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「レオナルド・ダ・ヴィンチと「アンギアーリの戦い」展」

東京富士美術館で開催中の
「レオナルド・ダ・ヴィンチと「アンギアーリの戦い」展」に行って来ました。


特設サイト:http://www.fujibi.or.jp/anghiari.html
http://www.fujibi.or.jp/
東京富士美術館 (@tokyofujibi) | Twitter

時は西暦1440年。現在のイタリア、トスカーナ州アレッツォ県のアンギアーリでミラノ軍とフィレンツェ軍との間で起こった壮烈な戦いが行われました。

フィレンツェ軍の勝利で幕を閉じた合戦の熱も冷めやらぬ、1504年にレオナルド・ダ・ヴィンチはフィレンツェ共和国から依頼を受け、この壮絶で勇猛な「アンギアーリの戦い」を絵画(壁画)として描くように依頼を受けます。

指定された場所は、フィレンツェ政庁舎(ヴェッキオ宮殿)大会議室(五百人大広間)。

製作途中から傷みが激しく、結局1560年代前半にジョルジュ・ヴァザーリが同じ場所に新たな壁画で覆い、現在では実物がどれほどのスケールだったのか、どんな内容だったのか知る術はほとんどない、まさに「幻の大作」です。


ミケランジェロ「ダヴィデの頭部」(石膏模型)
制作年代:1501-04年
原作からの型抜き:1863年
石膏模造:1987年
東京富士美術館蔵

展覧会会場では、まず実物大の「ダヴィデ像」がお出迎え。初めてお顔を間近で観ましたが、何と目(黒目)がハート型なのでし!ご存知でした?!(原作から型抜きし製造された中なの優れものです。)

そのダヴィデ像の隣りにもまたフィレンツェの歴史を知る上でも大事な作品です。「シニョーリア広場におけるサヴォラローサの処刑」サン・マルコ美術館蔵。この時代のフィレンツェを語る上で外すことの出来ない一枚です。

完全にこれで掴みはOK!さらに、サンティ・ディ・ティート「ニッコロ・マキアヴェッリの肖像」1570年 パラツォ・ヴェッキ博物館まで展示されており、たたみかえるように最初から飛ばします。


16世紀の画家《アンギアーリの戦い(タヴォラ・ドーリア)》
16世紀 油彩/板 85.0×115.0 cm
ウフィツィ美術館蔵(東京富士美術館より寄贈)

観に行く前は、《アンギアーリの戦い(タヴォラ・ドーリア)》一点豪華主義の展覧会かとばかり思っていましたが、豈図らんや、同じ時代に描かれたレオナルドの模写(世界に4点のみ、そのうち3点が今回の展覧会に出品されています。

フィレンツェ政庁舎(ヴェッキオ宮殿)大会議室(五百人大広間)で観られた期間は長くても50年ばかりです。その間に描かれた模写により、レオナルドがどのような合戦図を描かんとしていたかを現代の我々も知ることが出来るのです。

レオナルドが一体どのような作品を大広間の壁画に描いたのか、残された板絵(模写)を、比較しながら観ると、「アンギアーリの戦い」の合戦のすさまじさがひしひしと感じらる鬼気迫る作品であったことを伺い知ることができます。


16世紀の画家《アンギアーリの戦い》16 世紀
油彩/板 83.0×144.0 cm
フィレンツェ美術館群蔵(ヴェッキオ宮殿博物館に貸与)

展覧会の構成は以下の通りです。

1章:歴史的背景〜アンギアーリとフィレンツェの戦い
2章:失われたレオナルドの《アンギアーリの戦い》
3章:競演の舞台〜アンギアーリとカッシナ、ミケランジェロと対決
4章:視覚革命《アンギアーリの戦い》によるバロック時代への遺産


一見、同じ作品に見えますが、細部の描写を比較していくと、その違いは明白です。同時期に描かれた「模写」であっても、描いた人物の想像が加味されるのでしょうか。それともレオナルドの作品自体の傷みが激しく、補正せざるを得なかったのでしょうか。



こちらのツイートは大変示的です。

レオナルドが描き残した構想下絵には、馬乗りになった兵士が人差し指で今しも、相手に「突き」をお見舞いせんとする緊迫した瞬間が描かれています。


レオナルド・ダ・ヴィンチ《戦う男たちの習作》1504年頃
ペン、インク、リード・ポイント/淡褐色紙 8.7×15.2 cm
アカデミア美術館(ヴェネツィア)蔵

また、こうしたレオナルドの下絵が残っているということは、間違いなく大広間に「アンギアーリの戦い」を描こうとしたことを意味します。丁寧な展覧会の作りの一端が垣間見られます。

最も感心したのは、第4章「視覚革命《アンギアーリの戦い》によるバロック時代への遺産」です。

レオナルドの《アンギアーリの戦い》が、後の合戦図の基本フォーマットとなっていった様子を詳らかにしています。


フィレンツェの画家「アンギアーリの戦い」1460年代前半 
テンペラ/板 62.4×207.5 cm
アイルランド国立美術館
Photo © National Gallery of Ireland

レオナルド以前の合戦図は、緊迫した戦いの様子というよりも、日本の絵巻物のように出来事を羅列するだけの、おとなしい感じの作品ばかりでした。

それが、レオナルドの登場により大きく様変わりを果たします。まるで従軍し目の前で合戦を観て来たかのような、緊迫した臨場感あふれる作品を仕上げたのです。


16世紀の画家《アンギアーリの戦い(タヴォラ・ドーリア)》
16世紀 油彩/板 85.0×115.0 cm
ウフィツィ美術館蔵(東京富士美術館より寄贈)

16世紀の素描を観ながら、イメージを膨らませ、ルーベンスが描いた《アンギアーリの戦い》。ここまで来ると、随所に違いが見受けられます。

「サイゼリアの間違い探し」レベルだったものが、一気に、違いが分かりやすくなります。つまり画家のイマジネーションが多く加わるようになるのです。


ピーテル・パウル・ルーベンスに帰属(レオナルド・ダ・ヴィンチに基づく)《アンギアーリの戦い》17世紀初期
油彩 ウィーン美術アカデミー絵画館

大広間のレオナルド作品の上に新たに合戦図を描いた、ジョルジュ・ヴァザーリもまた同じような影響を受けています。

レオナルド・ダ・ヴィンチというと「モナ・リザ」など真っ先にあげられる名画が幾つもありますが、彼が描いた作品の中で、後世最も(断トツで)影響を与えたのが、《アンギアーリの戦い》です。

16世紀に描かれた合戦図がお手本となり、現在まで脈々と受け継がれて来ているのです。


東京藝術大学 総合芸術アーカイブセンターによる《アンギアーリの戦い(タヴォラ・ドーリア)》の立体復元。会場出口に展示されています。

「レオナルド・ダ・ヴィンチと「アンギアーリの戦い」展」は8月9日までです。観に行く価値の十分にある展覧会です。是非!

西洋美術に造詣の深い「とら」さんも絶賛している展覧会です。
Art & Bell by Tora
レオナルド・ダ・ヴィンチと「アンギアーリの戦い」展 
@東京富士美術館



「レオナルド・ダ・ヴィンチと「アンギアーリの戦い」展」
 
会期:2015年5月26日(火)〜8月9日(日)
会場:東京富士美術館(東京都八王子市谷野町492-1)
http://www.fujibi.or.jp/
主催:東京富士美術館、読売新聞社
特別後援:イタリア共和国大統領
後援:外務省、文化庁、イタリア文化財・文化活動・観光省、イタリア大使館、イタリア文化会館、フィレンツェ市、八王子市、八王子市教育委員会
特別協賛:セコム、日本製紙
協賛:大林組、関電工、大日本印刷、みずほ信託銀行
協力:NHKエデュケーショナル、アリタリア-イタリア航空、日本航空、アルテリア、ヤマトロジスティクス
企画:東京富士美術館

東京富士美術館の鴨木学芸員をお招きし、14日(火)にレオナルド・ダ・ヴィンチと「アンギアーリの戦い」ナイトを開催します。詳細及びお申し込みはこちらから。展覧会チケット付きのお得なイベントです。

http://rokujigen.blogspot.jp



ペンブックス1 ダ・ヴィンチ全作品・全解剖。 (Pen BOOKS)

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 レオナルド・ダ・ヴィンチの未完の大壁画計画《アンギアーリの戦い》は、今も多くの謎と痕跡を残しています。同壁画はイタリア・ルネサンス美術の歴史の中でも、最も野心的な装飾計画のひとつとされています。シニョリーア宮殿(現パラッツォ・ヴェッキオ)を舞台にレオナルドとミケランジェロが戦闘画において競演したエピソードは大変有名ですが、レオナルドの壁画と同じ広間に描かれるはずだった《カッシナの戦い》についてもミケランジェロの原寸大下絵に基づく模写によって知ることができるのみで、その計画の全貌はいまだ明らかにされていません。レオナルドはこの壁画を完成させることができませんでしたが、部分的に描かれた壁画はその後、半世紀以上のあいだ人々の見るところとなりました。しかしその壁画は、最終的に1560年代にジョルジョ・ヴァザーリの新たな壁画装飾によって覆われてしまいました。それでもレオナルドの作品は、激烈な戦闘場面を描く絵画表現の新しい基準を確立し、その後に続く世代の芸術家たちに大きな影響を与えることとなったのです。  本展のメイン作品は、失われたレオナルドの壁画の中心部分をなす「軍旗争奪」の戦闘場面を描いた、日本初公開の《タヴォラ・ドーリア(ドーリア家の板絵)》として知られる著名な16世紀の油彩画です。本展ではさらにミケランジェロが構想した壁画の原寸大下絵を模写した、同じく日本初公開の16世紀の板絵《カッシナの戦い》が出品されます。原作が失われた二大巨匠の壁画が、いずれも本邦初公開の貴重な板絵作品により500年の時を超えてならびあう、イタリア美術史上初の展示が日本で実現する運びとなりました。レオナルド自身による同壁画の習作素描、レオナルドの構図に基づくその他の模写作品や派生作品、関連する資料類、関連する歴史的人物の肖像画など《タヴォラ・ドーリア》を中心に《アンギアーリの戦い》に関する作品・資料を一堂に集めた初の企画展として、レオナルドが試みた視覚の革命を検証し、イタリア美術史上の一大エピソードである失われた壁画の謎と魅力に迫ります。
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