青い日記帳 

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『ルネサンス 天才の素顔』

美術出版社より刊行された『ルネサンス 天才の素顔 ダ・ヴィンチ、ミケランジェロ、ラファエッロ 三巨匠の生涯』(池上英洋:著)を読んでみました。


ルネサンス 天才の素顔 ダ・ヴィンチ、ミケランジェロ、ラファエッロ 三巨匠の生涯
池上英洋 (著), 美術出版社編集部 (編集)

今年は「日本におけるイタリア 2013」ということで、日本で初めて、レオナルド・ダ・ヴィンチ、ミケランジェロ、ラファエロの三大巨匠の展覧会が開かれています。

展覧会の内容に関しては一過言ある方もいるかもしれませんが、世界中の誰しもが知るこの三人の作家の展覧会が、日本に居ながらにして見られるのは、ほとんど奇蹟と言っても過言ではありません。

そして、奇蹟と言えば、美術の世界で「三大巨匠」と呼ばれるレオナルド・ダ・ヴィンチ、ミケランジェロ、ラファエロの芸術家が、長い長い歴史の中でルネサンスという綺羅星のような一時代の、イタリア中部というごく限られた地域で、ほぼ時期を同じくして活躍したことも、美術史上のまさに「奇蹟」という他ありません。

更に加えるなら三人ともそれぞれ面識があったのですから、これを奇蹟と謂わずに何と呼べばよいでしょう。美術史に燦然と輝きこれからも朽ちることない三人は、それでは一体どんな人物だったのでしょうか。

実は、これまでルネサンスの絵画や彫刻、建築といった芸術作品を扱った書籍やムック本は数多く出されていますが、三大巨匠に的を絞り、その生きざまをつまびらかにする書籍は日本国内では見当たりませんでした。

一冊だけ手元にあるこちらの本も、クラウディオ・メルロの翻訳本です(この本はこの本でふんだんにカラーイラストが盛り込まれ、想像力の貧困な自分には、ルネサンス期の様子を知る良い手助けとなる貴重な一冊ではあります)。


ルネサンスの三大芸術家―ダ・ヴィンチ、ミケランジェロ、ラファエロをめぐる物語 (VISUAL BOOK)
Claudio Merlo (原著), 坂巻 広樹 (翻訳)

展覧会は開催されども、肝心の芸術家の素顔を知る本がこれまで無かったことに憂いを抱いたか、または前々から書こうと虎視眈々とチャンスを伺っていたかは定かではありませんが、三大巨匠の生涯を知る良書を、あの池上英洋先生が上梓して下さいました。

これまで、何度となく池上先生の著書は紹介してきましたので、あらためて説明するまでもありませんが、今回の『ルネサンス 天才の素顔 ダ・ヴィンチ、ミケランジェロ、ラファエッロ 三巨匠の生涯』では、読者目線に立ったサービス精神が随所に溢れている珠玉の一冊となっています。(褒め殺しではないですよ)

一口に「ダ・ヴィンチ、ミケランジェロ、ラファエッロ 三巨匠の生涯」と言っても、今からおよそ500年も昔のイタリアでそれぞれ活躍した芸術家です。

彼らの人となりを伝える資料が、どれくらい残っているかにもよってその人物像を紹介するのも自然と差が出てきてしまいます。Perfumeの三人の伝記を書くのとはわけが違います(笑)

自分で綴った膨大な資料(手稿)が残っているレオナルドと、37歳の若さでこの世を去り、人となりを知らせる資料があまり伝来していないラファエロとでは、内容にも大きな差が生じてしまいます。

その辺のバランスのとり方も、池上先生は絶妙です。またこの本は「物語」ではなく、あくまでも史実や資料によって見えて来る三大巨匠の素顔をなるべく客観的に捉えんとしているある意味「歴史書」でもあります。こうした点にも歴史好き(歴史マニア)な池上先生の本領がいかんなく発揮されています。

イタリアで実際に生活をしていた年数が長いことも大きく寄与しています。

当然のことながら、それぞれの作家が遺した絵画や彫刻そして建築物の写真もふんだんに盛り込まれています。ただし絵画本ではなく、あくまでも芸術家自身にスポットライトをあてた本ですので、美術書のような見開き一頁で「最後の晩餐」を紹介、なんてことはありません。

本文には図版と同じくらいの頻度で、同時代のイタリア人が記した資料が紹介され、それぞれの知られざる側面を知る手助けとなっています。主要参考文献一覧にはイタリアの図書館で調べた数多くの資料が掲載されています。

レオナルド、ミケランジェロ、ラファエロについて深く知りたいと思ってもイタリアの図書館まで出向いて調べませんし、そもそもイタリア語、ラテン語なんてちんぷんかんぷんです。それをこの本では余すところなく紹介してくれているのです。

最近、池上先生に会っていないので、ページをめくりながら、もしかしてルネサンス三大巨匠の伝道師にでもなってしまったかのでは?とさえ思ったほどです。

つらつらと、駄文連ねて来ましたが、『ルネサンス 天才の素顔 ダ・ヴィンチ、ミケランジェロ、ラファエッロ 三巨匠の生涯』の「目次」を見ただけ、必ずや読みたくなるはずです。

だって、今までにありそうで無かった一冊なのでから。

【目次】
はじめに
プロローグ:ルネサンスのフィレンツェ
サヴォナローラとロレンツォ・イル・マニフィコ、三大巨匠を生み出した時代
・シニョリーア広場−ある修道士の火刑
・五百人広間−未完に終わった「世紀の対決」
・ルネサンスを生んだフィレンツェのギルド社会
・パトロンとなったギルド
・「豪華なる人」の死−終わりの始まり
・複雑化していくルネサンス美術

チャプター1:レオナルド・ダ・ヴィンチ
遅咲きの「万能人」
・レオナルド・ダ・ヴィンチとは何者か
・若き日のレオナルド
・ヴェロッキオ工房での日々
・デビュー作に見る、万能性の萌芽
・ミラノ宮廷での万能性の開花
・成功と失職〈最後の晩餐〉での試行錯誤
・戦争によって中断された大事業
・〈ラ・ジョコンダ〉の第二フィレンツェ時代
・ローマでの不遇、フランスでの死

チャプター2:ミケランジェロ
複数の顔をもつ「美の巨人」
・ミケランジェロとは何者か
・若き日のミケランジエロ
・逃亡癖のはじまり
・華々しいデビュー
・教皇庁の芸術家−ユリウス2世とミケランジェロ
・いやいや描いた天井画
・メディチか、共和国か両体制の間で揺れる芸術家
・〈最後の審判〉の凄まじさ
・新様式の創り手として晩年のミケランジェロ−栄光と孤独

チャプター3:ラファエッロ
ルネサンスの申し子にして「美のカノン」
・ラファエッロとは何者か
・若き日のラファエッロ
・師との関係
・フィレンツェでの吸収−レオナルドとミケランジェロ
・永遠の都での飛躍
・古典文化の復興者
・知られざる建築家
・早すぎる死

エピローグ:万能、巨人、美のカノン
三大巨匠という現象
・三巨匠の確執と影響関係
・三巨匠の神話化

ルネサンスの三巨匠関連資料
地図/年表/家系図ほか



ルネサンス 天才の素顔 ダ・ヴィンチ、ミケランジェロ、ラファエッロ 三巨匠の生涯
池上英洋 (著), 美術出版社編集部 (編集)

未経験ながら「軍事専門家」として、自身を売り込んだ、ダ・ヴィンチ。
「神のごとき」と賞賛されたミケランジェロは、「逃亡癖」を持つ男。
ルネサンスの完成者にして「美のカノン(規範)」ラファエッロは、野心家の美男子。

なぜ彼らは、ルネサンスの三大巨匠と呼ばれるようになったのでしょうか?
本書は、イタリアで研究生活を過ごした著者・池上英洋氏が、ダ・ヴィンチ、ミケランジェロ、ラファエッロの生涯や、彼らが生きた当時のイタリア各都市の様子を、活き活きと描写するもの。
ルネサンスの巨匠たちの意外にも生命力あふれる生き方を糸口に、みんなが知っているようで知らない、この時代の作り手をとりまく社会状況、ルネサンスの美術の動向を、やさしく分かりやすく通読できるテキストとして紹介する本です。


【著者紹介】池上英洋・いけがみひでひろ
美術史家。東京造形大学准教授。
1967年広島県生まれ。東京藝術大学大学院修士課程修了。海外での研究活動ののち、恵泉女子学園大学准教授、國學院大學准教授をへて、現職。専門は、イタリアを中心とした西洋美術史・文化史。

主な著書に『Due Volti dell' Anamorfosi』(Clueb、イタリア)、『レオナルド・ダ・ヴィンチの世界』(編著、東京堂出版)、『もっと知りたいラファエッロ 生涯と作品』(東京美術)、『恋する西洋美術史』『イタリア24の都市の物語』『ルネサンス 歴史と芸術の物語』(いずれも光文社新書)、『西洋美術史入門』(ちくまプリマー新書)、『神のごときミケランジェロ』(新潮社とんぼの本)など。近年は、カルチャー誌などの美術特集の監修、ルネサンス関係の展覧会図録執筆なども多数担当。


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