青い日記帳 

TB&リンク大歓迎です!
<< April 2020 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 >>
<< 「坂田栄一郎―江ノ島」 | main | 「山口晃展 画業ほぼ総覧−お絵描きから現在まで」開催! >>

「<遊ぶ>シュルレアリスム」

損保ジャパン東郷青児美術館で開催中の
「<遊ぶ>シュルレアリスム―不思議な出会いが人生を変える―」展に行って来ました。


http://www.sompo-japan.co.jp/museum/

日本では「超現実主義」と訳されている「シュルレアリスム」。何やらとっつき難く、難しそうなイメージがあります。

「シュルレアリスム」を本で調べてみても…
ダダに続いて第一次世界大戦後に登場して来たシュルレアリスムは、ダダ否定の後を受けて、夢や無意識や非合理の世界を解放することによって新しい価値を創造しようとした。ドイツから来たマックス・エルンスト、スペイン生まれのサルバドール・ダリ、ベルギーのルネ・マグリット、フランスのイヴ・タンギーなどのシュルレアリストたちは、それぞれに想像力を駆使して、夢と現実が矛盾することなく一つの世界を形作るような「超現実」を実現しようとした。その理論は、1924年に詩人のアンドレ・ブルトンが発表した『シュルレアリスム宣言』にまとめられている。
カラー版 西洋美術史(美術出版社)より。
印象派等に比べ、具体的にどのような作品が「シュルレアリスム」に該当するのか、中々イメージが浮かんできません。

シュルレアリスム作品に対する距離感を縮める役を務めんと名乗りを上げたのが、明治学院大学の巖谷國士先生。(巖谷國士 - Mont Analogue 巖谷國士をめぐるHP


作品解説に熱弁をふるう巖谷國士先生。

東京都庭園美術館で2011年に開催された「森と芸術」と題されたとても素敵な展覧会をを覚えているでしょうか。

この「森と芸術」他、多くのシュルレアリスム関連の展覧会の監修を務めてこられた巌谷先生が放つ、新たなアプローチがこの「〈遊ぶ〉シュルレアリスム」展なのです。

これは見逃せません!

展覧会の構成は以下の通りです。

第1室:友人たちの集い
第2室:オブジェと言葉の遊び
第3室:コラージュとの偶然の出会い
第4室:写真の超現実
第5室:人体とメタモルフォーゼ
第6室:不思議な風景



「第5室:人体とメタモルフォーゼ」展示風景

難解で手ごわさを感じるシュルレアリスム作品を「遊び」をテーマにし構成するという、まったく新しい切り口と構成でこれまでにない「シュルレアリスム展」を作り出しています。

2011年に国立新美術館で開催中された「シャルレアリスム展」は直球ど真ん中勝負で、がつんと責める感じの(人を寄せ付けない感のある)展覧会内容でした。

同じシュルレアリスム作品を紹介する展覧会ですが、今回は展覧会の方から鑑賞者へ近寄ってくる。そんな雰囲気さえ漂います。視点を変えるだけでこれだけ違うものかと正直良い意味で驚きました。


「第2室:オブジェと言葉の遊び」展示風景

お馴染みのデュシャンやマン・レイの言葉遊び(ほとんど駄洒落に近い)作品や「便器」のミニチュアも入ったデュシャンの「トランクの中の箱」などが並びます。

言葉遊びの解説も丁寧になされているのもポイント。

そして、子どもから大人まで、自由に参加可能なワークショップ「あなたもシュルレアリスト!」が会場内に設置されています。


あなたもオブジェ作家

デュシャンが便器をそのまま作品として「レディメイド(既製品)」のように、オブジェとは、本来の役割や意味がうばわれた物のこと。

そこで、あたなの持物を、この「展示台」の上に置いてみると…展示されることで、日常的に使い、見慣れているものがオブジェに早変わりします。

自分は、iPhoneを置いてみました。いかがです?立派なオブジェとなってるでしょ?!

各美術館のお宝が展示されている中で、こうした「遊び」(ワークショップ)を通して、シュルレアリスム作品を身近に感じられる今までにない試み。これは素晴らしい!


マックス・エルンスト「石化した森」1927年
鹿児島市立美術館蔵
マックス・エルンスト「森、月光の中のモミの木」1927年
個人蔵(公益財団法人大川美術館寄託作品)

エルンストの得意技「フロッタージュ」も、巌谷氏曰く「フロッタージュは「こすること」の意で、木目や葉脈のような凹凸のある表面に紙をのせ、上から鉛筆などでこすって絵をつくる方法ですから、これもすでに子どもの「遊び」にある手作業です。」

また、コラージュも然り。先ほど同様展示室内に、ワークショップ「あなたもシュルレアリスト!」が設置され、「コラージュ(はり絵)をやってみよう!」ドイツ出身のエルンストをはじめ、シュルレアリストたちが取り組んだ技法を体験。と促します。

この他にも、スペイン出身のドミンゲスらが用いた技法「デカルコマニー(うつし絵)をやってみよう!」等も。

勿論、素晴らしい作品が展示されているからこそ、こうしたワークショップも可能になり、より参加意欲が増してくるのです。


ジョセフ・コーネル「無題」1930年代 
大阪市立近代美術館建設準備室蔵

コーネルのコラージュ6点組。これはコーネル好きなら観ておかなくちゃね。これだけではありません。「箱」もちゃ〜んと展示されています。ジョセフ・コーネル「無題」(古い写真とオブジェの入った箱)」1932年 広島県立美術館蔵。


ポール・デルヴォー「海は近い」1965年
姫路市立美術館蔵
ヴィクトル・ブローネル「誕生の球体」1939年
岡崎市立美術博物館蔵
ヴィフレド・ラム「われわれはここにいる」1964年
徳島県立近代美術館蔵

お気づきになったかと思いますが、日本中の美術館・博物館、個人が所蔵しているシュルレアリスム作品が一堂に集結しています。

こうして見ると、ポンピドゥー展に遜色ない充実した作品が、日本中各地に散らばっていることが分かります。日本人いつからこんなにシュルレアリスム好きだったのかしら?と首をかしげつつ。

そしてこんな名品も!


マックス・エルンスト「愛すべき宇宙飛行士はサンモリッツで冬をすごす
1968年 公益財団法人大川美術館蔵

エルンストの分身とされる鳥のロプロプを描いた一枚。

コラージュ作品の「生みの親」であるエルンストの上品で、とても質の高い作品です。とにかく白が美しい。この一枚を観る為だけに新宿へ行っても損はないです。

いや〜良いもの見せてもらいました。眼福眼福。

これに加えワークショップもあるのです。観るだけでなく、誰でもいつでも「参加」可能な展覧会です。あなたも損保ジャパン東郷青児美術館でこの夏、シュルレアリスト気分を味わいましょう!


<遊ぶ>シュルレアリスム―不思議な出会いが人生を変える―

会期:2013年7月9日(火) 〜8月25日(日)
休館日:月曜日
会場:損保ジャパン東郷青児美術館
〒160-8338新宿区西新宿1-26-1損保ジャパン本社ビル42階
http://www.sompo-japan.co.jp/museum/

開館時間:午前10時−午後6時 
(入館は閉館の30分前まで)
主催:損保ジャパン東郷青児美術館、読売新聞社
協賛:損保ジャパン、日本興亜損保
後援:在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ日本
協力:日本航空、日本通運
企画協力:アートプランニング レイ

注:会場内の画像は主催者の許可を得て撮影したものです。

平凡社コロナ・ブックスよりこの展覧会のカタログを兼ねた本が発売となっています。オールカラー図版多数。この1冊でシュルレアリスムの美術がわかる!登場作家47人、作品図版250点。人名解説・索引つき。お値段とってもリーズナブル!


〈遊ぶ〉シュルレアリスム』 (コロナ・ブックス)
巖谷 國士 (著)

集団ゲーム、オブジェ、コラージュ、写真、人体、風景、驚異、コレクション…
デュシャン、マン・レイ、エルンスト、マグリット、ダリからコーネル、瀧口修造、シュヴァンクマイエルまで、20世紀最大の芸術運動を、「遊び」の視点からとらえなおす画期的な本。
登場作家47人、作品図版250点、人名解説・索引つき。この1冊でシュルレアリスム美術がわかる!


Twitterやってます。
@taktwi

Facebookもチェック!


この記事のURL
http://bluediary2.jugem.jp/?eid=3309

JUGEMテーマ:アート・デザイン


シュルレアリスムとは、第一次世界大戦後のフランスに始まり、やがて国際的に広まっていった20世紀最大の芸術運動です。
夢や無意識、非合理の世界に目を向けることで、現実の新しい見方や生き方を探り、伝統の枠から自由な芸術表現をめざしました。
そのためにシュルレアリストたちは、偶然のもたらす驚異や、たがいに無関係なイメージの結びつきによる意外性などに「不思議の美」を見いだし、「遊び」にも似た手作業を通じて、斬新な作品をつくりつづけました。
またオブジェ、コラージュ、フロッタージュなどの新しい身近な方法によっても、伝統や慣習にしばられない「遊び」の精神と、人生のあるべき姿を具体化しました。
本展覧会では、そうしたシュルレアリスムの軽やかでユニークな「遊び」の諸相に焦点をあてます。国内外のコレクションから、多彩な作家の絵画、写真、彫刻、オブジェのほか、雑誌・書籍などの資料をふくむ約200点を一堂に展示し、不思議な出会いにみちたシュルレアリスムの魅力に迫ります。
展覧会 | permalink | comments(0) | trackbacks(0)

この記事に対するコメント

コメントする









この記事のトラックバックURL
トラックバック機能は終了しました。
この記事に対するトラックバック