚をセレクト。古い作品だと1997年に撮影されたものも。

その間、カメラ機材も当然ながら変化。今回の展示のに合わせどのカメラによる差異を極力抑える為、プリントの仕方も変えたそうです。写真に合ったプリントに。

当初(1997年)は、7、8年で終わるだろうと思っていたそうですが、それでは社会の流れを表現できず結局16年間も費やすことに。(当時生まれた子どもはもう高校生となっています)


「坂田栄一郎―江ノ島」展示風景

作品にタイトルは付けられていません。作品リストを見ると撮影された年が記されているのみです。しかしそれで情報は十分です。

江ノ島海岸に無造作に置かれた海水浴道具(衣類、食べ物その他諸々)やレジャーシート等から、不在の人の姿を思い浮かべつつ、手元のリストで撮影年を確認。

下手な経済学者の解説を聞くよりも、何十倍も明確にそしてストレートにバブル崩壊後の日本の世相が、坂田氏の写真から手に取るように読みとれます。


2階の展示室には数点、海岸にいた若者のポートレートも展示されています。

彼らは、坂田氏が2007、2008年に撮った若者たち。「世の中をまっすぐに見て生きている眼差し。自信のある眼差し。」に強く惹かれたそうです。

「サブプライムローン問題」が世界的な金融危機に発展した2007年。翌年のリーマンショックと、社会全体が沈んでいる状態の中で、彼らの姿がそれまでよりもより輝いて見えたのでしょう。

2000年に入り徐々に日本が立ち直って行くのでは……と思っていた矢先の大震災。坂田氏も大きなショックを受けたに違いありません。その年の作品は展示されていませんでした。


「坂田栄一郎―江ノ島」展示風景

「16年間撮り続け、この美術館でやる夢が実現でき、今とても嬉しい。」

廊下に展示されている「波」については、こんなことを仰ってました。「時代の流れを意識して撮影した。波の前でしばらく眺めていると自分の立ち位置も見えてくるかも。泣きそうなほど嬉しい。」


インタビューに丁寧に対応する坂田栄一郎氏。

問:ポートレート以外の写真を何故撮り始めたのか?

人物を撮るのは好きだが、違ったアプローチは出来いかと考えていた。

たまたま人の居ない荷物を撮ることで、人を表現できるのではと。でも、それだけでは弱いので社会の変容を取り入れながら撮ってみた。16年かけたからこそ出来たシリーズ。

また20年後に何か違うアプローチでやります(笑)

問:プリントテクニックを教えて下さい。

インクジェットと銀塩の両方(廊下の写真はダイジェクトで)を使っている。展示した時に差異が出ないように表面加工している。

問:撮影で苦労されたことはありますか?

カメラを海岸で持って歩くだけで、何か注意される時代に、ビーチは禁煙に…

4×5in判(シノゴ)カメラを三脚用いずに手持ちで撮ったりもした。でもブレたりうまくいかない写真が多い。アシスタントに見張りをしてもらい、ドキドキしながら撮っている。今は専らロクロクで撮っている。

何を撮ってるの?!と怪訝そうな顔で見られる。太陽光との戦いも。光も考えながらやっているので、かなり大変。アエラを長くやっているので、持続力が身に付いた(笑)


AERA (アエラ) 2013年 7/22号」
一般的に坂田栄一郎の仕事の中で最も人の眼に触れる機会の多いものは、週刊誌「AERA」(朝日新聞社)の表紙を飾る各界著名人のポートレイトでしょう。1988年の創刊号から現在まで休むこともなく撮り続けられ、その数は1000人を越えます。


坂田栄一郎「江ノ島」1998年

この写真の「家族」のことを思い浮かべたり、15年前の自分のことを思い返したり、当時よく聴いていた歌がふと頭の中で再生されたりと、坂田氏の「人のいないポートレート」の前に立つと興味は尽きません。

大切な人と一緒に観に行くと、味わいも倍加するかもしれません。

ちょっと、こんな万人受けする写真展滅多にありません。「坂田栄一郎―江ノ島」展は9月29日までです。夏の暑い日に是非。


坂田栄一郎―江ノ島」 
(英題: Eiichiro Sakata―Enoshima)

会期:2013年7月13日(土)〜9月29日(日)
開館時間:11:00 am-5:00 pm
(水曜は8:00 pmまで/入館は閉館時刻の30分前まで)
休館日:月曜日(祝日にあたる9月16日、9月23日は開館)、9月17日、9月24日
主催・会場:原美術館
協賛:株式会社ニコン、株式会社ニコンイメージングジャパン
協力:株式会社写真弘社、EIZO株式会社

原美術館
東京都品川区北品川4−7−25 Tel: 03-3445-0651
公式サイト: http://www.haramuseum.or.jp
携帯サイト: http://mobile.haramuseum.or.jp
ブログ: http://www.art-it.asia/u/HaraMuseum
ツイッター: http://twitter.com/haramuseum

注:展示室の画像は主催者の許可を得て撮影したものです。
尚、今回の展覧会では1階ギャラリー2に限り一般の方でも撮影可能です。



《坂田栄一郎プロフィール》
1941年、東京都に生まれる。日本大学芸術学部写真学科卒業。田中一光、和田誠、篠山紀信など多くのクリエイターが在籍したことで知られる広告制作会社ライトパブリシテイに勤務の後、1966年に渡米。ニューヨークで写真家リチャード アヴェドンに師事する。1970年に初個展「Just Wait」(銀座ニコンサロン)を開く。1993年には写真界の大型国際イベントとして知られる「アルル国際写真フェスティバル」(フランス)に招待され、写真展を開催、同時にワークショップを行なう。またアルル名誉市民賞を受賞。週刊誌「AERA」(朝日新聞社)の表紙を飾る人物写真を1988年の創刊号から現在まで撮り続ける。2004年、東京都写真美術館で個展「PIERCING THE SKY−天を射る」を開催。2005年に第24回土門拳賞ならびに日本写真協会賞・作家賞を受賞。


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人物写真(ポートレイト)の大家、坂田栄一郎による“人のいないポートレイト”を中心としたシリーズ「江ノ島」を初公開します。「江ノ島」は、坂田が90年代後半より16年間江ノ島海岸に通い、夏を謳歌する人々の姿を撮りためた作品で、砂浜に広げられた無人のレジャーシート上のさまざまなモノたちをとらえた鮮烈な静物写真(スティルライフ)と、生命力あふれる若者たちのポートレイトから成ります。そこから見えてくるのは実にさまざまな個性、そして急速に移り変わる現代日本の姿です。本展は、すべて初公開となるカラー写真約40点(そのうちポートレイトは約10点)で構成される予定です。「若者たちの姿からポジティブなエネルギーを感じて、複雑で先の見えない時代を生きるみんなに元気になってほしい」。魂をこめて対象と向き合いつつ、鋭い観察眼で時代をとらえ続けてきた写真家・坂田栄一郎の、未来への願いが込められた展覧会となります。

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