青い日記帳 

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年末年始に読みたいアート関連本10冊

クリスマス・テロのようなはしゃぎっぷりの街中。それでなくても慌ただしい年の瀬。気持ちだけが毎年のように逸ります。無目的に…

今年は年末年始のカレンダーの並びがよく、長期の旅行に出かけられる方も多いと聞きます。逆にのんびり何処へもでかけず家で寝正月を決め込む方もいらっしゃるかと。

テレビの年末年始特番をだらだらと観てしまうのであれば、折角まとまった時間があるのです。こんな時こそ普段中々読む時間がとれない本をまとめて読んでしまいましょう。


イワン・クラムスコイ「読書をするソフィア」

斯く謂う私も、今年は取り立てて何処へも出かけず自宅でのんびり過ごす時間が、どうやら多そうです。

と言うことで、「年末年始に読みたいアート関連本10冊」と題し、今年刊行された新刊の中で面白かった本をご紹介したいと思います。

※中野京子先生、宮下規久朗先生、池上英洋先生、佐藤晃子さん、林綾野さん、山口晃さん等ブログで取り上げた本は除きます。
これまでブログで紹介した書籍はこちらです。


江戸絵画の非常識―近世絵画の定説をくつがえす (日本文化 私の最新講義)
安村 敏信 (著)
敬文舎

江戸絵画の「常識」となっている13の事柄を、「本当か?」と疑い、綿密な考証をほどこして検討、定説をくつがえしていく。また、19世紀の京・大坂で活躍した画家70人の事績を、年表とともに紹介する。

安村敏信先生の絵画論がまとまって読める待望の一冊。相変わらずアプローチがユニークで、美術界の常識とされている所謂「定説」をバッタバッタと切り倒して行く手法を用いています。

「応挙が出て京都画壇は一変した。」
「長崎に渡来した沈南蘋は、三都に強い影響を与えた。」
「俵屋宗達の『風神雷神図屏風』は、晩年に描かれた傑作である。」

これらの「常識」をきちんとした論考で覆して行きます。その様が実に痛快で一度読み始めたら止まりません。来年春に東京国立博物館で開催される特別展「栄西と建仁寺」で久々に東京での展示となる俵屋宗達筆 「国宝 風神雷神図屏風」を観る目もこれまでと違ってくること間違いなしです。

開山・栄西禅師 800年遠忌 特別展「栄西と建仁寺」
http://yosai2014.jp/


西洋絵画の歴史 1 ルネサンスの驚愕 (小学館101ビジュアル新書)
遠山 公一 (著), 高階 秀爾 (監修)
小学館

今年はラファエロ展、レオナルド・ダ・ヴィンチ展、ミケランジェロ展とイタリアルネサンス期を代表する三大巨匠の展覧会が一度に開催され話題となりました。

展覧会は終ってしまいましたが、しっかり復習をしておきましょう。近い将来イタリア他世界各地の美術館・博物館でルネサンス期の画家の作品をその目で観る時が来るはずです。

何冊か出されたルネサンス本の中で最も手ごろで内容も充実している一冊が『西洋絵画の歴史 1 ルネサンスの驚愕』です。図版も全図だけでなく、部分図など丁寧に紹介されている読み応え十分です。


日本人養成講座
三島由紀夫文学館 (著), 平凡社 (編集)
平凡社

3.11を経験した今、40年前に死を賭して国家の再創造を仕掛けた三島由紀夫が甦る。繁栄とは、平和とは、日本人としての誇りとは? 日本の復活を願う人々のための、熱き再生のヒント!

今の若者で、三島由紀夫の著作を読んだことのある人どれくらいいるのでしょう。多分、標準的な高校生では10パーセントにも満たないのではないでしょうか。

また、三島由紀夫の本を一冊だけ紹介して!と言われると逆に困りますよね…

この本は三島のエッセンスをぎゅっと凝縮した一冊です。「ニッポン人のための日本入門」から「おわり方の美学」まで。既知の評論もあれば初めて目にするものもあります。

古色然とした三島由紀夫像とはまるで違い、現代にもその精神が脈々と受け継がれていることを再確認出来ます。会田誠氏絶賛!


写実絵画の魅力 世界初写実絵画専門美術館「ホキ美術館」に見る
安田茂美、松井文恵(著)ホキ美術館 (監修)
世界文化社

写実絵画の魅力とは何か。「写実」の現代作家14人が語る。

先月出たばかりの新刊。

ホキ美術館所蔵作家14名が語る「写実絵画」。写真のようで違いがなく面白味に欠けると思われがちな写実絵画ですが、ホキ美術館へ行ってそれぞれの作品を比べてみると実に個性的であることが分かります。

当たり前のことですが、描く人間が違えば作品も違ってくるものです。では、その違いはどこから来るのでしょう?

モチーフに対する接し方、画材へのこだわり、そもそも写実をこころざしたきっかけ等々、実に多様な言葉で紡がれた一冊です。

カラー図版も豊富に用いられています。ホキ美術館行ったことある方も、まだ無い方も写実画家たちの素顔が垣間見られるこれまでに無かった一冊です。

ホキ美術館 HOKI MUSEUM
http://www.hoki-museum.jp/


ヘンリー・ダーガー 非現実を生きる (コロナ・ブックス)
小出由紀子 (著, 編集)
平凡社

天涯孤独の老人ダーガーが遺した絵物語『非現実の王国で』。挿絵53点、物語と自伝の抜粋から、実人生と物語が交錯するさまに迫る。評論=丹生谷貴志、詩=やくしまるえつこ、エッセイ=坂口恭平

今月出たばかりの新刊。

家族も友人もなく、60年にわたり誰にも知られず、仕事を終えると部屋に閉じこもり独りで、「夢の世界」を描き続けたヘンリー・ダーガー。

没後40年経った今、あらためてヘンリー・ダーガーに注目が集まっています。

子供を奴隷にする悪の大人と戦う、少女戦士ヴィヴィアン・ガールズの絵物語『非現実の王国で』を初めとし、子供時代からダーガーの生涯を追いつつ、圧倒的なビジュアルで読み解かせる「一大絵巻」です。

どんなドラマや映画よりも面白く摩訶不思議な世界が待っています。


壊れた仏像直しマス。 2 (芳文社コミックス)
芳家圭三 (著)
芳文社

天才仏師・英道吉が突然消えた。仏像の修復も請け負っていた彼が残した仕事を前に途方にくれる息子たち。しかし、次男・龍之介は工房を守る決意をし…。仏像のお医者さんである「仏像修復師」を描く再生の物語。

『私は利休』や『さよならソルシエ』といった漫画は既に紹介してしまったので、こちらを。1巻から4巻(完結)まで発売されている『壊れた仏像直しマス。』

運慶、快慶そして円空のようなスーパースター仏師が主人公ではなく、現代に生きる一人の若者仏師が繰り広げる人情味あふれるお話です。

難しい専門的な知識は全く不要。年末年始に読むのにもってこいの漫画かもしれません。心温まるストーリーです!


複数形のプラハ
阿部 賢一 (著)
人文書院

カフェ、広場、ショーウインドーといった様々な場所、複数の言語、様々な出自をもつ芸術家の目を通して浮かびあがる都市プラハの複数性と多層性。オーストリア=ハンガリー帝国の「地方都市」からチェコスロヴァキアの「首都」となった都市空間「プラハ」の深層を解読する。

リルケ、ムハ(ミュシャ)、ヤナーチェク、それにシュルレアリストといった多くの才能あふれる芸術家たちを生んだ街プラハ。

アート関係ではやはり、ムハ(ミュシャ)を扱った第3章「芸術都市としてのアール・ヌーヴォー」は必読です。パリで売れっ子アーティストとして華々しく活躍していたのとは違う、どこか暗い側面を持つ祖国プラハでのミュシャ。
晩年、ムハがスラブへの志向を強めれば強めるほど、プラハはムハの作品に対して距離を置くようになった。プラハが歓待しようとしたのは、スラヴ主義者としての「ムハ」ではなく、フランスの画家「ミュシャ」であったのかもしれない。


超絶技巧 美術館 (BT BOOKS)
山下裕二 (監修), 美術手帖編集部 (編集)
美術出版社

超細密絵画、スーパーリアル・フィギュア、複雑怪奇な工芸品!?現代作家20人の挑戦に迫る!日本美術が生んだ究極の技、集結!!

説明不要!前原冬樹、山口英紀、アイアン澤田、田嶋徹ら「超絶技法」を駆使しこれまで見たことも聞いたこともないアート作品を生み出す現代作家を紹介しつつ、明治期の作家たちも紹介。

来年、三井記念美術館で開催される特別展「超絶技巧!明治工芸の粋」を観る前の予習本としても最適です。

三井記念美術館
http://www.mitsui-museum.jp/
並河靖之らの七宝、正阿弥勝義らの金工、柴田是真・白山松哉らの漆工、旭玉山・安藤緑山らの牙彫をはじめ、驚くべき技巧がこらされた京薩摩や印籠、刺繍絵画など、選りすぐりの百数十点を初めて一堂に展観します。


ミヒャエル・エンデが教えてくれたこと: 時間・お金・ファンタジー (とんぼの本)
池内 紀 (著), 子安 美知子 (著), 小林 エリカ (著)
新潮社

未来は、エンデのなかにあった。『モモ』『はてしない物語』ほか、ファンタジー物語の傑作を残したエンデ。その作品世界は、社会に対する鋭い洞察から生れたものでした。「時間」や「お金」といった概念を捉えなおし、読者に気づきをもたらすその言葉は、現代人への伝言でもあります。詳細なバイオグラフィと作品ガイド、貴重な自筆画も収録した待望の入門書。

『モモ』『はてしない物語』を著したエンデの知られざる側面を丁寧に紹介する極上の一冊。「エンデの言葉」は新しい年を迎えるにあたり、ひとつの大きな目標を示してくれるはずです。

原書には未収録の直筆画もふんだんに紹介されてます。エンデの頭の中をほんのわずかですが覗いた気分にさせてくれます。

ミュンヘンにあるミヒャエル・エンデ・ミュージアムへ次にドイツを訪れる際には訪問先に加えること決定!

ところで『モモ』本棚にあったかな〜小さい時に読んだ本をあらためて読み直すと思わぬ発見があるものですよね。小説は捨てられません。


いま読む ペロー「昔話」
工藤庸子 (翻訳)
羽鳥書店

赤ずきんに「赤い」頭巾をかぶせ、猫に「長靴」をはかせた、17世紀フランスの宮廷作家シャルル・ペロー。世界中で読み継がれてきたペローの『昔話』は、もともと大人向けの読み物として貴族の文芸サロンで誕生した。民間伝承と宮廷文化との出会いから生まれた物語の背景をふまえ仏文学者・工藤庸子が新たに訳す。充実の解説付。

ジャケ買いならぬ、表紙買いをしてしまった一冊。鴻池朋子さんが描き下ろしの表紙絵(装画)を担当されています。タイトルはズバリ「狼頭巾」

挿画も鹿島茂先生が泣いて喜びそうなものばかり。それにしてもシャルル・ペローっておかしな、否、不思議な人ですね。。。



以上、緩いアート括りで10冊ほど紹介して参りましたが如何でしたでしょう。読みたい!とアンテナにビビッときた本はあったでしょうか。

展覧会同様に本も「雑食」なので何でも広く浅く読み漁ります。今年はとうとう本棚が足りなくなりました。まずは新たな置き場を確保しなくてはなりません。でも本が溜まっていくことほど嬉しく楽しいことはありません。

写真集なら一択でこちら!


BLAST
畠山 直哉 (著, 写真)
小学館

世界的に人気がある、写真家畠山直哉の代表作「BLAST」がついに写真集として刊行。ブックデザインは祖父江慎。

おまけ。


窓へ 社会と文化を映しだすもの
五十嵐 太郎 (著), 東北大五十嵐研究室 (編集)
日刊建設通信新聞社

ちょこっとだけお手伝いした本です。小さく名前が載ってます(^^ゞ

【祝】宝島社「このマンガがすごい!」2014年オンナ編1位

さよならソルシエ 1 』(フラワーコミックス)
穂積

知っているか、兄さん
心を揺さぶられて仕方がな作品に出会った時のことをなんて呼ぶか。
-----恋だよ。


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ミヒャエル・エンデが教えてくれたことを先日読み12月19日に拙ブログに記事をUPしていました。なかなかい本ですね。
小生は仕事でミュンヘンフランクフルトにいたことがあり、かの地を訪れる機会があればミヒャエル・エンデ・ミュージアム
行きたいですね。
星の王子様 | 2013/12/27 3:31 PM
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ミヒャエル・エンデが教えてくれたこと | Star Prince JUGEM | 2013/12/29 6:58 PM