青い日記帳 

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『もっと知りたい藤田嗣治』

東京美術出版より刊行となった『もっと知りたい藤田嗣治(つぐはる)』を読んでみました。


もっと知りたい藤田嗣治(つぐはる)―生涯と作品
(アート・ビギナーズ・コレクション)

林 洋子 (著, 監修), 内呂 博之 (著)

十数年前にこのようなオールカラーで多数の図版が散りばめられている安価な藤田嗣治の本が店頭に並ぶとは、誰一人として想像もしかなったことです。

藤田は日本を捨てたのではない、捨てられたのだ。

藤田嗣治の妻・君代夫人は生前、夫を捨てた日本での展覧会の開催や出版物の刊行を避けてきました。「捨てたのだから早く忘れて欲しい」との想いから。

2005年に刊行された、宮下誠氏の『20世紀絵画 モダニズム美術史を問い直す』(光文社新書)では、その君代夫人の姿勢にささやかながら抵抗しています。→光文社新書の問題提起

やっと展覧会がまともに開催できるようになったのは2000年以降になってからです。そして同時にこれまで出したくて出せなかった出版物もちらほら散見するようになって行きました。21世紀になり藤田嗣治が復活の狼煙をあげたのです。



藤田のトレードマークといえば「乳白色」ですが、実はそれは藤田作品の中のごく一部に過ぎません。藤田は1910年代末から最晩年まで本の装丁や挿画に関わり、90件近い「本のしごと」を遺しています。

昨年(2012年)渋谷区立松濤美術館で開催された「藤田嗣治と愛書都市パリ−花ひらく挿絵本の世紀−」展や、千代田区立日比谷図書文化館での「藤田嗣治 本のしごと 日本での装幀を中心に」はそれぞれ、これまであまり知られなかった藤田の別の顔を垣間見る絶好の機会でした。

もっと知りたい藤田嗣治(つぐはる)―生涯と作品では、こうした装丁・挿絵の仕事から、日曜大工的な手仕事(額縁も自分で作りました)や裁縫とマルチな才能を発揮した人間・藤田嗣治に迫る初めての本です。



またこの本の著者でもあり、ポーラ美術館学芸員でもある内呂博之氏の長年の研究により、藤田が編み出した乳白色の裸婦像の秘密を、土門拳の写真と共に紹介しています。

藤田は自分の技法を他の画家に知らせることはありませんでしたが、土門拳には写真を撮らせました。まさか土門に絵画の心得があったとは知らずに…

「公開無用」とされた藤田のアトリエの様子をただ一人撮影に成功した土門拳の遺した写真から、例の「シッカロール」の秘密も明らかになったのです。

乳白色の裸婦像で一躍有名になった後の画家の様子をもっと知りたい藤田嗣治(つぐはる)―生涯と作品では、丁寧に紹介しています。

中南米への旅、日本への里帰りと戦場各地への取材(戦争画)、渡米、そしてフランスへの帰化といった第二次大戦をはさみ激動の人生を送った藤田の一生を年代順に画像をふんだんに用いて解説されています。


「ノートル=ダム・ド・ラ・ペ礼拝堂」

藤田が晩年勢力を注いだ礼拝堂。設計から壁画、レリーフ、ステンドグラスまで全てを彼が手掛けています。そして今でもこの地で藤田ことレオナール・フジタは眠りについています。2009年に他界した君代夫人と共に。

こうした本に物語性を求めるのはおかしなことですが、そんじょそこらの小説よりも波乱万丈に満ちた藤田の生涯が目の前にページをめくるたびに現れてきます。

我々は、藤田嗣治という画家についてまずこの一冊から知ることになります。


もっと知りたい藤田嗣治(つぐはる)―生涯と作品
(アート・ビギナーズ・コレクション)

林 洋子 (著, 監修), 内呂 博之 (著)

海外で成功を収めた日本人画家の草分け的存在である藤田嗣治(レオナール・フジタ)の、81歳、パリで亡くなるまでの創作活動を追う。
画家を一躍有名にした乳白色の肌の裸婦がよく知られるが、以降、中南米への旅、日本への里帰りと戦場各地への取材、渡米、そしてフランスへの帰化というように創作拠点と年代により、作風も変化をとげている。本書はその多様性を知り、画家をトータルな視点でとらえることができる。

職人的な「マメ」な才能を発揮した針仕事や大工仕事、本の挿絵や装丁も紹介。
写真家土門拳の心をとらえた、被写体としての画家の素顔の魅力なども特集でとりあげた入門書の決定版。



レオナール・フジタ展 ポーラ美術館コレクションを中心に
Bunkamuraザ・ミュージアム(2013年8月10日~10月14日)

「藤田嗣治 渡仏100周年記念 レオナール・フジタとパリ 1913-1931」
熊本県立美術館(2013年7月2日~8月25日)
北九州市立美術館(2013年8月31日~10月20日)
美術館「えき」KYOTO(2013年10月25日~12月1日)
新秋田県立美術館(2013年12月7日~2014年2月2日)
岡山県立美術館(2014年2月21日~4月6日)

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