青い日記帳 

TB&リンク大歓迎です!
<< September 2019 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 >>
<< 特別展「医は仁術」 | main | 『西洋美術史入門・実践編』 >>

「野口哲哉展」

練馬区立美術館で開催中の
「野口哲哉展―野口哲哉の武者分類図鑑―」に行って来ました。


http://www.city.nerima.tokyo.jp/manabu/bunka/museum/

1980年生まれの若い作家が空想(妄想)で作り上げた甲冑を身に纏ったサムライたちや、古色蒼然たる趣きを備えた絵画などを老若男女大勢の方々が食い入るように見つめています。

「真剣さ」と「面白さ」が絶妙なバランスで作品を魅力あるものとしています。どちらか一方に偏っていたなら、これだけ多くの方に支持されることは無かったはずです。


野口哲也「ポジティブ・コンタクト」2011年

兜や甲冑に「よろしく」と記されています。

「こうした奇想天外な組み合わせは、とかくアイデア倒れに終わるものですが、貴兄のそれは見事に成功しております。古画の表現や甲冑に関する知識と、それを活かせる筆力が貴兄に備わっているからです。」
藤本正行(國學院大學兼任講師)
展覧会図録『野口哲哉ノ作品集 「侍達ノ居ル処。」』より。

有職故実や武具・甲冑に精通しているかたわら、少年時代に目を皿のようにして観たロボットアニメや現代性を強く意識した作品を作り出します。思うのですが、料理人としてもきっと野口氏は良い腕をお持ちなのではないでしょうか。

伝統や形式を重んじつつも、新たな味を追い求めるような。


江戸時代の「洛中洛外図屏風」(本物です!露出展示です!!)の前にちょこんと配置された野口哲夫氏のサムライたち。

この展覧会では、野口作品と作家が参考にしている萩原達義(松岡映丘に師事)や小堀鞆音(有職故実の研究のため、武具甲冑を収集するだけでなく、自ら制作、着用)らの日本画と一緒に展示されているのも大きな魅力のひとつです。

そして桃山、江戸、明治時代の作品と一緒に展示されても、まるで違和感ないどころか、どれが野口氏の作品なのかぱっと見分からないほど自然にそれらと交わっています。(判別可能なようにキャプションの色が変えてありました。それくらいしないと分からないんです、ほんと。)


野口哲夫「〜Japanese armour variation 加賀具足之事〜 加賀具足用人物立像」2012年
「白革威本伊予礼二枚胴具足唐冠兜」桃山時代 川越歴史博物館蔵
「源平合戦図屏風」江戸時代 17世紀

展覧会の構成は以下の通りです。

・華麗なる有職故実の世界
・仮装現実の中で
・過去からの手紙


もうひとつ、見どころがあります。それは各作品に作家自らが記した解説文です。これがまた秀逸!真面目で面白いアンビバレントな内容。

例えば、あのシャネルとコラボ?した作品の解説はこうしたためられています。

【紗練(しゃねる)家 概要】

開祖である、紗練常陸介隆昌、旧姓・桐野高昌が、円保五年の文燕之役での戦功を認められ、主君からシャネル・ブランドのハンドバッグと共に紗練姓と紋を許されたことから始まるとされている。
宣教師によって西洋文化が国内に齎された当時、舶来品は論功行賞の褒美としても珍重されていたが、紗練家のように舶来の高級品をそのまま家名とする事例は稀である。
ちなみに、紗練家自体は仏国にある本家シャネルから公認を受けたものでは無く、直接的な接点も皆無である。
また貿易封鎖に伴い、3代藩主・隆経の時に、佐練(さねり)家に改名したため、紗練の名は隆昌、隆芳の二世代間で使用されたのみである。



野口哲也「シャネル侍着甲座像」 2009年
CHANEL SAMURAI
Copyright Tetsuya Noguchi/Collection:CHANEL K.K.

「以上は作品プレゼンテーションの一環として作者がでっち上げた架空の解説であり、全ての事柄は実在しない。」とわざわざ注意書きがしてあるのも笑いを誘います。

なぜ故、この展覧会がこれほどまで人を惹き付けるのか、その魅力の一端がお分かりになられたかと。でも、まだまだこれはごくごくほんの一部です。

実際に会場(練馬区立美術館)の展示室へ足を踏み入れると、野口哲也氏の繰り出す、大真面目でありながら滑稽で憎めない等身大のサムライたちが手ぐすね引いて待ちかまえています!


野口哲也「Catapult Style」2008年

今にも、母艦のカタパルトから発進せんとするサムライ。子供の頃に幾度となく目にしたアニメの世界と被ります。(マクロスの「バルキリー ガウォーク」のようでもあります。)

さぁ、発進準備は整いました。野口哲也展に向け発進です!!「野口哲也展」は4月6日までです。是非是非。


野口哲哉展―野口哲哉の武者分類図鑑―

会期:2014年2月16日(日)〜4月6日(日) 
※大雪により18日(火曜)からの開催に変更になりました。
休館日:月曜日
開館時間:午前10時〜午後6時
※入館は午後5時半まで
主催:練馬区立美術館/朝日新聞社
http://www.city.nerima.tokyo.jp/manabu/bunka/museum/

橋本麻里さんも先週展覧会ご覧になれたそうです。

『変り兜: 戦国のCOOL DESIGN』 (とんぼの本)
橋本 麻里(著)

それにしても、まさか美術館でガンダムのプラモデルと江戸時代の屏風を一緒に観る日が来ようとは思いもしませんでした…


注:会場内の画像は主催者の許可を得て撮影したものです。

Twitterやってます。
@taktwi

Facebookもチェック!


この記事のURL
http://bluediary2.jugem.jp/?eid=3546

JUGEMテーマ:アート・デザイン


展覧会図録は一般書籍としても販売されています。
1980年生まれの野口哲哉は、樹脂やプラスチックなど、現代的な素材を駆使して古びた姿の鎧武者を造形し、それらの織りなす嘘とも現実ともつかない魅力的な世界観を構築する美術家です。
南蛮渡来のシャネルのマークを家紋とした甲冑を身にまとった紗錬家(しゃねるけ)の武者像「シャネル侍着甲座像」がある一方で、兜に付いたプロペラ型の立物で空中を浮遊する武者の絵画作品「ホバリングマン 浮遊図」は当時あたかもそんな武者がいたかのように、巧妙に古びた画面を演出しています。野口の作品世界の大半は、侍をモチーフにしながらも、実際には存在しない、彼曰く“でっちあげ”の世界なのですが、サムライ、甲冑への知識に裏付けられた空想世界は実に豊かで、史実とのはざまを行き来するユニークで独創的なものとなっています。加えて、甲冑の表現の正確さや、サムライたちの立ち振る舞いは、格好良さの中にも常に滑稽さや哀しさが漂っており、その姿は日々の暮らしを送る私たち現代人とどこか通じるものがあります。
作家はまだ30代半ばで活動期間は短いとはいえ、コレクターは国内外に及び、展覧会出品作、個展での評価も高く、今まさに注目される作家の一人です。
一貫して鎧武者をモチーフに制作する野口の新作を含めた全作品約90点を中心に、彼の発想の原点となった古今の美術作品や写真、グラフィックデザインなどを併せて展示し、野口の武者世界を紹介する、初の個展となります。
展覧会 | permalink | comments(0) | trackbacks(0)

この記事に対するコメント

コメントする









この記事のトラックバックURL
http://bluediary2.jugem.jp/trackback/3546
この記事に対するトラックバック