弐代目・青い日記帳 

  
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「超絶技巧!明治工芸の粋」
三井記念美術館で開催中の
特別展「超絶技巧!明治工芸の粋―村田コレクション一挙公開―」に行って来ました。


http://www.mitsui-museum.jp/

日本人でありながら日本人の本当にスゴイところを知らずに(知らされずに)過ごしていたりするものです。とりわけ「敗戦国」以降の日本においては。

刺激の強いモノに日々さらされ、ちょっとやそっとのことでは驚かない現代日本人でも、さすがに今回の三井記念美術館の展示には度肝を抜かすに違いありません。


錦雲軒稲葉「花鳥図香炉

季節は丁度今頃でしょうか。藤の花の間を無数の雀たちが飛び交っています。全て違う表情をしているのですから驚きです。

かなり作品に寄って拡大して撮影しています。会場では当然のごとく単眼鏡はマストアイテムとなります。そうそう書き忘れましたが、これ七宝ですので。

藤の花つながりでもう一点。


無銘(芝山細工)「鐔に煙管図提箪笥」(漆工)

漆器に螺鈿、象牙、角、甲羅などを象嵌する技法を「芝山細工」と呼ぶそうです。幕末から明治にかけ欧米への輸出用漆器として作られ海を渡っていきました。

元々、刀の鍔の部分はお洒落ポイントで、様々な意匠を競った場でもあります。精緻な技を可能な限り詰め込んでいます。細かな部分にも一切の妥協を許さない職人気質がビシビシと伝わって来ます。


無銘「瀑布図」(刺繍絵画)

「絵画」といっても筆で描いうのではなく、糸を一本一本重ね合わせ(縫い合わせ)一面を埋め尽くすというとてつもないもの。見てはいけないものと向き合っているような気にさえなります。

絹糸の質感が、日本画とはまた違った趣を放っています。紅葉しかけた木々の葉や、激しい水しぶきの表現など、人が成したものとは到底思えません。

滝といえば、恋ではなく、鯉です!


高瀬好山「」(自在)

まるで展示ケースが水槽のように思えます。水中を優雅に泳ぐ鯉と同じく、この金属製の鯉も身体が左右に自在に動きます。

置物なので、本来動く必要性はないのですが、とにかく動きます。好みのポーズを取らせお気入りの場所に置き鑑賞する愉悦。男の子心をくすぐる「自在」の世界。

他に、蛇、龍、蟹、手長海老、蜂、蟷螂、そして鍬形に兜虫もいます!!

そして、昆虫や魚の他に野菜や果物も。円山応挙の国宝「雪松図屏風」が毎年お正月に展示される、三井記念美術館の展示室4が何と「八百屋」となっています。


展示室4 中央特設ケース(牙彫・木彫)

展示室の真ん中に野菜や果物があるだけで驚いてはいけません。安藤緑山が秘伝の技で創り出したこれらは全て元は象牙です。

安藤緑山について詳しいことは、現在でも分かっておらず、その技も引き継がれなかったので作り方も多く謎に包まれている、実にミステリアスな野菜たちなのです。(美の巨人たちで紹介されたこともあります

しかし、驚くのはここからです。


安藤緑山「パセリ、蕪」(牙彫・木彫)


安藤緑山「竹の子、梅」(牙彫・木彫)

もう一度言いますが、これ全部象牙ですからね。どうやって着色したのか?パセリの葉っぱ一枚一枚彫ったの??竹の子リアル過ぎて怖い等々、驚きを通り越して呆れてしまいます。

人は自分の理解の範疇を超えたものが目の前にあるとフリーズすると聞きますが、まさに安藤緑山の作品がそれにあたります。


安藤緑山「蜂の巣」(牙彫・木彫)

安藤緑山については、展覧会図録(この表紙が見たこともないカッコイイデザイン!)に掲載された小林祐子学芸員の論文「安藤緑山の牙彫ー研究序説として」は必読です。(同図録の藤田麻希氏の作品解説と共に)

所在確認されている安藤緑山の作品は僅かに35点しかないことやその生涯についてよく分からない点が多いことを知り、フェルメールと安易に結び付けてしまう辺りが悪癖ではありますが、コンプリートも夢じゃないかも?!

まだまだスゴイ作品やまほどありますが、取りあえず、この辺で。


旭玉山「葛に蜘蛛の巣図文庫」(牙彫・木彫)


錦光山「花見図花瓶」(薩摩)


駒井「吉祥図飾壺」(金工)


濤川惣助「藤図花瓶」(七宝)

まだまだ全然紹介しきれていません。会場には画像では決して伝えることの出来ない作品だらけです。ご自身の目で驚きの世界を堪能して下さい。

それにしても、明治の工芸品と三井記念美術館の展示室1との相性抜群ですね。清水三年坂美術館で拝見した時もいたく感動しましたが、今回はそれに重要文化財に指定されているこの空間がより一層輝きを与えています。

江戸から明治にかけ、とんでもなくスゴイ日本人たちがいたこと。そして彼らのことを世界中の人々が称賛していたことをまざまざと見せつけられる展覧会です。

今年の展覧会ベスト10入り間違いなし!文句なしの展覧会です!!NHK日曜美術館等でも紹介されます。混雑必至です。なるべくお早めに〜そして単眼鏡もお忘れなく。


特別展 超絶技巧!明治工芸の粋 ―村田コレクション一挙公開―

会期:2014年4月19日(土)〜7月13日(日)
会場:三井記念美術館
http://www.mitsui-museum.jp/

主催:三井記念美術館、朝日新聞社
協力:清水三年坂美術館
監修:山下裕二(明治学院大学教授)
企画協力:広瀬麻美(浅野研究所)

展覧会の詳細はこちらから。

【巡回先】
佐野美術館(静岡県三島市)
2014年10月4日(土)〜12月23日(火・祝)

山口県立美術館(山口県山口市)
2015年2月末〜4月中旬

トークイベント 「日本美術応援団 明治工芸を応援する!」
[出演]井浦 新氏(俳優、クリエーター)、山下裕二氏(本展監修者、明治学院大学教授)
[日時]2014年5月10日(土) 14:30〜16:00
[会場]野村コンファレンスプラザ日本橋・6階大ホール


※詳細及び申込みはこちらから。

柴田是真、白山松哉、旭玉山らの超絶技巧の数々、あわせて180点あまり掲載。


日本美術全集16 激動期の美術

この巻の編集を担当した一坪氏へのインタビュー記事。
青い日記帳「出前ブログ」

『日本美術全集』関係者インタビュー 第三回一坪泰博デスク(前編)
『日本美術全集』関係者インタビュー 第三回一坪泰博デスク(後編)

注:会場内の画像は主催者の許可を得て撮影したものです。

Twitterやってます。
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この記事のURL
http://bluediary2.jugem.jp/?eid=3582

JUGEMテーマ:アート・デザイン


近年、注目を集めている明治の工芸。なかでも超絶技巧による、精緻を極める作品の人気が急上昇しています。
本展では、京都・清水三年坂美術館の所蔵品のうち、並河靖之らの七宝、正阿弥勝義らの金工、柴田是真・白山松哉らの漆工、旭玉山・安藤緑山らの牙彫をはじめ、驚くべき技巧がこらされた薩摩や印籠、刺繍絵画など、選りすぐりの百数十点を初めて一堂に展観します。
| 展覧会 | 22:56 | comments(0) | trackbacks(2) |









http://bluediary2.jugem.jp/trackback/3582
超絶技巧!明治工芸の粋
今日から三井記念美術館で開催された超絶技巧!明治工芸の粋を見に行ってきました。近年家族で2度筍堀りに行きましたが、安藤録山の竹の子、梅はすごい作品で牙彫という象牙を彫り彩色したものですが本物と見間違うかの如しです。三茄子はじめいろいろな野菜果物の作品
| Star Prince JUGEM | 2014/04/22 7:48 PM |
「超絶技巧!明治工芸の粋」展web特別鑑賞会@三井記念美術館
 三井記念美術館で開催中の「超絶技巧!明治工芸の粋」。そのweb特別鑑賞会に参加...
| Life with Art | 2014/05/03 11:52 AM |
編集・執筆を務めた『カフェのある美術館 素敵な時間を楽しむ』(世界文化社)好評発売中です。


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