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「ラファエル前派展」

森アーツセンターギャラリーで開催中の
「テート美術館の至宝 ラファエル前派展 英国ヴィクトリア朝絵画の夢」に行って来ました。


「ラファエル前派展」公式サイト:http://prb2014.jp/

芸術家グループ「ラファエル前派」。正式名称「ラファエル前派兄弟団」(Pre-Raphaelite Brotherhood)、略してP.R.B.秘密結社のような響きを内包する前衛芸術運動は、英国美術史に大きな影響を与えるものでした。

ロイヤル・アカデミーで学んでいた3人の学生、ジョン・エヴァレット・ミレイ(1829-96)、ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ(1828-82)、ウィリアム・ホルマン・ハント(1827-1910)が中心となり、1848年に起こした前衛芸術運動。

規律や伝統を主じる英国だからこそ、こうした一種カウンターカルチャー的な運動が生起したのでしょう。フランス、パリで成立した印象派とは似ているようで実は大きな違いがあります。


ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ「見よ、我は主のはしためなり(受胎告知)」1849-50年
ジョン・エヴァレット・ミレイ「両親の家のキリスト(「大工の仕事場」)」1849-50年
テート美術館蔵

それまでのキリスト教絵画の様式美や常識を完全に無視したラファエル前派を代表する2枚の作品。

両親の家のキリスト(「大工の仕事場」)」が発表されるやいなや、猛烈な批判の的となるものの、ロセッティやミレイはそれを逆にバネとしていったのですから痛快です。

確信犯としての自覚があってのこと。手厳しい批評はかえって若い彼らの「燃料」に。今で言う「炎上マーケティング」により「ラファエル前派」はその名を広めたといえます。


ウィリアム・ホルマン・ハント「良心の目覚め」1853-54年
ジョン・ロッダム・スペンサー・スタンホープ「過去の追想」1858-59年
テート美術館蔵

イケイケなやんちゃな面がまだ残る若手の画家たちが、それまでの因習をぶち壊そうと徒党を組んだのが「ラファエル前派兄弟団」(Pre-Raphaelite Brotherhood)と捉えて間違いないかしら。

それだからこそ、永続的な芸術運動とならず、西洋美術史の中では時として「鬼子」のように扱われてしまうのです。

これまでもデパート系の展覧会としてはバブルの前後にラファエル前派関連展幾つも開催されて来ましたが、あくまでもそれは、記憶が正しければ「紹介」に過ぎませんでした。

やっと「ラファエル前派」を体系的に捉える展覧会が開催されると知り、快哉を叫んだものです。苦節うん十年。待てば海路の日和ありとはまさにこのことです。

しかも一昨年(2012年)から昨年にかけてテイト・ブリテン(テート美術館)で開催された
Pre-Raphaelites: Victorian Avant-Garde (Tate Britain: Exhibition 12 September 2012 – 13 January 2013)の世界巡回展として開催されるのですから、もう感涙ものです!


「ラファエル前派展」会場風景

展覧会の構成は以下の通りです。

1.歴史
2.宗教
3.風景
4.近代生活
5.詩的な絵画
6.美
7.象徴主義


「風景」はある意味で、ラファエル前派がそれまでの英国絵画と最も違いを極めたジャンルだと言えます。

今我々の眼で観ると至極当たり前の風景画ですが、それを印象派より前の1800年代中盤に実践してしまったことは特筆すべき点ではないかと。


フォード・マドックス・ブラウン「穀物の収穫」1854-5年
油彩・板(マホガニー)テート美術館蔵 ©Tate

ミレイの「ロセッティ」やロセッティの「プロセルピナ」といった美しい女性を描いた作品に、つい注目が集まりますが、実は最も美術史的に革新的だったのは風景画のジャンルではないかと、今回こうして体系的に拝見し強く感じました。

戸外で光を捕捉し、キャンバスに表現せんとしたこうした作品は、海峡を渡りフランスへ伝わったりもしたのでしょうか。とても興味関心があります。


ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ「プロセルピナ」1874年 
同「ベアタ・ベタトリクス」1864-70年頃 
テート美術館蔵

そうは言っても美しさは正義です。

「ラファエル前派展」には作品の前から立ち去りたくない!これ持ち帰りたい!!何時間でも凝視していたい!!!的なそれはそれは美しい絵画が待っています。

今回のライティングはそれを更に際立たたせているように思えたのですが、気のせいでしょうか。


ジョン・エヴァレット・ミレイ「オフィーリア」1851-52年

日本に何度も来て観ていますが、やはりこの作品の持つ蠱惑的な魅力は夏目漱石でなくてもイチコロです。これだけ近くで観られるのも嬉しい限り。

オフィーリアの美しさばかりに気を取られずに、周りに描き込まれた数多の花々、植物や動物(小鳥)の描写は要チェックです。

作品だけでなく、ラファエル前派のある意味真骨頂は女性を取り巻く、昼ドラもびっくりのどろどろな人間模様です。会場内の人物相関図を見ていると頭がクラクラしてきます。

また、モデルとなった女性と描かれた作品もパネルで丁寧に紹介されています。至れり尽くせりの「ラファエル前派展」なのです。

「ラファエル前派展」は4月6日までです。(国内巡回はしません)是非!
取りあえず、今年の展覧会ベスト10のひとつは決まりました。


テート美術館の至宝 ラファエル前派展 英国ヴィクトリア朝絵画の夢

開催期間:2014年1月25日(土)〜4月6日(日)
※会期中無休
場所:森アーツセンターギャラリー
(六本木ヒルズ 森タワー52階)
http://www.roppongihills.com/facilities/macg/
開館時間:10:00〜20:00
※1月、2月の火曜日は17:00まで。
※入館は閉館30分前まで
主催:テート美術館、朝日新聞社、森アーツセンター、テレビ朝日
後援:ブリティッシュ・カウンシル、ラスキン文庫
協賛:大伸社、JTBメディアリテーリング
協力:丸紅株式会社、日本航空、日本貨物航空
「ラファエル前派展」公式サイト:http://prb2014.jp/


美術手帖3月号増刊 ラファエル前派 19世紀イギリスの美術革命

六本木ヒルズ×ラファエル前派展 期間限定コラボメニュー

英国ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館所蔵作品を中心に、約140点の油彩画や水彩画、素描、家具、工芸、宝飾品で構成される展覧会「ザ・ビューティフル ― 英国の唯美主義 1860‐1900」も1月30日より三菱一号館美術館でスタートします!!


「ザ・ビューティフル ― 英国の唯美主義 1860‐1900」 

会期:2014年1月30日(木)〜5月6日(火・祝)
会場:三菱一号館美術館(東京都千代田区丸の内2-6-2) http://mimt.jp/
主催:三菱一号館美術館、朝日新聞社、テレビ朝日、ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館
一般お問い合わせ:03-5777-8600(ハローダイヤル)
公式サイト:http://mimt.jp/beautiful/


芸術新潮 2014年 02月号 [雑誌]

注:会場内の画像は主催者の許可を得て撮影したものです。

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19世紀半ば、英国のアカデミズムに反発した若き芸術家たちによる「ラファエル前派」運動とその発展を、英国を代表するテート美術館所蔵の名画72点で紹介する美術展です。 1984年にテート美術館で決定版の展覧会が開催されて以降、研究を通じて意義や位置付けが大きく変わったラファエル前派が、英国、ひいてはヨーロッパの美術史に及ぼした影響を再検証し、展覧する、というものです。ロンドン、ワシントン、モスクワ、そして東京で開催される、決定版の展覧会です。


「ラファエル前派」とは?
1848年ロンドンー前衛芸術運動を起こし、英国の美術史に大きな影響を与えた芸術家グループが7人の若者によって結成されました。正式名称は「ラファエル前派兄弟団(Pre-Raphaelite Brotherhood)、略してPRB。中心となったのはロイヤル・アカデミーで学ぶ3人の学生、ジョン・エヴァレット・ミレイ(1829-96)、ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ(1828-82)、ウィリアム・ホルマン・ハント(1827-1910)でした。彼らは盛期ルネサンスの巨匠ラファエロを規範としてその形式だけを踏襲する当時のアカデミズムに反発し、ラファエロ以前の率直で誠実な初期ルネサンス絵画を理想としてこのグループ名を付けました。
彼らの作品は、具体的にはどういった絵画だったのでしょうかー彼らは自然をありのままに見つめ、その姿を正確に写しだそうとして、戸外での制作を試みたり、くっきりした明るい色彩を使用し細部を描き込んだりして、リアリズムに徹した画面を作り上げたのです。
当初、そのような姿勢や絵画は社会から猛反発を受け、一種のスキャンダルになりましたが、美術評論家ジョン・ラスキンの援護もあり、しだいに受容されていきました。本展では、ラファエル前派を英国の近代美術に新たな道を切り開いたアヴァンギャルド運動としてご紹介します。

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六本木 chariot 六本木の森アーツセンターギャラリーでは「ラファエル前派展  英国ヴィクトリア朝の夢」が開かれています。 会期は4月6日(日)まで、会期中は無休です。 ロンドンのテート美術館の所蔵する、ラファエル前派の作品72点を展示する 展覧会