![]() 2013.12.29 Sunday
2013年 展覧会ベスト10
子年も今日を入れあと3日となりました。
今年は祖母、岳母そして従姉妹が他界するなど悲しい一年でした。こんな年に限り仕事でも振り回され、例年に比べ展覧会へ足を運ぶ回数も少なくなりましたが良い展覧会が多く選ぶのに苦労しました。 そんな2013年ですが、やはり展覧会総括として「2013年 展覧会ベスト10」書きまとめておきませんと、新しい年を迎えられません。毎年のことながら素人の分際で恐縮では御座いますが、何卒お付き合い頂ければ幸いです。 同様にブログにまとめられた方いらっしゃいましたら、是非TB(トラックバック)送って頂ければ幸いです。(コメントでも結構です) Facebookページ「青い日記帳」でも大歓迎です。 ![]() 葛飾北斎「鳳凰」 →美術業界の方々にお伺いした2013年ベスト展覧会をまとめてあるプロが選ぶ「2103年ベスト展覧会」もご一緒にご覧下さい。 「ベスト10」と称し、拝見した展覧会に順位を付けるのはどうかと思いつつも、それでも毎年恒例の縁起もの。これやらないと年を越せないので僭越ながら発表させて頂きます。 ![]() ![]() ![]() ![]() 大倉集古館:http://www.shukokan.org/ 会期:2013年10月5日〜12月15日 「絵になる都」開封・杭州・京都・江戸がそれぞれどのように描かれてきたか、と同時に文化の受容の流れも汲みつつ紹介するコンパクトでありながらも考えに考え抜かれた構成の展覧会。開封を描いたお宝中のお宝「清明上河図」から、過去と現代が入り混じった東京・六本木を描いた山口晃「東京圖 六本木昼図」まで40点を一連の流れの中で破綻なく魅せる構成力に感服。 描かれた都: 開封・杭州・京都・江戸 板倉 聖哲 (監修), 大倉集古館 (編集) ![]() ![]() 東京藝術大学大学美術館 会期:2013年5月14日〜7月7日 小説内にロンドンで実際に眼にしてきた絵画作品や日本美術を巧みに配することにより、自著に華を添えている夏目漱石。「夏目漱石の美術世界展」ではその漱石作品の華とも言うべき美術作品に焦点をあて、漱石がもっていたイメージを視覚的に読み解いていくありそうでなかった画期的な展覧会。ウォーターハウスに、『夢十夜』のイメージソースともなったB.リヴィエアー《ガダラの豚の奇跡》等、漱石作品の理解を深めてくれたこれまでになかったタイプの展覧会でした。漱石自身が描いたゆるーい作品も良いアクセントとなっていました。 ![]() ![]() 東京国立近代美術館 会期:2013年3月8日〜5月26日 「20世紀最も重要な画家の一人で、現代美術に多大な影響を与えた」アイルランド出身の偉大な画家フランシス・ベーコン(1909-1992)「目撃せよ。体感せよ。記憶せよ。」の謳い文句は嘘偽りなし。つい最近(2013年11月12日)もニューヨークで開かれたクリスティーズのオークションで1億4240万ドルでベーコンの作品が絵画史上最高額で落札されたニュースも。はっきり言ってよくぞまぁこんな展覧会を開催して下さったものだと。近美の空間でフルサイズの三幅対(トリプティック)に囲まれる快感は身体に刻みこまれました。 Bacon $142 Million Triptych Beats Warhol: Top 2013 AuctionSales (ベーコン首位、ウォーホル2位−美術品トップ10総額過去最高) ![]() ![]() 日本民藝館http://www.mingeikan.or.jp/ 会期:2013年6月11日〜8月18日 日本民藝館所蔵の絵画作品の中で最も重要で、もっとも(現代人の目から見たら)エキセントリックな室町時代の絵巻「つきしま」(築島物語絵巻)を思う存分堪能できた展覧会。昨年の展覧会べスト10で1位に選んだ「お伽草子展」(サントリー美術館)を彷彿とさせる、興奮に襲われました。ルソーの「素朴美」とはまた違い、日本人のDNAにダイレクトに働きかける“美しさ”を絵巻「つきしま(築島物語絵巻)」と絵入本「かるかや」は有しています。図録は家宝にします。 ![]() ![]() 国立新美術館 会期:2013年7月3日〜9月16日 2008年に森美術館で開催された「アートは心のためにある」でグルスキーの作品が一点だけ出ていました。東近美や原美術館でも数点観た時同様に現実の世界を写し出している「写真」でありながらどことなく「絵空事」のように見えてしまうグルスキーの“写真”にずーーと興味を持っていました。ベーコン同様に評価額が高額な為、日本での展覧会は無理だろうな〜と諦め気味でした。しかしそれがこうして現実となるとは。展覧会自体が「絵空事」のように思えて仕方ありませんでした。 ![]() アンドレアス・グルスキー(Andreas Gursky, 1955年1月15日 - ) ![]() ![]() ブリヂストン美術館 会期:2013年10月10日〜12月29日 「印象派展」に自ら何度も作品を出品した画家としての側面と、モネ、ルノワール、ピサロ、シスレーそしてセザンヌらの仲間たちを経済的に支援したコレクターとしての二つの大きな顔を合わせ持つギュスターヴ・カイユボット。印象派の展覧会でたま〜に名前は出てきてもオルセーで「床削り」他を観た以外どんな作品を描いた画家なのかよく知りませんでした。日本初の「カイユボット展」でなるほど!と納得出来た点が幾つか。パリの中心部オペラ座の近くに居を構え、舟遊び、切手蒐集、ガーデニングが趣味の超ブルジョア。殿様趣味的に絵も描いたとすると合点が行きます。こういう余裕のある人の絵ってあくせくしてなくて良いな〜と。 ![]() 壁をブルーにした会場 →朝日マリオン・コム「ぶらり、ミュージアム」カイユボット展 ![]() ![]() 愛知県美術館http://www-art.aac.pref.aichi.jp/ 会期:2013年3月1日〜4月14日 同時代の若冲、蘆雪、蕭白に比べ面白味に欠けると思われている応挙ですが、そんことはなく逆に革新的なことを成し遂げんとしたチャレンジ精神旺盛なイケイケな絵師だったことが分かる展覧会でした。東大の佐藤康宏先生が「応挙はヘンタイだ」と仰っていたのも頷けます。しかしただの「ヘンタイ」ではなく中国絵画などを地道に学び習得しています。「リアルに見えること」を追求し、トリックアートのような写実画を描いた応挙。その系譜の末端にいる我々にはそれが当たり前過ぎて「フツウ」に見えてしまう点が応挙の悲しさか。兵庫県大乗寺の客殿二間、襖24面分のガラスケースなしの障壁画空間の再現展示は圧巻でした。 ![]() ![]() Bunkamuraザ・ミュージアム 会期::2013年4月27日〜6月16日 応挙の次にロペス…写真のように描くことが、本当の「リアリズム絵画」ではないことをまざまざと見せつけられる新鮮な驚きと感動に満ちた展覧会でした。今まで頭の中にあった「リアリズム絵画」の定義が根底から音を立て崩れ去り、それは決して「本物のように描く」ことではないのだということを痛烈に感じました。マドリードをあれだけ「リアル」に描いているのに近寄ってみると所々粗が目立つのには驚きました。グルスキーは写真を絵画のように創り直しますが、ロペスはその逆の手法を驚くような歳月をかけ成し遂げているのです。 ![]() ![]() 東京国立博物館 会期:2013年7月13日〜9月8日 自分は書については絵画以上に素人です。そのド素人の自分でもこれは凄い!と唸る展覧会が「和様の書」でした。平安時代の小野道風、藤原佐理、藤原行成ら「三跡」から先日、ユネスコの世界記録遺産に登録された藤原道長の「御堂関白日記」、古筆の断簡を集め分厚い一冊の本に仕立てた「四大手鑑」等々、会場内のどこを観てもお宝のオンパレード。何と言ってもそれぞれが皆美しい!これに尽きます。真夏に開催されたにも関わらず都合4回も足を運んでしまいました。日本人に生まれて良かった〜と心の底から思える展覧会でした。 ![]() ![]() 国立新美術館 会期:2013年4月24日〜7月15日 2009年にフランス国立、パリ・クリュニュー中世美術館で拝見したので今更感はあったのですが、あちらで観るよりも六本木の方が更に美しく改めてこの展覧会で「貴婦人と一角獣」の6枚のタピスリーの魅力に取り憑かれてしまいました。恋愛に「正解」がないように、解けない数多の謎を内包しているからこそ、このタピスリーが何百年経っても魅力的に映るのではないでしょうか。「ガンダムUC(ユニコーン)」は来年で終結し物語は終わりを迎えるそうですが、かつてル・ヴィスト家が所有していた「貴婦人と一角獣」の物語はまだまだ終わらなそうです。 『機動戦士ガンダムUC episode 7』公開日は2014年5/17 以上、独断と偏った嗜好により選んだベスト10です。ギャラリーでの個展やイベント系の展覧会はランキングから除外しました。 と、ブログに感想を書いた展覧会からベスト10を選んでしまった結果、以下の2つが抜け落ちていることに今頃気が付きました(汗)。展覧会を観に行っても必ずしも感想を書いているわけじゃないのでこういうへまをやらかしてしまいます。 特別展「狩野山楽・山雪」と「當麻寺 −極楽浄土へのあこがれ−」も遠征した甲斐の十分にある展覧会でした。 ![]() 特別展「狩野山楽・山雪」@京都国立博物館 2013年3月30日〜5月12日 ![]() 「當麻寺 −極楽浄土へのあこがれ−」@奈良国立博物館 2013年4月6日〜6月2日 「ベスト10」に惜しくも入らなかったものの、選出の際に二重丸を付けた展覧会を列挙しておきます。いずれも甲乙付け難く最後の最後まで悩んだ展覧会です。(以下順位不同) 特別展「光悦」@五島美術館 「井戸茶碗 戦国武将が憧れたうつわ」@根津美術館 「ターナー展」@東京都美術館 「幕末の探検家 松浦武四郎」@静嘉堂文庫美術館 「内と外―スペイン・アンフォルメル絵画の二つの『顔』」@国立西洋美術館 「山口晃展 画業ほぼ総覧−お絵かきから現在まで」@群馬県立館林美術館 「クローゼットとマットレス」スミルハン・ラディック+マルセラ・コレア展@メゾンエルメス 「吉岡徳仁展」@東京都現代美術館 特別展「上海博物館 中国絵画の至宝」@東京国立博物館 「モネ、風景をみる眼」@ポーラ美術館、国立西洋美術館 「魔法の美術館」@上野の森美術館 福井利佐「Life-Sized」@ポーラミュージアムアネックス 「渋谷駅体得展」@クリエーションスクエアしぶや 「渋谷・公園通り たばこと塩の博物館物語」@たばこと塩の博物館 「大野麥風展」@東京ステーションギャラリー 「坂田栄一郎―江ノ島」@原美術館 「エミール・クラウスとベルギーの印象派」@東京ステーションギャラリー 「カラーハンティング展」@21_21 DESIGN SIGHT ミヤケマイ「白粉花」@ポーラミュージアムアネックス 「LOVE展」@森美術館 「ジャパン・ビューティー」@ニューオータニ美術館 「牧野邦夫展」@練馬区立美術館 「かわいい江戸絵」@府中市美術館 「松永真ポスター100展」@ギンザ・グラフィック・ギャラリー 「新井淳一の布 伝統と創生」@東京オペラシティ アートギャラリー 「日本の民家一九五五」展@パナソニック 汐留ミュージアム 「白隠展」@Bunkamuraザ・ミュージアム 「ジョセフ・クーデルカ展」@東京国立近代美術館 「人間のための建築 建築資料に見る坂倉準三」@文化庁 国立近現代建築資料館 「古径と土牛」@山種美術館 「うさぎスマッシュ展」@東京都現代美術館 「横山大観展ー良き師、良き友」@横浜美術館 「奇跡のクラーク・コレクション」@三菱一号館美術館 「『もののあはれ』と日本の美」展@サントリー美術館 ご参考までに2004年〜2012年までのベスト10はこんな感じでした。 2004年 展覧会ベスト10 2005年 展覧会ベスト10 2006年 展覧会ベスト10 2007年 展覧会ベスト10 2008年 展覧会ベスト10 2009年 展覧会ベスト10 2010年 展覧会ベスト10 2011年 展覧会ベスト10 2012年 展覧会ベスト10 こちらもご参考までに。 かみさんが選ぶ「2013年 展覧会ベスト10」 プロが選ぶ「2013年 ベスト展覧会」 ※皆さんもご自身のブログで同じように今年の展覧会を振り返るような記事書かれた方いらっしゃいましたら是非是非トラックバック送って下さい! 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