青い日記帳 

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「速水御舟展」特製和菓子が出来るまで(その4)

展覧会ごとにオリジナルの特製和菓子を作っている山種美術館のCafe椿さんに、どのような手順を経て特製和菓子が作られるのかを取材して来ました。

2013年8月10日(土)より山種美術館でスタートした「再興院展100年記念 速水御舟 ―日本美術院の精鋭たち―」(速水御舟展)の特製和菓子がどのように作られるか、その過程を紹介して来ました。

今回はその第4回目(最終回)となります。
→(第1回目の記事はこちら
→(第2回目の記事はこちら
→(第3回目の記事はこちら

最後の最後まで難航した速水御舟≪炎舞≫の和菓子がやっと完成しました。



蛾(蝶)を象ったものを外し、代わりに燃え盛る炎の外側(外炎)を金粉を用い表現しています。まさに「炎舞」をそのまま和菓子に転換した素晴らしい出来栄えになっています。

これだけで十分特製和菓子として提供できるはずですが、「炎舞」に関してはより完成度を高めたいという思いがあったそうです。(これまで2度も駄目だしされてますからね)


速水御舟《炎舞》【重要文化財】1925(大正14)年 絹本・彩色
山種美術館

やはり最もネックとなるのが蛾の表現。食べ物に昆虫はいけません。ましてや女性のお客様の多いカフェ椿で提供するお菓子の上に蛾がとまっているようでは…

そこで、考えに考えたのがこちらのアイディア!


速水御舟≪炎舞≫特製和菓子「ほの穂」

「炎舞」の漆黒の闇を思わせる黒い懐紙に、上品に金色で蛾をプリント。お見事です!!「三度目の正直」とはよく言ったもの。苦労を重ねただけのことありました。

これまでにない、完成度の高い特製和菓子に仕上がりました。山種美術館のアイコンでもある速水御舟の「炎舞」(重要文化財)に相応しい和菓子の完成です。

こちらを含め今回も5種類の特製和菓子が用意されています。
「速水御舟展」特製和菓子一覧

さて今回は、特別に和菓子を作っている青山の老舗和菓子店菓匠「菊家」さんに突撃取材を敢行!

速水御舟≪炎舞≫特製和菓子「ほの穂」の制作過程をご紹介しちゃいます!必見です!


1、キントンの芯となる中餡を準備しているところです。黒糖風味大島あんです。 


2、中餡を均等な大きさに丸めて並べます。漆黒の闇を表す大事な黒餡です。


3、白餡を着色します。これで紅や橙の練切りを作ります。


4、竹ぶるいを使い餡をそぼろ状にしていきます。
このとき、炎のグラデーションを表現するために橙色と黄色の餡を重ね合わせまとめて一気にそぼろ状にします。


5、底の部分にあたる、きんとんを指先に広げます。職人技が光ります。


6、用意しておいた中餡をのせます。


7、きんとんを指でつぶさないよう注意し、指先で回転させながら箸できんとんを植えつけていきます。手間のかかる作業です。


8、今回は燃え上がる炎を表現しているので、てっぺんにきんとんを盛って炎の立ち上がりを作ります。


9、全面きんとんを植えつけベースの形を完成させます。あと一歩です。


10、画像4と同様に、そぼろ状にした赤色の餡を3カ所に植えつけ火の粉を表現します。ひと手間加えることで完成度がぐんと高くなります。


11、最後に金箔を筆でつけて、炎の揺らぎを表現します。 

はい、これで見事完成です!


速水御舟≪炎舞≫特製和菓子「ほの穂」

《炎舞》をきんとんで表現しました。
紅や橙の練り切りのあいだから漆黒の闇が透けて見えるように工夫してあります。甘さをおさえた重厚な味わいとなっています。
(黒糖風味大島あん)


この為に特注した黒い懐紙にのせ、黒楽茶碗でお抹茶を。

山種美術館カフェ椿の基礎知識をおさらい。
2010年のインタビュー記事も併せてお読み下さい

「Cafe 椿」は、 山種コレクションの中でも人気の高い速水御舟《名樹散椿》(重要文化財)から名づけられました。 駒沢通りのいちょう並木をガラス越しにのぞむ光あふれる店内では、特製和・洋菓子やオリジナルメニューをお楽しみいただけます。
とくに和菓子は、展覧会ごとに出品作品に描かれた花や果物、動物などのモチーフを選び、青山の老舗菓匠「菊家」に特別にオーダーした「Cafe 椿」オリジナルのものです。
イタリア・カッシーナ・イクスシー社の家具による落ち着いた雰囲気の店内で、美術鑑賞のあとのゆったりとしたひとときをお過ごしください。


取材協力:菓匠「菊家」山種美術館Cafe椿

展覧会期間中、8月10日(土)〜10月14日(月・祝)しか食べられないのが実に勿体ない!この特製和菓子を頂く為だけにカフェ椿に通うのも悪くないかも。(でも、せっかくなら展覧会で本物の「炎舞」を観てから召し上がりたいですよね!)


「再興院展100年記念 速水御舟 ―日本美術院の精鋭たち―」
会期:2013年8月10日(土)〜10月14日(月・祝)
会場:山種美術館
主催:山種美術館、日本経済新聞社
http://www.yamatane-museum.jp/

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山種美術館は、近代・現代の日本画を中心に、とりわけ日本美術院(院展)の画家たちの作品を数多く所蔵しています。2014年に院展が再興100年を迎えることを記念し、当館に縁の深い院展画家、そして当館コレクションの中でも最も重要な院展画家の一人・速水御舟(1894−1935)に焦点をあてた展覧会を開催します。

院展は岡倉天心の精神を引き継いだ横山大観、下村観山らを中心に1914(大正3)年に再興されました。当時の日本画家たちは押し寄せる西洋画に相並ぶ、新時代の日本画を探求しており、再興院展は官展とともに中心的な役割を果たしていました。そのなかでも御舟は第一回目から再興院展に出品し、常に新たな日本画に挑み続けた画家でした。

御舟の約40年という短い人生における画業は、伝統的な古典学習、新南画への傾倒、写実に基づく細密描写、そして象徴的な装飾様式へと変遷しました。一つの画風を築いては壊す連続は、型に捉われない作品を描き続けた、画家の意欲の表れといえるでしょう。

本展では、御舟の芸術の変遷を、再興院展という同じ舞台で活躍した画家たちとの関わりを中心にご紹介いたします。御舟芸術の軌跡は、同門の今村紫紅、小茂田青樹、さらには御舟をいち早く評価した大観、そして安田靫彦、前田青邨など、つながりの深い院展画家たちとの交流や、同時代の院展の動向と密接に関わっていました。当館の誇る御舟コレクションから、古典学習と構成美の集大成《翠苔緑芝》(院展出品作)や、写実により幻想的な世界を表現した《炎舞》【重要文化財】をはじめとする代表作の数々を、同時代の画家たちの作品とともにご覧いただきます。大正期から日本画壇の中心であり続ける再興院展の芸術の神髄に迫ります。
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