青い日記帳 

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「五線譜に描いた夢 ─ 日本近代音楽の150年」展

東京オペラシティ アートギャラリーで開催中の
「五線譜に描いた夢 ─ 日本近代音楽の150年」展に行って来ました。


展覧会特設サイト:http://www.operacity.jp/ag/exh157/

幕末から明治にかけ大きなうねりにさらされたのは、決して絵画だけでなく、音楽も同様に(否、それ以上に)これまでとは大きく異なる変化を「近代化」の名の下に迫られました。

それまであった日本の音楽、すなわち邦楽は、現在のように記譜に書き表せる性質のものではありませんでした。五線譜の上に雅楽の音符が古代より伝わって来たとは、流石に誰も思いません。

しかし、時代が明治に移ると、「西洋」が基準となります。近代日本絵画がどこかしっくりこないのも西洋の技法を見よう見まねで取り入れたからに他なりません。

音楽の世界もまた然り。


「五線譜に描いた夢 ─ 日本近代音楽の150年」展示風景

「運搬可能」なつまり、誰がどこで演奏しても同じ旋律で曲が弾けるという当たり前のことも、日本ではまだたった150年の歴史しか有していないのです。

この展覧会では普段目にすることが不可能な貴重な資料を通して、日本人がどのように西洋音楽を受け止め、確立し、自分のものとしていったのかを探る音楽ファン必見の内容です。

東京オペラシティ アートギャラリーでは、2006年に「武満徹―Visions in Time」展を開催して以来となる音楽関連の展覧会です。他の美術館では催行されぬ内容です。

展覧会の構成は以下の通りです。

1:幕末から明治へ
2:大正モダニズムと音楽
3:昭和の戦争と音楽
4:「戦後」から21世紀へ



「2:大正モダニズムと音楽」展示風景

画像手前は「萩原朔太郎愛用のギター」。作家として著名な萩原朔太郎ですが、マンドリン演奏にも長けており、日本の学校に「マンドリンクラブ」が多くあるのも彼の影響が大きいそうです。

確か、妹が高校時代マンドリン盛んに練習していたな〜

ほぼ100パーセント音楽系の展示物の中に美術も少しだけありました。


セノオ楽譜

瀧廉太郎「荒城の月」(山田耕作編曲)をはじめ多くの歌曲譜を出版したセノオ楽譜。

多忠亮「宵待草」(竹久夢二詩)などの装画は「大正ロマン」の象徴としてもてはやされ、人気を集めたそうです。竹久夢二が多くの人に知られるようになった経緯は、音楽との繋がりも大きかったのですね。

これってもしかして日本初のメディアミックスなのでしょうか。


「3:昭和の戦争と音楽」展示風景

太平洋戦争中ならではの「演奏禁止米英音楽一覧表」や、平出英夫著『音楽は軍需品也』などといった展示品がひときわ目を惹くセクションです。

絵画も戦争に翻弄されましたが、音楽もまた同じような苦難の時代があったことがこれらの資料を通し、垣間見られます。

「プロレタリア音楽運動」といったものが、昭和の初めにあったことも初めて知りました。宣教師ヘボンの資料からはじまり、これは!と惹き付けられる資料の多い展覧会です。予定していたよりもはるかに長居をしてしまいました。音楽音痴のこの自分が。


貴重な音源資料も聴けます。

音楽、映像資料も随所に設置されそれだけを聴くだけでも十分に愉しめます。

そして、最終章「4:「戦後」から21世紀へ」で、やはり興味関心が行ったのは武満徹でした。

武満の遺した業績は数多くありますが、明治以降ずっと「受身」で来た日本の音楽に核心をもたらすべく、開国前の邦楽に注目したことでしょう。


佐藤慶次郎作「ススキ3B(8本)」と武満徹コーナー

武満徹の文章が大好きなので、ちょっと関連ある部分を引用し終わりにします。武満の炯眼あらためてオソルベシです。
 西洋音楽との合奏等という、それまでには例を見なかった演奏様式上の変化としてあらわれる。必然的に、主として口伝にたよっていた演奏上の約束は、より緻密な記譜法を必要とすることになったが、邦楽の微妙さは私が説明するまでもなく、記譜に書き表わせる性質のものではなく、記号的に体系化を図れば自ずから失うものは多い。不幸なことに表記の狭間を滑り落ちた底に、その独特な香気は失われてしまうことになる。
 しかし、西洋音楽というものに初めて接した明治の楽人にとって、たしかにその構築的な美は強烈なものであったろうと思われる。訓練された合奏技術、また邦楽器とは比べようもない音量の相違ということに、幾人かの鋭敏な感性は激しく揺り動かされた。西欧近代に追い着こうとする社会的政治的気運も強く作用していたであろうが、閉ざされたわが国の音楽の在りようを国際的なものにしたいという内的な要求については理解に難くない。普遍的な音楽言語を掌にしたいという明治近代人の意識は現実的ではなかったが、それはまた避けようもない私たちの道程でもあった。わが国の音楽は大正から昭和にかけて急速に変化した。
武満徹「樹の鏡、草原の鏡」より。
目で見る音楽史楽譜や楽器、公演ポスターなど約300点の貴重な資料で、幕末開国以降の日本と、西洋音楽との出会いを描く展覧会「五線譜に描いた夢 ─ 日本近代音楽の150年」は、12月23日までです。

音楽に少しでも興味関心のある方是非!

充実の関連企画:ミニコンサート(予約不要)も要チェック!
詳しくはこちらから


五線譜に描いた夢 ─ 日本近代音楽の150年

開催期間:2013年10月11日[金]─ 12月23日[月・祝]
会場:東京オペラシティ アートギャラリー
http://www.operacity.jp/ag/

開館時間:11:00 ─ 19:00
(金・土は11:00 ─ 20:00/いずれも最終入場は閉館30分前まで)
休館日:月曜日(祝日の場合は翌火曜日)
主催:公益財団法人 東京オペラシティ文化財団/明治学院大学/NHKプロモーション/日本経済新聞社
協賛:NTT都市開発株式会社
協力:株式会社ヤマハミュージックリテイリング

展覧会特設サイト:http://www.operacity.jp/ag/exh157/

注:会場内の画像は主催者の許可を得て撮影したものです。

【次回展】
さわひらき」[仮題]
2014.01.18[土]- 03.30[日]


《Souvenir III》2012  courtesy: Ota Fine Arts

ロンドン在住の日本人アーティスト・さわひらきは、実写とアニメーションを混在させた幻想的な映像作品で知られています。アンティークの小さな箱に埋め込んだディスプレイで映し出されるような親密な作品もある一方、複数のスクリーンを使った大型のインスタレーションを発表するなど、近年は観る人の身体感覚に訴える作品も発表しています。室内や自然の風景といった日常の光景に異質なものを挿入し、虚と実の世界を自在に行き来しながら映像表現の新しい可能性を探るさわ。東京オペラシティ アートギャラリーでの展覧会に際しては、これまでの作品につらなる新作が発表されます。また、当館の空間を意識したインスタレーションを予定しており、映像世界と空間のあらたな関係を見ることができるでしょう

ソニー「Life with Headphones」 60秒 Ver.


今大注目のアーティスト、シシドカフカが登場する特別ムービー“大好きな音楽には、大好きな音で。”「音楽のチカラ」が場面ごとに展開。シンプルながら心に響く渡ります。

ソニーのウォークマンとソニーヘッドホン。ちょっと時間を見つけては好きな音楽聴きまくっていた学生時代を思い起こします。


宣教医ヘボン 〜ローマ字・和英辞書・翻訳聖書のパイオニア〜」展

開催期間:2013年10月18日(金)〜12月27日(金)
会場:横浜開港資料館
http://www.kaikou.city.yokohama.jp/index.htm

明治学院創立150周年記念サイト
http://mg150.jp/index.html

Twitterやってます。
@taktwi

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本展は、激動の時代歩んできた日本近代音楽の歴史150年を紹介します。
「幕末から明治へ」、「大正モダニズムと音楽」、「昭和の戦争と音楽」、「戦後から21世紀へ」、の4つのセクションに分け、日本人がどのように西洋音楽を受け止め、確立していったのかを探ります。

明治学院大学図書館付属日本近代音楽館の所蔵資料を中心に、全国の資料館、美術館および個人所蔵の資料を加えた約300点を展示。日本音楽史に名を連ねる作曲家達、滝廉太郎、山田耕筰、橋本國彦、早坂文雄、芥川也寸志、武満徹らの自筆楽譜や、貴重な資料、楽器などのほか、詳細な解説映像とパネルなどにより、幕末から現代に至る日本の音楽の展開を視覚的に構成する充実の内容です。

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