青い日記帳 

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「デュフィ展」

Bunkamuraザ・ミュージアムで開催中の
「デュフィ展 絵筆が奏でる 色彩のメロディー」に行って来ました。



ラウル・デュフィ(Raoul Dufy, 1877年−1953年)ほど、その作風や鮮やかな色合いが名前を聞いたとたんに頭に浮かぶ画家もいません。

しかも軽やかで都会的なセンスに溢れ、時に音楽さえ聞こえてきそうな幸せに満ちた世界。まさに展覧会のサブタイトル「絵筆が奏でる 色彩のメロディー」が示す通りです。

ほぼ同時代のフランス人画家フェルナン・レジェもまた多彩な色を画面に駆使し独自の世界を表現しましたが、デュフィのベクトルとはまるで違います。日本人にどちらが好きかと問えば間違いなく軍配は後者に上がるはずです。


ラウル・デュフィ「クロード・ドビュッシーへのオマージュ」1952年 
油彩、カンヴァス アンドレ・マルロー近代美術館、ル・アーヴル
©Florian Kleinefenn

デュフィ作品が放つ幸せオーラ半端なものではありませんからね。ちょっと落ち込んでいる時や、疲れれている時にパワーをもらう為に行っても良いかも。

でも、そんなデュフィの「幸福に満ちた世界」も試行錯誤を重ね、40歳代にしてやっと辿り着いたものであることが、この展覧会ではっきりとします。

そんな簡単に「幸せ」は手に入れられないものなのです。いくら才能に恵まれている画家であっても。

展覧会の構成は以下の通りです。

第1章:1900−1910年代 造形的革新のただなかで
第2章:木版画とテキスタイル・デザイン
第3章:1920−1930年代 様式の確立から装飾壁画の制作へ
第4章:1940−1950年代 評価の確立と画業の集大成



「第1章:1900−1910年代 造形的革新のただなかで」展示風景

第1章に並んでいる約30点の絵画を観て、即座に画家の名をデュフィだと言い当てることが出来る人はまずいないのではないでしょうか。

この章だけで「デュフィ展」と称したら間違いなくクレームの嵐です。「自分の好きな『デュフィ』が一枚もないじゃないか!」と。

印象派風の作品から、ゴッホ、セザンヌ、ブラックにマティスとキャプションが間違っているのではないかと思うような作品が並び戸惑います。

「色彩の魔術師」「幸せの伝道師」ラウル・デュフィの片鱗すら見て取れません。初めからデュフィであったのではないことよーく分かります。そしてこうした作品に出逢えるのも回顧展の大きな魅力のひとつです。


「第2章:木版画とテキスタイル・デザイン」展示風景

画家として独自の道を確立出来ずにいたデュフィに転機が訪れます。

ポール・ポワレ(「モードの帝王」と呼ばれたファッションデザイナー)との出逢いにより、デュフィの運命は決定付けられたと言っても過言ではありません。

彼の中に眠っていた独自の色彩感覚をポワレが開花させたのです。第2章に展示されているデュフィが手掛けたテキスタイル・デザインの数々は、現代の我々の目にも新鮮な輝きを与えます。

この第2章が今回の「デュフィ展」の一番の見どころと仰っていた方がいました。画家としての大きな転換期であり、素晴らしいテキスタイル・デザインを残し名前をパリ中の轟かせた時期でもあります。


「第3章:1920−1930年代 様式の確立から装飾壁画の制作へ」展示風景

「四十にして惑わず」まさに孔子の教えを実践しているかのように、40歳を過ぎてからのデュフィは、第1章で観た作品がまるで嘘のように、一気にその秘めたポテンシャルを発揮させます。

「色彩の魔術師」・「幸せの伝道師」の誕生です。

ここから先は我々の良く知るところの生きる喜びに満ちた作品たちのオンパレードです。今回の展覧会は作品数も多く国内外の美術館から様々な作品が一堂に会しています。

中でもこちらは必見中の必見です。


ラウル・デュフィ「電気の精」1952-53年
パリ国立近代美術館、ポンピドゥー・センター

1937年に開催されたパリ万博のパヴィリオン「光と電気館」内に設置された壁画「電気の精」(現在は、パリ市立近代美術館所蔵)の縮小版です。

めちゃくちゃ細かく描き込み(書き込み)がされているので目を皿のようにして観てきましたが、ちょっと一度では観きれないほど濃密な作品。

パリ市立近代美術館へ2度行って2度とも「電気の精」を観られていないのに、まさかここで会えるとは(たとえ縮小版といえども嬉しい!)


「第4章:1940−1950年代 評価の確立と画業の集大成」展示風景

もう一点あげるとするなら「ヴェネツィアのサン・マルコ広場」でしょうか。これまで観た数多のサン・マルコ広場を描いた絵の中でも最も清々しい一枚でした。これ欲しい。

1952年、第26回ヴェネチア・ビエンナーレ絵画部門の大賞を受賞するまでの大家となったデュフィ。まさにフランスを代表する近代画家です。

じめじめした鬱陶しい季節にまさにぴったりです。清涼感と幸福感に満ち溢れた「デュフィ展」。7月27日(日)までです。混雑する前にお早目に!是非是非。


デュフィ展 絵筆が奏でる 色彩のメロディー

開催期間:2014年6月7日(土)〜7月27日(日)
※7月2日(水)のみ休館
開館時間:10:00−19:00(入館は18:30まで)
毎週金・土曜日は21:00まで(入館は20:30まで)
会場:Bunkamuraザ・ミュージアム
http://www.bunkamura.co.jp/museum/

主催:Bunkamura、東京新聞
協賛・協力等:
[後援]在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ日本
[協力]エールフランス航空/KLMオランダ航空

<巡回予定>
あべのハルカス美術館
会期:2014年8月5日(火)〜9月28日(日)
http://www.aham.jp/

愛知県美術館
2014年10月9日(木)〜12月7日(日)
http://www-art.aac.pref.aichi.jp/

注:会場内の画像は主催者の許可を得て撮影したものです。

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ラウル・デュフィ(1877-1953)は、明るい色面に軽快な筆さばきで線描をする独特の様式で知られ、日本でも人気の画家です。1920年以降、地中海のまばゆい光と解放的な風土、演奏中のオーケストラや行楽地の風景を主題とした作品で、その様式を開花させました。
本展は、故郷のル・アーヴルを出てパリ国立美術学校に入学する1899年から晩年に至るまでを紹介する回顧展です。フォーヴィスムとの出会い、ブラックと共に行ったレスタックでの制作、アポリネール『動物詩集』のための木版画制作、そしてポール・ポワレとの共同制作によるテキスタイル・デザインなど、造形的な展開を丁寧に検証することで、色彩と光の戯れの向こうにある画家の本質を引き出します。

展覧会 | permalink | comments(2) | trackbacks(2)

この記事に対するコメント

こんにちは
私もデュフィ展を見てきましたので、興味深く読ませていただきました。
鮮やかで豊かな色彩と見事な軽快な筆さばきで描かれる生きる喜びを感じさせる明るい絵画を見ると気持ちも明るくなりました。
私は過去に来日したデュフィの傑作も含めて。デュフィの魅力について掘り下げて整理してみましたて。ご一読いだき、ご感想、ご意見などコメントいただけると感謝致します。
dezire | 2014/07/22 3:26 PM
こんにちは。私も会期末ぎりぎりに観に行ってまいりました。またTBさせていただきましたので、こちらにてご報告させていただきました。お時間ありましたら、ご一読いただけますと幸甚に存じます。
神奈川絵美 | 2014/07/27 10:14 PM
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Bunkamuraザ・ミュージアムで開催中のデュフィ展 絵筆が奏でる 色彩のメロディーに行ってきました。知人のレポートを拝見するとかなりいい感じでしたが、150点あまりの展示で期待通り、期待以上の展覧会でした。 展覧会の構成は以下の通りです。 第1章:1900−1910年
デュフィ展 | Star Prince JUGEM | 2014/06/21 7:36 PM
ベルリンに暗雲。パリにしあわせの虹。
1930’sの天気図 − ラウル・デュフィ展 − | 神奈川絵美の「えみごのみ」 | 2014/07/27 10:10 PM