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「ザ・ビューティフル」

三菱一号館美術館で開催中の
「ザ・ビューティフル 英国の唯美主義1860-1900」展に行って来ました。


公式サイト:http://mimt.jp/beautiful/

今からかれこれ20年ほど前、「セザンヌ展」を当時のテイト・ギャラリーで観てきた帰り、地下鉄の駅のポスターの前で思わず「おおっ!なんて美しいんだ!!」と唸ってしまいました。

その作品こそ、フレデリック・レイトン「フレイミング・ジューン(燃え立つ6月)」 に他なりません。

すぐさま、次の予定を変更して「レイトン展」が開催されているロイヤル・アカデミー・オブ・アーツ(王立美術院)へ向かいました。小雨降る中。1996年3月22日のことです。

フレデリック・レイトンの最高傑作と言っても過言ではないこの作品ですが、現在はプエルトリコのポンセ美術館所蔵となっています。


ポンセ美術館公式サイトのキャプチャ。
http://www.museoarteponce.org/

こんな大事な作品が流れ流れて南半球の美術館所蔵となっていることからも、ヴィクトリア朝の絵画が一時不当に低く捉えられていた時代があったことが分かります。

「英国の唯美主義1860-1900」と銘打たれた「ザ・ビューティフル展」は19世紀にイギリスで巻き起こった壮大でとにかく美しいアート・ムーブメントを紹介する展覧会です。

「ザ・ビューティフル展」のメインビジュアルに、フレデリック・レイトンの「フレイミング・ジューン」を想起させるオレンジ色が眩しいアルバート・ムーア「真夏」が使われているのを観た時は20年前ロンドンの地下鉄構内での再来と胸が高鳴りました。


アルバート・ムーア《真夏》
1887年
ラッセル=コート美術館
Photograph reproduced with the kind permission of the Russell-Cotes Art Gallery & Museum, Bournemouth

さて、聴きなれない「唯美主義」ですが、公式サイトに大変丁寧に、そして詳しく説明がなされています。また中学生以下に配布される「ザ・ビューティフル展」セルフガイドも公開しているので予習にもってこいです!
http://mimt.jp/beautiful/selfguide.pdf

「ザ・ビューティフル展」監修者のスティーヴン・キャロウェイ氏への一問一答が公式サイトに掲載されていますが、その中でも核心的な部分となる美術史における唯美主義の立ち位置についてこのように答えられています。

Q:唯美主義運動は美術史全体のなかでどのような意義をもつのでしょうか。また運動が後の歴史に及ぼした影響についてもお話しいただけますか。

A:19世紀は芸術とデザインの分野に絶えず変化と革新が生まれた時代でした。唯美主義運動の意義が大きかったとすれば、それは運動を担った画家や、デザイナー、目利き、コレクターのだれもが一致して、わたしたちの暮らしには息の長い美の存在がきわめて重要である、という信念を抱いたことにあります。唯美主義は生活様式全般を提案した初めての運動であり、その理念の重要性は、今日でもまったく色褪せていません。


エドワード・バーン=ジョーンズ《ヘスペリデスの園
1882年
ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館
©Victoria and Albert Museum, London

ラファエル前派第二世代のウィリアム・モリスとバーン=ジョーンズの二人が出会ったのが1853年。その後バーン=ジョーンズはロセッティに弟子入りし関係性を深めていきます。

その間は省きますが、1898年にバーン=ジョーンズ、ピアズリーが、1900年にはワイルドやラファエル前派を支えたジョン・ラスキンが相次いでこの世を去り、ラファエル前派から受け継がれて来た唯美主義は静かに幕を下ろします。

まさに世紀末から新しい時代へ転換する時。1901年にヴィクトリア女王も死去し、イギリス帝国が絶頂を極めたヴィクトリア朝も終わりをむかえました。


フレデリック・レイトン《母と子(さくらんぼ)
1864−65年
ブラックバーン美術館
Image courtesy of Blackburn Museum and Art Gallery

展覧会の構成は以下の通りです。

第1章:芸術のための芸術
第2章:唯美主義の流行
第3章:世紀末芸術に向かって


唯、ひたすら美しいものを求めた、華やかな大きなうねりが、日本の江戸末期から明治にかけてイギリスで起っていたのです。

青木繁をはじめとする日本の画家にも大きな影響を与えた唯美主義の日本初の展覧会が「ザ・ビューティフル展」なのです。


ジョージ・フレデリック・ワッツ《孔雀の羽を手にする習作
1862-65年頃
個人蔵
Pre-Raphaelite Inc. by courtesy of Julian Hartnoll

ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館所蔵の家具工芸品を含めた約140点(全て美しい!)が三菱一号館美術館の館内を埋め尽くしています。

バーン=ジョーンズの手掛けた「室内履きのデザイン」や鳥の「ブローチ」など、滅多に観られないレア作品もその中には含まれています。


エドワード・ウィリアム・ゴドウィン《飾り戸棚(フォーシーズンズ・キャビネット)
1877年頃
ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館
©Victoria and Albert Museum, London

1894年に竣工した英国人ジョサイア・コンドル設計の三菱一号館は、唯美主義最盛期に英国で流行した「クィーン・アン様式」の建物です。まさに唯美主義の作品を観るにうってつけの場です。

ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館(ロンドン)、オルセー美術館(パリ)、リージョン・オブ・オナー美術館(サンフランシスコ)で開催され好評を博した展覧会が、いよいよ日本でも!初めての唯美主義の展覧会に酔いしれて下さい。思いっきり!

「ザ・ビューティフル ― 英国の唯美主義 1860‐1900」は5月6日までです。混雑する前に是非。美しい作品の前に立つと浮世の憂さも雲散霧消します。

さぁ「唯美主義者(the Aesthetes)」たちの集う三菱一号館美術館へ参りましょう!


「ザ・ビューティフル ― 英国の唯美主義 1860‐1900」 

会期:2014年1月30日(木)〜5月6日(火・祝)
休館日:月曜日(但し、4月28日と5月5日は18時まで開館。)
開館時間:10:00〜18:00(祝日を除く金曜日〜20:00)
※入館は閉館の30分前まで
会場:三菱一号館美術館(東京都千代田区丸の内2-6-2) 
http://mimt.jp/
主催:三菱一号館美術館、朝日新聞社、テレビ朝日、ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館
協賛:大日本印刷
後援:ブリティッシュ・カウンシル
協力:全日本空輸、エールフランス航空/KLMオランダ航空、 ヤマトロジスティクス

公式サイト:http://mimt.jp/beautiful/

「ザ・ビューティフル展」セルフガイド
http://mimt.jp/beautiful/selfguide.pdf


ウィリアム・ブレイク・リッチモンド 《ルーク・アイオニディーズ夫人
1882年
ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館
©Victoria and Albert Museum, London

森アーツセンターギャラリーで開催中の「テート美術館の至宝 ラファエル前派展 英国ヴィクトリア朝絵画の夢」と合わせて観ると、英国美術で最も華やかで魅力的なヴィクトリア朝の作品を日本に居ながらにして堪能出来ちゃいます!


「ラファエル前派展」公式サイト:http://prb2014.jp/

「ラファエル前派展」レビュー

【三菱一号館美術館 展覧会スケジュール】

「フェリックス・ヴァロットン−冷たい炎の画家」
会期:2014年6月14日(土)〜2014年9月23日(火・祝)
http://mimt.jp/vallotton/

「ボストン美術館ミレー展—傑作の数々と画家の真実」
会期;2014年10月17日(金)〜2015年1月12日(月・祝)


芸術新潮 2014年 02月号 [雑誌]

注:会場内の画像は主催者の許可を得て撮影したものです。

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http://bluediary2.jugem.jp/?eid=3511

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19世紀半ば、産業革命の成功がもたらした物質的繁栄を謳歌するヴィクトリア朝の英国に、行き過ぎた商業主義や功利主義を批判し、美にみちた生活の重要性を唱える人々──「唯美主義者(the Aesthetes)」が登場します。ロンドンに暮らす前衛芸術家の集まりから生まれたこの流れは、彼らが制作活動や生活を通じて「新たな美」を実現させていくなかで、次第に信奉者を増やして大きな運動を形づくりました。本展は、英国ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館所蔵作品を中心に、約140点の油彩画や水彩画、素描、家具、工芸、宝飾品から構成します。ラファエル前派を率いたダンテ・ゲイブリエル・ロセッティからアルバート・ムーア、オーブリー・ビアズリー、オスカー・ワイルドにいたるまでの前衛たちが探し求めた、独創的な美と悦楽の世界を展覧します。
展覧会 | permalink | comments(0) | trackbacks(3)

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     六本木でラファエル前派展を見た後、その足で今度は三菱一号館へ。こちらはこの日が「ザ・ビューティフル 英国の唯美主義1860-1900」の初日でした。ラファエル前派展が絵画のオンパレードだったのに比べ、こちらはテキスタイル、建築デザイン、工芸品なども含
ザ・ビューティフル | What's up, Luke ? | 2014/02/09 10:22 PM
 この展覧会のサブタイトルは「英国の唯美主義1860-1900」となっている。これはロンドンのヴィクトリア&アルバート(V&A)博物館で開催され、オルセー美術館とサンフランシスコ美術館に巡回した「カルト・オブ・ビューティ(美の崇拝)展」を翻案したものである。
ザ・ビューティフル @三菱一号館美術館 | Art & Bell by Tora | 2014/02/10 9:00 PM
『ラファエル前派展』につづいて、三菱一号館美術館で開催中の『ザ・ビューティフル 英国の唯美主義 1860-1900』に行ってきました。本展はイギリスのヴィクトリア&アルバート博物館の所蔵作品を中心に、19世紀後半の耽美主義(唯美主義)を代表する絵画や本の挿絵、工
ザ・ビューティフル 英国の唯美主義 1860-1900 | the Salon of Vertigo | 2014/02/27 11:20 PM