青い日記帳 

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「ハンス・アルプ展」

群馬県立館林美術館で開催中の
「ハンス・アルプ展」に行って来ました。

(館林美術館については明日記事を別にupします)



この展覧会は既に皆さんがお出かけになり、感想を書かれているように
今年の1月15日から以下の日本各地を巡回していたものです。
・神奈川県立近代美術館 葉山
・川村記念美術館
・岡崎市美術博物館

この画家(作家)の展覧会が都心を避け、周りに自然が多く残り、「水」が近くにある美術館を選ぶようにして巡回したのは決して偶然ではないと思います。

 

海があり、池があり、沼がある。

小さい頃河原に丸く角の取れたコロコロした石ばかりあることが不思議でした。
それが川を流れ運ばれてくる間に自然と摩擦によって角が取れ丸々と形を変えていったのだと知った時の感動は今でもはっきりと記憶の中に残っています。

その丸々とした石の記憶をハンス・アルプの彫刻作品に囲まれながら、周囲に水の気配を感じながら思い出しました。

かつての日本の川はゆるやかに蛇行していた。水の流れは曲がりくねりながらスピードを落とし、ときに河川敷の草原や林に侵入した。私の記憶のなかにある武蔵野の小川もアそうであったように、川の流れのゆがみやたわみが、不均等に流れてゆく川の時間をつくりだしていた。そしてそのゆらぎつつ流れる川こそ、日本の農村の川であったのである。
時間についての十二章―哲学における時間の問題
『時間についての十二章―哲学における時間の問題』
内山 節

そう、ハンス・アルプの作品はまさに川の流れが意図することなく作り出した丸い石ころのようであり、蛇行する川の流れそのものであり、ゆがみやたわみが魅力の作品です。

先日東京都現代美術館で鑑賞してきたイサム・ノグチの作品と相通ずる理念が盛り込まれているような作品群が、多々良沼のほとりに建てられた群馬県立館林美術館の開けた展示室を埋め尽くしていました。

セクションは全部で8つに分かれて展示されていました。
「1. 人物像の描写について」に17点の様々な材質の彫刻が第1展示室にまとめて展示してありました。

 
 第1展示室外観

ここが一番特別な空間でした。他の美術館では味わうことの出来ない
開放感と共に作品に接することができ、とても贅沢な時間を過ごせました。

館林美術館のテーマでもある「自然と人間との関わり」と自然から影響を受け制作したハンス・アルプの作品群が絶妙なハーモニーを奏でている空間でした。(お客さんが少ないのも嬉しかったです。)


残りの7つのセクションは美術館本館内にある特別展示室へ。
  
曲線が生かされたこの通路を通って左手に会場はあります。
   
 展示室入口

2. 幾何学的観点と左右対称の見方
3. おとぎ話の世界
4. 芸術形式としての書く行為
5. アルプのオブジェ言語
6. メタモルフォーゼという考えの重要性について
7. 配置と構成:並べ方の原理
8. 造形原理としての偶然

「植物的シンメトリー」や「葉はトルソに変身する。」といった独特の発想から生まれた作品が目を惹きました。
植物的シンメトリー」などのコラージュ作品からはフラクタル図形を想像したりもしました。マンデルブロー集合を既にハンス・アルプは自然の中に見出していたことなのでしょうか?




1903-04年に描いた「自画像」です。
色合いがセザンヌっぽいですよね。画面の構成とかも。
まだ10代だったころの自画像だそうです。


色調が緑色というのも、植物好きだった作者をよく表しているように思えてなりません。人間と植物が合体したブロンズ作品「葉ートルソ」や植物的な滑らかな曲線が生かされた『有機的形態』作品などなど。他にも作品は色々あったのですが、環境的に?どうしても自然と繋がりのある作品に目が行き、印象にも刻まれたようです。

この展覧会が開催さてた4つの美術館が都心ではなかったのは決して偶然ではなく、必然であったと誰しも感じ取れる展覧会です。

館林美術館での「ハンス・アルプ展」は11月27日までです。

本国ドイツのハンス・アルプ美術館は2007年にリニューアルオープンの予定だそうです。ARP MUSEUM Bahnhof Rolandseck
ドイツ、ローランズエック・バーンホフのアルプ美術館から協力を得て、ラインラント・プファルツ州とハンス・アルプ財団の所蔵する作品を、「日本におけるドイツ2005/2006」の一環として、日本国内の4つの美術館で開催いたします。
  ハンス・アルプ(1886−1966)は、画家、彫刻家、そして詩人として活躍した、20世紀美術史上の最も独創的な芸術家の一人です。
  少年期に詩人として創作活動を開始し、ストラスブール、ワイマール、パリの美術学校で学んだ後、1911年スイスで「モデルネ・ブント」グループを設立、本格的に造形作品の発表を行っていきます。さらに1912年ミュンヘンの青騎士展など、同時代の様々な芸術運動にも関わりました。アルプが第一次世界大戦の戦禍を避けて移住したチューリヒで、1916年に仲間と設立した「ダダ」は、その後の芸術思潮に大きく影響を与えることとなります。その後、絵画、コラージュ、レリーフなど構成主義的な作品を発表し、後年の創作につながる抽象造形へと発展をみせました。とくに1930年代以降の生涯を通して制作を続けた有機的形態をもつ彫刻作品は、アルプの名と分かちがたく結びついて、広く世界に知られ親しまれているものです。
  常に同時代の作家と交わり、様々な思潮を積極的に取り入れたアルプは、多方面に才能を開花させ、新たな造形に取り組み続けました。ドイツ語とフランス語を母国語とし、ヨーロッパ各国で活動したアルプは、その生涯を様々な境界を乗り越えて創造することに費やしたといえるでしょう。
  本展では、各時期を代表する絵画、コラージュ、レリーフ、彫刻など約190点を、アルプが生涯にわたって取り組んだ特徴的な作風・テーマごとに8グループに構成し、彼の芸術の全貌をご紹介します。
展覧会 | permalink | comments(12) | trackbacks(5)

この記事に対するコメント

Takさん
ハンス・アルプを私の好き館林美術館でご覧になったのですね
私が喜ぶと言うのもおかしいのですが、アルプも美術館も好きで嬉しいです(笑)
私のアルプ展レポ、川村美術館と館林美術館のもの2つともトラックバックさせていただきます
えみ丸 | 2005/09/27 12:27 PM
@えみ丸さん
こんばんは。

行ってきてしまいました。
ハンス・アルプ展は川村で開催していた時
上手く都合がつかずに見にいけなかったので
館林に巡回してくるの首を長くして待ってました。
TBありがとうございます!
えみ丸さんの川村紹介のページも素敵ですね。
Tak管理人 | 2005/09/27 11:14 PM
川村で開催された時に行きました。
あまり、印象に残っていません。
既に、忘却の彼方です。

この時、佐倉市美術館にも行きました。
(と、言うか、最初にこちらに行きました)
福井良之助孔版画展
これ、とてもよかったです。
図録が欲しいなと思ったら、まだ出来ていませんでした。
これ、終了日の前の日の話です。
で、予約した人に、ポスターをプレゼントしていました。
そうとは知らず、「ポスターは、いくらですか」ときいたら、タダでくれました。ありがとう。
次に、何時、佐倉に行くかどうかわからないので、図録の予約はしませんでした。(次に行った時に、在庫があったら買おう。)

Takさんのところでも、どこかに巡回した福井良之助孔版画展の事を誰か書いていたような?

鼎 | 2005/09/28 12:52 AM
>鼎さん、初めまして
「福井良之助展」観た方がいて嬉しいです
たぶん、ここで私が話したような気がします
良かったですね・・
高崎でもカタログ間にあいませんでした(ーー;
えみ丸 | 2005/09/28 4:42 PM
@鼎さん
こんばんは。

川村に行き損ねて群馬まで行ってきました。
環境のせいもあってか大変印象に残る展覧会でした。
タイムラグありますね。きっと。

佐倉市美術館はいつも頑張っていますね。
駐車場も無料だし好印象。
図録がまだ出来ていないなんて
きっと展覧会に全精力を傾けた証拠です。
えらいなーー

あくせくしていなくていい感じですね。
佐倉は意外と行く回数多いです。

@えみ丸さん
こんばんは。

高崎でも間に合わなかったのですか。。。
スロースローかなりのんびり。
この展覧会は観ていませんが
図録無くても満足のいくものだったのでしょうね、きっと。
多分。
Tak管理人 | 2005/09/28 11:10 PM
Takさん、えみ丸さん こんばんわ

福井良之助孔版画展の図録の写真は、佐倉市美術館に運び込んでから撮り始めたのではないかと思います。
それで、会期の終わりになっても出来上がらなかった。高崎に巡回しても、まだ、出来上がらなかった(笑)。

今年行った、特別展・企画展で、「もうけた(予想外に面白かった)」と、思ったのは、
親と子のギャラリー 仏像のひみつ/東京国立博物館
福井良之助孔版画展/佐倉市美術館
瀧口修造コレクション:夢の漂流物 同時代アーティストたちの贈物 1951-1979/世田谷美術館
文化遺産としてのモダニズム建築 DOCOMOMO100選展/松下電工 汐留ミュージアム
ウナ・セラ・ディ トーキョー 残像の東京物語/世田谷美術館
の五つです。
その中でも、福井良之助孔版画展と瀧口修造コレクションは、特によかったです。
思えば、この二つ、4/9、4/10で、続けてみました。
瀧口修造コレクションも、図録は買えませんでした。
こちらも会期終了の2週間くらい前に出来上がって、あっという間に売り切れ。
最終日に行った私は、当然、買えませんでした。
瀧口修造コレクションも、「世田谷美術館に運び込んでから図録の写真を撮り始めたのでは」と、想像しています。

今年も、あと3ヵ月。はたして「もうけた」と思う特別展・企画展は、この先、幾つあるのやら。


えみ丸さん
彫刻するんですね。
鼎 | 2005/09/28 11:55 PM
TBありがとうございました。
館林美術館は、素敵なところですね。
今まで、行きにくいからと敬遠していたのが悔やまれます。
感想を読ませていただいて、絶対に時間をつくって、ハンス・アルプ展に行きたいと思いました。

頑張って、行きたいと思います。
ではでは。
夏野 | 2005/09/29 1:38 AM
@鼎さん
こんばんは。

今、開催しているイサム・ノグチ展の図録も
展覧会が始まったときは完璧ではなかったようで
今日になって「エナジー・ヴォイド」だけの
図録の補遺が郵送で届きました。
結構な出来具合です。
もし紹介できたら後日upしてみます。

「もうけた」展覧会、さて私の場合はどんなことになるやら
すぐには思い浮かびません。
ただ、期待し過ぎると展覧会に限らずがっかりさせられ
逆に、それほど期待していなかったのに行って感動!
なんてこともしばしばありました。
これの繰り返しのようでした。

明日、ダ・ヴィンチ展に行って来ようと思っています。
これに関してはがっかりもなにもなく
ただただ「有り難い」展覧会だと思います。
楽しみです。

@夏野さん
こんばんは。

コメントありがとうございます。
ちょっとだけ遠いですが、道が空いていれば
都内からでも1時間ちょっとで行けます。
美味しいお蕎麦も食べられたので大満足です。

次は足利狙ってます!
帰りに佐野らーめんかな〜
Tak管理人 | 2005/09/29 9:27 PM
こんばんは.

ぼくも館林美術館(の第一展示室)とアルプはとても相性イイと感じました.

川村記念ではそれほどイイ印象は持っていなかったのですが,館林でみてアルプが好きになってきました.
おけはざま | 2005/09/29 10:52 PM
@おけはざまさん
こんばんは。

相性いいですよね!
普通の絵を並べるのは逆にもったいない美術館ですね。

川村で見逃して悔しかったのですが
館林で「カタキ」が取れてよかったです。
!(^^)!
Tak管理人 | 2005/09/30 10:08 PM
Takさん、こんにちは。
ようやく館林に行ってきましたので、ハンス・アルプ展を詠った拙い短歌をTBさせていただきました。
ご覧いただければ嬉しいです。
素敵な美術館と展覧会でした。
謎野 | 2005/11/18 3:24 PM
@謎野さん
こんばんは。

コメント&TBありがとうございます。

歌をさらりと自然体で詠まれるのに
一種の憧れを感じます。
ひねり出してもひねり出しても詠めません。。。

館林美術館とても良い環境内にありますよね。
また行きたくなりました。
Tak管理人 | 2005/11/18 11:05 PM
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ハンス・アルプの多彩な創造力に感動です。
心やすらぐ「ハンス・アルプ展」 | 単身赴任 杜の都STYLE | 2005/09/27 7:58 AM
館林美術館に来ると、この建物の設計者高橋靗一(ていいち)氏はこの土地を愛してこの美術館を作ったのだろうなと思える  第一工房HPより借りる  ここは関東平野のど真ん中、広々とした空の下何処までも続く田園、白鳥の飛来地で知られる多々良沼の傍に
館林美術館:ハンス・アルプ展2 | 冬の虹 | 2005/09/27 12:30 PM
 川村記念美術館 佐倉の川村記念美術館で「ハンス・アルプ展」を観た これが神奈川県立近代美術館で開催している間に観られなかったので、是非佐倉で観たいと思っていた         昔、美術の教科書で知り、色々なところでいくつか見た作品は抽象彫刻だけだ
ハンス・アルプ展 | 冬の虹 | 2005/09/27 12:35 PM
川村記念美術館(千葉県佐倉市坂戸) 「ハンス・アルプ展」 4/5〜6/26(会期終了) なめらかな曲線が描き出す温もりのある造形。磨き抜かれた美しい質感と穏やかな表情。抽象的でありながらも、どことなく詩的で、さらには遊び心すら持っているような世界観…。川村記
「ハンス・アルプ展」 川村記念美術館 6/25 | はろるど・わーど | 2005/09/27 8:12 PM
上州に名美術館生(な)るを知りハンス・アルプを訪ねて行きぬ 高き空丘なだらかに姿よくポスト・ポストモダンの館立つ 彫刻に素描に貼り絵なべて知るアルプ求めむ原初のかたち いうなればアルプのなすはひたすらにかたちの原初まさぐりしこと 遥か来てアルプのアー
051118 日々歌う | 雪の朝ぼくは突然歌いたくなった | 2005/11/18 3:26 PM