青い日記帳 

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「つきしま かるかや」

日本民藝館で開催中の
「つきしま かるかや −素朴表現の絵巻と説話画」展に行って来ました。


http://www.mingeikan.or.jp/

日本民藝館所蔵の絵画作品の中で最も重要で、もっとも(現代人の目から見たら)エキセントリックな室町時代の絵巻「つきしま」(築島物語絵巻)が公開されています。


つきしま」(築島物語絵巻)室町時代 16世紀

2007年に森美術館で開催された「日本美術が笑う」展で初めてお目にかかった時は、ただただ驚くばかりでした。こんな絵が美術館に展示されていてよいのかさえ思ったほどです。

翌2007年に渋谷区立松濤美術館で開催された「素朴美の系譜」展で、今回の展覧会のツートップの一翼を担う、絵入本「かるかや」(サントリー美術館蔵)に出会った時もそれに近い衝撃を受けました(尤も2度目であるということ、それと「素朴美」の展覧会であると分かっていた為、「つきしま」ほどではありませんでした。)

そしてどちらも、民藝運動を起こした柳宗悦と深い関わりがあるという点も非常に興味深いところであります。

「つきしま」「かるかや」と平仮名表記で作品名を口にしているだけで、気分もウキウキしてくる二つの作品を軸に、この展覧会は約50点の作品(奈良絵本、大津絵など)から構成されています。

毎年勝手に発表している「2012年 私が観た展覧会ベスト10」で堂々の1位に輝いた「お伽草子展」(サントリー美術館)を彷彿とさせる、興奮に襲われました。


(クリックで拡大)

こうした作品を単純に「ヘタウマ」「素朴画」と十把一絡げに捉えてしまうのは危険があることを今回あらためて感じました。

例えば、アンリ・ルソーの素朴画と「つきしま」が有するそれとは別のものがあります。(「素朴」の定義に関しては矢島新先生が著書の中で詳しく述べられています。「稚拙の美」)

もっと言えば、今回のツートップ(ドコモみたいな表現でちょっと嫌だな…)「つきしま」と「かるかや」でさえ、その明らかにベクトルの向きが異なります。

それにしても、「つきしま」(築島物語絵巻)を今回、久しぶりにじっくりと時間をかけて拝見しましたが(こんな素晴らしい作品が公開されているのにお客さんが少ない!勿体ない!!)、いや〜実に線が良いです。輪郭線、お顔の線等々迷いが全くありません。


つきしま」(築島物語絵巻)室町時代 16世紀

例えば、絵の道具一式渡されて、はい『竹取物語』のラストシーン描いてみて。と言われても躊躇しますよね。構図や配置から線、絵柄等あれこれと。ところが、この「つきしま」を描いた絵師(?)にはそんな戸惑いが一切無かったかのようです。

「上手に描こう」とは勿論思っていたはずです。ただしその「上手」が我々の絵に対して持っているそれとはまるで異なるのです。良い意味で「無神経な絵」です。実はそこに憧れるのではないでしょうか?我々は。

「無神経に〜」食事したり、会話したり、生活することは社会人として大きなマイナスとなります。故に、常に気を遣い理性的な所作をとります。人目を気にしながら。

当時としては高級なとても良い顔料を使って描かれているため、近くで拝見すると人物の肌がキラキラ輝いて見えます。胡粉が場所によっては剥落していたりするのですが、それもまた「絵」になるから不思議です。

現在、こうした素朴の美が評価される兆しがあるのは、現代の我々の生活に対する強烈なカウンターとして作用するからなのでしょう。「何でも行き過ぎはいけません。ピリピリしないで、時には他人の目など気にせず、ゆる〜く参りましょう!」と「つきしま」に描かれている人たちが語りかけているようです。


曽我物語屏風」6曲1隻 江戸時代 17世紀

最後に、2007年に開催された日本美術応援団、赤瀬川原平氏(作家、美術家)と山下裕二先生(明治学院大学教授)のスペシャルトークから「つきしま」に関する部分を掲載しておきます。

「美しく下手な絵だね〜」

「この絵巻人柱伝説描いた悲しい話なのに全然そんな感じがしない。それどころか笑ってしまいます」

「下手でも清潔感のある下手ですね。狙って描いていないから」

「ヘタウマとかいって狙って描くとイヤラシくなっちゃうからね」

「それにしても室町時代にこれだけの顔料使って描かせたのだからお金はかなりかかっているはず、それなのに…こんなに下手なのがスゴイ!」

「つきしま かるかや」展は8月18日(日)です。
今年の展覧会ベスト10入りするかもしれません。


つきしま かるかや −素朴表現の絵巻と説話画

会期:2013年6月11日(火)−8月18日(日)
開館時間:10:00-17:00(入館は16:30まで)
会場:日本民藝館 本館大展示室 本館2階第3室 他
http://www.mingeikan.or.jp/


函入りの図録は家宝にします!

本書は、展覧会「つきしま かるかや −素朴表現の絵巻と説話画」の公式図録で、「つきしま」「かるかや」の全場面を掲載した初めての図譜となります。そのほか、主要出品作である、お伽草子を題材とした絵巻や丹緑本、大津絵や記録絵巻、「曽我物語屏風」などの物語絵、十王図を始めとする仏教説話画など、柳宗悦蒐集による館蔵の素朴表現の絵画を、原寸大の図版を交えて集録しました。

日本民藝館ミュージアムショップまで行けない方の為に、美術館が通信販売も行っています。詳しくはこちら

【日本民藝館 次回展】

特別展「柳宗理の見てきたもの」
  
会期:2013年8月27日(火) 〜 11月21日(木)

2011年のクリスマスの日に他界した柳宗理(1915〜2011)。世界的な工業デザイナーとして活躍する一方、約30年間にわたり日本民藝館の三代目館長として活動しました。本展では、宗理が蒐集した当館コレクションの逸品をはじめ、柳家から遺贈された陶磁器や染織品、仮面などを展示。また、父宗悦から受け継いだ食器類も併せて展観し、柳宗理がどのようなものを見つめながら生活し、デザイン活動の糧としてきたのかを紹介します。



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矢島 新
パイインターナショナル

日本の絵画史上、素朴美の極みに達したといえる室町時代の絵巻「つきしま(築島物語絵巻)」(当館蔵)と絵入本「かるかや」(サントリー美術館蔵)。この二つの絵画を軸に、お伽草子絵巻をはじめとする絵巻物、曽我物語屏風などの物語絵、十王図などの絵解きで用いられた仏教説話画など、素朴表現がなされた絵画を中心に、館蔵品を一堂に展観します。
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