青い日記帳 

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「だまし絵 進化するだまし絵」

Bunkamuraザ・ミュージアムで開催中の
「だまし絵II 進化するだまし絵」展に行って来ました。


公式サイト:http://www.damashie2.com/
だまし絵II

2009年に同じくBunkamuraで開催され大人気を博した「奇想の王国 だまし絵展」が、パワーアップし渋谷に帰って来ました。

東京・名古屋・神戸の3会場計75万人もの来場者で賑わった記録的な展覧会の続編とあり、期待と不安半々の気持ちで会場へ向かいました。

大ヒットした映画の続編が、同じように面白いとは限らないこと、逆に期待を裏切られ、世界観を壊されてしまった苦い経験、皆さんもお持ちのことと思います。

「だまし絵II」は、そんな“駄作”で失望させるような展覧会で無いこと祈りつつも、やはり実際に展示を観るまでは、どうしても気をもんでしまいます。


ジュゼッペ・アルチンボルド「司書」1566年頃 
スコークロステル城(スウェーデン)
ジュゼッペ・アルチンボルド「ソムリエ(ウェイター)」1574年
大阪新美術館建設準備室
チャック・クロース「マルタ/フィンガープリント」1986年
富山県立近代美術館

プロローグは騙し絵と言えばまずこの作家を置いて始めることは不可能な、16世紀イタリアのマニエリストの画家ジュゼッペ・アルチンボルド。

彼の奇怪な作品はルーヴル美術館やウィーン美術史美術館で観ることが出来ますが、今回の「司書」は中々実物にお目にかかれる機会の少ない傑作のうちの一枚です。


「だまし絵 進化するだまし絵」展示風景

展覧会の構成は以下の通りです。

プロローグ
1:トロンプルイユ
2:シャドウ、シルエット&ミラー・イメージ
3:オプ・イリュージョン
4:アナモルフォーズ・メタモルフォーズ


アルチンボルトやデューラーなど16世紀に描かれた「だまし絵」から、今世紀に入ってから描かれた「だまし絵」まで約90点が会場内所狭しと配置されています。

しかし、そもそも「だまし絵」というジャンルや正確な定義があるわけではありません。「やられた!」「なんだこれ!!」「えっ!まじで?!」と知らずに観た人から思わずそんな類いの言葉が発せられれば、それは間違いなく「だまし絵」です。

「目をだます」という意味のフランス語「トロンプルイユ」から始まり、絵画に無くてなならぬ影を逆手に用いたような「シャドウ、シルエット&ミラー・イメージ」、錯視的効果(オプティカル・イルージョン)を発生させる作品を集めた「オプ・イリュージョン」、遠近法の歪曲や変容を効果的に用いた「アナモルフォーズ・メタモルフォーズ」


ダリ、マグリット、そしてエッシャーの作品が並ぶ「アナモルフォーズ・メタモルフォーズ」

前回のだまし絵展では、最後のセクションにまとめられていた現代アート作品を、こうした伝統的なだまし絵作品と織り交ぜながら見せる点に新鮮味を覚えました。

「またあの作品か〜」的な要素を極力排除し(そうは言っても無くてはならない作品はきちんと残し)、「何これ、一体?!」と思わせるもの、または知らずに観たのでは何が「だまし絵」なのか分からないものまでリストに加えられています。


トーマス・デマンド「浴室」1997年 作家蔵

数年前、東京都現代美術館で個展が開催され大きな話題となったトーマス・デマンドの写真作品。

彼の作品を知らないと、何の変哲もない小さな浴槽を写したものにしか見えません。が、これが実は実際にあるものではなく、彼がボール紙で作った模型となれば話は違ってきます。

写真はその字の通り、「真実を写す」ものと頭から思って疑わぬ我々の常識を欺いているので。これこそまさに「だまし絵」に他なりません。

作家が作った虚像だと分かっていても中々だまされた目は真実を観ようとはしないものです。そしてそれだけでなく、この作品にはもうひとつの意味も隠されているのです。それは会場で是非。


エヴァン・ペニー「引き伸ばされた女 #2」2011年

撮った写真の加工をiPhoneやPCで手軽に行ったり、プリクラが可愛く奇麗に補正してくれたりと、2次元のものに手を加えることは、日常茶飯事となっている昨今。

思えば恐ろしい時代です。容易に画像処理、加工が出来てしまうなんて。そんな世の中をシニカルに捉えたエヴァン・ペニーは、次に訪れるであろ3次元の物体が加工可能な未来を先取りしたような大作を作り上げています。

真正面、横、下から斜めからそれぞれ観る角度によって全く別のモノに見えます。それこそ画像一枚ではとてもともてこの作品の“面白さ”伝えることは困難です。


田中偉一郎「ストリート・デストロイヤー」2004−12年 作家蔵
杉本博司「Pola Bear」1976年

この他にも、福田美蘭、福田茂雄、高松次郎、名和晃平、伊藤高志など日本の現代アーティストから、ヴィック・ムニーズ、トム・フリードマン、レアンドロ・エルリッヒ、ゲルハルト・リヒター、ミケランジェロ・ピストレット、ラリー・ケイガン等々。

あの手この手で、我々の視覚に挑戦を挑んで来ます。「やられた〜」とまんまと騙されながら、楽しめる展覧会です。

展覧会を観るまで不安でたまらなかった気持ちが嘘のようです。明らかに進化を遂げている「だまし絵展」です。しかも須田悦弘さんの作品のように、普通に展覧会を観ていたのでは、存在にすら気付かない作品(3点)まであるのですから!


ダニエル・ローズィン「木の鏡(Wooden Mirror)」2014年
作家蔵

784枚の木片で作られた「木の鏡」の前に立つと自分の姿が映し出されます。仕掛けは一体どうなっているのか?これは是非とも会場で体感して下さい。



「だまし絵 進化するだまし絵」展は、10月5日までです。既に混雑し始めているようです。思い立ったが吉日!お早目に是非是非!!


Bunkamura25周年特別企画
だまし絵 進化するだまし絵 
Visual Deception Into the Future


会期:2014年8月9日(土)-10月5日(日) 
*9月8日(月)のみ休館
開館時間:10:00-19:00
毎週金・土曜日は21:00まで 
*入館は各閉館の30分前まで
主催:Bunkamura、東京新聞、フジテレビジョン
後援:J-WAVE 81.3FM
協力:スイス インターナショナル エアラインズ、日本貨物航空、日本航空、ルフトハンザ カーゴ AG

音声ガイドは八嶋さん!

展覧会の魅力を楽しくわかりやすくお伝えするナビゲーターとして俳優の八嶋智人さんが決定しました。八嶋さんが「ギャラリーだまし絵」のオーナーに扮して、みなさまをだまし絵の不思議な世界へとご案内します。

注:会場内の画像は主催者の許可を得て撮影したものです。


不可能図形コレクション90選

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美術の歴史においては、古くから見る人の目をあざむくような仕掛けをもつ「だまし絵」の系譜があります。
古今東西のだまし絵の名品からその系譜を辿った2009年の「だまし絵」展は、東京・名古屋・神戸の3会場計75万人という驚異的な動員数を記録し、多くのお客さまにお楽しみにいただきました。
その続編となる本展では、多岐にわたり進化していく現代美術の展開に重きをおいています。視覚的に興味深く、芸術性に優れた作品を選び、その視覚的詐術を「トロンプルイユ」「シャドウ、シルエット & ミラー・イメージ」「オプ・イリュージョン」「アナモルフォーズ・メタモルフォーズ」 などのカテゴリーに分類して仕掛けを解き明かすとともに、先達者としての古典的巨匠の到達点とあわせて現代の新しい「だまし絵」への挑戦を紹介していきます。
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