青い日記帳 

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「Kawaii 日本美術」関連講演会「美術感想文」

山種美術館で開催中の特別展「Kawaii 日本美術」関連特別講演会「美術感想文」(講師:山口晃)に参加して来ました。(2014年1月11日(土)14時〜 会場:國學院大學 院友会館)


ホワイトボードの前が日本で一番似合う絵師・山口晃さん

昨年、2013年10月22日より山種美術館サイト上で告知され参加申し込みが始まるや、年内には200席全てが完売となったトークショー。それもそのはず、今や国民画家としての地位を築きつつある山口晃さんが、山種美術館で公開中のカワイイ日本画について述べるのです。

画家自身が、その独自の切り口、語り口で語る絵画の世界は、『ヘンな日本美術史』が美術書としては異例のベストセラーとなり、小林秀雄賞を受賞したことからも明らかです。

昨年末紀伊國屋書店で開催された「年忘れ!山愚痴屋感謝祭」では抱腹絶倒のトークを聞かせて下さいましたが、今回は至って真面目な内容。(隣りの席の人が舟を漕ぐほど)

たっぷり90分山口晃さんがどのようにして絵に接しどのように観ているのかを伺ってきました。『ヘンな日本美術史』を読んでも分かりますが、視点がまるで違います。まさに目から鱗のお話多数(寝ている暇なかったはずなんだけどな〜)

ということで、お話なされた一部を掻い摘んでご紹介します。山種美術館の「Kawaii 日本美術」これからご覧になる方必見です!また既にご覧になられた方も「なるほどね〜」と唸るはずです。

※自分がメモしたものですので、聴き間違いや山口さんの言わんとすることとはズレている箇所もあるかもしれませんがご容赦下さい。


特別展「Kawaii 日本美術」図録(1000円)

今日はかみさんから笑いは一切無しで行けと言われているので、真面目に?好き勝手に!山種美術館の所蔵品を基本的に褒めちぎり語らせて頂きます(笑)

特別展「Kawaii日本美術」。狙いすましたようなタイトル。事前に頂いた資料で見るとほんとに可愛いの?と思うような作品(例えば奥村土牛の描く動物の目つきの悪さ。小出楢重の描いたオジサンか!というような子ども)もありました。

ところが、講演会前に山種美術館で実物を拝見すると驚くほどきれいなんですね。物質としてきれいと言いますか、本物の持つ力はすごいな〜とあらためて思った次第です。

(日本画と西洋絵画(ベラスケス)における子どもの描き方の違いや、顔の表情の表現手法の違いをホワイトボードを駆使して解説。)

狩野常信「七福神図」江戸時代

砂子をまいた金泥、金雲を空間を作り出す為に使っている(画空間を使う要素として金泥を使えているように見えました)。逆に近代の「復興大和絵」を提唱するような絵の方が装飾的になってしまっています。

装飾的に用いていた金(金の明るさが本来持っている効果)を空間を作り出すことに巧みに用いていることがこうした絵から分かります。山種美術館さんの覗きこみケースで金泥や金雲の効果を感じてみてください。

伊藤小坡「虫売り」昭和7年頃

心もち子どものプロポーションがやや大人ですね。プロポーションを見た通りに6等身とかで描くと人間に見えないんですよね。この絵も子どもだけを見ると可愛いですが、傍に描かれた大人を見ちゃうと…2mはありますよね。

でもそうしたある種の違和感は、私たちが知らず知らずのうちに失ってしまった「視点」であり、この時代の絵を見ると気付かされます。


小出楢重「子供立像」大正12年

大事ですよね、こういう絵って。よその家のご両親は自分の子ども可愛さに傅いているのに、他人が見るとちっとも可愛くないこと教えてくれます(笑)

この顔を抜き出して身体にニッカポッカをはかせたりしたら…子どもだけど大人が透けて見えることってたまにありますよね、あの雰囲気がすごくよく伝わる作品かと。

生の人間のリアリティーがあり、びっくりするくらい奇麗な色です。セーターの紫と青の色は本来暗い色にも関わらず明るいんです!彩度、きらめきがあります。


小茂田青樹「愛児座像」昭和6年

浮き上がっているように描かれた敷物の描き方は、江戸時代までの日本古来の空間の扱い方で、画家が意識的に描いているものです。

本来子どもの目のラインからするともっと敷物は低くても良いはずですが、かなり高いポジションに描かれています。これは(ラインを)上げたことによって床の空間(背景)が破綻せずに、広がり作品としての収まりが良くなるからです。

写実性と絵画的な構築性が融合しています。

奥村土牛「戌年」昭和57年

土牛が91歳の時に描いた。ずるいです。誰も文句言えません。この可愛さ。顔にやられました。「鹿」はまだ生気が残っています。鹿の目が土牛そっくりですから見てください!

麻田辨自「薫風」昭和時代

これも顔にやられたんですが、、、ところで、獣を触ったことがある方なら分かるかと思いますが羽毛のやわらかさの下にある割と温かい身体ってありますよね。その雰囲気がとてもよく描けている作品です(ちょっと妙に胸をそらしています)。子犬ですからぷくっとおお腹周りの余っている辺りが可愛いいです。

関係ないですが、僕もお腹が余っていて(中年だからじゃないですよ)子どものころ「山ちゃんアフリカの子供みたい!」と言われたりしたものです。



「藤袋草紙絵巻」室町時代

哀れさ、不憫さ。こうした絵巻に描かれているような(カチカチ山のような)苛烈さは私たちが見えなくなってしまっているものです。

どうしてこの絵巻に描かれているように猿がこれほどまでに酷い目にあわされるかにむしろ興味がわきました。とろこで、猿の可愛いさは手の長さですよね。そこに注目です。

竹内栖鳳「鴨雛」昭和12年

可愛らしさよりも、栖鳳の絵を観るととにかく巧さが目に入ってしまいます。筆の線、濃淡(筆の運動性)をマスターしているので、形だけを意識すればよかったはず。

形を観てしまい筆が縮こまってしまうと絵は描けない。観念と観察の押し問答でぎりぎりバランスを保った画家なんです。江戸時代の写実が息づいています。



他の作品についても流石山口さん!という見方を披露して下さいましたが、取りあえずこの辺で。いつもそうですが、あっと言う間の1時間半でした。

自分の好きな福田平八郎の「桐双雀」や「新蔵人物絵巻」(サントリー美術館蔵)のお話もハッとさせられる点がありました。講演会拝聴後、展覧会再び拝見しなるほどね〜と感心しっぱなしでした。


講演会を無事終え、山崎妙子館長と記念撮影。

山口 晃 氏(画家)
1969年東京生まれ、群馬県桐生市に育つ。96年東京藝術大学大学院美術研究科絵画専攻(油画)修士課程修了。2001年第4回岡本太郎記念現代芸術大賞優秀賞。12年11月に平等院養林庵書院に襖絵を奉納。13年自著『ヘンな日本美術史』(祥伝社)で第12回小林秀雄賞受賞。時空が混在し、古今東西様々な事象や風俗が、卓越した画力によって画面狭しと描き込まれた都市鳥瞰図・合戦図などが代表作。公共広告機構マナー広告「江戸しぐさ」、成田国際空港のパブリックアート、五木寛之氏による新聞小説『親鸞』の挿絵なども手がける。


おまけ

ぽっこりお腹の出た子供時代の山口さんの絵が、気が付くと奈良美智さんの描く子供の絵にトランスフォーム!


すゞしろ日記 弐


山口晃 大画面作品集


【特別展】「Kawaii 日本美術 ―若冲・栖鳳・松園から熊谷守一まで―」

会期:2014年1月3日(金)〜3月2日(日)
(一部展示替 前期:1/3〜2/2、後期:2/4〜3/2)
会場:山種美術館(東京都渋谷区広尾 3-12-36)  
http://www.yamatane-museum.jp/
主催:山種美術館、朝日新聞社

山口晃さんも召し上がっていた「Kawaii 日本美術」展特製和菓子。

山種美術館内「カフェ椿」

明日2014年1月13日(月・祝)まで!「山口晃展 画業ほぼ総覧−お絵かきから現在まで」群馬県立館林美術館


20年ぶりの公開となる、「自画像」 1994年 東京藝術大学蔵 や藝大時代に描いた1990年初期の作品が出迎えてくれます!

【関連エントリ】
-「Kawaii 日本美術」関連講演会「美術感想文」
-山口晃 トークショー@館林美術館
-『すゞしろ日記 弐』
-「山口晃展 画業ほぼ総覧−お絵かきから現在まで」
-「山口晃展 付り澱エンナーレ」
-『山口晃 大画面作品集』
-はつ春 山愚痴屋感謝祭(山口晃トークショー)
-『ヘンな日本美術史』レビュー
-「山口晃展」@異国調菜「芭蕉」
- 平等院養林庵書院(重要文化財)に山口晃さんの襖絵が奉納されました。
- 山口晃「すゞしろ日記」
- そうだ京都行こう!「さて、大山崎」山口晃展
- 『すゞしろ日記』(羽鳥書店)刊行記念〜山口晃 トーク&サイン会
- 年忘れ!山口晃トークライブ開催!!
- 「山口晃展」
- 「ネオテニー・ジャパン」山口晃アーティスト・トーク
- 「山口晃展」
- 「さて、大山崎〜山口晃展」
- 山口晃「ラグランジュポイント」
- 山口晃トークショーin練馬区立美術館
- 対決×ペア券@山口晃
- 「アートで候。会田誠 山口晃展」
- 「prints (プリンツ) 21」山口晃特集
- 「アートで候。」山口晃ギャラリートーク

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