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「チューリヒ美術館展」

国立新美術館で開催中の
「チューリヒ美術館展―印象派からシュルレアリスムまで」に行って来ました。


公式サイト:http://zurich2014-15.jp/

今年(2014年)は、スイスと日本の国交樹立150周年にあたります。日本・スイス国交樹立150周年記念「日本におけるスイス年」として多くのイベントが開催されています。

アート関連の主たるイベントだけでも、「バルテュス展」「ヴァロットン展」「フェルディナント・ホドラー展」「スイスデザインの150年」など、一年を通し、スイスと関連の深い作家の展覧会が開かれています。

その中でも中核を成すのがこの「チューリッヒ美術館展」です。


クロード・モネ「睡蓮の池、夕暮れ」1916/22年 
油彩、カンヴァス 200×600cm

パリ、オランジェリー美術館の壁面を覆い尽くす巨大な「睡蓮」の連作に取り掛かる前に、そのプロトタイプ的に描かれたであろうこの作品。

縦2m、横6mという超ビックサイズ。「この作品が日本で観られるなんて」という言葉があちこちから聞こえて来たように、まさかまさかの日本での展示。

中心部の夕日が水面に差し込み、はっきりと描かれた部分と対象的に、両端のもやもやとして何が描かれているのか判別不能な部分とのコントラストを、左右に移動しながら鑑賞するも佳し。

また、遠くからある一点を目指しゆっくりと直進しながら観るのも佳し(間近で観るとほとんど抽象絵画の世界です→実際にこうしたモネの作品が与えた影響により、抽象表現主義やアンフォルメルといった新しい絵画表現が生まれたのです)。


オーギュスト・ロダン「殉教の女」1885年

個人的に気に入ったのはこの角度。閉館間際まで粘って鑑賞者がほぼいなくなるところを狙ってロダンからのモネ「睡蓮」を満喫して来ました。

それと、もう一点、国立新美術館的に「この作品を貸してくれるなんて!」と快哉を叫びたくなる作品が、このセザンヌです。


ポール・セザンヌ「サント=ヴィクトワール山」1902/06年

サント=ヴィクトワール山の頂き付近に浮かぶ緑色の物体は何?とか、手前に点在する白い部分は一体…?とか、薄茶の部分は屋根なのそれとも地面なの?等々、一つでも思ってしまったらセザンヌの術中にはまってしまったことになります。

何度も何度も繰り返し描いた故郷の山。既に山の形状すら留めていません。何でもありな画面はとても潔く、セザンヌの目指していた目的地がもう目の前に近づいていることを感じさせます。

実際にこの年(1906年)に野外で制作をしている時に雨に打たれた体調を崩し67歳の生涯を閉じることになります。

ところで、この作品、そもそも水彩画なの油彩画なの?じっくり穴があくほど眺めて来て下さい。最晩年のセザンヌ作品には、まさに神が宿っています。


エドヴァルド・ムンク「ヴェルヘルム・ヴァルトマン博士の肖像」1923年
エドヴァルド・ムンク「エレン・ヴァールブルクの肖像」1905年

画像右の「ヴェルヘルム・ヴァルトマン博士の肖像」はチューリッヒ美術館の初代館長を描いた作品。ムンクの個展を開いてくれたそうです。もう少しサービスしていい男に描いてあげてもよいものですが…

テーブルに軽くもたれかかっている全身像ですが、「叫び」の構図にそっくりで尚更興味深く観られます。

さてさて、展覧会の構成は以下の通りです。

1:セガンティーニ
2:モネ
3:ポスト印象派
4:ホドラー
5:ナビ派
6:ムンク
7:表現主義
8:ココシュカ
9:フォーヴィズムとキュビズム
10:クレー
11:抽象絵画
12:シャガール
13:シュルレアリスム
14:ジャコメッティ



「チューリヒ美術館展」展示風景

最近では珍しい、作家毎に展示空間を分けての展示。と同時に美術史の流れとも重なるような新鮮な構成です。それぞれの作品に力があるので、滞在時間思ったよりも長くなる展覧会です。

そして、これまでだったら軽く流していたこうした画家たちも、日本・スイス国交樹立150周年記念「日本におけるスイス年」のアートイベントとして開催された展覧会のおかげで、じっくりと味わえます。

「美術は繋がっている。観られるものは何でも観ておくべきだ。」と敬愛する宮下規久朗先生も仰っているように、好き嫌いはおいて、観ておくことで次の展覧会に繋がること幾らでもあります。


フィリックス・ヴァロットン「訪問」1899年
フィリックス・ヴァロットン「トランプで一人遊びをする裸婦」1912年

先日まで三菱一号館美術館で開催されていた「ヴァロットン展」との連続性または差異を強く意識しながら鑑賞出来るはずです。因みにセクション分けでは「ナビ派」に分類されていました。

全部で4点のヴァロットンの油彩画が出ています。キルヒナーやココシュカがすぐ後に控えていることもあり、単体で観るよりも灰汁の強さは感じません。それどころか「日没、ヴィレルヴィル」は冒頭のモネの大作と並べて観たいほど美しい作品です。

セガンティーニ、ヴァロットン、そしてこれから西洋美術館で開催されるホドラーと全てこの「チューリッヒ美術館展」を何倍も愉しむために観ておかねばなりません。

最後にこの懐かしいこの作家も!


エルンスト・バルラハ「難民」1920年
エルンスト・ルートヴィヒ・キルヒナー「小川の流れる森の風景」1925/26年

東京藝術大学大学美術館で2006年に開催された「ドイツ表現主義の彫刻家 エルンスト・バルラハ展」覚えていますでしょうか。あのバルラハにまさか六本木で再び逢えるとは!

因みに「バルラハ展」が開催された年は「日本におけるドイツ年」でした。

スイス年である今年、今からでも遅くはありません。思い切りスイス美術に浸りましょう!それにしても1階で「チューリッヒ美術館展」、2階で「オルセー美術館展」開催とは何とも贅沢なことですね。

「チューリッヒ美術館展」は12月15日までです。是非是非〜


チューリヒ美術館展―印象派からシュルレアリスムまで

会期:2014年9月25日(木)〜12月15日(月)
休館日:毎週火曜日
ただし、10月14日(火)は開館
開館時間:10:00〜18:00 金曜日は20:00まで
入場は閉館の30分前まで
会場:国立新美術館 企画展示室1E
http://www.nact.jp/

主催:国立新美術館、朝日新聞社、テレビ朝日、BS朝日
後援:外務省、スイス大使館
協賛:三井物産、トヨタ自動車、大和ハウス工業、大日本印刷、チューリッヒ保険、チューリッヒ生命
協力:スイス政府観光局、チューリヒ観光局、スイス インターナショナル エアラインズ、ルフトハンザ ドイツ航空、ルフトハンザ カーゴ AG、アクティオ


「チューリッヒ美術館展」ミュージアムショップ

【チューリヒ美術館とは】
スイスを代表する美術館のひとつで、中世美術から現代アートまで10万点以上の作品を所蔵しています。特に19世紀の印象派以降の近現代美術コレクションの素晴らしさで知られ、スイス出身のホドラーやジャコメッティのコレクションは世界屈指の規模を誇ります。18世紀末にチューリヒの町の芸術家や鑑定家たちが立ち上げた小さな集まりに端を発し、1910年に建物が落成したチューリヒ美術館の運営は、今日でも市とともに、2万人のチューリヒ芸術協会の会員に支えられています。2017年には新館を完成させて、スイス最大の美術館となる予定です。


チューリヒ美術館展完全ガイド (AERAムック)

《国立新美術館展覧会スケジュール》

「ルーヴル美術館展 日常を描く―風俗画にみるヨーロッパ絵画の真髄」

会期:2015年2月21日〜6月1日
http://www.ntv.co.jp/louvre2015/
フェルメール「天文学者」初来日。


「マグリット展」

会期:2015年3月25日〜6月29日
13年ぶりとなるマグリット大回顧展。

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@taktwi

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http://bluediary2.jugem.jp/?eid=3739

注:会場内の画像は主催者の許可を得て撮影したものです。

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スイスが誇る美の殿堂チューリヒ美術館のコレクションを、日本で初めてまとめて紹介します。出品されるのは幅6メートルにおよぶモネの大作やシャガールの代表作6点に加え、ホドラーやクレーといったスイスを代表する作家の珠玉の絵画、さらにはマティス、ピカソ、ミロといった20世紀美術の巨匠の作品など、 これまでなかなか来日の実現しなかった印象派からシュルレアリスムまでの傑作70点以上。スケッチや習作がほとんどない、まさに「すべてが代表作」といえるラインアップです。
世界的な金融都市でもあるチューリヒの富と、スイスの人々の美への慧眼を象徴するようなチューリヒ美術館展は、日本とスイスの国交樹立150年を記念する展覧会でもあります。この秋、必見の展覧会です。
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- | 2014/10/13 3:46 PM
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チューリヒ美術館展 | Star Prince JUGEM | 2014/09/27 8:54 PM